ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:ザ・トライブ ( 2 ) タグの人気記事


ザ・トライブ
-2-
The tribe

f0165567_6151666.jpg


(C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014


聾唖者を描いた映画だからせりふがない。
当たり前かもしれませんが、
この素直さこそがこの映画を映画たらしめた画期的な点かもしれません。

一人の主人公が聾唖であるだけでなく、彼をとりまく周囲の人間がすべて聾唖――
そんな発想で映画を撮ることができるほど映画は自由な表現方法なのでした。
実験といっていいかもしれません。

普通、実験っていうとあまり面白くないもののような気がします。
でも、面白かったです。
目を奪われました。
ま、せりふがない分、目が頼りですから、目を奪われるのは当然ですが。

電車の中で時折見掛ける手話。
車内ゆえ、そのアクションは多少控えめではありましょう。
しかし、手話がわからなくても、控えめな動作でも、話に興じているのはわかります。

だから、映画の中で主人公たちが見せる感情を露わにしたボディアクションは
せりふ以上に多くのことを語るわけです。

さあ一体どんなお話でしょうか。

f0165567_6203782.jpg


ストーリー
セルゲイは聾唖者のための寄宿学校に入学する。
そこでは小さな子から大きな子まで含めた公式祝賀会が開かれていた。
どう見ても学校にしか見えないが、
その裏では犯罪や売春を行う悪の組織=族(トライブ)が形成されている。
入学するとすぐセルゲイも彼らによる手荒い仕打ちを受けるのだった。
リーダーを中心とする学生たちがみつめる中、
セルゲイは数人を相手に殴り合いを強要されるが、なかなか屈強な戦いぶりを見せる。
そして、彼もトライブに組み入れられていく。

トライブの主要な財源は売春だ。
セルゲイも先輩につき添い、
毎夜リーダーの愛人であるアナと同室の女生徒の二人を車に乗せ、
長距離トラックが駐車している場所に送り届ける。
凍りつくような寒さの中、何十台ものトラックの間を歩き、フロントガラスを叩き、
運転手たちにアナたちを見せ、交渉開始。
交渉が成立すれば彼女達は運転席に乗り込み、仕事をする。

ある夜、先輩が後方のトラックの発車に気づかず轢き殺されてしまった。
その後任に収まるセルゲイ。
要領よく仕事をこなし、夜ごとアナたちを仕事場へ送り届け、連れ帰るセルゲイだったが、
その内、アナを愛するようになる。
彼は悪事で稼いだ金を組織に上納せず、アナに貢ぎ、関係を持つようになる。

一方、アナは同室の女生徒とウクライナから逃げ出し、イタリアへ行くことを夢見ていた。
リーダーは出入国管理局でふたりのパスポートを入手した。

だが、アナへの想いを抑えきれないセルゲイは売春の元締めである教師の部屋を襲う。
金を奪い、それをアナに差し出し、
売春を止め、イタリア行きを取りやめるよう懇願するのだった。
アナは激しく拒絶する。

そして、リーダーたちからリンチを受け、傷だらけになったセルゲイは……

f0165567_6181682.jpg


その背景は、どこからか黴のにおいが漂ってきそうな古い校舎、
排気ガスが立ち込める長距離トラックの駐車場、
東欧の裏さびれた廃墟のような雰囲気に満ちた作品です。

とのはゲームはしませんが、
この雰囲気、この暴力、廃墟にうごめく若い無言の青年たちを観て
これはゲーム的世界観かもしれないと思ってしまいました。

1974年生まれのスラボシュピツキー監督。ゲーム世代です。

でありながら、作品中に漂うリアル感。

キエフで行われた本作の撮影は
ヤヌコビッチ政権に対する反政府デモの前に始まり、
ロシアによるクリミア支配の後に終わったということです。

その緊迫した空気感が映り込んでいたのかもしれません。

静かでやかましい映画であります。





今日もポチッとお願いできれば嬉しいです♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月10日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ザ・トライブ
脚本・監督/ミロスラヴ・スラボシュピツキー、撮影/ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ、サウンド・デザイン/セルギー・ステパンスキー
出演
グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノヴィコヴァ、ロザ・バビー、オレクサンダー・アサドッチイ、オレクサンダー・シデリニコフ、サシャ・ルサコフ、デニス・グルバ、ダニア・ブコビイ、レニア・ピサネンコ、オレクサンダー・パニヴァン、キリル・コシク、マリナ・パニヴァン、タティアナ・ラドチェンコ、リュドミラ・ルデンコ
4月18日(土)よりユーロスペース、新宿シネマカリテ他にてロードショー
2014年。ウクライナ、カラー、132分、字幕無、手話のみ
提供/ミモザフィルムズ、彩プロ、配給/彩プロ、ミモザフィルムズ、後援/ウクライナ大使館
http://thetribe.jp/

by Mtonosama | 2015-04-10 06:24 | 映画 | Comments(6)

ザ・トライブ
-1-
The tribe

f0165567_5164741.jpg

(C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014


春眠暁を覚えず、と申しますが、最近時々猛烈な睡魔に襲われるとのでございます。
それも、本来眠っていてはならない試写の途中に眠ることがあるのです。
やばいです。まずいです。

本作がまた全員聾唖者の出演なので手話のみ。
せりふなし、したがって字幕無し、吹き替え無し、音楽無し。
しかも上映時間は132分です。

ああ、また眠ってしまうか――
わざわざ試写を観にきて寝るなんて、映画関係者に申し訳ないし、すごい自己嫌悪です。

ところが、
これがあなた、
一睡もせず、しかも座席から身を乗り出さんばかりにして鑑賞しました。

せりふも音楽も一切ありませんが、
車道を車が疾駆する音、頬を打つ音、肌の触れ合う音・・・
さまざまな物理的な音は聞こえるので
無声映画とも違う不思議な映画感覚。
例えていえば、街やお店の中で人々の様子を露骨にみつめるという感覚の映画です。
実際に町中で気になる人がいても露骨にジロジロ見るなんてことはできませんから、
今までに経験したことのない感覚といえます。

とのの祖父は活動弁士でしたが、
祖父ならこの手話をどのように弁ずるのか。
と、ふと考えましたが、きっと祖父も手話を有声化しなかっただろうと思います。

時々、電車の中などで手話で会話している方たちをみかけることがあります。
とても靜かなのですが、その素早い手の動きを見ると、
とても話に熱中しておられるのだろうな、と思います。
彼らの周囲には特別なオーラが形成されている感じ。
『ザ・トライブ』もそんな映画です。

f0165567_518611.jpg


ザ・トライブ 
Tribe:辞書には
1.種族、部族 2.族、類 3.仲間、集団、連中 4.大家族 5.閥族、支族、氏族
おっと、
6.畜産用語で同じ雌を親に持つ雌系。主に牛についていう、
なんてのもありました。
この映画の場合は、3.仲間、集団、連中でしょうか。

本作は昨年のカンヌ国際映画祭で批評家グランプリ、フランス4ヴィジョナリーアワード、
ガン・ファンデーション・サポートの3賞を受賞。
その他、英国の権威ある映画雑誌「サイト&サウンド」誌のベスト10にも選ばれた問題作。
ウクライナの新人監督ミロスラヴ・スラボシュビツキーの長編デビュー作です。

f0165567_5213815.jpg

ミロスラヴ・スラボシュビツキー監督
サイレント映画へのオマージュを表現したかったというスラボシュビツキー監督。
1947年キエフ生まれの監督はサンクトペテルブルグのレンフィルム・スタジオに勤務。
短編映画『Diagnosis』(‘09)で10代の少年少女たちを主人公に描き、
次作『Deafness』で聾唖者の学校を舞台に言葉の無い映画に挑戦しています。

サイレント映画へのオマージュを抱きつつも、
彼の作りたかった映画はもの静かな映画とは違います。
無声映画とはいえ、役者たちは静かにふるまっていたわけではありません。
声が無いからこそ、
所作やボディランゲージを駆使して感情や心情を伝えようとしていました。

だからこそ、監督は声の出る俳優で本作を作ろうとは考えませんでした。
声の出る人は、話をする時に発音に必要な顔の筋肉しか使わないけれど、
聾唖者は体全体を使ってコミュニケーションを取ろうとします。
静かだけれど、強烈にやかましい映画。
それが監督のめざした映画だったのでしょう。

という訳で、本作に登場するのは全員聾唖者であります。
そのキャスティングには1年を要したということです。

今までに例を見ない映画故、前置きが長くなりました。
さあ、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



今日もポチッとしていただければうれしいです♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月7日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆


ザ・トライブ
脚本・監督/ミロスラヴ・スラボシュピツキー、撮影/ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ、サウンド・デザイン/セルギー・ステパンスキー
出演
グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノヴィコヴァ、ロザ・バビー、オレクサンダー・アサドッチイ、オレクサンダー・シデリニコフ、サシャ・ルサコフ、デニス・グルバ、ダニア・ブコビイ、レニア・ピサネンコ、オレクサンダー・パニヴァン、キリル・コシク、マリナ・パニヴァン、タティアナ・ラドチェンコ、リュドミラ・ルデンコ
4月18日(土)よりユーロスペース、新宿シネマカリテ他にてロードショー
2014年。ウクライナ、カラー、132分、字幕無、手話のみ
提供/ミモザフィルムズ、彩プロ、配給/彩プロ、ミモザフィルムズ、後援/ウクライナ大使館
http://thetribe.jp/

by Mtonosama | 2015-04-07 05:35 | 映画 | Comments(6)