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殿様の試写室

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タグ:ジェリー・ベルトゥチェリ ( 2 ) タグの人気記事

パパの木 -2-
The Tree

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(C)photo : Baruch Rafic – Les Films du Poisson/Taylor Media – tous droits reserves – 2010

この映画に登場する大きな樹。
それはトトロの森を連想させるような楽しそうな樹です。
楽しそうな樹というのもおかしな表現ですね。
でも、本当にそういう形容がふさわしい樹なんです。

子ども4人が手をつないで抱きかかえても抱えきれない太い樹幹。
その幹の、ちょうど良い位置に大きな枝が出ていて、
そのままズンズン登っていけそうです。
枝と枝の間にできた空間では横になって身体を休めることもできます。

この樹は本作の一番の主役といってもいい存在感を持っています。

さあ、どんなストーリーなのでしょう。


ストーリー
大きな樹の足元の小さな家に、ドーンとピーターは4人の子どもたちと幸せな日々を送っていました。
ところがある日、ピーターは仕事からの帰り道、心臓発作を起こします。
ピーターの運転するピックアップトラックには娘のシモーンが同乗していました。
「パパ、パパ、どうしたの!?」と叫ぶシモーンを荷台に乗せたまま、
車は庭の巨木にぶつかって止まりました。

最愛の夫を亡くしたドーンは喪失感から虚脱状態に。
高校生の長男は父の代わりを果たそうとアルバイトを始めました。
8歳のシモーンはいつも庭の樹に上り、その樹とおしゃべり。
シモーンが樹と話すのは、そこにパパがいると信じているからなのです。
ある日彼女はなかなか元気を出せないママにその秘密を教えてあげるのでした。

ようやく気力を取り戻した母・ドーン。
これまで働いたことなどなかった彼女が街へ出て働き口をみつけてきました。
そして、雇い主ジョージと親しくなり、次第に明るさを取り戻していきます。

と同時に、これまで家族を見守っていた庭の巨木が、
家を包み込むほどに根や枝を張り巡らし始めます。
そして、ある晩、太い枝が折れてドーンの寝室を直撃。

シモーンもまた母がジョージと仲良くするのが気に入りません。
母が女になっていくことを敏感に感じ取ったシモーンは樹の上で生活を始めるのでした。

父の死から一年。
家族がそれぞれに悲しみを乗り越え、動き始めた時、嵐がやってきました。
それは残された家族に大きな決断を迫ることに……

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樹が命だけでなく心も持ったもののように行動したり、
シモーンが飾り付けたガラスが枝の間から差し込む日の光に輝いたり、
どこかおとぎ話のようでありながら、それだけではない複雑な味わいの映画でした。

家族を守る巨木ですが、枝や根をはびこらせ、
そこに暮らす人々に害を及ぼす存在になれば、
人はチェーンソーで、いとも簡単に伐り倒そうとします。
本作ではシモーンたちが身を挺して樹を守りますが。

自然と生命の象徴としての巨木。それを守る子どもたち。
アニミズムという言葉を使えば、わかりやすいかもしれません。
そこここに精霊の存在を感じることもできるような映画でもありました。
絶対、こんなに年を経た樹木には精霊が宿っているに違いありません。

とはいえ、精霊はこの家族を守るために存在するのではありません。
猛烈な嵐に家を壊された家族は自分たち自身の力で生き抜いていかねばなりません。
そして、きっと力強く生きていくことができるはずです。
本作は、太古から繰り返されてきた再生の物語なのかもしれません。
人もまた自然の一部なのですから、絶対に強く生きることができるはずですから。





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☆5月26日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

パパの木
監督・脚本/ジェリー・ベルトゥチェリ、原作/ジュディ・バスコー(「パパの木」)、撮影/ナイジェル・ブラック
出演
シャルロット・ゲンズブール/ドーン、マートン・ソーカス/ジョージ、モルガナ・デイヴィス/シモーン
6月1日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2010年、100分、仏=豪合作、字幕/古田由紀子、配給/エスパース・サロウ、提供/新日本映画社、後援/オーストラリア大使館、協力/ユニフランス・シネマズ
http://papanoki.com/

by Mtonosama | 2013-05-26 06:53 | 映画 | Comments(5)
パパの木 -1-
The Tree

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(C)photo : Baruch Rafic – Les Films du Poisson/Taylor Media – tous droits reserves – 2010


突然、愛している人を失う。
それも、全面的に頼っていた人を。
そして、残された家族を自然災害が襲い、彼らは住み慣れた地を去っていく・・・・・

というと、誰もが2年前この国を襲った大災害とその後の暮らしを思い起こします。
私たちのDNAに組み込まれてしまった悲しみと恐怖。
そこに、<それでも生き抜く力>も加えたいのではありますが。

ですが、本作「パパの木」は日本ではなく、オーストラリアの話です。
ジュリー・ベルトッチェリ監督がジュディ・バスコーの同名小説を映画化。
オーストラリアの広大な風土を舞台にした作品です。
第63回カンヌ国際映画祭のクロージング作品として上映されました。
大きな樹がとてもシンボリックで、優しくもあり、力強くもある映画です。


ジュリー・ベルトゥチェリ監督
フランスの映画監督。1968年フランス生まれ。
父ジャン=ルイ・ベルトゥチェリは、70年ジャン・ヴィゴ賞も受賞した監督。
その後、ジュリエッタ・マシーナの遺作となった父の監督作「木漏れ日」(91)に
助監督見習い及び編集見習いとして参加。
以来、クシシュトフ・キェシロフスキの「トリコロール/青の愛」(93)と
「トリコロール/白の愛」(94)、ベルトラン・タヴェルニエの「ひとりぼっちの狩人たち」(95)
といった作品に助監督として就く。
その一方で、アトリエ・ヴァラン社で短篇ドキュメンタリーの監督を始める。

この後、オタール・イオセリアーニが久しぶりに母国グルジアで撮影した傑作「群盗 第七章」
の助監督としてグルジア・ロケにも参加。
以来、グルジアに魅せられると共に、記録映画の演出も再開。

2001年には、ベルナール・レヌッチとグルジアを舞台に描いた初長篇「やさしい嘘」の脚本を完成させ、2001年エメルジャンス賞に提出し、最優秀脚本家大賞を受賞。映画化が実現。
2003年に完成。カンヌ映画祭の国際批評家週間で初上映されるや絶賛され、同部門の大賞を受賞。

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巨大な樹とその下に蹲るようなボロボロの一軒の家。
あ、ボロボロというと聞こえが悪いですね。
巨大な樹とその下に蹲るような一軒の壊れかけた家。
もっと悪いか――

ペンキの剥げた羽目板、歪んだピロティの家ではありますが、荒んだ感じはありません。
その親密な印象は、家のシンボルともなっている巨木や仲の良い両親、
そして、4人の子どもたちのもたらすものなのでしょう。
18歳の長男をかしらに言葉の遅い小さな末っ子まで。
男の子3人、女の子1人の子どもたち、にぎやかな楽しい家族です。

そんな家族を突然の悲劇が襲いました。
子どもたちの大好きな父親が突然死んでしまったのです。
それもこの家のただ一人の女の子シモーヌの眼の前で――

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昔、「ポネット」(‘97)という映画がありました。
主演したヴィクトワール・ティヴィソルが、わずか4歳で
96年のヴェネチア映画祭女優賞を受賞した感動作です。
母の死んだことが信じられず、大きな目にいっぱい涙をためていたシーンが
今も脳裏によみがえります。ポネットと一緒にしゃくりあげて泣きました。
本作の主人公シモーヌはポネットより2~3歳大きいのですが、
大きな目と柔らかそうな頬がなんとなくポネットを想い起こさせます。

本作で印象的な映像はいくつかあります。
シモーヌのけなげで愛らしい姿。
シモーヌ以上に夫の死の衝撃から抜け出せない母親。
(監督自身、この脚本を書いている頃、夫を亡くすという体験をしていることが、
その描写に信憑性を与えているかもしれません)
そして、この映画の中心に根を張る巨木の存在です。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか?
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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☆5月23日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

パパの木
監督・脚本/ジェリー・ベルトゥチェリ、原作/ジュディ・バスコー(「パパの木」)、撮影/ナイジェル・ブラック
出演
シャルロット・ゲンズブール/ドーン、マートン・ソーカス/ジョージ、モルガナ・デイヴィス/シモーン
6月1日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2010年、100分、仏=豪合作、字幕/古田由紀子、配給/エスパース・サロウ、提供/新日本映画社、後援/オーストラリア大使館、協力/ユニフランス・シネマズ
http://papanoki.com/

by Mtonosama | 2013-05-23 05:50 | 映画 | Comments(6)