ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:ジム・ローチ ( 2 ) タグの人気記事

オレンジと太陽 -2-
Oranges and Sunshine

f0165567_6241881.jpg

(C)Sixteen Midlands (Oranges) Limited/See-Saw (Oranges) Pty Ltd/Screen Australia/Screen NSW/South Australian Film Corporation 2010

その昔、そう100年以上前から、ごく最近の1970年まで、
イギリスから海外へ送られた施設の子ども達。
渡航の前に、親に会うこともなく、子どもたちだけで海を渡っていきました。
船が着いた先には暖かい太陽とおいしいオレンジが待っているよ、
という言葉を信じて。


ストーリー
1986年、イギリス・ノッティンガム。
社会福祉士のマーガレット・ハンフリーズは、1人の女性から
「自分が誰なのかを知りたい」と訴えられる。
その女性シャーロットはノッティンガムの児童養護施設にいた4歳の時に、
数百人の子どもたちと一緒に船に乗せられ、オーストラリアに送られたという。
マーガレットは最初その話を信じられなかったが、
さらに別の女性ニッキーから聞いた話に心が動いた。
それはニッキーに数年前届いたという
「多分、僕はあなたの弟です」と伝える手紙だった。
彼女の弟ジャックも、シャーロットと同じようにオーストラリアへ連れて行かれ、
ようやく探し出せた姉の居所に宛てて手紙を送ってきたのだ。

f0165567_6274176.jpgそれをきっかけにマーガレットは調査を開始。
すると、死んだと聞かされていたシャーロットの母が
まだ生きているということがわかった。

しかも、シャーロットの母は、娘はイギリスの養父母にもらわれたと信じていて、
オーストラリアに送られていた事実をまったく知らなかった。

ジャックに会いにオーストラリアへ向かったマーガレットは、
そこにジャックやシャーロットと同じ境遇の人たちが大勢いることを知る。
彼らはオーストラリアに到着すると、過酷な環境で働かされたり、虐待されたり、
苦しい人生を歩んでいたあの児童移民たちだったのだ。
彼らは自分が誰なのか、母親がまだ生きているのか、知りたがった。
マーガレットは、イギリスとオーストラリアを往復し、彼らの家族を捜し出す活動を始める。

オーストラリア。
マーガレットのもとには、沢山の人が相談に訪れ、それは長い行列になった。
最初の相談者に付き添って来た男性レンは、
「あんたに何ができる」とマーガレットに突っかかる。
だが、実は彼も児童移民で心の底では母親を見つけたがっていた。
やがて、マーガレットの活動はマスコミの注目を集め、
イギリスが子どもたちを植民地に送ったという『児童移民』は、
政府の政策によって行われていたことも明らかになる。
そして彼女の調査は、次第に政府レベルの大きな組織をも揺らし始めていった……


f0165567_6251762.jpg

http://www.childmigrantstrust.com/

映画は、厳しい口調で英国政府を告発したり、
児童の人権問題を声高に訴える政治的なものではありません。

そうではなく、成長したかつての子どもたちが
「僕は誰なの?」「ママに会いたい」と泣くのです。
良い歳をした大人が小さな男の子や女の子に戻って
心の底から悲しげに泣くんです。
彼らにとって大事なのは
海の上で断ちきられてしまった
イギリスにいた頃の自分を取り戻すことだったんですね。

マーガレットはそんな彼らのために英国に暮らす夫や子どもたちと離れ、
オーストラリアで活動しました。
そして、英豪両政府首相は正式に謝罪をするに至ったのです。
しかし、児童移民を送り出す施設がキリスト教の団体だったりしたため、
その活動は司祭たちに対する背信行為だとして、
彼女を襲撃する狂信者もいました。
どんな活動も障害なく進められるものではありません。
宗教の二面性というか、教会も組織である限り、
人が携わる以上その人々の心性が問われます。
その人々が例え宗教者であろうとも。

いやあ、大変な活動だったと思います。
ふーん、こんなことがあったのか、と
映画は知らなかったことを教えてくれる歴史の教材。
それがおしつけがましいものでなく、時に感動すら与えてくれるのですから。
まさに映画館は学校です。





今日もポチッとお願いできればうれしゅうございます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月6日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

オレンジと太陽
監督/ジム・ローチ、脚本/ロナ・マンロ、原作/「マーガレット・ハンフリーズ著「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」(日本図書刊行会)、撮影/デンソン・ベイカー
出演
エミリー・ワトソン/マーガレット・ハンフリーズ、デイヴィッド・ウェナム/レン、ヒューゴ・ウィーヴィング/ジャック、リチャード・ディレーン/マーヴ、ロレイン・アッシュボーン/ニッキー
4月14日(土)岩波ホールほか全国順次公開、イギリス・オーストラリア、106分、字幕/斎藤敦子、
配給/ムヴィオラ
http://oranges-movie.com/

by Mtonosama | 2012-04-06 06:51 | 映画 | Comments(6)
オレンジと太陽 -1-
Oranges and Sunshine

f0165567_691100.jpg

(C)Sixteen Midlands (Oranges) Limited/See-Saw (Oranges) Pty Ltd/Screen Australia/Screen NSW/South Australian Film Corporation 2010


世界には知らないことばかり。
知らないことは知らないままにしておけばいい、と思うこともありますが、
やはり隠された不都合な真実はあらわになるよう運命づけられているのです。
このことが神や仏のいることの証明になるのか、
人間には良い人も悪い人もいるという証なのか・・・・・

あ、この映画の主題から離れてしまいました。

いや、しかし、とんでもないことが行われていたものです。
それも、ごく最近の1970年代まで。
たかだか40年前までこんなことがイギリスで行われていたとは、知りませんでした。

f0165567_6101837.jpg

http://www.childmigrantstrust.com/

それは児童移民制度。
児童が移民するといっても、親と一緒に外国へ行くというのではなく、
文字通り、子どもだけで異国へ渡り、その地に入植するという制度です。

英国ノッティンガムで社会福祉士として働くマーガレット・ハンフリーズが
その仕事を通じて知り、やがて調査を始めて明らかになった制度、
それが1896年から1970年代にかけて行われていた「児童移民制度」でした。
貧困家庭や親の麻薬依存症、そしてアルコール中毒などを理由に
親から引き離された13万人もの児童や孤児が、
福祉の名のもとにオーストラリアやニュージーランドの施設に送り込まれていました。

この児童移民、その動機はさまざまでしたが、
確かなことは子どもたち自身を最優先としてはいなかったということ。
カナダでは便利で安価な労働力として、オーストラリアでは人口を押し上げる手段として、
旧ローデシアでは白人の経営エリートを保護する方法としてみなされていたそうです。

f0165567_6144860.jpg

「オレンジと太陽」はそうした児童移民制度の事実を告発した実在の社会福祉士マーガレット・ハンフリーズの物語です。彼女が書いた「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」が原作となっています。

さて、このマーガレット・ハンフリーズという女性。
1987年には児童移民トラストを設立し、児童移民の問題に対処しています。
戦後には下は3歳の子どもまでもが、カナダ、ニュージーランド、ジンバブエ(旧ローデシア)、オーストラリアへ、1970年まで送られ続けていた児童移民。
彼らへのカウンセリングや離散家族との再会を含む社会福祉サービスを提供しているのが
児童移民トラスト、オーストラリアとイギリス両国に登録された慈善団体です。

本作では、オレンジと太陽という暖色の優しいイメージからは程遠い衝撃の事実がガツンと描かれています。
監督はイギリスの誇る社会派監督ケン・ローチの息子ジム・ローチ。
「オレンジと太陽」は彼の初監督作品であります。
蛙の子は蛙。息子もまた父と同じく社会派のテーマで長編映画監督デビューを飾りました。
さあ1969年生まれのジム・ローチ、どんな映画を観せてくれるのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。乞うご期待でございますよ。



今日もポチッとお願い申し上げます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

オレンジと太陽
監督/ジム・ローチ、脚本/ロナ・マンロ、原作/「マーガレット・ハンフリーズ著「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」(日本図書刊行会)、撮影/デンソン・ベイカー
出演
エミリー・ワトソン/マーガレット・ハンフリーズ、デイヴィッド・ウェナム/レン、ヒューゴ・ウィーヴィング/ジャック、リチャード・ディレーン/マーヴ、ロレイン・アッシュボーン/ニッキー
4月14日(土)岩波ホールほか全国順次公開、イギリス・オーストラリア、106分、字幕/斎藤敦子、配給/ムヴィオラ、http://oranges-movie.com/

by Mtonosama | 2012-04-03 06:24 | 映画 | Comments(10)