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殿様の試写室

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タグ:ソウル・ディブ監督 ( 2 ) タグの人気記事


フランス組曲
-2-
Suite Française

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Photo: Steffan (C)2014 SUITE DISTRIBUTION LIMITED


原作「フランス組曲」出版当時、
母イレーヌ・ネムロフスキーの形見のトランクをナチスの手から
守り通した長女ドニーズ・エプスタンは
「母を生き返らせることができて、とても感嘆深い。
ナチスが彼女の魂までは殺せなかったと証明しているのだから。
これは復讐ではなく勝利です」
と語りました。

しかし、彼女は映画の制作が始まるわずか1ヶ月前の2013年4月
フランスで息をひきとりました。

さあ、命をかけて書かれ、守られた原作は
どんな映画になっているのでしょう。

ストーリー
1940年6月3日、ドイツ軍の爆撃を受けたパリから人々は続々と逃げ出していく。
フランス中部の町ビュシー。
3年前に父の勧めで結婚したリュシル。
その夫・ガストンは今は戦地だ。

リュシルは姑のアンジェリエ夫人と暮らし、小作料を取り立てて回る日々を送っている。
取り立てからの帰り、田舎道はパリから逃げてきた人達で溢れていた。
そこを爆撃するドイツ軍機。

フランスはドイツの支配下に。

ビュシーのような田舎町にもドイツ軍が駐在し、
リュシルたちも自宅を宿として提供することになった。
彼女の家にやってきたのはブルーノ・フォン・ファルク中尉。
紳士的な中尉は2階のピアノ部屋に滞在する。

中尉が弾くピアノの調べに心和むリュシル。
戦前は作曲家として活躍し、結婚して4年目だというブルーノ中尉。
兵士になってからも4年経っており
「妻は自分のことなど忘れてしまったかもしれない」ともらす。

リュシルがブルーノと庭で会話を交わしたことを見咎めた姑は
「ガストンは捕虜になって収容所に連行された。ドイツ人は敵なのよ」
と彼女にきつく言い渡すのだった。

・・・・・

ブノワの家に宿をとるボネ中尉。
彼はブノワの妻マドレーヌに対する欲望をあからさまに示す。
ブノワに頼まれたリュシルはブルーノにボネを戒めるように依頼。
その後、ワインを飲み、ダンスをするリュシルとブルーノ。
その時、姑が帰宅する。
急いで庭の茂みに身を隠す2人。
「久しぶりに幸せだった」と囁くブルーノ。

町長モンモールの屋敷から食糧を盗み出そうとしたブノワ。
ところが、モンモール夫人にみつかり、
ドイツ兵がブノワの家へ逮捕状を持ってやってくる。
納屋に隠しておいた銃を取りにいったブノワは
そこに現れたボネ中尉ともみ合いになり彼を殺し、バイクで逃亡。

リュシルは逃げ込んできたブノワを地下室に匿う。
迫るドイツ兵。
その時、姑がブノワを安全な隠し部屋に入れた。
ドイツ兵に追われるブノワの姿が息子を彷彿させたのだろう。

ブノワはパリでレジスタン活動をしている仲間たちと合流する決意だ。

ブノワとパリへ同行することになったリュシルは
ブルーノに検問所通過のための通行証を依頼する。

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移動命令の出たブルーノがリュシルの家を出た後、
2階のピアノ室には譜面が残されていた。

それは彼がリュシルのために作曲した曲。
”フランス組曲“だった……

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出征中の夫の留守を守る若いフランス人妻と
入隊前は作曲家だったドイツ将校との切なく、熱情的な恋。

将校にも人妻にもいずれも結婚後わずかな期間を過ごしただけの伴侶がいます。

厳しい姑と共に家を守る若い妻。
そこへ敵国の将校とはいえ、芸術を愛する美しく紳士的な男性がやってくれば
お互いに魅かれるようになるのは時間の問題でしょう。

でも、それは決してあってはならないこと。
禁じられた恋です。

そんな人妻と将校の抑えた恋情が切なすぎます。
そう、『男と女』(‘66、クロード・ルルーシュ監督)、
あるいは『目撃者 刑事ジョン・ブック』(‘85、ピーター・ウィアー監督)の
男女のようなあの切々とした想いです。

抑えた想いの中にこそ、激しい感情は沸々とたぎるもの。
やがて女はレジスタンスとして闘うためにパリに向かいます。

どうしても原作者イレーヌ・ネミロフスキーの生涯がかぶさってしまいます。
占領下、どんな想いで敵国将校との恋情とレジスタンスに身を投じる女を描いたのでしょうか。

その小説が作者の死後60年以上を経て出版され、映画にもなったことは
いかなる運命の巡り合わせでありましょう。

エンドロールに流れるのは娘たちが守り抜いた彼女の生原稿。
その文字は彼女に残された命を刻み込むように小さくびっしりと描かれていました。
物語と現実の不思議な二重構造にめまいにも似た感覚を覚えます。
2016年新春はすばらしい作品で幕を開けました。





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☆2016年1月8日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

フランス組曲
監督/ソウル・ディブ、脚本/ソウル・ディブ、マット・チャーマン、製作/ザヴィエル・マーチャンド、ロマン・ブレモン、マイケル・クーン、アンドレア・コーンウェル、原作/「フランス組曲」イレーヌ・ネムロフスキー著、撮影/エドゥアルド・グラウ、美術/マイケル・カーリン
出演
ミシェル・ウィリアムズ/リュシル・アンジェリエ、クリスティン・スコット・トーマス/アンジェリエ夫人、、アティアス・スーナールツ/ブルーノ・フォン・ファルク中尉、サム・ライリー/ブノワ・ラバリ、ルース・ウィルソン/マドレーヌ・ラバリ、マーゴット・ロビー/セリーヌ・ジョゼフ、ランベール・ウィルソン/モンモール子爵、トム・シリング/クルト・ボネ中尉
2016年1月8日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2014年、イギリス=フランス=ベルギー、107分、カラー、英語・ドイツ語・フランス語、日本語字幕/高内朝子、提供/KADOKAWA、ロング・ライド配給/ロング・ライド
http://francekumikyoku.com/

by Mtonosama | 2016-01-08 06:36 | 映画 | Comments(8)

フランス組曲
-1-
Suite Française

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Photo: Steffan (C)2014 SUITE DISTRIBUTION LIMITED


2016年新春に当試写室で上映するのは
『フランス組曲』でございます。
まさに初春にふさわしく
波乱万丈、優雅で悲しく、
そして、美しい恋物語であり、戦争映画であり、
人はどう生きるかを描いた作品であります。
純粋に感動し、心がふるえる映画らしい映画と断言させていただきましょう。

ただ、原作者の運命を想うと心はふるえるのみでなく、痛くもなります。
そして、本作の背後には人智の及ばない神秘な存在を想像せざるを得ません。
原作はイレーヌ・ネミロフスキー。

イレーヌ・ネミロフスキー
1903年キエフ生まれ。裕福なユダヤ人銀行家の娘。
1918年ロシア革命を逃れ、一家でフランスに移住。
1929年に発表した長編第1作「ダヴィッド・ゴルデル」が映画化。
以後数々の作品を著し、一躍ベストセラー作家に。
作家として絶頂期にあった39年、第二次世界大戦が勃発、翌年フランスはドイツに降伏。
ユダヤ人ゆえ出版活動も禁じられ、夫と幼い2人の娘と共に
ブルゴーニュ地方の田舎町で疎開生活を送る。
1942年7月フランス憲兵隊によって捕えられ、同年アウシュビッツで死去した。
妻の救出を試みた夫も10月に捕えられ、妻と同じ運命を辿る。
2人の娘は逃亡の末、生き延び、母の形見のトランクを守り抜いた。
父と別れる時に託されたそのトランクには
ノートにびっしり綴られた小説の原稿が入っていた。

その原稿こそ本作の原作である「フランス組曲」でした。

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娘たちはそのノートを母の日記であると思いこみ
辛い想い出に目を向けることを避け、
読まないまま永い日々を過ごしました。

それが小説であることに気づいた時には
作者であるイレーヌが亡くなってから60年以上が過ぎ去り、
2004年に出版されると
なんと全世界350万部を超えるベストセラーになりました。

作者は遺されたメモに次のように書いています。
「決して忘れてはならないのは
いつか戦争は終わり
歴史的な箇所のすべてが色褪せるということだ。
1952年の読者も2052年の読者も
同じように引きつけることのできる出来事や争点を
盛り込まないといけない」


これが追跡者の手を逃れ、死を見据えながら
暮らした人の言葉でしょうか。
捕まる直前のメモ書きだったそうです。

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死を目前にしながら
100年後の読者を考える作家の魂に崇高さを感じます。

ナチス・ドイツ占領下で書かれた原稿は2部に分かれ、
本作は第2部に登場するリュシルを中心とするストーリーです。
ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町で、
姑と共に出征した夫を待つ若い妻とドイツ将校との交流が描かれています。

さあ、一体どんな作品なのでしょうか。
2016年をこのように素晴らしい映画の上映で始められるとは
当試写室責任者として極めて誇らしい思いであります。



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フランス組曲
監督/ソウル・ディブ、脚本/ソウル・ディブ、マット・チャーマン、製作/ザヴィエル・マーチャンド、ロマン・ブレモン、マイケル・クーン、アンドレア・コーンウェル、原作/「フランス組曲」イレーヌ・ネムロフスキー著、撮影/エドゥアルド・グラウ、美術/マイケル・カーリン
出演
ミシェル・ウィリアムズ/リュシル・アンジェリエ、クリスティン・スコット・トーマス/アンジェリエ夫人、、アティアス・スーナールツ/ブルーノ・フォン・ファルク中尉、サム・ライリー/ブノワ・ラバリ、ルース・ウィルソン/マドレーヌ・ラバリ、マーゴット・ロビー/セリーヌ・ジョゼフ、ランベール・ウィルソン/モンモール子爵、トム・シリング/クルト・ボネ中尉
2016年1月8日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2014年、イギリス=フランス=ベルギー、107分、カラー、英語・ドイツ語・フランス語、日本語字幕/高内朝子、提供/KADOKAWA、ロング・ライド配給/ロング・ライド
http://francekumikyoku.com/

by Mtonosama | 2016-01-05 06:41 | 映画 | Comments(10)