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殿様の試写室

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タグ:ソフィアの夜明け ( 3 ) タグの人気記事

      2010 BEST 10 OF
   殿様の試写室
 
                        -3-


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                       江ノ電沿いのサボテン

今日は6位と5位の発表です。
ちなみに画像のサボテンと映画とは一切関係はありません。
なら、なぜ載せる?ですよね。
冬枯れの笹藪とミッキーマウスの耳みたいなサボテンが気になってしまって。

っていうか、カメラを持って散歩してるとあれこれ撮りたくなって困ります。

                       6位 北京の自転車
                          十七歳的単車
                          Beijing Bicycle

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                http://mtonosama.exblog.jp/13949277
                http://mtonosama.exblog.jp/13972911/

                中国都会の17歳と地方出身の17歳。
            少年萌えのとのにはそれだけでも大満足の映画ですが、
          中国映画第6世代に属するワン・シャオシュアイ(王小帥)監督、
      発展を続ける北京を舞台に少年たちの心の揺れと微妙な友情を描き出しました。
        現代の中国を描いた近来まれに見る傑作、とまでのめりこんだとのです。

                       5位 ソフィアの夜明け
                          Eastern Plays

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                http://mtonosama.exblog.jp/14593625
                http://mtonosama.exblog.jp/14612960/

      ブルガリアの映画です。映画の製作本数が年間7~8本というブルガリア。
   弱冠35歳のカメン・カレフ監督の作品。そして、バスの外を眺めているこのおにいさんは
    フリスト・フリストフ。「ソフィアの夜明け」が初主演作にして遺作になってしまいました。
    主人公イツォもフリストもドラッグ中毒を抱え、治療に専念し、生き方を模索しています。
               フリストの実人生と一体化した劇映画。
    フリストは撮影終了直前に死んでしまいますが、主人公のイツォは夜明けを迎えます。
          東欧の暗い景色を背景にしながら、観る者に希望を与える作品でした。

                       6位と5位でした。

                            

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by mtonosama | 2010-12-20 06:51 | 映画 | Comments(4)
        ソフィアの夜明け -2-
                EASTERN PLAYS

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撮影終了間際に亡くなった主役のフリスト・フリストフ。
ドラッグ中毒を治すため、きちんと通院もしていたのに。
長年にわたって体内に蓄積した毒が時を待たずに牙を剥いてしまったのでしょうか。

フリストはどういう気持ちで自分を演じていたのでしょう。
自分が死ぬとは思っていなかったはずです。
そして、自分を演じているその当の本人は死んでしまったのに、映画の撮影は続きました。
フリストの死によって、映画は彼の人生そのものになったわけです。
もう彼は映画の中にしかいません。

フリストは死にましたが、「ソフィアの夜明け」が上映され続ける限り、
彼の人生は反復され続けます。
同時にこの映画は、青年時代が抱える葛藤を、
現在の青年たちに、そして、これからやってくる青年たちに示し、
ともに悩み、希望を与えてくれるのだと思います。
そう、永遠の青春映画の主役として、フリストは死んでも強いオーラを発し続けるのです。

奇妙な現実感を与える映画です。
主人公イツォはフリストそのもの。
イツォの恋人ニキを演じるのは、フリストの本当の恋人ニコリナ。
イツォのアパートは、フリストのアパート。
イツォの行きつけの店は、フリストの行きつけの店。
イツォの職場は、フリストの職場。
イツォがドラッグ中毒治療に通うクリニックは、フリストが通うクリニック。
映画の中ではフリストの実人生の多くの場面が撮影されています。

ここに架空の人物が加わることによって、
映画は、ただの事実ではなく、より普遍的な真実へとワープしました。
生きるということ、悩むということ、希望ということへと―――

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新しく加わった架空の人物は、弟ゲオルギとトルコ人女性ウシュル。
この2人の存在が鍵となって、映画はフリスト・フリストフだけのものではなく、
青年たちの抱える普遍的な問題を描くものになっていきます。
さて、どんな映画なのでしょうか。

ストーリー
建築途中なのか、あるいは破壊の途中なのか、荒涼としたソフィアの町外れ。
その地に建つ集合住宅に高校生のゲオルギは両親と住んでいました。
彼は17歳。この年頃の少年にはありがちですが、いつも両親ともめています。
威圧的な父、彼を子ども扱いする母。
彼は歳の離れた兄のイツォともしばらく会っていません。
ゲオルギはスキンヘッドになって町のワルたちとつるみ始めます。

ゲオルギの兄イツォは38歳。職業は木工技師。
ドラッグ中毒のため、治療を受けていましたが、
浴びるようにアルコールをあおる日々を送っていました。
その合間にもアート作品を創り続けるイツォ。
そんなイツォに恋するニキは演劇を専攻する学生。
アーティストであるイツォのいない日々は考えられないほど、
彼女はイツォを愛していました。

ウシュルは20代のトルコ人女性。彼女は両親と共に兄を訪ね、ベルリンに向かう途中です。
イスタンブールからベルリンまで、ブルガリアを横断するロングドライブ。
一行は途中ソフィアで一泊するつもりでした。
しかし、その夜、トルコ人を排斥するネオナチのグループが一家を襲撃。
その中には、ゲオルギもいました。
偶然、現場に来合わせたイツォは一家を守ろうとしましたが、逆に殴られてしまいます。

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ウシュルの父は大けがをして入院。
見舞いに行ったイツォはウシュルと言葉を交わします。
ウシュルは精神的な言葉を口にする女性でした。
「今、世界は揺れ動き、暴走しているわ」
2人をつなぐ言葉はたどたどしい英語でしたが、互いに惹かれるものを感じました。

一方、ゲオルギとイツォも心を通わせます。
「ワルはその髪型だけにしておけ」
そんな言葉に現れる兄の想い。ゲオルギは少しずつ変わり始めました。
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ウシュルの両親は娘とイツォが惹かれあっていることに気付きます。
トルコ人の父は娘が異民族の男とつきあうことを断固として許すことはできません。
傷が癒えた父はベルリン行きをやめて、
ウシュルを連れてイスタンブールに帰っていきました。
イツォはひとり残されます。
が、しかし、そこには今までとは違う力強さと希望を感じさせる彼がいました…

ラストがとても印象的です。
明け始めたソフィアの市街地をひとり歩くイツォの姿に
「明けない夜なんてないんだ」
というシンプルだけれど力強いメッセージを感じ取ることができます。

最近、東欧の映画監督の作品が光っています。
イエジー・スコリモフスキ(ポーランド)、エミール・クストリッツァ(セルビア)、
クリスティアン・ムンジウ(ルーマニア)、そしてカメン・カレフ(ブルガリア)です。
彼らはすべてソ連の衛星圏だった国々に生まれ育っています。
共産主義の下で暮らしていた時代には、
抑え込んでいたり、表に出すことのできなかったテーマや方法論が、
監督たちの深い部分で醗酵し、
今、先鋭的で深みのある作品として発表されているのかもしれませんね。

                           

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ソフィアの夜明け
監督・脚本・プロデューサー・編集/カメン・カレフ、撮影監督/ユリアン・アタナソフ
出演
フリスト・フリストフ/イツォ、オヴァネス・ドゥロシャン/ゲオルギ、サーデット・ウシュル・アクソイ/ウシュル、ニコリナ・ヤンチェヴァ/ニキ、ハティジェ・アスラン/ウシュルの母
10月23日(土)より渋谷シアターイメージフォーラムにて公開後、全国順次公開
2009年、ブルガリア、1時間29分、配給協力/(社)コミュニティシネマセンター
www.eiganokuni.com/sofia

by mtonosama | 2010-09-17 06:07 | 映画 | Comments(4)
      ソフィアの夜明け -1-
               EASTERN PLAYS

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ソフィアにはギリシア語で「智恵」という意味があります。
フィロソフィアは「『智恵』(ソフィア)を『愛する』(フィロ)」で、「哲学」なのだそうです。
高校時代、「君たちの住む愛知県は哲学する県なのだよ」と
倫理社会(今は「倫理」というのだそうですね)の先生が教えてくれました。

といっても、この映画は哲学の映画ではなく、
ブルガリアの首都ソフィアを舞台にしたお話です。

ブルガリアといわれてもヨーグルトくらいしか思い出せませんが、
きっとソフィアに暮らす高校生たちの中にも「ぼくたちは智恵の町に暮らしているんだ」
と誇らしく思う人がいるかもしれません。

あ、すいません。ソフィアにひっぱられて映画から話が離れてしまいました。

「ソフィアの夜明け」は昨年の第22回東京国際映画祭で、
東京サクラグランプリ、最優秀監督賞、最優秀男優賞の三冠を受賞した映画です。

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審査委員長のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(監督「アモーレス・ペロス」「バベル」)は
「コンペ作15本の中で際立っていた。
映画はリアリティではなく、真実性を見せるものだと僕は思っている。
本作ではそれがうまく表現されてたよ」
 と称賛、
イエジー・スコリモフスキ(監督「アンナと過ごした4日間」)http://mtonosama.exblog.jp/11961908
キャロリーヌ・シャンプティエ(撮影監督「ポネット」「七夜待」)http://mtonosama.exblog.jp/9360157/
ユ・ジテ(韓国人男優、監督)
原田美枝子など、多士済済な審査委員をうならせての満場一致での受賞でした。

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映画製作本数が年間7~8本のブルガリアから誕生したカメン・カレフ監督は1975年生まれ。
今年35歳です。
これまで、彼の短編映画はベルリン、ニューヨーク、ロカルノ、ストックホルムなどの
国際映画祭で上映され、賞に輝いています。
60本を超えるコマーシャルと多くのミュージック・クリップを演出していますが、
「ソフィアの夜明け」は彼の長編第1作にあたります。
そんな名もない監督が映画祭を沸かせました。

そして、またこの映画には映画以外のドラマがあります。

フランスの国立映画学校を卒業して、短編映画を数本監督しただけのカメン・カレフは
偶然、町で幼なじみのフリスト・フリストフに出会います。
フリストは1969年生まれで、トリアヴナとソフィアの国立美術学院で
木工を学んだアーティストです。そしてドラッグ中毒を治すため、治療中でした。
彼との会話を通じて、監督は彼の生き方を描いた映画を作ることを決め、
フリスト本人が彼を演じることになりました。
そして、フリスト・フリストフは第22回東京国際映画祭で最優秀男優賞を受賞-----

ですが、その晴れやかな舞台にフリストの姿はありませんでした。
なぜなら撮影の終了間際、彼は不慮の事故で亡くなってしまっていたからです-.
映画製作の陰にはさまざまなドラマがあるものです。
でも、裏のドラマも含めて、映画は観客が観て、感じたものがすべて。
良い映画は必ずいつまでも心にしこりのような感動を残します。

さ、随分もったいぶってしまいましたね。いったい、どんなお話なのでしょうか。
次回に、乞うご期待であります。

                           

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ソフィアの夜明け
監督・脚本・プロデューサー・編集/カメン・カレフ、撮影監督/ユリアン・アタナソフ
出演
フリスト・フリストフ/イツォ、オヴァネス・ドゥロシャン/ゲオルギ、サーデット・ウシュル・アクソイ/ウシュル、ニコリナ・ヤンチェヴァ/ニキ、ハティジェ・アスラン/ウシュルの母
10月23日(土)より渋谷シアターイメージフォーラムにて公開後、全国順次公開、2009年、ブルガリア、1時間29分、配給協力/(社)コミュニティシネマセンター
www.eiganokuni.com/sofia

by mtonosama | 2010-09-14 06:29 | 映画 | Comments(6)