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殿様の試写室

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                ニーチェの馬 -1-
                      The Turin Horse

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映画の紹介などということをしていますと、館内が暗くなり、映画が始まると同時に、
書き出しはこんな風にして、こういう展開でいこう、などと考えるイヤな習性が身についてしまうものです。

タル・ベーラ監督の「ニーチェの馬」。
前作「倫敦から来た男」(‘09)http://mtonosama.exblog.jp/12336364/
で異様なまでに長いテークとスローな展開を見せられたため、
しばらくの間、映画のシーンが頭にこびりついて離れませんでした。
ま、これはある意味、至福ともいえる体験かもしれません。
本作も期待と不安が半々という感じで鑑賞しました。

冒頭、モノクロの画面に登場するのはスマートとは言い難い大きな馬。
冬枯れの景色の中をこの馬が荷馬車をひいてドカドカと走っています。
馬を鞭打ち、走らせるのは無骨な農夫。
雪なのか、砂埃なのか、猛烈な風に吹きまくられて何やら白いものが荒ぶる馬を覆っています。
風に散らされた落葉も飛び交っています。
蹄が未舗装の道を蹴る音と共に、狂ったように吹きすさぶ風の音。
不安感を募らせるような音楽もすごい。何かが起きそうです。
前作とは違ってこれはまた躍動感に満ち溢れていますよ。
しかし、タル・ベーラ監督、やはり、その映画技法に揺るぎはありませんでした。
それも前作よりはるかに揺らぎません。

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 ©Marton Perlaki

実は「ニーチェの馬」は監督として最後の作品となります。
1955年生まれでまだ60歳にもならない監督。
本作でベルリン国際映画祭・銀熊賞(審査員グランプリ)、国際批評家連盟賞をW受賞したにもかかわらず、
「もうカメラに触ることはない」という彼の決意は固いようです。
「これからは若い人に場所を譲る」とも語ったとか。何かに絶望したのでしょうか?

1889年トリノ。ニーチェは、鞭打たれ疲れ果てた馬車馬をみつけ、
泣きながら馬の首を抱きそのまま発狂したといいます。
この逸話を聞いて「果たしてその後、馬はどうなったのか」という疑問から、
生まれたのが本作「ニーチェの馬」です。
タル・ベーラ監督はこの話の映画化に長く執着しており、今回の映画化で念願を果たした、
というのが真相らしいのですが。
う~ん、果たしてそれだけなのか?

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約40年間にわたり映画を撮り続け、カンヌ、ベルリンなど大きな映画祭で受賞してきた監督。
タル・ベーラ監督の7時間半に及ぶ大作「サタンタンゴ」はルーヴル美術館で上映され、
ニューヨーク近代美術館(MOMA)で特集上映を組まれたことは、
3年前当試写室で上映した「倫敦から来た男」でもお伝えしました。

モノクロームではありながら濃厚な黒は、あらゆる色を含んでいるという底深さを感じさせますし、
白はまた光そのものような明るさであります。

やはり、これは芸術です。それもアートというカタカナではなく旧漢字の藝術。
東京藝術大学の藝術です。

タル・ベーラ監督の最後の作品、さてどんなお話なのでしょうか。


                                

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☆2012年1月28日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ニーチェの馬
監督/タル・ベーラ、脚本/タル・ベーラ、クラスナホルカイ・ラースロー、撮影/フレッド・ケルメン、音楽/ヴィーグ・ミハイ
出演
ボーク・エリカ、デルジ・ヤーノシュ
2012年2月11日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
ハンガリー=フランス=スイス=ドイツ、2011年、154分、モノクロ、配給/ビターズ・エンドhttp://bitters.co.jp/uma/

by Mtonosama | 2012-01-28 08:06 | 映画 | Comments(10)