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ディーパンの闘い 
-2-
DHEEPAN

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(C)2015 WHY NOT PRODUCTIONS - PAGE114 - FRANCE 2 CINEMA


発展途上国の紛争は
列強諸国が植民地時代に播いた種が咲かせた禍々しい悪の花。
それにしてもスリランカはあのインド洋津波でも大きな被害を受けていたのに
その内戦を全然知らなかったとはなんと薄情なことでありましょう。

本当に世の中は知らないことで溢れています。

映画は市街戦の様子から始まり、
避難民キャンプを映し出します。
映画を観ながら、なんなの?どうしてなの?と戸惑いました。

当時のスリランカの住民も同様に混乱し、戸惑っていたことでありましょう。
スクリーンからそれらが揺れるように伝播してきました。

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ストーリー
ディーパンはLTTE(タミル・イーラム解放の虎)の兵士として内戦を闘った兵士。
彼は妻と娘を殺され、何もかも失ってしまった。

難民キャンプで一人の女が人を探している。
彼女はそこで身寄りのない少女を見つけ、海外渡航の斡旋事務所へ向かった。
家族を装えば単身よりも移住許可がおりやすいのだ。
斡旋事務所で「家族」になった3人。
女は24歳ヤリニ。「妻」。
少女はイラヤル9歳。「娘」。
・・・
偽家族の3人はフランスへ向かう。
路上で違法の物売りをしながら生活費を稼ぐディーパンに
やっと難民審査の日が来た。
これまで偽装難民を数多く見てきた通訳はディーパンにも冷淡だった。
ところがディーパンが元LTTEの兵士だと知ると態度を一変する。
審査をパスした3人はパリ郊外の古い集合団地に移り住むことになる。
ディーパンは団地の管理人、ヤリニは団地住人ハビブの家政婦、
イラヤルは小学校のフランス語強化クラスに転入。
3人の新しい暮らしが始まった。
だが、イラヤルは登校早々教室を飛び出してきてしまう。
ディーパンは彼女を静かに諭す。
「大人は仕事をする。お前はフランス語を覚える。さもないと強制送還なんだよ・・・」

昼は家族を装い、夜は他人に戻る日々。
黙々と日々の仕事をこなすディーパンにイラヤルは懐いていく。
だが、ヤリニは子育ての経験もなくイラヤルとどう接していいかわからない。

ヤリニは家政婦として働く家でハビブ老人の甥であるブラヒムと出会う。
彼はこの団地の麻薬密売組織のリーダー。
警察によって足にGPSを着けられている程の危険人物だが、
ヤリニの料理を褒め、「困ったことがあれば力になる」と優しい一面も見せる。
やがてヤリニも暮らしに慣れ、ディーパンにも心を許すように。
休日には3人でヒンズー寺院にも通い、
礼拝後は同胞とのピクニックの輪に加わる。

ささやかな幸せ
・・・
だが、思いがけない客がディーパンを訪ねてくる。
パリに潜伏するLTTEの上官だ。
ディーパンに祖国スリランカへの武器調達を命じる上官。
命令を拒むディーパン。
上官に殴打され、帰りついた団地の地下室で独り酔いしれる。
翌日、亡くなった妻と娘の写真を手製の櫃に納め、
新たな家族のために闘いに戻らないことを固く決意するのだった。
だが ……

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パリ郊外の古い団地の住民はほとんどが移民です。
ディーパンたちのようなアジア系の移民もいれば
アラブ系、アフリカ系、東欧諸国からの移民もいます。

貧しく、寒々しい団地の風景に絶望的な荒んだものを感じたのは事実。
しかし、白人の若者たちの自堕落な生活に対し、
まじめにけなげに働くディーパンたち偽家族。
「娘」イラヤルも「両親」のために必死に通訳の役目を果たします。

ああ、このまま小さな幸せの中で生きていくことはできないのでしょうか。

難民というと排除の姿勢を示そうとする人
難民による事件が起きれば「ほら、見たことか」という人
元々そこに暮らす人、後から来た人の間に格差を設ける人

同情や正義感でかたづけることのできない問題ではあります。

本作のラストもハッピーエンドであるかのように見せながら
実は儚げな、かなわぬ夢であるように思わせる監督も答えは出ないのでしょうか。

本当のことをいえば
誰だって住み慣れた土地を棄て見知らぬ地へなど行きたくない筈だと思います。





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ディーパンの闘い
監督/ジャック・オディアール、脚本/ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン、ジャック・オディアール、撮影/エボニーヌ・モモンソ
出演
アントニーターサン・ジェスターサン/ディーパン、カレアスワリ・スリニバサン/ヤリニ、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ/イラヤル、ヴァンサン・ロティエ/ブラヒム、マーク・ジンガ/ユスフ
2016年2月12日(金)TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国公開
2015年、フランス語・タミル語、115分、日本語字幕/丸山垂穂、提供/KADOKAWA、ロングライド、配給/ロングライド、http://www.dheepan-movie.com/

by Mtonosama | 2016-02-10 05:36 | 映画 | Comments(4)

ディーパンの闘い
-1-
DHEEPAN

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(C)2015 WHY NOT PRODUCTIONS - PAGE114 - FRANCE 2 CINEMA


今から130年程前、
新幹線の中でアジア系の外国人から話しかけられたことがあります。
どこの国の人か見当もつかないので
「YOUは何しにニッポンへ?」
と訊ねました。

ウソです。

“Where are you from?”
と訊くと「当ててみろ」と言います。
「スリランカ?」
(なぜかこの島国の形が思い浮かんだので訊いてみました)
そしたら
“They are darker”
とのことで・・・
結局、彼はネパールの人でした。

どうでもいいことを長々とすみません。

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本作のタイトルでもある元兵士のディーパンはスリランカ人です。
なるほどdarkの比較級darkerというのはこういう肌の色をいうのか、
と130年経ってようやくわかりました。
それほどスリランカは縁のない国です。
紅茶の産地としか知りません。

『ディーパンの闘い』は本年度カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した
ジャック・オディアール監督の最新作です。

ジャック・オディアール監督
1952年フランス生まれ。
父ミシェル・オディアールはフィルム・ノアールのジャンルで
数々のヒット作を手掛けたフランス映画界を代表する脚本家。
その息子ジャックはソルボンヌ大学で文学と哲学を専攻。
その後、編集技師として映画に携わるようになる。
ジョルジュ・ロートネル監督『プロフェッショナル』(‘81)
クロード・ミレール監督『死への逃避行』(‘83)
エドゥアール・ニエルマン監督『キリング・タイム』(‘87)などの脚本に参加した後、
ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソヴィッツが共演した
『天使が隣で眠る夜』(‘94)で監督デビュー。
『預言者』(‘09)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞。
本作『ディーパンの闘い』では
コーエン兄弟、グザヴィエ・ドラン等審査員の満場一致で
カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した。

そう、本作はフランス映画です。

なのに、「なぜスリランカ?」といいますと
内戦のスリランカを逃れるため、
赤の他人である女と親を失った少女と一緒に
フランスに入国したスリランカ内戦の元兵士ディーパンの物語だからです。
3人で家族を装ったのであります。

といえば、もっともらしいのですが、
え、内戦?
スリランカの内戦について、とのはこれっぽっちも知りません。

スリランカ人がどんな人達なのかも知らなければ
内戦についても知らない。

???
疑問符だらけでありました。

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シリア難民のヨーロッパ流入が問題になっている今
タイムリーといえばタイムリーであり、
ヨーロッパに暮らす外国人が抱える様々な問題も見えてくる映画です。

でも、スリランカの内戦って?

スリランカ
スリランカはインドの南東、インド洋に浮かぶ人口2000万人余の島国。
その歴史は紀元前まで遡り、
近世から近代にかけてポルトガル、オランダ、英国の植民地だった。
1948年に英国から独立。

スリランカにはシンハラ、タミル、スリランカ系ムーアの3つの民族が暮らす。
本作のディーパンが属しているタミルは人口の2割を占め、
主にヒンズー教を信仰している。

イギリス統治下のスリランカでは
少数民族のタミル系住民を優遇する分割統治政策が行われていたが、
1948年に英国から独立すると
翌年にはそれまでの反動からタミル系住民の選挙権が剥奪された。
その後1956年にはシンハラ語公用化政策をはじめとする
シンハラ優遇政策により民族間の対立が高まる。
1972年、反政府勢力が分離独立を掲げTNT(新しいタミルの党)を成立、
更にLTTE(タミル・イーラム解放の虎)を結成。
(映画の中ではディーパンはこれに所属していました)

1983年、北部で起こった殺人事件が発端となり、全土に暴動が拡大し、内戦に発展。
更に2004年12月26日にスリランカを襲ったインド洋津波で
内戦中の東部、北部沿岸地域も被災。
2006年には東部で政府軍とLTTEとの紛争が激化、13万人もの住民が国内避難民に。
2007年7月LTTE東部最大の砦を政府軍が制圧し、紛争が終結。避難民の帰還開始。
2009年1月、20年以上続いた紛争が終了。

主人公のディーパンはこのLTTEの兵士として闘い、妻も子も内戦で失った人物です。
そして、事実は映画より奇なり。
ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターソンは
なんと
実際に16歳から3年間LTTEの少年兵として闘い、
フランスに移住し、現在は作家として活動する人物です。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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ディーパンの闘い
監督/ジャック・オディアール、脚本/ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン、ジャック・オディアール、撮影/エボニーヌ・モモンソ
出演
アントニーターサン・ジェスターサン/ディーパン、カレアスワリ・スリニバサン/ヤリニ、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ/イラヤル、ヴァンサン・ロティエ/ブラヒム、マーク・ジンガ/ユスフ
2016年2月12日(金)TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国公開
2015年、フランス語・タミル語、115分、日本語字幕/丸山垂穂、提供/KADOKAWA、ロングライド、配給/ロングライド、http://www.dheepan-movie.com/

by Mtonosama | 2016-02-07 06:56 | 映画 | Comments(4)