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         BIUTIFUL  ビューティフル  -2-

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©2009 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONES, S.L. and IKIRU FILMS S.L.

     アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「21グラム」も「バベル」もアメリカが舞台でしたが、
            「BIUTIFUL」はスペイン・バルセロナが舞台。言葉もスペイン語です。

             やはり母国語で演技するハビエルを観ないことには始まりません。
         ま、とのはスペイン語にしても、英語にしても、わかるわけではありませんけどね。

          しかし、バルセロナという街はすごい!ずいぶんいろんな顔を持った街です。
            「それでも恋するバルセロナ」がバルセロナの表の顔だとしたら、
                   「BIUTIFUL」はバルセロナの裏の顔です。

   「BIUTIFUL」にはサグラダ・ファミリアとかグエル公園とかいった観光名所はいっさい登場しません。
          貧しい裏道に出没する移民やあやしげな人々。そして、ストリップ小屋。
                煙草の煙に、アルコールや吐しゃ物のにおい―――

              観光旅行じゃ、絶対に行かないし、見ることもないバルセロナ。
          そして、今、ある意味、どこの都会の片隅でも見られる光景かもしれません。
               しかし、誰も見せようとしないし、覗きこもうともしない世界。
               「BIUTIFUL」はそんな世界で生き、死んでいく男の物語です。

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ストーリー
冬の林の中、男が去っていきます。
見つめるウスバル。

彼には父親の記憶がありません。
幼い頃、父はフランコ政権の圧政を逃れて海外に移り住み、それっきりになってしまいました。
母ともそれから間もなく死別しました。

スペイン・バルセロナ。
まともな仕事にも就けず、不法滞在するアジアやアフリカからの移民たち。
そうした移民たちを搾取しながら生きる人々。
それでも、これが彼らの生活であり、皆、精一杯生きています。

妻と別れ、2人の子どもたちと暮らすウスバルでしたが、
彼もまたそんな生活者のなかの一人。

両親の死後、ウスバルは兄のティトと非合法な世界に生きるようになっていました。
しかし、彼は子どもたちとの時間を心から大切にする良い父親です。
「ねえ、パパ。『美しい』(ビューティフル)のスペルは?」
「発音のままだよ。b i u t i f u l 」

ある日、ウスバルは思いもよらない宣告を受けます。
検査を受けた病院の医師から、末期の前立腺ガンであることを告げられたのです。
余命は2ヶ月でした。

「俺は死なない。子どもたちを残しては死ねない」
死の不安につきまとわれながら、ウスバルは必死に子ども達のために働きます。
薬物依存から更生しようとしている別れた妻マランブラと向き合い、
以前の家族に戻ろうと努めもしました。
母が戻ってきたことを喜ぶ子どもたち。
残されたわずかな時間。少しでも多くのお金を子どもたちに残すことがウスバルの最後の仕事でした。

そんな折、不法労働の中国人労働者達がウスバルの買い与えた安物のストーブから出た一酸化炭素の中毒で全員死んでしまいました。
寒い工場での生活を少しでも暖かく過ごせるようにという好意、
しかし、子どもたちにお金を残してやりたいという切実な願い、
2つの思いの狭間で起きた悲劇でした……


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                           嗚呼、そして感動のラスト。
   イニャリトゥ監督の作品のラストにはいつも胸がしめつけられるようなしみじみとしたシーンがあります。
           今回も期待通りでした。いえ、期待をはるかに超えていたかもしれません。

             いつも、というなら、彼の作品にはいつもいろんな登場人物がいて、
                  いつもそれぞれの人にそれぞれのドラマがあります。
                 そうです、そうです。芥川龍之介の「藪の中」みたいに。
                ところが、今回は最初から最後まで一貫してウスバルが登場。
                     ウスバルのドラマが映画の中心を貫いています。

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                               監督自身も
  「登場人物の心理描写に焦点を当てた直線的な物語という、私がこれまでに作ったことがない映画になった
      と語っています。(あ、あと黒沢明監督の「生きる」にオマージュを捧げたとも語っています)

             しかし、今回もやはりいつも通り、愛すべきさまざまな人物が登場します。
      彼らの表だったドラマこそありませんが、中国人労働者が、あるいは、アフリカからの難民が
            背後に抱えたドラマも、じわりとそれこそ背後霊のように浮かび上がります。

                        イニャリトゥ監督おそるべし。鬼才です。
                そして、もちろん、ハビエル・バルデム。彼の名は後世に残ります。
                            ちょっと熱くなり過ぎかナ?

                                   
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BIUTIFUL ビューティフル
監督/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、脚本/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アルマンド・ボー、ニコラス・ヒアコポーネ、自叙伝/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、プロデューサー/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ジョン・キリク、フェルナンド・ボバイラ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
ハビエル・バルデム/ウスバル、マリセル・アルバレス/マラムブラ、エドゥアルド・フェルナンデス/ティト、ディアリアトゥ・ダフ/イへ、チェイク・ナディアイエ/エクウェメ、チェン・ツアイシェン/ハイ、ルオ・チン/リウェイ、ハナ・ボウチャイブ/アナ、ギレルモ・エストレラ/マテオ
6月25日(土)より、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
スペイン・メキシコ合作、スペイン語、148分、ビスタサイズ/PG-12
配給/ファントム・フィルム
http://biutiful.jp/

by mtonosama | 2011-05-29 06:38 | 映画 | Comments(7)
          BIUTIFUL  ビューティフル -1-

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©2009 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONES, S.L. and IKIRU FILMS S.L.

               あれっ?「ビューティフル」のスペルってこうでしたっけ?
                     もちろん、正しくはbeautifulですよね。

           なんでまた間違ったスペルが堂々とオリジナルタイトルになっているか、
そして、いつも意訳に満ちた邦字タイトルを考える方々がなぜ原題BIUTIFULをそのまま邦題にしたか―――

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       ま、これは映画を観ている内に「あ、なるほど」と案外早い段階でストンと納得できます。
      そうでないと、まじめな我ら日本の映画ファンはずっと、ここにひっかかってしまいますから。

                            て、そうじゃなく、

                       実は、この “biutiful”をめぐるやりとり、
               ハビエル・バルデムが演じる主人公ウスバルの父親としての側面を
                   ほのぼのと垣間見せるシーンともなっているんですよね。

                           ハビエル・バルデム
              当試写室ではおなじみの俳優ですが、観る度に彼の存在感には圧倒されます。
           「演技力がすばらしい!」などと軽々しく、ありふれた言葉では表現しきれない俳優です。

                     演技ということが、ある人物を表すことだとしたら、
             いったい、ハビエル・バルデムの中には何人の人間が隠れているのでしょうか。
                  あるいは、演じるべき人間が彼に憑依してしまうのでしょうか。
                            ハビエル・バルデム。
                   ある種、シャーマンのような人間か、とも思ってしまいます。

                            ハビエル・バルデムには、
スペイン人として初のアカデミー賞を受賞した「ノーカントリー」(‘08)の殺人鬼役で散々怖がらせてもらいました。
               だから、彼の出る映画はちょっと警戒するようになっていたとのです。

                「宮廷画家ゴヤは見た」http://mtonosama.exblog.jp/8956592
                「コレラの時代の愛」http://mtonosama.exblog.jp/8720721
                「それでも恋するバルセロナ」http://mtonosama.exblog.jp/11353830

              しかし、観るたびに彼の凄さには仰天させられ、好きになっていきます。
                     怖い、怖いも好きの内です。あれ?違ったか。

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                 「BIUTIFUL」は、怪優…、いや名優、ハビエル・バルデムが、
    長年、一緒に仕事をすることを熱望していたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督のもとで、
                        ようやく演ずることができた映画。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ――ああ、言いにくい――は
長編デビュー作「アモーレス・ペロス」(‘99)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた他、
60以上の賞を受賞した監督です。
デビュー作でありながら、この年、最も多く賞をとるという快挙をなしとげた人物。
1963年メキシコ生まれの48歳です。
その後、原案・監督・製作を担当した「21グラム」(‘03)では主演のショーン・ペンが
ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞。
この作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたベニチオ・デル・トロも印象的でしたね。
さらに、役所広司、菊池凛子が出演して話題を呼んだ「バベル」(‘06)では
第59回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。話題作続出の監督です。
「BIUTIFUL」は監督自身「父に捧げる作品」と語るように、
監督にとっても思い入れの深い作品となっています。


                      そして、ハビエル・バルデムの迫真の演技――

                    これは見逃せませんよ。さあ、どんなお話でしょうか。
                            乞うご期待であります。

                                   

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BIUTIFUL ビューティフル
監督/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、脚本/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アルマンド・ボー、ニコラス・ヒアコポーネ、自叙伝/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、プロデューサー/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ジョン・キリク、フェルナンド・ボバイラ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
ハビエル・バルデム/ウスバル、マリセル・アルバレス/マラムブラ、エドゥアルド・フェルナンデス/ティト、ディアリアトゥ・ダフ/イへ、チェイク・ナディアイエ/エクウェメ、チェン・ツアイシェン/ハイ、ルオ・チン/リウェイ、ハナ・ボウチャイブ/アナ、ギレルモ・エストレラ/マテオ
6月25日(土)より、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
スペイン・メキシコ合作、スペイン語、148分、ビスタサイズ/PG-12
配給/ファントム・フィルム
http://biutiful.jp/

by mtonosama | 2011-05-26 05:55 | 映画 | Comments(8)