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ファウスト -2-
Faust

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(C) 2011 Proline-Film,Stiftung fur Film-und Medienforderung, St.Petersburg,Filmforderung, Russland Alle Rechte sind geschutzt

さて、ソクーロフ監督が見せてくれる「ファウスト」。
オープニングは密教曼荼羅図を想わせるような山々の俯瞰映像。
思わず息を呑むシーンです。
これを観て、もしかして自分はとてつもなく壮大な作品に関わろうとしているのだと
襟を正す気分になったことを告白したいと思います。

これまでも数多くの芸術家をとりこにしてきた「ファウスト」ですから、
ソクーロフ監督としても半端なことはできません。

ソクーロフ的解釈もなかなかです。
だから、あの有名なメフィストフェレスだって出てきません。
代わりに出てきたのが高利貸マウリツィウス。
監督によれば、メフィストフェレスはスピリチュアルな存在であるべき、というのです。

映画では、神秘的でロマンティックなキャラクターを作りたくなかったということで、
高利貸マウリツィウスが登場しました。
なるほど、高利貸ならロマンティックではありません。
それどころか、きわめてシンプルでわかりやすい悪キャラです。

ゲーテは「ファウスト」を劇として書き、
実際に、自分で舞台装置のための下絵まで描いていたそうです。
なるほど、ヴィジュアル展開を予想した作品だったわけですね。
映像美の名手ソクーロフが監督した「ファウスト」。
いったいどのような展開でありましょうか。


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ストーリー
森に囲まれたドイツの小さな街。
ファウスト博士は一体の屍を解剖して《魂》の存在を探しています。
「人体のどこにも《魂》をみつけることができない」と嘆くファウストに
助手のワーグナーは「魂の正体を知っているのは神と悪魔だけです」とつぶやきました。
「神など存在しない」と怒るファウストに
「悪魔なら金のあるところにいます。広場の近くに住んでいる男が悪魔と噂されています」
と告げる助手。

研究費もなくなり、まともな食事にもありつけないファウスト博士は
診療所で医師として働く父を訪ねますが、すげなく追い返されてしまいます。
町をさまよい歩くファウストの足はいつしか悪魔と噂される高利貸の家へ。
マウリツィウス・ミュラーと名乗るその高利貸の家には、神父までもが出入りしています。
室内にうず高く積まれた担保物件。
指輪を担保に金を借りようとしたファウストに、マウリツィウスは
「価値を持つのは、時と芸術。金はお貸しできませんが、別の形でならお力になりましょう」と提案。
借金を断られたと思ったファウストは高利貸の家から憤然と立ち去ります。

ファウストが帰宅すると、助手のワーグナーが毒の小瓶を持って近づいてきました。
実は、ファウストは毒を入手するよう彼に命じていたのです。
そこへ現れたマウリツィウス。
彼はその毒を、あっという間に飲み干してしまいました。
平然としているマウリツィウス!
その力に興味を持ったファウストはマウリツィウスに誘われるまま、再び町へ出かけます。

彼らがやってきたのは女たちが集まる洗濯場。
その中にファウストは清楚な若い女性マルガレーテをみつけ、心を奪われます。

次に彼が連れていかれたのは地下酒場。
そこでは兵士たちが陽気に飲んで歌っていました。
マウリツィウスは兵士の1人にわざと酒をかけて騒ぎを起こします。
大騒動の中でファウストは誤ってその兵士を刺し殺してしまいました。

酒場から逃げ出したファウスト。
罪の意識に苛まれ、死んだ兵士の家族に償いをしたいと
マウリツィウスに頼んだ時にわかったのは驚くべき事実でした。
ファウストが殺した兵士は洗濯場の美女マルガレーテの兄だったのです。

葬儀の日、ファウストはマルガレーテを慰めながら、清らかで純真な彼女と語らいます。
充実したひとときを過ごす二人の前に現れたマルガレーテの母。
彼女は、見知らぬ男と二人きりでいるマルガレーテを激しく叱責します。
暗い気持ちを抱えてマルガレーテは教会へ。
母への想いを懺悔するマルガレーテの前へファウストがやってきます。
ファウストの優しい言葉に心を開くマルガレーテ。

恋の予感に心躍らせ、帰宅したマルガレーテを待っていたのは
兄を殺したのはファウストであるという驚くべき事実でした……

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ゲーテの原作では「ファウスト・悲劇」と題されたこの戯曲。
プロローグ、第1部、第2部に及ぶ膨大な量の作品ですが、
それを2時間20分の映画にまとめあげるだけでも大変な作業でありましたでしょう。

天才ゲーテが死の間際まで60年近くもかけて完成させた「ファウスト」。
20代で書き始めたものを83歳までひきずり続ける、いえ、こだわり続ける、
いえ、推敲し続ける――
どう表現すべきか、150歳と歳は経ていても天才とは程遠いとのにはわかりません。

ゲーテの抱き続けた執念というか、情熱というか、生きることそのものというか、
すごすぎます。

これを映画化するとき、なにを前面に出すか、といったら、
思想でも、文学性でもなく、映像そのものでしょう。

ラストの圧倒的な映像とともに、
マウリツィウスの鼻をあかしたファウストのあがきに感銘を覚えたとのであります。

この映画、観るときの気持ちに応じていろいろな色合いを見せてくれるような気がします。





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ファウスト
監督・脚本/アレクサンドル・ソクーロフ、台本/ユーリー・アラボフ、共同脚本/マリーナ・コレノワ、撮影/ブリュノ・デルボネル、美術/エレーナ・ジューコワ、製作・音楽/アンドレイ・シグレ
出演
ヨハネス・ツァイラー/ハインリヒ・ファウスト、アントン・アダシンスキー/マウリツィウス・ミュラー(高利貸)、イゾルダ・ディシャウク/マルガレーテ、ゲオルク・フリードリヒ/ワーグナー、ハンナ・シグラ/高利貸の妻、アンチェ・レーヴァルト/マルガレーテの母、フロリアン・ブリュックナー/バレンティン、シグルズール・スクラソン/ファウストの父
6月2日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2011年、ロシア、ドイツ語、140分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/セテラ・インターナショナル、http://www.cetera.co.jp/faust/

by Mtonosama | 2012-06-06 06:18 | 映画 | Comments(6)
ファウスト -1-
Faust

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(C) 2011 Proline-Film,Stiftung fur Film-und Medienforderung, St.Petersburg,Filmforderung, Russland Alle Rechte sind geschutzt

「ファウスト」といえば誰でも知っています。
誰が書いたかも皆さまよくご存知ですよね。
でも、実際にゲーテのこの名作を読んだことのある方というとどれだけいらっしゃるでしょう?
あ、既にお読みになっていらっしゃる方はごめんなさい。

かつてドイツに実在したといわれる魔術師ファウストの伝説をもとに、
ゲーテが20代半ばから死の直前まで60年近くの年月をかけて完成させた「ファウスト」。
これまでに映画化された本数は両手の指では足りず、演劇や音楽に名を残し、
手塚治虫の漫画にもなっている超有名作品です。
だから、本当は読んでいないかもしれないのに、知ってるつもりになっている方も
相当な数にのぼるのではないでしょうか。
とのも読んだような気もするし、そうでないような気もするし、
150歳の今となっては定かとは申せません。


ファウスト
15世紀から16世紀頃のドイツに実在したと言われるドクトル・ファウストゥスの伝説を下敷きにして、ゲーテがほぼその一生をかけて完成した大作である。このファウスト博士は、錬金術や占星術を使う黒魔術師であるという噂に包まれ、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたという奇怪な伝説、風聞がささやかれていた。ゲーテは子供の頃、旅回り一座の人形劇「ファウスト博士」を観たといい、若い頃からこの伝承に並々ならぬ興味を抱いていた。こうした様々なファウスト伝説に取材し、彼を主人公とする長大な戯曲を仕立て上げた。(Wikipediaより)


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登場人物はファウストとメフィストフェレスと聖少女グレートヒェン。
悪魔メフィストフェレスと契約して魂を売り渡す代わりに、
あらゆる快楽を手に入れた「ファウスト伝説」は中世以来ヨーロッパ中に伝わっています。
幼いゲーテは人形劇で観て興奮し、おねしょを漏らしたかもしれませんね。

実際に、悪魔と契約を交わしたかどうかはともかく「魔術師ファウスト博士」は実在した人物。
古文書には「かつてあったなかで最も完璧な錬金術師」と書かれているそうです。
ゲーテならずとも魔術師とか錬金術師と悪魔との取引などと聞けば、
怖いものみたさやら、人間の底知れぬ欲望の深さやらで、なんとも気になります。

シューマンが「ゲーテのファウストからの情景」を作曲したのも、
リストが「ファウスト交響曲」を作ったのも、
トーマス・マンが長編小説「ファウスト博士」を書いたのも、
なんとなくわかるような気がします。

悪魔との取引はおそらく良いことではないのでしょうが、
その取引によって自らの才能を開花させ、社会に名をなし、素晴らしい結婚をし、可愛くて優秀な子どもを持ち、大金持ちになり、
そして、そして――
健康な体を持ち、行きたいときに旅行へ行き、美味しいものを食べ、
それでも、体型を維持できて――
う~ん、段々、願いが卑俗になってきたな。

大した願いではないにしても、これが全部かなった後の反動もちょっと怖い。
うまいこと悪魔の鼻をあかせればいいのだけど。
と、まあ、結構悩ましい訳であります。

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さて、この名作を今回映画化したのは「ボヴァリー夫人」(‘89)
http://mtonosama.exblog.jp/11831877/
「太陽」(‘05)
「チェチェンへ アレクサンドラの旅」(‘07)
http://mtonosama.exblog.jp/9958217/
のアレクサンドル・ソクーロフ監督。
ソ連崩壊までは、その作品が一般公開されることのなかった監督ですが、
1987年以降は、コンスタントに新作を発表。
世界でも高い評価を受けています。
本作「ファウスト」では、第68回ヴェネチア国際映画祭のグランプリを受賞しました。

「太陽」でも、「ボヴァリー夫人」でも、その映像と解釈にはビックリしましたが、
今回はいったいどんな作品を見せてくれるのでしょうか。

乞うご期待でございます。



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☆6月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ファウスト
監督・脚本/アレクサンドル・ソクーロフ、台本/ユーリー・アラボフ、共同脚本/マリーナ・コレノワ、撮影/ブリュノ・デルボネル、美術/エレーナ・ジューコワ、製作・音楽/アンドレイ・シグレ
出演
ヨハネス・ツァイラー/ハインリヒ・ファウスト、アントン・アダシンスキー/マウリツィウス・ミュラー(高利貸)、イゾルダ・ディシャウク/マルガレーテ、ゲオルク・フリードリヒ/ワーグナー、ハンナ・シグラ/高利貸の妻、アンチェ・レーヴァルト/マルガレーテの母、フロリアン・ブリュックナー/バレンティン、シグルズール・スクラソン/ファウストの父
6月2日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2011年、ロシア、ドイツ語、140分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/セテラ・インターナショナル、http://www.cetera.co.jp/faust/

by Mtonosama | 2012-06-03 06:18 | 映画 | Comments(4)