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殿様の試写室

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タグ:プンサンケ ( 2 ) タグの人気記事

プンサンケ -2-
豊山犬
Poongsan

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©2011 Kim Ki-duk Film.All Rights Reserved.

鬼才キム・ギドクが3年の沈黙を破り、ついに映画の世界に戻ってきました。
今回は脚本・製作総指揮を担当、監督は期待の若手チョン・ジェホンです。
拳を握りしめ、息を呑む121分でした。
こういう映画があるから、韓国映画はたまりません。

一言もせりふのない主演俳優ユン・ゲサン、
さらにオダギリジョーが北朝鮮軍兵士としてカメオ出演していることにも注目です。
わずか10秒ほどの出演ですけど。(とのはわかりませんでした)

北と南を描いた作品はこれまでにも多くありましたが、
どちらか一方が悪いという描き方はされていません。
皆いつの日かの南北統一を願っているからなのでしょう。

さて、いったいどんなお話なのでしょうか。


ストーリー
38度線を軽々と飛び越えてソウルとピョンヤンを往復し、3時間以内になんでも届ける男がいる。
名前も携帯電話も持たないこの男と連絡する唯一の方法は、
北に臨む国境の地「帰らざる橋」にメッセージを残すこと。

帰らざる橋は、朝鮮半島中部・板門店の共同警備区域西端に位置する橋。軍事境界線となっている沙川江に架かっている。本来の名は沙川橋(サチョンギョ、사천교)。1953年の朝鮮戦争停戦後の捕虜交換がこの橋で行われた。捕虜たちがこの橋の上で南北いずれかの方向を選択すると二度と帰って来ることができないことから「帰らざる橋」と呼ばれるようになった。以来、南北分断の象徴となっている。北朝鮮側に村があり、国連側の警備所の近くにはポプラ事件の現場がある。また、2000年に公開された韓国映画『JSA』の舞台となった。
(Wikipediaより)


f0165567_6171310.jpg彼が運ぶものは、故郷に帰ることが許されない離散家族の手紙やビデオメッセージ。
時には幼い子どももいる。

プンサンケ――北朝鮮製のタバコ・豊山犬(プンサンケ)を吸う男は、そう呼ばれている。

その日、プンサンケはある依頼を受けた。
それは韓国に亡命した北朝鮮の機密を握る元高官の恋人イノクをソウルに連れてきてほしい、
というもの。いつものように軽々と北朝鮮へ潜入した彼はイノクを連れ出し38度線へ戻る。
真冬の寒気に耐え、プンサンケとイノクは裸で川を渡り、体に泥を塗りつけ、闇の中に身を隠す。
韓国へ戻る前に何度も命の危険にさらされながら、
2人はいつしかかすかな想いを互いに抱くようになっていた。

イノクを無事引き渡したプンサンケだったが、依頼者であり実は韓国情報員であった人物たちによって拘束されてしまう。
隙をついて逃亡するプンサンケ。
彼はイノクと元高官を連れ出し、彼らと引き換えに約束の報酬を受け取ろうとする。
だが、元高官はプンサンケとイノクの間に流れるただならぬ雰囲気を察知し、嫉妬をむきだしに。
そんな元高官の手によって再び韓国情報員に拘束されたプンサンケは残酷な拷問にかけられる。

いかなる拷問を受けながらも一言も言葉を発しないプンサンケに韓国情報員はある提案をする。
それは北朝鮮に捕えられた情報員を救い出すことだった。
プンサンケはその提案を吞み、情報員の救出に成功。
しかし、またもや卑劣な韓国情報員の手によって拘束されるところを、
救出した情報員の機転と手助けによって脱出する。

イノクの様子を遠くから見守るプンサンケ。
そこへ介入してきたのが、亡命した元高官を暗殺するためソウルに潜入していた北朝鮮の工作員。
彼らはプンサンケを捕え、さらにはイノクを人質にして、元高官の暗殺をプンサンケに要求……

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プンサンケによって密室に閉じ込められた南北の工作員たち。
1人、1人、密室に閉じ込められる韓国と北朝鮮のスパイの比率が1:1から1:2となる。
次には均衡が崩れ、更に再び同数になる―― 
その度に繰り返される両者の愛国主義や国家への忠誠。
息詰まるシーンでありながら、知らない内に鼻で笑っている自分がいます。
南北のスパイたちが大仰に繰り返す国家への忠誠心。それが妙に笑いを誘うものになっています。
こんなもののために家族が分断され、引き裂かれたまま、何十年と会うこともなく死んでいくのか、
というかなりブラックで皮肉な笑いですけど。

そんな密室劇の後、訪れる思いもよらないラスト。
一言も話さないプンサンケが声を発するとき、何かが起こります。
最初から最後まで気をそらさない本作。
キム・ギドクの復帰と若手監督の誕生に心からの拍手を送りたいと思います。





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☆8月17日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

プンサンケ
製作総指揮/キム・ギドク、豊山犬スタッフ、製作/チョン・ユンチャン、脚本/キム・ギドク、監督/チョン・ジェホン、撮影/イ・ジョンイン、美術/イ・ジョンゴン
出演
ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス
8月18日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、銀座シネパトス他全国順次公開
2011年、韓国、121分、カラー、提供/マグザム、パルコ、太秦、アジア映画社、配給/太秦
http://www.u-picc.com/poongsan/

by Mtonosama | 2012-08-17 06:45 | 映画 | Comments(6)
プンサンケ -1-
豊山犬
Poongsan

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©2011 Kim Ki-duk Film.All Rights Reserved.

南と北の休戦ラインを厳然と区切る鉄条網のフェンス。
そこには高圧電流が流れ、越えようとする人間を容赦なく痛めつける。
それを軽々と乗り越え、ソウルとピョンヤンを3時間で往復する男――

ある時は北と南に生き別れた家族の最期のビデオレターを携え、
また、ある時は幼い子どもを連れて、半島の冬枯れた光景を背景にひた走る。

人はその男を、彼が吸うタバコから「プンサンケ」と呼ぶ。
国籍もわからず、言葉も名前もない謎の運び屋。プンサンケ。

息を呑む展開と、眼をみはるアクション。
切ない純愛のゆくえ。
そして、北と南の諜報部員たちの暗躍。

さあ、韓国映画がまたまた傑作を送り出しました。

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製作総指揮を担当し、脚本を書いたのは鬼才キム・ギドク。
今年3月、当試写室でも上映しましたが、
脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術・出演と1人9役を果たした「アリラン」のキム・ギドクです。
http://mtonosama.exblog.jp/17268231/ http://mtonosama.exblog.jp/17280223/

撮影中に起きた事故のために映画から遠ざかって
山ごもりをしていた時の様子を撮った1人ドキュメンタリーでした。
この「プンサンケ」を観て、「アリラン」で垣間見せていた謎めいたシーンの意味がよくわかりました。
やはり、彼は映画を捨てることはできなかったんですね。

といっても本作の監督はチョン・ジェホン。キム・ギドクではありません。
彼はマッチョなキム・ギドクとは違い、文化系の生い立ちであります。
韓国美術界の巨匠キム・フンスを祖父に持ち、幼い頃には絵を、高校では声楽を専攻したオペラ歌手。
本作中、プンサンケが秘密の隠れ家で休む場面に流れるロベルト・シューマンの歌曲「睡蓮の花」。
これはなんとジェホン監督の歌声です。

そんな彼がなぜ映画監督になったのかといいますと、キム・ギドクの作品にショックを受けたため。
彼のいるカンヌへ、アポなし突入。
(思いっきりのいいことをしますね)。
それ以来ギドク作品「絶対の愛」(‘06)、「プレス」(‘07)の助監督を務め、
2008年には長編デビュー作となった「ビューティフル」が第58回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門、
第10回ドーヴィル・アジア映画祭オフィシャルコンペティション部門に正式招請され、
第22回福岡アジア映画祭では最優秀作品賞を受賞しました。期待の若手監督です。

本作も北と南の問題を描いた作品ですが、
チョン・ジェホン監督が海外留学した折に体験した「分断」の現実が他国人である観客にも重く伝わってきます。

監督の体験ですか?
はい、留学先で北朝鮮の留学生と会いながら、
お互いに警戒しあって言葉を交わすことができなかったというものです。

監督は、南北朝鮮が今も直面する現実をまだ30代の監督の視点で描きだしたいと語ります。
その根底にあるのは統一への想いなのでしょうか。

南の抱える矛盾、北の諸問題。
双方の持つ問題点をえぐり出しながら、アクション映画としても相当興奮できる映画に仕上がっています。

韓国の高倉健さんといった風貌のユン・ゲサン。すばらしかったです。
さあ、どんなお話なのでしょう。

続きは次回までお待ちください。乞うご期待でございます。
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プンサンケ
製作総指揮/キム・ギドク、豊山犬スタッフ、製作/チョン・ユンチャン、脚本/キム・ギドク、監督/チョン・ジェホン、撮影/イ・ジョンイン、美術/イ・ジョンゴン
出演
ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス
8月18日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、銀座シネパトス他全国順次公開
2011年、韓国、121分、カラー、提供/マグザム、パルコ、太秦、アジア映画社、配給/太秦
http://www.u-picc.com/poongsan/

by Mtonosama | 2012-08-14 06:57 | 映画 | Comments(6)