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殿様の試写室

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ぼくらの家路
-2-
Jack

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(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH


日本の子どもたちも、ドイツの子どもたちも、
みんな必死に生きています。

前回、誰も悪い大人は出てこない、と書きました。
そうなんです。
20歳になるかならずかで子どもを持ったシングルマザーのザナ。
彼女は自分が遊びたい盛り。
息子たちを家に残し、夜な夜な遊びにでかけます。
子どもたちを連れて公園へ遊びにいっても
彼女は友人たちと避妊の話で盛り上がり、挙句、そのまま飲みに出かけ、
子どもたちだけを家に帰らせます。

え、母親が悪いだろうって?

そうなんですよね。

自分の遊びや恋人作りに一生懸命で
口答えもせず、ママを助けて家のことをするジャックに
小さな弟の世話もおしつけているんですから、
彼女のやっていることは立派な育児放棄です。

でもね、彼女、子どもたちを怒鳴りつけたり、叩いたりは決してしないし、
福祉局の役人の冷たい対応には息子をかばって断固言い返したりもします。

だから、ジャックはママが大好きで、家事だって喜んでやっています。

だから、この映画を観る前には決して母や大人が悪いと決めつけないで
ただ、ジャックの働きと行動と決断を注視してほしいのです。
10歳にして大人の階段を上るジャックの目で。

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ストーリー
ベルリン。朝。
10歳のジャックは今朝も6歳の弟マヌエルに朝食を作って食べさせ、
物干しロープからTシャツを外し、身につけるやもう学校に行く時間。
シングルマザーのザナは子育てより恋人や夜遊びを優先しているので
ジャックが代わりに家事と弟の世話を引き受けていた。

だが、ある日、事件が起こった。
ジャックはお湯の温度を調節し忘れてしまい、
マヌエルが火傷を負ってしまったのだ。
その結果、ジャックは養護施設に預けられることになってしまう。

そこでは乱暴な上級生に目をつけられ、何かと苛められるジャック。
友だちもできないまま、待ち望むのはママが迎えに来てくれる夏休み。
ところが、ママは「仕事が入ったので迎えは3日遅れるわ」と電話してきた。

がっかりしたジャックは同室のマークの双眼鏡を持って
施設の裏にある森へ出かける。
ジャックと同じく居残り組のいじめっ子の上級生が
その双眼鏡を川に投げ込んだ時、思わず太い枝で彼を殴り倒してしまった。

その場を逃げ出したジャック。
彼は施設へは戻らず、家へ帰ることにした。

ひたすら歩き続けるジャック。
なけなしの金でケバブを食べ、その店から母の留守電メッセージに
「今から帰るよ」と吹きこんだ。
長い間歩き続け、ようやく辿りついたアパートの階段を勇んで駆け上がる。
だが、ママはいない。
いつもの鍵の隠し場所を探しても鍵はみつからない。

ジャックはママに伝言メモを残し、マヌエルの預け先に向う。
「ママを探そう」と決めた兄弟はママのバイト先や妖しいナイトクラブ、
ベルリン中、ママのいそうな場所を探しまわる。

でも、ママはどこにもいない。
疲れ果てた2人は地下駐車場の廃車の中で夜を明かすのだった……

ジャックが心細い思いを封印し、小さなマヌエルの手をひき、
靴ひもを結んであげながらベルリン中を歩き回ります。
大人たちは彼らを邪険に扱ったりはしないけれど、
だからといって何かをしてくれるわけではありません。

すべて10歳のジャックが自ら決断し、
どうすべきかを決定します。

心の成長痛という言葉があります。
本作は確かに痛みを感じさせる映画です。
でも、それはジャックが一足早く、そして、確実にママより大人になっていく――
その時に感じる心の成長痛なのかもしれません。





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☆9月16日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ぼくらの家路
監督/エドワード・ベルガー、脚本/エドワード・ベルガー、ネル・ミューラー=ストフェン、プロデューサー/ヤン・クルーガー、レネ・ローマート、撮影/イェンス・ハーラント
出演
イヴォ・ピッツカー/ジャック、ゲオルグ・アームズ/マヌエル、ルイーズ・ヘイヤー/ザナ、ネル・ミュラー=ストフェン/ベッキ、ヴィセント・レデツキ/ヨナス、ヤコブ・マッチェンツ/フィリップ
9月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2013年、ドイツ、103分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/ショーゲート、後援/ドイツ連邦共和国大使館、http://bokuranoieji.com/

by Mtonosama | 2015-09-16 05:41 | 映画 | Comments(4)