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殿様の試写室

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タグ:マリー・アントワネットに別れを告げて ( 1 ) タグの人気記事

マリー・アントワネットに
別れを告げて
 -2-
Les adieux à la reine

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© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE ©Carole Bethuel

「パンがないのだったら、お菓子を食べたらいいじゃない」
マリー・アントワネット王妃を語るとき、よくひきあいに出される言葉ですが、
本作に登場する王妃さまはそこまでイノセントな女性には見えませんでした。
王妃を演じたダイアン・クルーガーのクールな面立ちのせいかもしれませんが。

原作の「王妃に別れを告げて」は王妃の朗読係の女性“アガート=シドニー・ラボルド”が
ウイーンに亡命した後、ヴェルサイユで過ごした日々をふりかえる、という形式で書かれています。

朗読係と聞いて連想するのは「愛を読む人」(‘08)。
http://mtonosama.exblog.jp/11082498/
これは15歳のマイケルが21歳年上のハンナと恋に落ち、
彼女のために本を朗読するという切なく美しく且また驚くような恋のお話でした。
なぜ、本を朗読してあげるのかというとハンナは字を読めなかったからなのですが・・・・・

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でも、マリー・アントワネットは字を読めないわけではありません。
ここでの朗読係は、王妃さまのご気分に合わせた物語や詩、
あるいはファッションについての書き物を読んでさしあげる――
ま、なんというか人間ラジオのようなお役目です。
とはいえ、王妃の最もおそばに侍ることのできる栄えあるお仕事。
まして、この身寄りのない少女は、王妃さまのお気に入りなのですから、
お役目を越えた気持をいだくのも詮無いことであります。

しかし、時はバスティーユ襲撃の真っただ中、ヴェルサイユ宮殿の内部は上へ下への大騒ぎ。
少女の気持も美しいままではいられません。
さあ、一体どんなお話でしょうか。


ストーリー
1789年7月14日
バスティーユが襲撃されたその日、
ヴェルサイユではいつもと変わらぬ華やかな一日が始まろうとしている。
だが、不安の内に目覚めた王妃は、お気に入りの朗読係シドニーを呼びつけ、本の朗読を命じた。

7月15日
バスティーユ陥落のニュースがヴェルサイユ宮殿にも流れてくる。
シドニーは真偽を確かめるため、資料編纂官の部屋を訪れるが、彼の絶望的な予想に胸を痛める。
やがて宮殿内には処刑リストが出回った。
286人のリストのトップは王妃。
そして、3番目に載っていたのは王妃に最も愛され、富と特権を享受するポリニャック夫人。
宮廷中のやっかみの的となっている侯爵夫人である。

深夜
シドニーは逃亡する王妃の無聊をお慰めするための本を選ぶようにと女官から言いつけられる。
その時、王妃は暖炉の前で愛人からの手紙を燃やしていた。
王妃はシドニーを傍らに座らせ、ポリニャック夫人への情熱的な想いを打ち明ける。
だが、当のポリニャック夫人は王妃の呼び出しに応じてこない。
シドニーは動揺する王妃のため、彼女を連れてくると申し出るのだが、
夫人はシドニーの呼びかけには応えず深く寝入ったまま。
諦めて戻ったシドニーの前に、取り乱す王妃の姿が――

7月16日
宮殿内には物乞いが入り込み、召使いが逃げまどい、衛兵たちすら逃亡していった。
国王ルイ16世は宮殿に留まることを決める。
王家の運命は革命政府の手に委ねられたのだ。
絶望のあまり立ちすくむ王妃のもとにポリニャック夫人が駆け寄り、じっと見つめる。
そんな二人を射るような視線で凝視するシドニー。

だが、ポリニャック夫人は、王妃を見捨て、家族と共にパリを去ることを決めた――

7月17日
朝、王妃に呼び出されるシドニー。
王妃への忠誠を誓う彼女に、王妃は思いがけない残酷な命令を下す。
それは召使の姿に変装して逃亡するポリニャック夫人の身代わりとして、
そのドレスを身につけ同行するように、というものだった……
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革命勃発のその時を、朗読係の少女がヴェルサイユの中から眺める――
なんと画期的な視点でありましょう。

命に関わる土壇場となれば、普段は王家に忠実な廷臣も召使も、
王妃に寵愛されたポリニャック夫人も、まずは逃げ出していきます。
その様子は、ベトナム戦争のサイゴン陥落時、南ベトナムやアメリカの軍関係者や裕福な民間人が
一刻も早く逃げ出そうと米軍ヘリコプターに群がる姿を彷彿させました。

「義理や忠義なんて羽毛のような軽さよ、でも、愛は違うわ」
と130年前なら信じたかもしれませんが、150歳ともなると、とのはそんな甘いことは考えません。

でも、30代のマリー・アントワネットはポリニャック夫人の愛を信じたのでしょう。
朗読係シドニーの自分への想いを知りながら、その想いすら利用する形で。
甘いケーキとロマンチックなお話の中で生きていきたかったマリー・アントワネット。
生まれた時代を間違えてしまいましたね。

フランス革命という大きな歴史の転回点にあっても、
人を突き動かすのは生や富への執着というなまぐさいものが原動力になっているのです。

ゴージャスなヴェルサイユにうごめく人間の本性がじっとりと匂いたちました。





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☆12月9日に更新しました。風邪がはやっています。どうぞ皆さまご自愛くださいませ☆

マリー・アントワネットに別れを告げて
監督/ブノワ・ジャコー、脚本/ジル・トーラン&ブノワ・ジャコー、原作/シャンタル・トマ「王妃に別れを告げて」(白水社刊)、撮影監督/ローマ・ウィンディング、衣装デザイン/クリスチャン・ガスク、ヴァレリア・ランコー
出演
レア・セドゥ/シドニー・ラボルド、ダイアン・クルーガー/マリー・アントワネット、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ガブリエル・ド・ポリニャック、グザヴィエ・ボーヴォワ/ルイ16世、ノエミ・ルボフスキー/カンパン夫人、ミシェル・ロバン/ジャコブ・ニコラ・モロー
12月15日(土)TOHOシネマズ・シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他にてロードショー
2012年、フランス・スペイン、100分、カラー、提供・配給/ギャガ、字幕翻訳/丸山垂穂
http://myqueen.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-12-09 06:58 | 映画 | Comments(6)