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殿様の試写室

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ザ・トライブ
-1-
The tribe

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(C) GARMATA FILM PRODUCTION LLC, 2014 (C) UKRAINIAN STATE FILM AGENCY, 2014


春眠暁を覚えず、と申しますが、最近時々猛烈な睡魔に襲われるとのでございます。
それも、本来眠っていてはならない試写の途中に眠ることがあるのです。
やばいです。まずいです。

本作がまた全員聾唖者の出演なので手話のみ。
せりふなし、したがって字幕無し、吹き替え無し、音楽無し。
しかも上映時間は132分です。

ああ、また眠ってしまうか――
わざわざ試写を観にきて寝るなんて、映画関係者に申し訳ないし、すごい自己嫌悪です。

ところが、
これがあなた、
一睡もせず、しかも座席から身を乗り出さんばかりにして鑑賞しました。

せりふも音楽も一切ありませんが、
車道を車が疾駆する音、頬を打つ音、肌の触れ合う音・・・
さまざまな物理的な音は聞こえるので
無声映画とも違う不思議な映画感覚。
例えていえば、街やお店の中で人々の様子を露骨にみつめるという感覚の映画です。
実際に町中で気になる人がいても露骨にジロジロ見るなんてことはできませんから、
今までに経験したことのない感覚といえます。

とのの祖父は活動弁士でしたが、
祖父ならこの手話をどのように弁ずるのか。
と、ふと考えましたが、きっと祖父も手話を有声化しなかっただろうと思います。

時々、電車の中などで手話で会話している方たちをみかけることがあります。
とても靜かなのですが、その素早い手の動きを見ると、
とても話に熱中しておられるのだろうな、と思います。
彼らの周囲には特別なオーラが形成されている感じ。
『ザ・トライブ』もそんな映画です。

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ザ・トライブ 
Tribe:辞書には
1.種族、部族 2.族、類 3.仲間、集団、連中 4.大家族 5.閥族、支族、氏族
おっと、
6.畜産用語で同じ雌を親に持つ雌系。主に牛についていう、
なんてのもありました。
この映画の場合は、3.仲間、集団、連中でしょうか。

本作は昨年のカンヌ国際映画祭で批評家グランプリ、フランス4ヴィジョナリーアワード、
ガン・ファンデーション・サポートの3賞を受賞。
その他、英国の権威ある映画雑誌「サイト&サウンド」誌のベスト10にも選ばれた問題作。
ウクライナの新人監督ミロスラヴ・スラボシュビツキーの長編デビュー作です。

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ミロスラヴ・スラボシュビツキー監督
サイレント映画へのオマージュを表現したかったというスラボシュビツキー監督。
1947年キエフ生まれの監督はサンクトペテルブルグのレンフィルム・スタジオに勤務。
短編映画『Diagnosis』(‘09)で10代の少年少女たちを主人公に描き、
次作『Deafness』で聾唖者の学校を舞台に言葉の無い映画に挑戦しています。

サイレント映画へのオマージュを抱きつつも、
彼の作りたかった映画はもの静かな映画とは違います。
無声映画とはいえ、役者たちは静かにふるまっていたわけではありません。
声が無いからこそ、
所作やボディランゲージを駆使して感情や心情を伝えようとしていました。

だからこそ、監督は声の出る俳優で本作を作ろうとは考えませんでした。
声の出る人は、話をする時に発音に必要な顔の筋肉しか使わないけれど、
聾唖者は体全体を使ってコミュニケーションを取ろうとします。
静かだけれど、強烈にやかましい映画。
それが監督のめざした映画だったのでしょう。

という訳で、本作に登場するのは全員聾唖者であります。
そのキャスティングには1年を要したということです。

今までに例を見ない映画故、前置きが長くなりました。
さあ、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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ザ・トライブ
脚本・監督/ミロスラヴ・スラボシュピツキー、撮影/ヴァレンチヌ・ヴァシャノヴィチ、サウンド・デザイン/セルギー・ステパンスキー
出演
グレゴリー・フェセンコ、ヤナ・ノヴィコヴァ、ロザ・バビー、オレクサンダー・アサドッチイ、オレクサンダー・シデリニコフ、サシャ・ルサコフ、デニス・グルバ、ダニア・ブコビイ、レニア・ピサネンコ、オレクサンダー・パニヴァン、キリル・コシク、マリナ・パニヴァン、タティアナ・ラドチェンコ、リュドミラ・ルデンコ
4月18日(土)よりユーロスペース、新宿シネマカリテ他にてロードショー
2014年。ウクライナ、カラー、132分、字幕無、手話のみ
提供/ミモザフィルムズ、彩プロ、配給/彩プロ、ミモザフィルムズ、後援/ウクライナ大使館
http://thetribe.jp/

by Mtonosama | 2015-04-07 05:35 | 映画 | Comments(6)