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殿様の試写室

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タグ:ヤン・ヨンヒ ( 2 ) タグの人気記事

かぞくのくに -2-

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(C)2011 Star Sands, Inc.

北朝鮮がテーマというと、どうしてもある種の色メガネを通して観てしまう自分がいます。
拉致問題といい、ミサイルのことといい、現在のメディアでの扱い方を含め、どこか構えてしまいます。

でも、「かぞくのくに」が描くのは家族でした。
長い間、外国で暮らしていた兄が病気治療のために、日本に帰ってくる。
迎える家族や友人たちは久しぶりの再会に、あれも話したい、これも話したい、とウキウキします。
よくある話です。
しかし、兄が暮らしていた外国が北朝鮮ということになると、
家族の話とはいえ、やはりかなり違ったものになるところが、
悲しく、やりきれない気持になります。

さあ、どんなお話なのでしょう。


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ストーリー
1997年夏。在日朝鮮人2世のリエ。
その日、日本語学校の講師をしている彼女は、母親が営む喫茶店で
10歳年上の兄ソンホの帰国を心待ちにしていた。
ソンホは70年代に“帰国事業”によって北朝鮮に移住したが、
病気治療のため3ヶ月だけという許可を得て25年ぶりに日本に戻ってくることになっていたのだ。

リエと同胞協会本部副部長である父、実業家として成功している叔父が協会本部でソンホを出迎える。
ソンホは叔父の車で家に向う間、懐かしそうに風景を眺め、
家の手前で車を降り、一歩一歩踏みしめるように実家をめざす。
そして、おそらくはずうっと家の前で待っていたのであろう母に抱きしめられた。

家族との久々の対面を済ませたソンホは北朝鮮から同行してきたヤンを紹介。
ヤンという人物はソンホの滞在中、彼を監視する監視員だった。

翌日、ソンホは病院で精密検査を受け、夜はリエと一緒に高校の同窓会へ向かった。
懐かしい仲間や、かつての恋人スニも集まり、25年ぶりの再会を祝す。

ショッピングにでかける兄と妹。スーツケースのショップでリエに話しかけるソンホ。
「お前はそういう鞄持って色んな国へ行けよ――」

その夜、ソンホは監視員ヤンから言い渡されていた提案をリエに持ちかける。
それは工作員の仕事だった。
激しく拒絶するリエ。

ソンホの検査結果が出た。それは悪性の疑いのある脳腫瘍だった。
「手術にはリスクはありますが不可能ではありません。ただし、3ヵ月の滞在しかないのでは手術をおひきうけすることはできません。」
腫瘍が大きくなれば命にも関わるという――

最悪の結果に首をうなだれる家族。
叔父は25年前にソンホを北に送った父の行動を激しく責めた。

その頃、監視員ヤンの許に一本の電話が。
それは「明後日、監視中の滞在者を帰国させなさい」という北からの電話だった……


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こういうこと、よくあるんだよね・・・・・
静かにつぶやくソンホの表情が切なかったです。
北朝鮮の政治や社会制度の違いを身近に感じることはできなくても、
家族を持つ身としては、あらかじめ許されていた3ヵ月の病気治療期間を
いきなり1週間に短縮してしまうという国家の横暴は実感として迫ってきます。
期待を持っていただけに家族にとっては残酷すぎる命令です。

これがつくり話ではなく、実際に監督の家族の上に起きたできごとだということに身の毛がよだちます。

ただ、映画と事実が違うのは兄が北へ戻っていく日のこと。
その日、監督は茫然として見送るだけで何もできなかったのですが、
映画ではリエが監視員の車のドアにつかまり、ソンホを行かせまいとしました。
はかない抵抗ですが、せめて映画の中だけでもこの不条理に逆らいたかったのだそうです。

井浦新演じるソンホの静かさと安藤サクラ演じるリエの激しさが際立ち、
日本の日常の中に紛れ込んだ残酷な国家の現実に改めて思いをめぐらしました。





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かぞくのくに
脚本・監督/ヤン・ヨンヒ、企画・エグゼクティヴ・プロデューサー/河村光庸、プロデューサー/佐藤順子、越川道夫、音楽/岩代太郎、撮影/戸田義久
出演
安藤サクラ/リエ、井浦新/ソンホ、ヤン・イクチュン/ヤン同志、京野ことみ/スニ、大森立嗣/ホンギ、村上淳/ジュノ、省吾/チョリ
8月4日(土)テアトル新宿他全国順次ロードショー
2012年、日本、100分、配給/スターサンズ
http://kazokunokuni.com/

by Mtonosama | 2012-08-05 06:04 | 映画 | Comments(4)
かぞくのくに -1-

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(C)2011 Star Sands, Inc.

日本は単一民族国家、と発言した大臣がいましたが、
この映画を観ると、改めて日本にはいろいろな国の人が住んでいるのだなぁ、
ということに気づかされます。

普段、国を意識して暮らすことはありませんが、
在日コリアンのこの家族にとって国は意識せずに暮らすことなどありえない存在のようです。

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はい、「かぞくのくに」という映画のことです。
1950年代から始まった北朝鮮の帰国事業を背景に、
兄はあの北朝鮮で暮らし、両親と妹は日本に暮らしている家族を描いた映画です。

監督は在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ(梁英姫)さん。1964年大阪出身です。
「ディア・ピョンヤン」(‘05)、「愛しきソナ」(‘09)のドキュメンタリー映画で注目され、
今回「かぞくのくに」で初めてフィクション映画の監督に挑みました。
いずれも北朝鮮がそのテーマになっています。
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監督の3人の兄達は1971年秋から72年の春にかけて新潟から船で北朝鮮へ向かいました。
その年齢は18歳、16歳、14歳。
まだ6歳だった監督は両親とともに日本に残りました。

彼女の両親は韓国・済州島出身なのですが、
日本に来た後、北朝鮮を祖国として選びました。
現在の北朝鮮しか知らないとのとしては、
どうして韓国出身でありながら北を選んだのだろうかと思ってしまいますが、
当時、北朝鮮は“地上の楽園”と呼ばれていたのだそうです。

しかし、それにしても両親はなぜ3人の息子を見たこともない北朝鮮に送ったのでしょう。
そこにあったのは彼らが日本で受けていた差別でした。
両親は、当時、民族差別のため日本での進学や就職の道が閉ざされていた息子たちを、
北朝鮮で高等教育を受けさせ、職に就かせるということが
最善の選択と考えたからなのです――

「かぞくのくに」は、監督が自身の実体験を基にオリジナル脚本を執筆。
初のフィクション映画となります。

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映画は、
病気治療のために3ヶ月間だけの帰国を許されて帰国した10歳年上の兄が帰ってくるところから始まります。

同じ血を持つ家族でありながら、1人は自由に生き、
もう1人は自分で決断することなど許されない国に暮らす――

一時的な帰国を心待ちにする家族の日々を描いた作品で、
それ自体はどこにでもある家族愛の物語なのですが、
やはり、それだけではないところが実体験の迫力ということでしょうか。

どこにでもある家族をここまで苦しめる国家の存在は怖ろしいなぁと思ってしまいました。

さ、どんなお話かは次号までお待ちください。



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かぞくのくに
脚本・監督/ヤン・ヨンヒ、企画・エグゼクティヴ・プロデューサー/河村光庸、プロデューサー/佐藤順子、越川道夫、音楽/岩代太郎、撮影/戸田義久
出演
安藤サクラ/リエ、井浦新/ソンホ、ヤン・イクチュン/ヤン同志、京野ことみ/スニ、大森立嗣/ホンギ、村上淳/ジュノ、省吾/チョリ
8月4日(土)テアトル新宿他全国順次ロードショー
2012年、日本、100分、配給/スターサンズ
http://kazokunokuni.com/

by Mtonosama | 2012-08-02 06:12 | 映画 | Comments(7)