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殿様の試写室

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嗤う分身 
-2-

THE DOUBLE

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(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013


時代も場所もはっきりわかりません。
カラーなのにモノクロの雰囲気をまとう不思議な空気感。
なんか段ボールで作られた世界って感じでしょうか。
昔観た『メトロポリス』(‘26 フリッツ・ラング監督)のように
スタイリッシュではありますが、でも、どこか昔っぽい感じの光に包まれています。
古いのに新しい、新しいのにレトロっぽい映画です。

気の弱そうな主人公サイモンをジェシー・アイゼンバーグ、
サイモンが心を寄せる女性ハナをミア・ワシコウスカが演じます。

サイズが合わないスーツを着て、いかにも影が薄く、要領も悪いサイモン。
ジェシー・アイゼンバーグが、ちょっとみじめっぽくはありますが、
なんとなくおかしみも感じさせ、良い味を出していました。

旬の女優ミア・ワシコウスカも可愛いんだけど、どことなく不気味な視線で
この人らしい持ち味が際立っていましたよ。良い女優さんですよね。

そして、この映画のもうひとつの不思議ポイント。
それは音楽です。
なんと坂本九の「上を向いて歩こう」、
ジャッキー吉川とブルーコメッツの「ブルー・シャトウ」が流れてきました!
びっくりしちゃいました。
日本映画じゃないのに、映画のレトロ感と音楽のレトロ感が妙にマッチして、不思議。
監督は彼らの出演したエド・サリバン・ショーの再放送を見たことがあって、
それらの曲が監督の印象に残ったんですって。
昭和のヒット曲が、37歳のイギリス人の記憶に焼き付いているなんて、とても奇妙な感じです。


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ストーリー
“大佐”が君臨する不穏な雰囲気に満ちた会社。
そこで働くサイモン・ジェームスは要領の悪い気の小さな男だ。
勤続7年目になろうというのに、あまりに存在感が薄く、守衛に顔も名前も覚えてもらえない。
上司のパワハラ、同僚のいじめ、さらには入院中の母親からも疎まれながらの日々を送っている。
密かに恋するコピー係のハナからも相手にされず、
自室の真向かいにある彼女の部屋を望遠鏡で覗くのが日課だ。

ある夜、覗いた望遠鏡のレンズに映った窓際に立つ一人の男。
男は望遠鏡の中でサイモンに向って手を振り、そのまま静かに窓から身を投げた。
この日を境にサイモンの人生は更にひどい状況に陥っていく。

“そいつ”は突然サイモンの前に姿を現した。
会社期待の新人として入社したジェームス・サイモンだ。
“そいつ”は顔も背もファッションも何から何までサイモンと瓜二つ。
激しく動揺するサイモンだったが、なぜか上司も同僚もこの状況を普通に受け入れている。
ジェームスはその日の内に会社の人気者になり、
サイモンはこれまで以上に影の薄い存在になっていった。

ジェームスは多くの女性をとりこにするが、
サイモンは恋心を寄せながらもまともにハナにアプローチすることもできない。
ジェームスはそのアピール力で上司の信頼を得るが、
サイモンは自己主張もできず、正当な評価も得ることができない。

そして、サイモンは真面目で優しいが、ジェームスはいい加減でずる賢かった。

自信家でカリスマ性も持つジェームスの魅力はハナをもひきこまずにはいなかった。
大好きなハナのために、ジェームスとの仲をとりもつサイモン。
そんな彼の心は不安と悲しみではり裂けそうだ。

調子に乗ったジェームスはサイモンに“替え玉スイッチ”を強要する。
互いの優れた点を活かし、2人が入れ替わることで仕事も恋もうまくこなそうというのだ。
ジェームスの要求は次第にエスカレートし、サイモンは彼の悪巧みにはめられていく……

それってサイモンの存在がジェームスに吸い込まれていくこと?
やっぱりホラーです。
ドストエフスキー先生もあちらの世界で舌を巻いているのではないでしょうか。

分身、ドッペルガイスト。
目新しくはないけれど不朽のテーマであります。
サイモンも、ジェームスも、一人の人間の中の両極端の性格なのでしょうか。
「ドッペルガイストを目にした者は死ぬ」といいますが、
優しいけれども弱い性格は強い性格に圧倒されていってしまうのでしょうか。

あまりに要領も運も悪くて笑っちゃうしかないサイモン。
地下世界のような、あるいは、明けることのない夜のような映像が
ダークな笑いを呑み込んでいきます。

イギリス映画の20%のユーモアと80%の暗さ。面白いです。





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☆10月21日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

嗤う分身
監督・共同脚本/リチャード・アイオアディ、共同脚本&原案/アヴィ・コリン、原作/フョードル・ドストエフスキー「分身(二重人格)」、製作/ロビン・C・フォックス&アミナ・ダスマル、製作総指揮/マイケル・ケイン、撮影/エリック・アレクサンダー・ウィルソン、美術監督/デヴィッド・クランク、視覚効果/サイモン・ウォーリー
出演ジェシー・アイゼンバーグ/ジェームズ&サイモン(二役)、ミア・ワシコウスカ/ハナ、ウォーレス・ショーン/パパドプロス、ノア・テイラー/ハリス、ヤスミン・ペイジ/メラニー、キャシー・モリアーティ/キキ、ジェームズ・フォックス/大佐
11月8日(土)シネマライズほかにてロードショー
2013年、イギリス、93分、日本語字幕/種市譲二、配給/エスパース・サロウ
http://waraubunshin-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2014-10-21 05:57 | 映画 | Comments(6)
嗤う分身
 -1-

THE DOUBLE

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(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013

なんと!ドストエフスキーの作品を映画化したイギリス映画であります。
といっても文芸大作というジャンルの作品ではありません。
これまでも『白痴』(‘51 黒澤明監督)、『白夜』(‘57 ルキノ・ビスコンティ監督)、
『罪と罰』(‘83 アキ・カウリスマキ監督)、『悪霊』(‘83 アンジェイ・ワイダ監督)等
多くの巨匠が映画化してきましたが、いずれも大作。
本作『嗤う分身』の原作「分身(二重人格)」はドストエフスキーの初期の作品で、
発表当初はえらく酷評されたものなのだそうです。

とはいえ、一部のファンの間では熱烈な人気があり、
ベルナルド・ベルトリッチ監督(『ラストエンペラー』)も
初のカラー作品『ベルトリッチの分身』として1968年、27歳の時に映画化しています。
それから45年経って英語圏で初めて映画化されたのが本作『嗤う分身』であります。

小心者で神経症気味の主人公が、
容姿は瓜二つなのですが、
性格はまったく正反対の分身に仕事や生活を奪われていく様子を描いた小説。

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話は変わりますが、とのはロシア文学が苦手です。
あの~、名前が難しくてキャラクターを頭の中におさめきれないのです。
そんなわけでフョードル・ドストエフスキー氏ともあまりおつきあいをしたことがございません。
それにかなり深刻で暗いお方というイメージが強うございましょ?

でも、同じように暗くて不運なお方であるカフカ氏は好きなので、
『KAFKA/ 迷宮の悪夢』(‘91 スティーブン・ソダーバーグ監督)を観たことがあります。
あ、あのカフカがこんな感じで映像化されるのか、
カフカって笑ってもよかったんだ、と目から大きなうろこが一枚剥がれ落ちた映画でした。

なんで、こんなことを思い出したかというと、本作『嗤う分身』もそうだったからです。
あ、もちろん大笑いってわけではありませんけどね。

ベルトリッチ監督についで45年ぶりに「分身(二重人格)」を映画化したのは
リチャード・アイオアディ監督というまだお若い方。


リチャード・アイオアディ監督
1977年生まれ。ノルウェー人の母とナイジェリア人の父を持つ37歳。ロンドン出身のコメディアン、俳優、脚本家、映画監督。ケンブリッジ大学で学び、英国コメディ史に欠かせない歴史と伝統のある演劇クラブ「ケンブリッジ・フットライツ」で座長を務め、その後も英国コメディの登竜門をトップで通過するエリートコメディアン。在学中から舞台の脚本も数多く手掛けている。数々のミュージシャンのPV監督をこなし、2008年にはアークティック・モンキーズのアポロシアターでのライブ映画をリリース。長編映画監督デビューは『サブマリン』(‘10)。本作は監督第2作目である。

コメディアンといってもただのお笑いとは違うみたいですね。
でも、ダークとはいえ笑えるドストエフスキー作品というのは
エリートコメディアンであり、本作では脚本も担当したアイオアディ監督の力、大であります。

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分身ものとしては、最近当試写室でも上映した『複製された男』があります。http://mtonosama.exblog.jp/22526398/ http://mtonosama.exblog.jp/22547701/
これはなんとなく薄気味悪さが漂う映画でしたが、「ジキル博士とハイド氏」といい
分身ものはやはりホラーとまではいかなくても、すこしばかりダークな感じがつきまといます。
だって、自分と同じ顔をして同じ声で話す人間が目の前にいたら、やっぱり気持悪いです。
自分のことは自分が一番よく知っているのに、そいつが自分の前に「あたしゃ、あんたよ」
と他人のような顔で現れたら困っちゃいます。

さあ、本作にはどんな分身が登場するのでしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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☆10月18日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます☆

嗤う分身
監督・共同脚本/リチャード・アイオアディ、共同脚本&原案/アヴィ・コリン、原作/フョードル・ドストエフスキー「分身(二重人格)」、製作/ロビン・C・フォックス&アミナ・ダスマル、製作総指揮/マイケル・ケイン、撮影/エリック・アレクサンダー・ウィルソン、美術監督/デヴィッド・クランク、視覚効果/サイモン・ウォーリー
出演
ジェシー・アイゼンバーグ/ジェームズ&サイモン(二役)、ミア・ワシコウスカ/ハナ、ウォーレス・ショーン/パパドプロス、ノア・テイラー/ハリス、ヤスミン・ペイジ/メラニー、キャシー・モリアーティ/キキ、ジェームズ・フォックス/大佐
11月8日(土)シネマライズほかにてロードショー
2013年、イギリス、93分、日本語字幕/種市譲二、配給/エスパース・サロウ、http://waraubunshin-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2014-10-18 06:36 | 映画 | Comments(8)