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ルンタ
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Lung Ta

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©Ren Universe 2015

池谷監督はなんどもなんどもチベットを舞台に映画を作ろうとしました。
ダライ・ラマ14世がノーベル平和賞を受賞してから25年以上が経ちましたが、
チベットを取り巻く状況は良くなるどころか、悪化の一途を辿っています。

そうこうする間にチベットでは抗議の焼身自殺が始まりました。
今年4月10日付けの「チベットnow@ルンタ」 http://blog.livedoor.jp/rftibet/ には
チベット国内で138人、国外も合わせれば143人ものチベット人が焼身しているとあります。
でも、日本のメディアはこのことを報道しないんですね。

「チベットnow@ルンタ」を書いている中原一博さんは
ダラムサラの地で、名もないチベット人たちの焼身を悼み、
日々ブログを書き続けています。

悼み――
この作品を見て中原さんはチベットの「悼む人」なんだ、と思いました。
http://mtonosama.exblog.jp/23616090/ http://mtonosama.exblog.jp/23627557/

映画の中で、中原さんは焼身した人々の、
焼身したその場所に向い、手を合わせます。

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中原一博
1952年広島生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科及び理工学部卒業。
インド北部ラダックを旅行中、チベット仏教建築に魅せられ卒業論文のテーマにしたのが
きっかけとなってチベット亡命政府と出会う。
1985年、亡命政府の専属建築士として家族ともどもダラムサラに移住。
亡命政府の庁舎や僧院、学校などの建築物の設計を担当。
代表作の「ノルブリンカ・インスティチュート」は慈悲の象徴である千手観音を
全体のプランに用い、9年かかって完成させた。
1997年「ルンタプロジェクト」を発足し、
チベット本土でデモを行い、逮捕され、刑務所で拷問を受けた後に
インドに逃れた元政治犯の支援を始める。
自ら資金を集め、設計したルンタハウスで彼らの学習・就労支援を行う。
2008年、チベット全土に抗議活動が拡がると「チベットnow@ルンタ」から
チベット人の非暴力の闘いを発信し始める。
翌2009年に焼身抗議が始まると全ての焼身者のリポートを送り続けている。

さて、本作のタイトルにもなっている「ルンタ」ですが、
その意味はチベット語で「風の馬」(幸運という意味もあります)。
天を駆け、人々の願いを仏や神々に届けると信じられています。
チベット仏教文化圏に入るとあちこちに色とりどりの旗(タルチョ)
がはためいているのをご覧になったこともあるかと思います。
その中にルンタ=風の馬がいます。

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どんな映画でしょう。

ダラムサラの僧院の壁に一面に貼られた焼身者の遺影。
19歳で焼身した少女。その生い立ちを辿る中原。
チベット本土でデモを行い、逮捕され、服役した元尼僧は刑務所内で拷問を受けていた。
彼女は穏やかにその体験を語る。
中原が設計したルンタハウスでは施設の運営資金を賄うため日本食レストランが営まれ、
元政治犯の自立を助けるためのミシン工房や、
コンピュータや英語、チベットの歴史を教える学校もある。
ダラムサラで開かれた亡命チベット人コンサートでは民族衣装をまとった男性歌手が
焼身者を讃える歌を歌い、子どもたちがステージに飛び入りし、無邪気に踊りまわる。
ダラムサラで行われたダライ・ラマ14世の法話。
仏教の教えは「他に害をなさぬこと」と説く法王。
自分の名前を呼びながら炎に包まれる焼身者を思う法王の悲しみ。
24年間刑務所で耐え抜いた老人に「なぜ拷問に屈しなかったのか」と訊ねた中原に
「自分たちがひどい目にあっているのは中国のせいではなくそれぞれが積んだ業(カルマ)の結果なのだ」
と答えた老人……

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合間に焼身者たちへの慰霊と祈りをはさみながら映画は進行します。

心優しいチベット人。
勇ましい遊牧民として乗馬にたけたチベット人。
敬虔なチベット人。

どこまでも蒼い空と山々。
その雄大な自然を点綴するかのようにはためく五色のタルチョ。

ラスト。
タルチョに埋め尽くされた山の中を「これは何?」と戸惑いながら歩く中国人観光客。
「え、そんなことも知らずにチベットへ来たのかよ」
と心中で毒づくとのはなんて品性下劣なんでしょう。

非暴力による抵抗が焼身しか残されていないチベットの悲しさ―――
140人を超える焼身者。
せめて、彼らの死を心にとどめたい、忘れないでいたい、と思いました。

悼む人である中原さんの痛みを分かち合うことができれば、と思います。
突き刺さってくる映画でした。





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☆7月9日に更新しました。昨日は日本ブログ村のシステム異常で、関係者の皆さまお疲れさまでした☆

ルンタ
企画・編集・監督/池谷薫、製作/崔洋子、撮影/福居正治、音響構成/渡辺丈彦、チベット語題字/ソナム・トプギャル、声明/ダラムサラ・ギュト僧院、製作・配給/蓮ユニバース
出演
中原一博、ダムチュ・ドルマ、ジャミヤン・ジンバ、ロプサン・ノルブ、ソナム・トプギャル、山崎直子、タンチョク・ニマ、ツェペル・ラモ、ダライ・ラマ14世テンジン・ギャンツォ
7月18日(土)公開
2015年、日本、カラー、1時間51分、日本語&チベット語
http://lung-ta.net/

by Mtonosama | 2015-07-09 06:49 | 映画 | Comments(2)

ルンタ
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Lung Ta

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©Ren Universe 2015


5月に当試写室で『ダライ・ラマ14世』を上映したばかりですが、
またまたチベットを撮った映画『ルンタ』が登場します。

監督は池谷(いけや)薫氏。
『蟻の兵隊』(‘05)という中国残留日本兵のドキュメンタリー作品を撮影し、
鮮烈な印象を与えた監督です。

池谷薫監督
1958年東京生まれ。
同志社大学卒業後、12本のNHKを含むテレビ・ドキュメンタリーを演出した。
初の劇場公開作となった『延安の娘』(‘02)は
文化大革命に翻弄された父娘の再会を描いた作品。
ベルリン国際映画祭など世界30数カ国で絶賛され、
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞、
ワン・ワールド国際人権映画祭ヴァーツラフ・ハベル特別賞ほか多数受賞した。
2作目の『蟻の兵隊』(‘05)は中国残留日本兵の悲劇を描き、
記録的なロングラン・ヒットを放った。
3作目の『先祖になる』(‘12)は東日本大震災で息子を失った木こりの老人が
家を再建するまでを追ったドキュメンタリー。
ベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別賞、
香港国際映画祭ファイアーバード賞(グランプリ)、文化庁映画賞大賞、
日本カトリック映画賞を受賞。
2008年から2013年まで立教大学現代心理学部映像身体学科の特任教授。
卒業制作としてプロデュースした『ちづる』(‘11、赤崎正和監督)は全国規模で劇場公開。

著書
「蟻の兵隊 日本兵2600人山西省残留の真相」(‘07 新潮社)
「人間を撮る ドキュメンタリーが生まれる瞬間」(‘08 平凡社、日本エッセイスト・クラブ賞受賞)など。

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『蟻の兵隊』。
2005年というと、もう10年も前のことになるのですね。
作品の中で中国残留兵士だったおじいさんが当時のことを淡々と語る様子に、
父を想い起した映画でした。
戦争中、父も中国へ一兵士として行きましたが、
戦争も末期になると、「との軍曹。今から八路軍に加わりなさい」
と中国共産軍からの呼びかけが行われたそうです。
父の話では「日本語で呼ばれたぞ」ということですが、
7年前に父は亡くなってしまったので、確認するすべはありません。
呼びかけられたのは父だけではなかったと言っていました。
日本側の様子はあちらに筒抜けだったのでしょうか。
との軍曹が呼びかけに応じてそのまま中国に留まっていれば、
とのは存在していなかったわけです。
思わぬ方向から今ここにある自分の運命に目を向けることになった作品でした。

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さあ、そんな池谷薫監督の新作です。
『延安の娘』『蟻の兵隊』『先祖になる』に続き、
今回も作品を通じて「人間の尊厳とは何か」という問いへの答えを求めた監督。
本作『ルンタ』では慈悲や利他の心に支えられたチベット人の非暴力の戦いが
悲しくなるほど心をうちます。

池谷監督はダライ・ラマ14世がノーベル平和賞を受賞した時に
「TBS報道特集」で1時間のドキュメンタリーをまとめました。
その時、法王へのインタビューを中心に、亡命チベット人の暮らしを伝えたのですが、
その際、出会ったのが中原一博さんでした。
当時、チベット亡命政府の専属建築士だった中原さんは今もダラムサラに暮らし、
「チベットnow@ルンタ」 http://blog.livedoor.jp/rftibet/ というブログを発信しています。

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この中原さんのブログにアクセスなさってください。
日本では報道されない事実に驚かれると思います。

続きは次回に。
乞うご期待でございます。



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☆7月6日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ルンタ
企画・編集・監督/池谷薫、製作/崔洋子、撮影/福居正治、音響構成/渡辺丈彦、チベット語題字/ソナム・トプギャル、声明/ダラムサラ・ギュト僧院、製作・配給/蓮ユニバース
出演
中原一博、ダムチュ・ドルマ、ジャミヤン・ジンバ、ロプサン・ノルブ、ソナム・トプギャル、山崎直子、タンチョク・ニマ、ツェペル・ラモ、ダライ・ラマ14世テンジン・ギャンツォ
7月18日(土)公開
2015年、日本、カラー、1時間51分、日本語&チベット語
http://lung-ta.net/

by Mtonosama | 2015-07-06 05:47 | 映画 | Comments(2)