ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:ル・アーブルの靴みがき ( 2 ) タグの人気記事

ル・アーブルの靴みがき -2-
LE HAVRE

f0165567_5363838.jpg

© Sputnik Oy

とのはアキ・カウリスマキの前作「街のあかり」(‘06)を観ましたが、
その時もなんとも不思議な印象を受けました。
なんといったらいいのでしょう。映像に動きがないのです。
いえいえ、これは悪い意味で言っているのではありません。
日照時間の少ない冬のフィンランドの街が紙芝居のようなテンポで映し出されるんですね。
このゆったり感が独特な世界観を醸しているとでもいうんでしょうか。
妙に魅かれるものがありました。

本作「ル・アーブルの靴みがき」でも、カウリスマキ・ワールドは十分に満喫できますよ。
さあ、どんなお話かというと・・・・・


f0165567_5423394.jpg

ストーリー
北フランス、ノルマンディ地方の港町ル・アーブル。
主人公はマルセル・マルクス。昔は彼もパリで芸術家として鳴らした男。
しかし、今はル・アーブルの街かどで靴磨きをして暮らしています。
8年かけて身分証明書を手に入れたベトナム人のチャングと連れだって、
駅や高級靴店の前で客を待ちます。
でも、お客はそんなには来ないし、靴店の前からは追い払われる始末。
稼ぎは僅かですが、マルセルは幸せでした。
なぜなら愛妻アルレッティと愛犬ライカが彼の帰りを待っていてくれるし、
近所に暮らすパン屋のイヴェットや八百屋のジャン=ピエール、仕事の帰りに立ち寄る
カフェの女主人クレールとの語らいもマルセルの楽しみだったからです。

ある日のこと、港でアフリカ・ガボンからの難民が乗ったコンテナが発見されます。
その時いち早く警察の手をすり抜けた少年イドリッサ。
埠頭でランチを食べていたマルセルは、桟橋の下に隠れていたこの少年とばったり。

突然の病で入院したアルレッティと入れ替わるように家へやってきたイドリッサ少年。
友人たちの協力で少年を迎え入れることに成功はしたものの腕利きの警視モネや密告者が
マルセルたちを脅かし続けます。

一方、不治の病の宣告を受けたアルレッティ。
「ああ、お医者さま、決して彼にこのことは伝えないで」。
アルレッティは主治医に懇願します。
それは、幼子のような心のマルセルにこの現実は受け入れ難いと判断したからです。
毎日花を持って妻の病室に通うマルセル。
しかし、日毎にやつれていく身体を見せたくないアルレッティは
「あなたに会うと心が乱されて身体に障るからしばらく来ないで」と優しい嘘をつくのでした。

そして、イドリッサ。彼は、今はロンドンにいる母に会おうとしていました。
マルセルは難民キャンプに収容されたイドリッサの祖父と面会し、
なんとしてもイドリッサをロンドンに送り出してやりたいと思うようになりました。
しかし、それには大きな危険が伴い、3000ユーロという莫大な費用もかかります。
挫けることなく、必死に奔走するマルセルはチャリティコンサートを企画。
見事3000ユーロを手にし、港に着いたイドリッサとマルセルでしたが、
そこにはあの鬼警視モネの姿。

同じ頃、病院ではアルレッティの容体が急変。

さあ、イドリッサはロンドンへ向かうことができるのでしょうか。
そして、アルレッティとマルセルの運命は……


f0165567_5432398.jpg

本作は北フランスが舞台で、フィンランドほどではないにしても、
陽光に満ち溢れているという訳ではありません。まして、季節は冬。
登場人物には美男も美女もいないし、それどころか、人相だってあまり良くない俳優さんばかり。

なのに、このほのぼのとした感覚はなんでしょう。
貧乏で、愛妻は病に倒れ、おまけに難民の少年を抱え込み、警察にはつけ狙われ、
大きな金額のお金もつくらなくてはならない。
どこがハッピーなんだ?ああ、どうなってしまうのか。ハラハラ、ビクビク。
といった観客の思惑などいっさい関係なし。
マルセルは、楽しげに、伸びやかに、難局を打開していきます。
いいなぁ。超がつくほどハッピーな展開。

「映画だからね」。「所詮、つくり話だし」。
わかっています。わかっていますよ。
でも、人生、谷底を歩いているときはこういう映画って必要なんです。
カウリスマキ・ワールドにありがとう!です。





今日もポチッとお願いできればうれしゅーございます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月18日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ル・アーブルの靴みがき
監督・脚本・プロデューサー/アキ・カウリスマキ、助監督/ジル・シャルマン、撮影/ティモ・サルミネン
出演
アンドレ・ウィルム/マルセル・マルクス、カティ・オウティネン/アルレッティ、ジャン=ピエール・ダルッサン/モネ警視、ブロンダン・ミゲル/イドリッサ、エリナ・サロ/クレール、イヴリヌ・ディディ/イヴェット、ゴック・ユン・グエン/チャング、ライカ/ライカ、フランソワ・モニエ/ジャン=ピエール、ロベルト・ピアッツァ/リトル・ボブ、ピエール・エテックス/ベッカー医師、ジャン=ピエール・レオー/密告者
4月28日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
2011年、フィンランド・フランス・ドイツ、フランス語、93分、字幕翻訳/寺尾次郎、提供/ユーロスペース+キングレコード、配給/ユーロスペース
http://www.lehavre-film.com/

by Mtonosama | 2012-04-18 05:51 | 映画 | Comments(8)
ル・アーブルの靴みがき -1-
LE HAVRE

f0165567_5352831.jpg

© Sputnik Oy

アキ・カウリスマキ。
舌をかみそうな名前ですが、名前を覚えることの下手なとのも
彼の名前は比較的早く覚えることができました。
アキのキ、カウリスマキのキと韻を踏んでいるからでしょうか。
それともアキという日本語っぽい言葉がこの監督の名前だからでしょうか。
秋飼う栗鼠マキ・・・なんてね。

アキ・カウリスマキは1957年4月4日フィンランド・オリマティラ生まれの監督です。
つい先日55歳になったばかりなのですね。
ヘルシンキの大学に在学中は大学新聞をひとりで編集したり、
フィンランドの代表的な映画雑誌に寄稿、雑誌編集にも参加し、全頁を別のペンネームで
書き分けるなど異能の人でありました。

さて、異能の人アキ・カウリスマキの最新作「ル・アーブルの靴みがき」は
「街のあかり」(‘06)以来、5年ぶりの新作で、
そして「ラヴィ・ド・ボエーム」(‘91)に次いで2本目となるフランス語の作品です。
舞台は大西洋に臨む北フランスの港町ル・アーブル。


ル・アーブルはセーヌ川右岸の河口に位置する。港湾の規模はマルセイユに次いで、大西洋岸ではフランス第1位の規模である。2005年戦後再建された中心部の街並みが「オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーブル」として世界文化遺産に登録された。
第二次世界大戦中、ノルマンディー上陸作戦から続くアストニア作戦の艦砲射撃と空爆で破壊され、戦後「鉄筋コンクリートの巨匠」とも呼ばれた建築家オーギュスト・ペレによって再建された。
(Wikipediaより)

などと、ル・アーブルのことをウィキったのはこの港町が本作にとって重要なポイントになっているからです。
以前、「君を想って海をゆく」(‘10)という映画を2年前の12月に当試写室で上映しました。http://mtonosama.exblog.jp/15073145/  http://mtonosama.exblog.jp/15091252/
運動音痴でありながら、水泳だけは好きなとのにとって極めて印象的かつ感動的な映画でした。
クルド人の難民少年がドーバー海峡を泳いで英国へ渡るという作品ですが、
こちらはカレーが舞台でした。
カレーはル・アーブルと同じく大西洋に面した北フランスの街で
英仏海峡トンネルでイギリスのドーバーと結ばれています。

f0165567_5502894.jpg

というわけで、イギリスをめざす難民たちは大西洋に面したイギリスに近い北フランスの都市に
足を踏み入れる訳です。
では、難民たちはなぜイギリスを目指すのでしょうか?

理由の第1は、フランスやドイツと違って、イギリスでは亡命者としての身分を簡単に取得することができること。
亡命審査が行われている間、住居と食料、さらに週に35ポンド(約6300円、そのうち約4500円が商品交換券)が支給され、場合によってはそのまま逃亡することもできる。そのうえ、国内に6カ月以上留まると、労働許可証も支給されるが、イギリスには大規模な無許可労働市場があるため、実際には許可証なしに簡単に仕事を見つけることができる。
難民にとってイギリスでの生活の1番の魅力的な面としては、他の欧州諸国にあるIDカード制度がないこと。イギリスでは、犯罪者として疑われているとき以外は、国籍などについて聞かれることはなく、安心して生活することができる。
一方フランスでは、難民には働く権利がなく、彼らは月に180ポンド(約3万2000円)が与えられるだけである。また、制度上は難民センターにおいて住居を探す手助けをしてもらえるのだが、実際は、自分たちで探さなくてはならない。さらに、日常生活を営むうえでIDカードが必需となっており、絶えず生活に対する不安がつきまとうことになる。

フランス外務省のスポークスマンはこう語っている。
ロンドンでは民族の多様性を埋めるべく、法律の整備が行われ、あらゆる分野において「公平さ」や「多様性の理解」が周知徹底されようとしているが、大陸はまったく逆の立場にある。この違いが特にイギリスが難民を引きつける要素になっているのであろう。
こうした難民の流入に伴う多くの問題への対応は、現在、イギリス全土の地方自治体において大きな課題となってきている。
「自治体国際化フォーラム」 http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/articles/jimusyo/146LOND/INDEX.HTM#4


f0165567_552361.jpg

と、またまた引用が長くなってしまいました。
もうおわかりでしょうが、本作では難民が描かれています。

とはいえ、難民の抱えるさまざまな問題をしゃっちょこばって論じる映画ではなく、
あるいは、難民はこんなに可哀想なんだから、という社会派の映画でもありません。
だから、どういう映画なんだ?と問われれば、メルヒェンと答えてしまいましょう。
それも、ここまでやるか・・・と思わず開いた口がそのまま閉まらない超ハッピーな映画なんです。

さあ、異能の人アキ・カウリスマキ監督の最新作は、一体どんなお話でしょうか。
乞うご期待でございますよ。



今日もポチッとお願い申し上げます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆4月15日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ル・アーブルの靴みがき
監督・脚本・プロデューサー/アキ・カウリスマキ、助監督/ジル・シャルマン、撮影/ティモ・サルミネン
出演
アンドレ・ウィルム/マルセル・マルクス、カティ・オウティネン/アルレッティ、ジャン=ピエール・ダルッサン/モネ警視、ブロンダン・ミゲル/イドリッサ、エリナ・サロ/クレール、イヴリヌ・ディディ/イヴェット、ゴック・ユン・グエン/チャング、ライカ/ライカ、フランソワ・モニエ/ジャン=ピエール、ロベルト・ピアッツァ/リトル・ボブ、ピエール・エテックス/ベッカー医師、ジャン=ピエール・レオー/密告者
4月28日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
2011年、フィンランド・フランス・ドイツ、フランス語、93分、字幕翻訳/寺尾次郎、提供/ユーロスペース+キングレコード、配給/ユーロスペース
http://www.lehavre-film.com/

by Mtonosama | 2012-04-15 06:06 | 映画 | Comments(8)