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殿様の試写室

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ルーム
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ROOM

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(C)Element Pictures/Room Productions Inc/Channel Four Television Corporation 2015


「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。
よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし」

などといきなり方丈記のプロローグであります。

鴨長明さんが日野山に一丈(約3m)四方の庵を建てて
住んでおられたことは皆さまご承知の通り。

本作も大体その位の大きさの小屋に住んでいた母子のお話です。
鴨さんは気が向けば山を出歩くこともできたでしょうし、
障子を開ければ四季折々の自然が楽しめたことでありましょう。
しかし、この母子が暮らした方丈は窓といえば天窓だけ。
外との接点は夜になるとやってくる男のみ。
外へ出ることはできないし、四季の移り変わりも知ることができません。

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ストーリー
ママとジャックが二人で暮らす狭い部屋。
今日はジャックの5歳の誕生日。
天窓からの光を受けて起きだしてきたジャックは
電気スタンドや洗面台、トイレに「おはよう!」と挨拶し、
ママがバースデイケーキを焼いてくれるというので喜んでいる。
歯磨き、ストレッチ、壁から壁までランニング。
毎朝のルーティンをママと一緒に楽しげにこなす。
だけど、焼きあがったケーキにはロウソクが立っていない。
ロウソクだけでなく、この部屋に欠けているものは多い。


ジャックは洋服ダンスの中で眠る。
時々、オールド・ニックという男が来て食料や服を置いていく。
その間ジャックは洋服ダンスからは絶対に出ない。
ママは男に「ジャックにもっと栄養を」と訴えるが、
「半年前から失業して金が無い」と逆ギレされる。

翌朝、部屋の電気が切られていた。
寒さに震えながらママは決心する。
この部屋で生まれてから一歩も表へ出たことがなく
この部屋が自分の全世界だと思っているジャックに真実を告げるのだ。

ママの名はジョイであること。
この小屋に閉じ込められてから7年過ぎたこと。
小屋の外には広い世界があるということ。
だが、ジャックに理解することはできず、パニックに陥る。

電気が回復した部屋でじっと考えるジャック。
ママに次々と質問をし、
オールド・ニックをやっつけようと提案する。
だが、固く締まったドアを開ける暗証番号はニックしか知らないのだ。

ジャックの反応に勇気を得たママは策を弄する。
いつも読み聞かせていた「モンテ・クリスト伯」から思いつき
ジャックを死んだことにして外の世界へ運び出す計画を立てた……

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小さな部屋の閉じられた世界しか知らないジャック。
テレビの中でしか見たことのない自動車やママ以外の大人。
信号や犬。
果たして、ジャックはそれらを受け入れることができるのでしょうか。
いえ、それより前にモンテ・クリスト伯脱出計画は成功するのでしょうか。

といったハラハラも含みながら
本作は思わぬ現実世界へ母子を導くのであります。

19歳でオールド・ニックに拉致されたジョイ。
小さな小屋の中で出産し、
誰の助けを得ることもなくジャックを育て上げてきました。
7年間、凌辱され続けながら、それでも絶望することなく
子に本を読み聞かせ、身体を鍛えさせてきたんですね。
いや、絶望していなかったといったら嘘になるでしょうね。

母と子。
二人だけの世界では
母であることを何よりも大事にしなくてはならなかったのだと思います。

むしろ救出劇の後、
傷ついたジョイの心と
事件に翻弄されたジョイの両親の想いへと
踏み込んでいく描写に興味をそそられます。
拉致という行為は
拉致された本人、子を奪われた親にとっても大きな喪失です。

映画の中ではジャックの存在が救いになっています。

ブリ―・ラーマン。
アカデミー賞主演女優賞受賞を納得させる熱演でありました。





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ルーム
監督/レニー・アブラハムソン、脚本・原作/エマ・ドナヒュー、製作/エド・ギニー、デヴィッド・グロス、撮影/ダニー・コーエン
出演
ブリー・ラーマン/ママ(ジョイ)、ジェイコブ・トレンブレイ/ジャック、ジョアン・アレン/ばあば(ナンシー)、ショーン・ブリジャーズ/オールド・ニック、トム・マッカナス/レオ、ウィリアム・H・メイシー/じいじ(ロバート)
4月8日(金)公開
2015年、アイルランド・カナダ、118分、カラー、字幕翻訳/稲田嵯裕里、提供/カルチュア・パブリッシャーズ、ギャガ、配給/ギャガ、http://gaga.ne.jp/room/

by Mtonosama | 2016-03-26 07:20 | 映画 | Comments(8)

ルーム
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ROOM

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(C)Element Pictures/Room Productions Inc/Channel Four Television Corporation 2015


本作のオリジナルタイトルを見て
いわゆるデザイナーズ物件を連想したわたしはバカです。

トロント国際映画祭で観客賞(最高賞)に輝き、
アカデミー賞でも主要4部門へのノミネートを果たし、
「ママ」を演じたブリー・ラーマンはなんと初ノミネートにして
主演女優賞を勝ち取ったのであります。

原作はアイルランドの作家エマ・ドナヒューの大ベストセラー「部屋」。
彼女がこの小説の着想を得たのはオーストリアで実際にあった事件からだそうで、
子どもたちと一緒に24年間も地下室に閉じ込められていた女性が実在しました。

子どもたちと一緒といっても24年前から子どもはいたわけではありません。
24年の間に生まれた子どもたちと閉じ込められていた訳です・・・

日本でもこんな事件がありましたね。
子どもこそ生まれてはいませんでしたが。

ひどい話です。
女をなんだと思っているんだっ!

と、いきりたつわたし。
ドウドウ。
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エマ・ドナヒュー
1969年、アイルランド・ダブリン生まれ。カナダ在住。
現代小説、歴史小説を執筆。ラジオや舞台、映画の脚本も手がけている。
2010年「部屋」出版。ブッカー賞とオレンジ賞の最終候補作となり、
ニューヨーク・タイムズ紙「2010年のフィクション・ベスト5」にも選ばれる。
自ら手掛けた本作の脚本でゴールデン・グローブ賞とアカデミー賞にノミネート。

誘拐。
人権無視。
幽閉中に何度も強姦されるおぞましさ。
そして、妊娠し、たったひとりでの出産。
・・・
ぞっとします。

が、しかし、
エマ・ドナヒューが惹かれたのは
極限状態での母性や
人間の立ち直る力でした。

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このベストセラーには当然多くの映画化オファーが押し寄せました。
その中にあったレニー・アブラハムソン監督からの熱烈な言葉。

「映画作家、親、かつて子どもだった者として
とても強い直感で映像が目に浮かび、心の中で既に映画を作り始めていた」

そんな言葉と共にどんな映画にしたいかも
具体的に書かれていました。

実はエマ・ドナヒューさん
小説を書き上げた時点で
未だ出版もされていない段階で脚本に着手していました。

なんかすごい・・・

さて、エマさんに熱いラブコールを送ったアブラハムソン監督ですが、

レニー・アブラハムソン監督
1966年、アイルランド・ダブリンに生まれる。
トリニティ・カレッジで物理と哲学を学び、
卒業後カリフォルニアのスタンフォード大学に入学。
1991年、初短編映画『3Joes』で評価される。
2004年、『アダムとポール』で長編映画監督デビューし、
アイルランド・アカデミー賞8部門にノミネートされ、監督賞を受賞。
2007年、『ジョジーの修理工場』でカンヌ国際映画祭C・I・C・A・E賞受賞、
アイルランド・アカデミー賞で11部門にノミネートされ、
作品賞・監督賞を含む4部門で受賞。
2012年、『What Richard Did』がトロント国際映画祭でプレミア上映、
アイルランド・アカデミー賞10部門ノミネート、作品賞・監督賞を含む5部門で受賞。
2014年『FRANK-フランク』がサンダンス映画祭でプレミア上映、
アイルランド・アカデミー賞9部門ノミネート、監督賞を含む3部門で受賞。
アイルランドでは大きな評価を獲得した監督だが、
本作『ルーム』でゴールデン・グローブ賞作品賞、
アカデミー賞作品賞と監督賞にノミネートされ、世界の注目を浴びている。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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ルーム
監督/レニー・アブラハムソン、脚本・原作/エマ・ドナヒュー、製作/エド・ギニー、デヴィッド・グロス、撮影/ダニー・コーエン
出演
ブリー・ラーマン/ママ(ジョイ)、ジェイコブ・トレンブレイ/ジャック、ジョアン・アレン/ばあば(ナンシー)、ショーン・ブリジャーズ/オールド・ニック、トム・マッカナス/レオ、ウィリアム・H・メイシー/じいじ(ロバート)
4月8日(金)公開
2015年、アイルランド・カナダ、118分、カラー、字幕翻訳/稲田嵯裕里、提供/カルチュア・パブリッシャーズ、ギャガ、配給/ギャガ、http://gaga.ne.jp/room/

by Mtonosama | 2016-03-23 03:46 | Comments(2)