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キャラメルCARAMEL

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ご紹介するのはレバノンの映画です。
レバノンでは2006年7月イスラム教シーア派民兵組織ヒスボラとイスラエル軍との間に
戦争が起こりました。
この映画は戦争前に撮影され、戦争が勃発したときは編集にかかったばかりだったそうです。
で、キャラメル?

どこか唐突感が否めないタイトルですが、
実はレバノンの女性とキャラメルには切っても切れない関係が。
キャラメルと言っても塩キャラメルや生キャラメルといったスイーツではありません。
レバノンでは昔から、女性は砂糖に水とレモン汁を加え、キャラメル状にしたもので
むだ毛の処理をしてきたのだそうです。
キャラメルをむだ毛の上に塗り、乾きかけたところで一気に剥がす。ウッ。
映画はキャラメル脱毛の痛みに思わず叫んだ女性の悲鳴とともに始まります。

ストーリー
ベイルートの街角にある居心地の良さそうな美容院。
オーナーのラヤールは30歳独身。恋人がいます。
でも、彼は妻帯者。
その恋人から電話がかかると、仕事をスタッフに任せ、店を飛び出して行くラヤール。
そう、不倫です…
        
恋人との結婚を間近に控えた28歳のニスリンはそんなラヤールの後ろ姿を
心配そうに見守ります…

もう一人のスタッフ、24歳のリマはちょっとボーイッシュで無口な女の子。
美容院ではシャンプーを担当し、長い黒髪の美しい客に少々のぼせています…

常連客のジャマルはオーディションを受け続けていますが、
一度も合格したことはありません…

美容院の向かいにある仕立屋のローズは65歳。
自分の人生をほぼ諦めて、仕事と年老いた姉リリーの世話で日を送っています。 

そこへ一人の紳士がスーツを直しにやってきて…

そんなレバノンの普通の女たちが抱える恋愛、結婚、不倫、老い。
戦火の不安に曝されている国とはいえ、人々は普通に生きています。
いえ、戦争は普通に暮らしている人々を平気で蹴散らすものなのですけれど。

レバノン。極東の日本から遥か遠くの国。
レバノンの人々がどんな顔をしているのかも、よく知りませんでした。
イスラム圏の女性は顔を隠しているので、
レバノンの女性がこんなゴージャスな顔立ちだったことにも驚きます。
そして、イスラム教徒もキリスト教徒も混在している国なのですね。

女たちが抱え込んでいる不倫、同性愛、婚前交渉。
中東レバノンでこれらはまぎれもないタブー。
でも、女たちの聖域、美容院ではこうしたことが、おおっぴらではないまでも、
彼女たちの暗黙の了解の内に存在しています。
髪をゆだね、脱毛まで任せるサロンでは、女たちの本音がまかり通るのでしょう。

この映画の監督はゴージャスなアラビア美女ナディーン・ラバキー。
主演女優であり、脚本も手がけている才色兼備の女性です。
1974年生まれの彼女は女優をしながら、
CMやアラブポップスのビデオクリップの監督としてキャリアを積み、
本作で長編映画監督デビューを果たしました。
業界人であり、女優でもありますから、その美貌には納得できますが、
この映画に出演している他の個性豊かな登場人物は皆一般人。
素人でありながら、やはり華やかであでやかなことには驚きます。

アラビアの国々は「千夜一夜物語」に代表されるように華麗なエキゾチックワールドだったのに、
今は戦争と石油ばかりが目をひく地域になってしまいました。
しかし、この映画のどこにも戦争の影はありません
「『キャラメル』は別の方法で戦争を生き抜く、そして戦争を終わらせる、戦争に対する仕返し」

と監督は語ります。

キャラメルのように甘くて、キャラメル脱毛のように痛い。
「キャラメル」は人生の表と裏をはっきり描いた映画です。

「キャラメル」
監督/ナディーン・ラバキー、脚本/ナディーン・ラバキー、ジハード・ホジェイリー、ロドニー・アル=ハッダード
キャスト
ナディーン・ラバキー/ラヤール、ヤスミーン・アル=マスリー/ニスリン、ジョアンナ・ムカルゼル/リマ、ジゼル・アウワード/ジャマル、シハーム・ハッダード/ローズ、
アジーザ・セマアーン/リリー
1月31日(土)より渋谷・ユーロスペース他全国順次ロードショー
配給:セテラ・インターナショナル
www.cetera.co.jp/caramel/

by mtonosama | 2009-01-30 06:06 | 映画 | Comments(10)