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タグ:ロベール・ブレッソン ( 2 ) タグの人気記事

          抵抗 死刑囚の手記より -2-
un Condamné à mort s' ést échappé ou le Vent
souffle où il veut


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© 1956 GAUMONT / NOUVELLES ÉDITIONS DE FILMS

さあ、「抵抗 死刑囚の手記より」の後編が始まります。

ストーリー

1943年、ドイツ占領下のフランス・リヨン。
ドイツ軍に連行されるフォンテーヌ中尉は護送中の車から脱走を試みるが、失敗。
彼が新たに収監されたのはモンリュック監獄の独房だった。

奥行き3メートル、幅2メートル。手を伸ばせば壁についてしまうような狭い房には
ベッド、用便バケツに小さな棚と小窓。
ただ、その高い窓によじ上れば中庭をのぞくことができる。
そんな地獄のような監獄に、手錠をつけたまま収容されたフォンテーヌ。
脱走を企てたものには即処刑の運命が待ち受けている…

フォンテーヌが窓から中庭を見下ろすと、3人の捕虜が。
そっと声をかけると、外部と連絡を取る手段があるという。

再び、脱走を決意するフォンテーヌ。

3人の捕虜のうち、テリーという老人が看守のすきを見て
外部から鉛筆や紙、剃刀の刃などを調達し
レジスタンスの同志や家族との連絡をとってくれる。
テリ―もまたみつかれば命はない。

入獄して15日目、フォンテーヌは最上階の房に移され、手錠を外された。
1日に1度、用便バケツの掃除のため、中庭に出られるようになり
新たな同志とも知り合い、ひそかに情報を交換できるようにもなった
どんな状況でもかすかな希望はあるものだ。

脱獄の準備を本格的に開始するフォンテーヌ。
作業は着々と進む。ある日、仲間の1人が脱獄に失敗し、銃殺される。
慎重の上にも慎重を重ね、準備を整え終えた日、フォンテーヌは死刑宣告を受けた。
そして…


冒頭のシーンから、がっつりつかまってしまった殿です。

撮影に使われたのは、実際のリヨン・モンリュック城塞刑務所。
奥行き3メートル、幅2メートルという狭い房内に据えられたカメラ

カメラは
脱獄準備を着々と進めるフォンテーヌの手元を
盗んだスプーンが床のコンクリートにこすりつけられ、ナイフになるまでを
そのナイフで扉の板張りが外されていく様子を
追い続けます。

観客の眼はカメラの眼となり、カメラの眼は観客の眼となり
フォンテーヌの動きと、道具たちが働く様子を凝視します。

まるで、スクリーンと観客席が同じ平面上にあるかのようです。
わ、ドイツ兵が来る!見つかる!気をつけて!
ドキドキする、その緊張感といったらありません。

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小細工など一切なく、馬鹿正直なまでの《モデル》の単純な動きとそれを追うカメラ。
劇的に盛り上げる音楽もなく
過剰な演技など、なにひとつありません。

何があったって、死ぬわけにはいかない。
そのためにはいま自分にできることを愚直なまでにやり遂げるしかない。
パルチザンの思いが半世紀を経ても鮮やかに脈打っています。
しっかり伝わってきました。

古さなんてまったく感じません。ブレッソン監督、本当にすごい!

でも、こんなことが、その昔、本当に起こって
今もまだどこかで起こっているんですよね…

抵抗 死刑囚の手記より
監督・脚本/ロベール・ブレッソン、原作/アンドレ・ドヴィニー、
撮影/レオンス=アンリ・ビュレル、美術/ピエール・シャルボニエ、編集/レイモン・ラミ、
製作/ゴーモン、製作総指揮/ジャン・テュイエ、アラン・ポワール
出演
フランソワ・ルテリエ/フォンテーヌ、ロジェ・トレルヌ/テリー、
シャルル・ル・クランシュ/フランソワ・ジョスト
3月20日(土)より、岩波ホール他でロードショー
1956年、97分、モノクロ、フランス映画、配給/クレストインターナショナル
公式サイト:http://www.crest-inter.co.jp/selection/index.html


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by mtonosama | 2010-01-31 05:23 | 映画 | Comments(6)
         抵抗 死刑囚の手記より -1-
un Condamné à mort s’ ést échappé ou le Vent
souffle où il veut


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© 1956 GAUMONT / NOUVELLES ÉDITIONS DE FILMS


岩波ホールで上映される『抵抗と人間』をテーマにしたレジスタンス映画・第2弾!
「抵抗 死刑囚の手記より」です。
前回の「海の沈黙」同様、岩波ホールをさしおいて当試写室からお送りいたします。

原題“un Condamné à mort s’ ést échappé ou le Vent souffle où il veut”は
「ひとりの死刑囚が逃げた、あるいは風は自らの望むところに吹く」
という意味だそうです。

「風は自らの望むところに吹く」は『ヨハネによる福音書』から引用された章句。
最後の最後は運任せみたいなニュアンスでしょうか。
一生懸命、努力すれば神様がなんとかしてくれるさ、みたいな。

邦題に「死刑囚の手記より」とあるように
本作は文芸誌「フィガロ・リテレール」1954年11月20日号に掲載され
その後、単行本にもなったアンドレ・ドゥヴィニー少佐の手記がもとになっています。

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監督はロベール・ブレッソン。
この作品が5作品目にあたる映画作家です。
彼もまた約1年間ドイツ軍の捕虜になっていたことがあり
収容中に知り合った司祭に映画制作を依頼され
終戦後「罪の天使たち」を撮影。
この作品で職業俳優を一切使わないというブレッソン流の
演出を確立しました。
彼は出演者を俳優とは呼ばず《モデル》と呼んだそうです。
寡作ではありましたが、数年おきに作品を発表し
1999年98歳で亡くなりました。(Wikipediaより)




モデル…
洋服のモデルは洋服を目立たせないといけませんよね。
じゃ、映画のモデルは主役のおかれた状況をきわだたせて見せるということでしょうか。
ということは、監督の考えを体現する道具であることが要求されるわけです。
モデルには素直さと同時に、深い理解力も必要とされます。
演技するのではなく、カメラの前で、行動すること、存在することが
そのままパルチザンになっていなければならないのですね。

その映画論にはちょっと理屈っぽいところもあるブレッソン監督ですが
「抵抗 死刑囚の手記より」はすごい映画でした。
こんなことを言っていいなら、ものすごくおもしろい映画でした。

ジャン=リュック・ゴダールはこの映画を観て
「ドストエフスキーがロシア小説であり、モーツァルトがドイツ音楽であるように
ブレッソンはフランス映画である」

と称賛したのだそうです。
さすが、ゴダール監督。かっこいいことを言ってくれます。

日本でも高い評価を得てきたブレッソン監督。
1969年には「ジャンヌ・ダルク裁判」(‘62製作)
1970年「バルタザールどこへ行く」(’66製作)
が日本アート・シアター・ギルド(ATG)で公開されています。
1957年に日本で初めて公開され、しかもヒットした彼の作品が他ならぬこの「抵抗」。
当時は「抵抗」の2文字だけで、それも《レジスタンス》と読ませたのだそうです。
時代を感じますね。

さあ、どんな映画なのでしょう。
どうぞ後編までお待ちください。

To be continued.
  
抵抗 死刑囚の手記より
監督・脚本/ロベール・ブレッソン、原作/アンドレ・ドヴィニー、
撮影/レオンス=アンリ・ビュレル、美術/ピエール・シャルボニエ、編集/レイモン・ラミ、製作/ゴーモン、製作総指揮/ジャン・テュイエ、アラン・ポワール
出演
フランソワ・ルテリエ/フォンテーヌ、ロジェ・トレルヌ/テリー、シャルル・ル・クランシュ/フランソワ・ジョスト
3月20日(土)より、岩波ホール他でロードショー
1956年、97分、モノクロ、フランス映画、配給/クレストインターナショナル
公式サイト:http://www.crest-inter.co.jp/selection/index.html


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by mtonosama | 2010-01-28 05:58 | Comments(11)