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殿様の試写室

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                       一命 -2-
                         いちめい

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                       ©2011映画「一命」製作委員会

                    時代劇といえば、うらぶれた長屋の一部屋で、
          月代(さかやき)も伸びきった浪人が不器用な手つきで傘を張る姿がよく出てきます。

          そんな浪人が、例えば、亡き君主のためにきりりと襷掛けして、仇討にのぞむとか、
           半身を脱いだら、桜吹雪の倶利伽羅紋紋。ご存知、遠山の金さんだったりとか、
         そんな筋書きには慣れていても、いったい何故お侍さまが薄汚い格好で傘張りなんぞ
        しなくてはならなかったのか、と裏の事情については余り考えたことはありませんでした。

                    いやぁ、探ってみれば物語はあるものですねぇ。

        関ヶ原の戦いを経て徳川のご治世も落ち着きを見せ、平和が訪れた江戸時代初頭でしたが、
                        しかし、それは表向きのこと。
         足元では大名の御家御取り潰しが行われ、職場も家もなくした武士たちは生活に困り、
                   傘張りや寺子屋などの内職稼業をしていたのですね。
                       そういう苦労はいつの時代も同じです。

                   そんな中、浪人たちの間で流行したのが「狂言切腹」。
         裕福な大名の屋敷に押しかけ、庭先で腹を切らせてほしいと申し出るというのがそれ。
        邸内で切腹などされたくはない屋敷側は職なり金銭を与えて体よく追い払うわけですから、
                   いってみれば、狂言切腹とはたかりみたいなものでした。

            しかし、簡単にたかりとは言い切れない事情もそこには存在する訳でして―――
                     さあ、一体どんなお話でありましょうか。

ストーリー
冬の朝、ひとりの浪人が井伊家の江戸屋敷を訪れました。
「武士として晴れの死に場所に貴家の玄関先を拝借したい」
「またか」苦々しい顔でつぶやく井伊家江戸家老・斎藤勘解由。

斎藤は少し前、同様の切腹を申し出た若い浪人・千々岩求女に出会ったばかり。
元芸州・福島家の千々岩と名乗る若浪人は、いざ切腹の段に及び、暫しの猶予と金子3両を
願い出たのです。その上、武士の命である刀も脇差もなんと竹光。

聞けば、目の前の浪人・津雲半四郎は先の若浪人・千々岩求女と同じ福島家の出です。
「さような者は存じませぬ」と応える津雲に、
斎藤は千々岩求女の切腹の顛末を話してきかせるのでした。
「哀れな話でござりますな」と平然と受け流す津雲。

そして、津雲は庭先で切腹を遂げる前に、
最期の願いとして介錯人を指名することを許されます。3人の介錯人を指名する津雲。
ところが、3人とも出仕しておらず、自宅にも戻っていないという―――

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「申し上げたき儀がございます」静かに語り始める津雲半四郎。

千々岩求女は津雲の娘・美穂の婿でした。求女の父・千々岩甚内は同じく福島家家臣。
そして、津雲同様若い頃に妻を亡くし、男手一つで求女を育ててきましたが、
福島家は取り潰しと相成り、甚内は病に斃れました。
津雲は甚内の幼い息子・求女をひきとり、傘張りをしながら生計を立ててきました。
武術よりも学問を好む優しい男に成長した求女は寺子屋で近所の子どもたちを教え、
美穂と結婚、男児・金吾を授かります。

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金吾のお食い初めの祝いの日、尾頭付きの魚の切り身を食べさせる祖父となった津雲。
貧しいながらも幸せなひととき―――
しかし、津雲は痩せ細った美穂を心配し、求女の大切な蔵書が減っていることを気にかけます。

病弱だった美穂は吐血。求女は金策に駆け回ります。そんな時、金吾が高熱を出しました。
医者を呼ぶ金もなく、津雲が駆けつけてもなす術もありません。
求女は「心あたりがあるから」と家を飛び出していくのでした……

        貧しくとも誇り高く生きてきた浪人が追い詰められて、たかりまがいの狂言切腹を計画。
       井伊家の家臣に侮辱され、竹光をその痩せ腹につきたて、非業の最期を遂げる―――
        妻子のために己の誇りを捨て、追い詰められ、惨めな最期を迎えるまでを
                     淡々と演じる瑛太。良かったです。

        一方、この映画の大きな見せ場である津雲半四郎が、単身、それも竹光で、
               数十人の井伊家家臣を相手に斬り合う様子は圧巻。
       といっても竹光ですから、倒した相手はすぐさま立ち上がり、向かってきます。
      たった一人で、ゾンビのごとく、斬られては立ち上がり、刺されては向かってくる
              家臣団相手に孤軍奮闘する剣戟シーンは手に汗握ります。
                自身は一人も殺すことなく、極限まで闘い抜く―――
                          これぞ侍の美学。

      さすが梨園のスター海老蔵様です。所作と立ち回りは、やはり素晴らしいですね。

           と、限定的に褒める裏にはなにかがあるな?と思われたあなた。
                           ご明察です。

           時代劇は立ち回りにあり、と断定するなら、海老さまは最高です。
                           美しいです。

     しかし、この作品は追い詰められた浪人が命を賭けて狂言切腹におしかけるわけですから、
    その理由となった浪人の日常生活をしっかり演じてこそ切迫感が際立つと思うのですけどね。

          まだ若く、遊びたい盛りの海老蔵にそれを要求するのは酷でしょうか。

          あ、あとひとつ。この映画を3Dで撮影する理由はあるのでしょうか。
       映画観賞中、ときどき3D眼鏡を外してみたのですが、あまりよくわかりませんでした。
     確かに、紅葉した木々が浮き上がって見え、降りしきる雪が津雲半四郎の上に舞うさまは
                 まさにジャパニーズ・ビューティでありましたが。

      眼鏡と3D眼鏡をダブルでかけねばならない身としては、確たる存在理由がない限り、
                 できれば3Dはご遠慮申し上げたいと思いまして。
                    わがままを言って申し訳ございません。

      


                               

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一命
監督/三池崇史、原作/滝口康彦(講談社文庫版「一命」収録「異聞浪人記」より)、脚本/山岸きくみ、音楽/坂本龍一、エグゼクティブプロデューサー/中沢敏明、Jeremy Thomas、プロデューサー/坂美佐子、前田茂司、撮影/北信康(J.S.C)、衣装デザイン/黒沢和子
出演
市川海老蔵/津雲半四郎、瑛太/千々岩求女、満島ひかり/美穂、役所広司/斎藤勘解由、竹中直人/田尻、青木崇高/沢潟彦九郎、新井浩史/松崎隼人正、波岡一喜/川辺右馬助、平岳大/井伊掃部直孝、笹野高史/宗祐、中村梅若/千々岩甚内
10月15日(土)ロードショー
2011年、カラー、127分、配給/松竹、http://www.ichimei.jp/

by mtonosama | 2011-09-24 06:43 | 映画 | Comments(10)
                       一命 -1-
                        いちめい

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                      (C) 2011映画「一命」製作委員会
                        
                         久々の時代劇です。
                   それも3D映像。時代劇で3Dなんですね。
             そこのところが、150歳の頭ではいまいちよくわからないのですが、
                   海老蔵、瑛太出演とあってでかけてきました。

         惜しくも選にはもれましたが、カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
                 原作は滝口康彦「異聞浪人記」、監督は三池崇史です。

滝口 康彦(たきぐち やすひこ、1924年3月13日-2004年6月9日)は、日本の時代小説家である。本名・原口康彦(はらぐち やすひこ)。生涯のほとんどを佐賀県多久市で過ごし、旧藩時代の九州各地を舞台にした「士道」小説を数多く発表した。
武家社会の掟にしばられる下級武士の悲劇など、「『士道』の峻烈さ、酷薄さ、無残さ」を描くことにかけては並ぶ者のない、当代きっての時代作家であった、と高く評価されている。(Wikipediaより)

本作の原作「異聞浪人記」は1958年発表、第54回サンデー毎日大衆文芸入選作品。62年には「切腹」(小林正樹監督/仲代達也主演)として映画化。第16回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。時代小説を書き続け、その作品には「体制と個」という根幹的なテーマが貫かれている。

三池崇史監督は1960年生まれ。95年「第三の極道」で劇場映画デビュー。ジャンルを問わず、映画製作を続けている。昨年のベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された「十三人の刺客」が今年4月全米公開。


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     さて、およそ40年前に同じ「異聞浪人記」を原作として「切腹」という映画がつくられています。
           今回は三池崇史監督流「異聞浪人記」の映画化ということでありまして、
               どんな仕上がりになっているか、お・た・の・し・みに。

                 しかし、海老蔵さん、相変わらず眼力の強いこと。
               映画出演は「出口のない海」(‘06)に続き、2本目です。
                人間魚雷に乗り込む特攻隊員を演じた前作とは違って、
                  今回は殺陣のシーンも満喫させてくれますが、
              5歳しか年齢差のない瑛太の舅役とは、分の悪いことですね。

                  落ちぶれた初老の浪人を演ずる訳ですが、
         さすが、海老蔵さん。所作や殺陣、強い眼力には、目を瞠るものがあります。

          さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。乞うご期待でございますよ。

                              

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一命
監督/三池崇史、原作/滝口康彦(講談社文庫版「一命」収録「異聞浪人記」より)、脚本/山岸きくみ、音楽/坂本龍一、エグゼクティブプロデューサー/中沢敏明、Jeremy Thomas、プロデューサー/坂美佐子、前田茂司、撮影/北信康(J.S.C)、衣装デザイン/黒沢和子
出演
市川海老蔵/津雲半四郎、瑛太/千々岩求女、満島ひかり/美穂、役所広司/斎藤勘解由、竹中直人/田尻、青木崇高/沢潟彦九郎、新井浩史/松崎隼人正、波岡一喜/川辺右馬助、平岳大/井伊掃部直孝、笹野高史/宗祐、中村梅若/千々岩甚内
10月15日(土)ロードショー
2011年、カラー、127分、配給/松竹、http://www.ichimei.jp/

by mtonosama | 2011-09-19 06:39 | 映画 | Comments(10)