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三里塚に生きる
-2-

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古い古い記憶になりますが、三里塚といえば思い出すのは小川紳介監督です。
『日本解放戦線 三里塚の夏』(‘68)をはじめとした7本の映画と膨大なラッシュフィルムを残しました。
『三里塚の夏』は、フルフェースヘルメットとジュラルミンの盾に身を固めた機動隊に対して
投石と糞尿弾で対抗した農民の姿を描き出したドキュメンタリーです。
ベトナム反戦と反権力へのうねりと共に当時渦巻いていた学生たちの動き。
その舞台である大学キャンパスで上映され、闘う三里塚農民の雄姿に学生たちも
大いに刺激されたものであります。

本作を構成するのは小川プロの残した映像と
カメラマン大津幸四郎が3年がかりで撮り下ろした現在の映像と
写真家・北井一夫の写真集『三里塚』(‘71)の写真と、
彼がこの映画のために撮り下ろした写真から成り立っています。
その編集を担当したのは代島治彦。

過去と現在とが交錯し、
小川プロが残したフィルムに息づく闘う農民と
カメラマン大津幸四郎が撮影した現在の静かな農民によって展開される
動と静の世界がスクリーンに繰り広げられます。


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監督・撮影/大津幸四郎
1934年静岡出身。1958年に岩波映画製作所に入社。5年間撮影助手を務めた後退社。以後フリーランスカメラマンとして独立。同時期に岩波を退社した小川紳介監督の『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(‘67)、『日本解放戦線 三里塚の夏』(‘68)、土本典昭監督の『パルチザン前史』(‘69)、『水俣 患者さんとその世界』(‘71)の撮影を担当。柔軟なカメラワークで注目され、日本映画の最前衛に立つカメラマンとしての評価を固めた。2005年に自ら撮影・構成した『大野一雄ひとりごとのように』を発表。もともと演出家志望だった大津は70代にして監督デビューを果たす。

監督・編集/代島治彦
1958年埼玉出身。映像作家、プロデューサー。広告代理店博報堂を経て、フリーランスとして独立。1992年に沖縄を舞台にした劇映画『パイナップル・ツアーズ』をプロデュース、ベルリン国際映画祭はじめ数々の国際映画祭に出品。1994年から9年間ミニシアター「BOX東中野」を経営。多数のドキュメンタリー映画を配給・公開。2010年日本のドキュメンタリー映画をひもとく『まなざしの旅 土本典昭と大津幸四郎』を監督。2012年チベットの難民少年を主人公にした『オロ』(岩佐寿弥監督)http://mtonosama.exblog.jp/17721188/ http://mtonosama.exblog.jp/17731521/
をプロデュース。2006年から5年がかりで監督・撮影・編集したDVDシリーズ『日本のアウトサイダーアート』(全10巻・紀伊国屋書店)は欧米の美術会で評価が高い。

例のごとく紹介が長くなってしまいましたが、
本作に対する大方のご意見は「なんで今更三里塚?」ではないでしょうか。
現に空港はでき、飛行機は農作業する反対派農民の脇をかずめて飛んでいます。
もう負けたんじゃないの?

でも、映画の冒頭に出てきた70年代から未だ団結小屋に住み続ける人が言っていました。
「いまだって差別もある、抑圧もある、搾取もある。
70年代の『闘う主体』があった頃に比べて、いまの方がよっぽど悪くなっていると思う」

元反対同盟のおじいさんも言っています。
「『空港阻止』っていうのはひとつのスローガンだけどよ、
だけど理屈的にはよ、政府の人権を無視したやり方への反発なんだよな」

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空港はできてしまいました。
とのを含め、胸をときめかせて成田空港を利用する人も多いでしょう。
しかし、闘いの歴史を消し去ることはできません。
語り手の声を残していくこと。これも闘いです。

三里塚闘争のさなか自死した青年行動隊リーダー三ノ宮文男の志を今も受け継ぐ人もいました。
あ、三ノ宮文男の遺書を朗読するのは井浦新です。
闘いは終わっていません。「持続する志」を目の当たりにするドキュメンタリーでした。

わざわざ辛い人生を生き続けるこの人たちに心からの敬意を捧げます。





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☆11月21日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

三里塚に生きる
撮影・監督/大津幸四郎、監督・編集/代島治彦、音楽/大友良英、写真/北井一夫、朗読/吉行和子、井浦新、プロデューサー/赤松立太、代島治彦、制作・配給/スコブル工房、企画・製作/三里塚に生きる製作委員会、制作協力/映画美学校、アテネ・フランセ文化センター、成田空港・空と大地の歴史館、ムスタッシュ、波多野ゆき枝、飯塚俊男
11月22日(土)ユーロスペースにて公開
2014年、カラー・モノクロ、140分、日本 http://sanrizukaniikiru.com/

by Mtonosama | 2014-11-21 06:44 | 映画 | Comments(8)
三里塚に生きる
-1-

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成田は遠いよなぁと文句を言いながらも、
海外に行く時には成田からの方がときめくよね、等と思うようになってしまった昨今。
三里塚といっても知らない人の方が多くなってしまったでしょうか。

かつて三里塚というのは成田市の農村地帯で、畑の広がる地域でした。
今もそうで、本作に登場する人々は多くは農民たちです。
その地で今も続く空港建設反対闘争。
三里塚を知らないといっても、空港手前のゲートでパスポートを提示させられ、
利用する航空便を申し述べなければならないことから、
今もこの地に反対闘争が続いていることを「ああ、そうだった」と思い浮かべる方もおいででしょう。

1960年代初頭、将来的な国際化に伴う航空(空港)需要の増大を見越し、
政府は羽田東京国際空港に代わる本格的な国際空港の建設を計画。
1963年(昭和38年)の案では、現空港の4km南にある富里地区がその候補になったが、
富里は農場経営のモデルケースだったことから激しい反対運動が起こり、
2年後に白紙撤回。
その後あがった候補地はいずれも反対運動にあい建設計画自体に頓挫する恐れが出てきた。
このことを懸念した佐藤栄作内閣は、1966年(昭和41年)6月に御料牧場があった三里塚・
芝山地区を候補地として、同年7月4日に閣議決定。政府は地元から合意を得るどころか事前説明すら怠り、代替地等の諸準備も一切なかった。
そのため、農民を中心とした地元住民の猛反発を招く。
政府は閣議決定であることを盾にして一切の交渉行為を行わなかったために、
地元農民達は7月20日「三里塚芝山連合空港反対同盟」を発足させ、三里塚闘争が始まった。 
(Wikipediaより)

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三里塚闘争。
ああ、若い頃、そんなことがあったなぁ(遠い目)――
あ、ここで遠い目をしてはいけないのだった。

本作は、今もまだ闘い続ける人々があるという現実に
あらためて気づかせてくれるドキュメンタリー映画です。

本作に登場する人々にはもうかつての激しさはないけれど、
もうどこにでもいるようなじいちゃんばあちゃんだけれど、
畑を耕し、野菜を収穫するという日常の中でいまだ怒り続けています。
あの頃の想いを昨日のことのようにカメラに向って語ります。

東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催され、国中が浮かれていた1964年。
新国際空港の候補地は浦安沖案と富里案に絞り込まれていました。
翌65年。
関係閣僚懇談会は候補地を千葉県富里村(現富里市)付近に内定。
地元は激しく反発。近隣町村議会が次々と反対決議。

そして翌年6月。
運輸省は立地場所を成田市三里塚に変更。
7月には三里塚案を閣議決定しました。

この頃、日本の人口は1億人を突破。
行け行けドンドンの時代です。

日本の経済成長の陰で踏みつけにされる農民たち。
戦後、満州からひきあげ、一から開墾した大事な農地をひとことの事前説明もなく、
代替地もなく奪われてなりましょうか。

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「金目でしょ?」
と、福島のときもあの目の大きい議員が言ったけれど、
冗談じゃないです。
三里塚から半世紀経っても変わらない政府の発想。

三里塚は50年前のモノクロ画像の世界ではなく、今もまだ渦中にあるテーマです。
福島や川内にも通じる問題です。

さあ、いったいどんなドキュメンタリーをこの眼で視ることができるのでしょうか。

続きは次回までお待ちください。



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☆11月18日に更新しました。お休みしている間も応援していただき、ありがとうございました☆

三里塚に生きる
撮影・監督/大津幸四郎、監督・編集/代島治彦、音楽/大友良英、写真/北井一夫、朗読/吉行和子、井浦新、プロデューサー/赤松立太、代島治彦、制作・配給/スコブル工房、企画・製作/三里塚に生きる製作委員会、制作協力/映画美学校、アテネ・フランセ文化センター、成田空港・空と大地の歴史館、ムスタッシュ、波多野ゆき枝、飯塚俊男
11月22日(土)ユーロスペースにて公開
2014年、カラー・モノクロ、140分、日本
http://sanrizukaniikiru.com/

by Mtonosama | 2014-11-18 06:35 | 映画 | Comments(9)