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殿様の試写室

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家路 -2-

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©「家路」製作委員会

2012年、当試写室で「プリピャチ」というチェルノブイリ事故のその後を撮影した
ドキュメンタリー映画を上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/17244517/ http://mtonosama.exblog.jp/17256592/

2013年には「故郷よ」というチェルノブイリ事故後プリピャチに暮らしていた人々
を描いた劇映画を上映しています。
http://mtonosama.exblog.jp/18576798/ http://mtonosama.exblog.jp/18591585/

プリピャチというのはチェルノブイリ原発から4キロしか離れていない街です。
「故郷よ」は事故後30年近くを経過しても、立入制限区域であるプリピャチの市内や
かつて原発で作業する人々が住み今や廃墟となったアパートの中に、
俳優とカメラが入り、撮影した映画でした。

チェルノブイリ事故に関連した劇映画は事故後数十年を経てようやく撮影されましたが、
日本では事故後3年を迎える前に撮られています。
既に、2012年にも園子音監督が「希望の国」を制作していますし。

さあ、事故後3年にして描かれた劇映画、いったいどんな作品なのでしょう。


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ストーリー
次郎
あの日から誰も入ることができない家。
かつては大勢の家族で暮らしていた家。
警戒区域内にあっても、季節はめぐり、今は鮮やかな新緑に彩られるこの家に
次郎は誰にも告げず、たった一人で帰ってきた。
一人で苗を育て、土を耕し始めた。
そこへ同級生が訪れる。
彼と想い出の地をめぐりながらボツボツとこれまでのことを話し始める次郎。
なぜ、この家を出て、二十年近くも帰らずにいたのか。
なぜ、震災後の今、誰もいなくなった家に戻ってきたのか・・・
同級生は訊く。「ここで暮らしていくって、ゆっくり自殺するようなものじゃないのか?」
次郎は「誰もいなくなったら、何もなかったってことになる」と――

総一
先祖から受け継いだ土地を福島原発事故によって失い、仮設住宅に暮らす総一。
今日も警察に行き、窮状を訴える。
農家の長男である総一は父から受け継いだ田畑を失うことは故郷を失うことであり、
自身の尊厳を失うことでもあった。この現実の前では光もなければ可能性も希望もない。
総一の妻・美佐は娘を姑に預け、以前のように風俗で働き始めている。

母・登美子
総一と美佐に気を遣いながら狭い仮設で同居する総一の継母・登美子。
容赦ない現実を静かに受け入れているように見えながらも、
地域の権力者だった亡夫の下で小作人のように働かされてきたというわだかまりを
抱え、少しずつ壊れ始めている。
とりわけ彼女の心に重いしこりとなっているのは20年程前、夫に言われるままに、
血を分けた息子である次郎を家から送り出したことへの深い悔いである。

家族の再会
やがて次郎の帰ってきていることを知った総一は次郎を迎えにいく。
畑を耕す次郎を見て、総一はたまりにたまった憤懣を弟に向ってぶつけてしまう。
そんな兄に「ここでもう一度やり直したい」と告げる弟。
その後、仮設住宅にやってきた次郎に「みんな揃ったね」と喜ぶ母・登美子。
次郎と登美子は何も変わらなかったかのように米作りの段取りを話し始める。
翌日、母子はかつて暮らした家に向う。
途中まで見送った総一の中でも何かが変わり始めたようだ……

チェルノブイリ事故から数十年経って
ようやく劇映画「故郷よ」が撮影されたことに較べると、
本作のような、過去も現在もこれからのことも含め、
あの地に暮らす人たちを客観的にとらえようとする劇映画が撮影されたことは驚きです。

原発事故が皆の記憶にまだ生々しい時期に
(というか、今も、これからも進行形でありますが)
撮影されたのですから。

日本人は忘れやすい人々であるとはいえ、
今はまだ、あの事故を終わったこととして結論を出す時期ではありません。
そうです。
本作は結論ではなく、とまどいをとまどいとしてそのまま描き出した作品なのでしょう。

福島の原発事故は終わったのではなく、これからも続いていきます。
これからも私たちの内にあります。





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☆2月21日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

家路
監督/久保田直、脚本/青木研次、企画協力/是枝裕和、諏訪敦彦、撮影/板倉陽子
出演
松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子、安藤サクラ、山中崇、三石研、田中要次、石橋蓮司
3月1日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年、日本、1時間58分、配給ビターズエンド
http://www.bitters.co.jp/ieji/

by Mtonosama | 2014-02-21 07:03 | 映画 | Comments(8)
家路 -1-

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©「家路」製作委員会


あの大震災、そして、あの原発事故からもう3年経ちました。
3年――
言葉では簡単に言えますが、
自分の家や土地、生業を失くし、
先行きも決められないまま過ごす3年はあまりに長過ぎます。

本作はあの震災の翌日、福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内で代々暮らし、
農業を営み、今は仮設住宅に暮らす家族が主人公の物語です。
ドキュメンタリーではなく、劇映画です。
劇映画だから、こんなこともあるだろう、これはどうよ?と想像や想いもつまった映画です。
観客は、監督や脚本家のフィルター越しにその後の福島をみつめ客観的に考えることができます。

しかし、誰もいない商店街、仮設住宅、耕す人のいない農地。
皆、現実です。今そこにある光景です。

久保田直監督作品。


久保田直監督
1960年生まれ。1982年からドキュメンタリーを中心としてNHK、民放各社の番組制作に携わる。2007年カンヌMIPDOCでTRAILBLAZER賞を受賞し、世界の8人のドキュメンタリストに選出される。2011年に文化庁芸術祭参加作品「終戦特番 青い目の少年兵」(NHKBSプレミアム)を演出。本作が劇映画デビュー作。

MIPDOC
“MIP”は毎年、年に2 回カンヌで行われる最大級の映像コンテンツ国際見本市。期間中は約100ヶ国から1万人以上のメディア関係者が集まる。MIPDOCはドキュメンタリー番組に特化したスクリーニング・イベント。
http://www.reedmidem.co.jp/miptv/purpose.html

本作には是枝裕和監督、諏訪敦彦監督が企画協力しています。

震災後の家族を描いた「家路」。
福島原発の警戒区域内に住んでいた兄と弟、亡父と息子たち、夫と妻――
それぞれの確執や苦しみや愛情を描いた物語です。

20年ぶりに今は立入禁止区域内にある家に戻ってきて稲を育てる弟――
現実にはありえないような設定でしょう。
が、しかし
被災地と仮設住宅でおこなった取材によって得た実在の人物のエピソードを脚本に加え、
まるでドキュメンタリー映画のような作品に仕上がりました。
でも、劇映画です。

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豊かな緑の中に、まだ真新しい街路灯や看板の商店街。
それだけを見れば、
今そこに人っ子一人いないことの方がフィクション以外の何者でもないように思えます。
でも、車道には雑草が生え、急いで避難した人がほっぽっていったのか自転車が転がっています。
この映像ほど、捨てられた町、去らざるを得なかった町民の想いを強く語りかけてくるものはありません。
現在居住制限区域となった場所で撮影されたシーンです。

震災後、立入禁止区域となった兄弟の生家として登場する家は
福島県川内村の旧緊急時避難準備区域(福島第一原子力発電所から20~30キロ)にあります。

無人の商店街も、
全域が警戒区域(福島第一原子力発電所から20キロ圏内)となった富岡町で撮られました。
現在、地域再編によって立入制限は解除されたものの、
実際は15歳以下の立ち入りは禁止され、
それ以上の年齢の人も立ち入りは午前9時から午後3時まで時間を制限されています。
また、スクリーニング(放射線量検査 / 表面汚染検査)も推奨されているということです。
本町内での本格的な映画の撮影は本作が初めてです。
俳優もスタッフも緊張を強いられる撮影だったでしょう。

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まだ3年?もう3年?
仮設住宅で暮らす人はまだいるし、
将来の展望の立たない人は大勢います。
人が人として生きるためには、これまで寄って立ってきた仕事が必要です。

しかし、映画は被災者としての彼らではなく、
親子、兄弟、夫婦、友人、さまざまな確執を抱えた彼らをも描き出しています。

非現実的な設定ではあっても決してありえないわけではありません。
そもそもありえないこと、あってはならないことが起こってしまったのですものね。

さあ、どんなお話なのでしょうか。
続きは次回までお待ちください。



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☆2月18日に更新しました。雪の被害を受けられた皆さまにお見舞い申し上げます。
いつも応援して下さって、ほんとうにありがとうございます。☆

家路
監督/久保田直、脚本/青木研次、企画協力/是枝裕和、諏訪敦彦、撮影/板倉陽子
出演
松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子、安藤サクラ、山中崇、三石研、田中要次、石橋蓮司
3月1日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年、日本、1時間58分、配給ビターズエンド
http://www.bitters.co.jp/ieji/

by Mtonosama | 2014-02-18 06:50 | 映画 | Comments(8)