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わが母の記 -2-

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(C)2012「わが母の記」製作委員会

自分の来し方をつらつら眺めてみますれば、案外読まず嫌い、食わず嫌いというか、
読んでない作家が多いのでした。
例えば、司馬遼太郎などは、おじさんが読む本と決めつけ、長い間読まずに来ましたが、
読んでみると、これが非常に面白く、今や幕末史の師になっていただいております。

その司馬遼太郎が、井上靖が亡くなったときに葬儀委員長を務めたというのですから、
井上靖という作家の作品もぜひ読んでみなくては、と思いました。
はい。恥ずかしながら、今までに一冊も読んだことがございません・・・・・

井上靖といえば「敦煌」を思い浮かべますが、なんか長尺物というイメージが強いですものね。
しかし、本作の原作となった「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」は自伝小説。
あまり構えることなく読めそうな気がします。

本作は、井上靖が家族と過ごした世田谷区の自宅が撮影に使われたということで、
大作家の書斎も実物が映されています。
作家がどんなところで作品を書いたのかって、映画を離れても興味がありますよね。

さあ、どんなお話かといいますと、

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ストーリー
1959年、小説家の伊上洪作は病気の父を見舞うため、湯ヶ島の実家にいました。
その時、ふと記憶のかなたから浮かび上がってきたのは雨の中、
幼い妹の手をひいて立っているまだ若い母の姿。
幼少期、伊上は両親や妹たちと離れて1人だけ曾祖父の妾おぬいと暮らしていたことがあるのです。
東京に戻ったその晩、持ち直したかに見えた父が亡くなりました。

1960年、父亡き後の母の処遇が問題になり、身軽な妹・桑子が面倒を見ることに。
ある日、桑子に伴われて伊上家にやってきた母は物忘れがひどくなったようでした。
その様子に苛立ちを隠せない伊上に向って、
「お前をあの女に預けたのは一生の不覚だった」などと言い出す母。
あの女というのは8年間伊上を育ててくれた曾祖父の妾おぬいのことです。

1963年、伊上の家族は母・八重の誕生日を伊豆のホテルで祝います。
姉・志賀子の夫や、運転手や秘書も参加して盛大に祝いました。
上機嫌の母でしたが、その記憶は以前よりも更に薄れています。ショックを隠しきれない伊上と姉妹。

1966年、認知症の進んだ母をしばらく伊上がひきとることに。
母は伊上の三女・琴子の提案で軽井沢の別荘で、生活。
琴子と運転手の瀬川、お手伝いの貞代の3人が母・八重に振り回されながらも楽しく過ごしていました。

1969年、おぬいの50回忌の法要に一族が集まります。
母は徘徊するようになり、息子も娘も分からなくなっていました。
ある朝、「息子はおぬいに奪われた」と言う母の言葉に感情を抑えきれなくなった伊上は…

家族想いであった作家、母とおぬいの間で揺れ動いた幼い日の想いをひきずり続けた作家。
井上靖の思いがけない素顔を知ることができました。
そして、作家の本物の住居や書斎を見るにつけても、文豪とはリッチなのだなぁ、と
映画の本筋から離れたところでも驚くことしきりでありました。

それにつけても緑濃い伊豆・湯ヶ島の山々やわさび田。
しっとりとした水分を感じられる優しい日本映画でした。

どうでもいいことではありますが、とのも幼少時母方の祖母に溺愛され、
また、とのもこの祖母が大好きでしょっちゅう祖母の家に泊まっておりました。
にもかかわらず、祖母の家にいると母に会いたくて、会いたくて、どうしようもなくなってしまうのです。
「ああ、わたしはこんなに2人が大好きなのにどうして3人一緒にいることができないのだろう」
と幼い胸をいためていたものでした。
ことほど左様に、愛とはおとなのみならず子どもの心をも引き裂くもの。
愛が強すぎるとき、気持の折り合いをつけるというのはまことに大変なことです。
こんなところでも井上靖に親近感を抱き、彼の本を読んでみようという想いがますます強くなりました。





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☆4月24日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

わが母の記
脚本・監督/原田眞人、原作/井上靖「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」、撮影/芦澤明子、美術/山崎秀満
出演
役所広司/伊上洪作、樹木希林/母・八重、宮崎あおい/三女・琴子、南果歩/妹・桑子、キムラ緑子/妹志賀子、ミムラ/長女・郁子、菊池亜希子/次女・紀子、三浦貴大/瀬川、真野恵里菜/お手伝い・貞代、赤間麻里子/妻・美津、三國連太郎/父
4月28日(土)全国ロードショー
2011年、カラー、118分、配給/松竹、http://www.wagahaha.jp/

by Mtonosama | 2012-04-24 05:48 | 映画 | Comments(6)
わが母の記 -1-

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(C)2012「わが母の記」製作委員会

「わが母の記」。こういうタイトルもなんとなく気恥ずかしいとのであります。
もし、とのが亡母について何か書くことがあるとしたら、少なくともこういうタイトルにはしないと思います。
ま、書く予定はないからいいのですが。

本作は井上靖の自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」を映画化したもの。
監督は「突入せよ!あさま山荘」(‘02)、「クライマーズ・ハイ」(‘08)
http://mtonosama.exblog.jp/8486082/ の原田眞人監督です。
このおふたり、静岡県立沼津東高等学校で先輩後輩にあたる関係だとか。


井上靖(1907年(明治40年)5月6日 - 1991年(平成3年)1月29日)は、日本の小説家、詩人。文化功労者、文化勲章受章。
小説は現代を舞台とするもの(『猟銃』、『闘牛』、『氷壁』他)、自伝的色彩の強いもの(後述。『あすなろ物語』、『しろばんば』他)に加え、歴史に取材したものに大別される。歴史小説は、日本で特に戦国時代(『風林火山』、『真田軍記』、『淀どの日記』他)、中国ではとりわけ西域を題材にした(『敦煌』、『楼蘭』、『天平の甍』他)ものを多く描いた。
歴史作品を中心に各国語に翻訳され、ペンクラブ会長時代にはしばしばノーベル文学賞の候補とされた。巧みな構成と詩情豊かな作風は今日でも広く愛され、映画・ドラマ・舞台化の動きも絶えない。
『しろばんば』、『夏草冬涛』、『北の海』は、井上靖自身がモデルの主人公・伊上洪作の、幼少から青年になるまでの自伝的な作品である。『しろばんば』は静岡県伊豆湯ヶ島(現伊豆市湯ヶ島)で過ごした幼少時代の、『夏草冬涛』は旧制沼津中学校の生徒だった頃の、『北の海』は沼津中学卒業後の沼津での浪人生活の1年近くの日々を描いたもので、その日常、あるいは旧制第四高等学校の練習に誘われ、寝技主体の柔道、いわゆる高専柔道に明け暮れる洪作が生き生きと描かれている。井上靖の周囲に実在した人物がモデルとして多く登場し、特に『しろばんば』中に登場する、曽祖父の妾で洪作とは血の繋がらない「おぬいばあさん」(実在の名は「おかの」)との生活は、井上靖の人格形成を語る上で欠かせないものである。
その他、老いの境地に入った実母・八重について書いた靖晩年の短編三部作として『花の下』、『月光』、『雪の面』がある。(Wikipediaより)


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2女2男に恵まれ、芥川賞はじめ数々の文学賞を受け、まさに昭和の文豪と呼ぶにふさわしい井上靖。
その大作家が母に抱く屈折した想いを、
抒情性のみに訴えることなく、役所広司と樹木希林が軽妙に、かつ、しみじみと演じています。

伊豆の美しい自然と昭和30年代のほのぼのとした家族愛も
「ああ、こんな景色があったなぁ」「そういえばこんなおばさんやおねえさんたちもいたっけ」
とあらためて感じ入ります。

「おとうさま」という呼び方が優しく響くほんの少しだけ昔の良い時代。
自信を失ってなんとなく元気のない現代の日本ですが、
言葉づかいひとつ、心づかいひとつで私たちも変わっていけるのかもしれない、と感じられる場面もありました。

日本よりも先に海外で話題になったという本作。
第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞し、
第16回釜山国際映画祭のクロージング作品となり、さまざまな国際映画祭に出品されています。

さあ、どんなお話でしょうね。次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆4月21日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

わが母の記
脚本・監督/原田眞人、原作/井上靖「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」、撮影/芦澤明子、美術/山崎秀満
出演
役所広司/伊上洪作、樹木希林/母・八重、宮崎あおい/三女・琴子、南果歩/妹・桑子、キムラ緑子/妹志賀子、ミムラ/長女・郁子、菊池亜希子/次女・紀子、三浦貴大/瀬川、真野恵里菜/お手伝い・貞代、赤間麻里子/妻・美津、三國連太郎/父
4月28日(土)全国ロードショー
2011年、カラー、118分、配給/松竹、http://www.wagahaha.jp/

by Mtonosama | 2012-04-21 05:54 | 映画 | Comments(6)