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殿様の試写室

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たかが世界の終わり
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Juste la fin du monde

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(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual


グザヴィエ・ドランの第6作目にして最新作。
『たかが世界の終わり』です。


グザヴィエ・ドラン監督
『マイ・マザー』(’09)で監督デビューした時はなんと19歳。
2010年『胸騒ぎの恋人』では
弱冠20歳でその後の創作スタイルを固めます。
2012年『私はロランス』
性にまつわる様々な障害や偏見が以前ほどではなくなった90年代が舞台。
LGBTをめぐる問題を前面に打ち出した映画で、
日本で初めて紹介されたドラン作品となりました。
2013年『トム・アット・ザ・ファーム』
主人公トムが交通事故で死んだ恋人ギョームの葬儀に出席するため、
彼の実家を訪ねたことから始まるちょっと怖い映画でした。
http://mtonosama.exblog.jp/23216811/ http://mtonosama.exblog.jp/23232949/
2014年『Mommy/マミー』
奔放なシングルマザーと矯正施設から退所してきたばかりの
多動性障害を持ち、情緒の不安定な15歳の少年。
そんな母子の生活に休職中の高校教諭も巻き込んで展開する
心と心のぶつかり合いを描いた作品。
いやあ、ドランって年を経るごとに映画も成長していくようです。
http://mtonosama.exblog.jp/23915924/ http://mtonosama.exblog.jp/23926931/
そして
2016年『たかが世界の終わり』

新作発表の度にカンヌやベネチアの国際映画祭に出品され、
『Mommy/マミー』など、あのジャン=リュック・ゴダール監督と並んで
カンヌ国際映画祭審査員特別賞に輝いています。
授賞式で「夢を捨てなければ、世界は変えられます」と
熱く語ったのは記憶に新しいところです。


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実は、心のどこかで一過性の美男子監督だと思っていました。
いやいや、とんでもない間違いでした。
一体どこまで進化するのか。グザヴィエ・ドラン。

本作の原作はジャン=リュック・ラガルスの同名戯曲で、
監督デビュー作『マイ・マザー』の母親役を演じた
アンヌ・ドルヴァルから渡されていたものでした。
でも、その時は作品に反感を覚え、しまい込んだまま忘れていたそうです。

それから4年経って、ふと読み返してみると
登場人物の言葉や感情、不安などがよく理解できたんですって。
本作の理解には自分自身が大人になることが必要だったんでしょう。
といっても、その時点でもまだ23歳ですが。

その戯曲に登場するのは
12年ぶりに帰郷する人気作家のルイ。
母マルティーヌは息子の好物料理を用意し、
兄が出て行った時はまだ幼かった妹のシュザンヌも
おしゃれをして兄を待ちわびます。
そっけなく迎える兄のアントワーヌ。
その妻カトリーヌとは初対面です。

登場人物はこの5人のみ。
舞台も飛行場と故郷の家と庭だけ。
そして繰り広げられる歓迎とおしゃべり――
そんな戯曲をもらったら
19歳のグザヴィエならずとも、書棚にしまいこんでしまうことでしょう。

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が、しかし、
そうはさせないのが大きく成長したグザヴィエ・ドラン監督の力量であり、
俳優たちの名演技。

12年ぶりに自分に死が迫っていることを告げるため、
帰郷したルイを演ずるのは
『サンローラン』(’14)のギャスパー・ウリエル。
妹シュザンヌには
女優として初めてカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いたレア・セドゥ。
弟ルイにコンプレックスを抱く兄アントワーヌは
『美女と野獣』のヴァンサン・カッセル。
その妻カトリーヌには『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』で
アカデミー賞を受賞したマリオン・コティヤール。
母マルティーヌを演じるのは『私はロランス』についで
再びドランと組むナタリー・バイ。

この5人の丁々発止のやりとりと
触れ合えそうで触れ合えないもどかしさ、
家族でありながら、いえ、家族だからこそ傷つけあう人々―――

これはもうこの5人でなければ生まれえないものだったでしょう。

怖いほどに進化するグザヴィエ・ドラン監督。
さあ一体どんなお話なのでしょう。

続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆2017年2月7日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

たかが世界の終わり
監督・脚本/グザヴィエ・ドラン、原作/ジャン=リュック・ラガルス、撮影/アンドレ・テュルパン、音楽/ガブリエル・ヤレド、美術/コロンブ・ラビ、編集/グザヴィエ・ドラン
出演
ギャスパー・ウリエル/ルイ、レア・セドゥ/スザンヌ、マリオン・コティヤール/キャサリン、ヴァンサン・カッセル/アントワーヌ、ナタリー・バイ/母
2017年2月11日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAロードショー
カナダ・フランス合作映画、99分、カラー、字幕翻訳/原田りえ、
http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/

by Mtonosama | 2017-02-07 06:02 | 映画 | Comments(7)
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歩いても 歩いても

♪歩いても 歩いても 小舟のよぉ~うに♪
と頭の中でリフレインしながら、映画の解説を読んでいたら
『家庭劇(ホームドラマ)の伝統の中で』という一節が目に入りました。
小津安二郎が描いた父娘の哀感、
あるいは向田邦子の「寺内貫太郎一家」の系統なのだそうです。
この映画はホームドラマなんですね。
でも、ジャンル分けは不要です。
是枝裕和監督は今回も良い映画を見せてくれました。
小舟になって映画の流れに身を任せることのできる心地の良い作品です。

海の見える風景の中を赤い電車が行きます。あれは京浜急行?
夏の午後、傾斜地に密集した家々、都会ではないけれど田舎でもない。
既視感が期待感を呼びおこし、物語へと引き込まれていきます。

横山良太40歳。現在、求職中の絵画修復士で妻と息子と一緒に実家に向かっている。今日は兄純平の命日。坂道を登り、実家に着くと姉のちなみと母が台所で食事の支度をしている。父は引退した開業医。母は専業主婦。姉ちなみは夫と子ども二人で近所に住み、近々この家をリフォームして両親と暮らすつもりになっているのだが。にぎやかに昼食をとり、母と良太家族は墓参りにでかける…

横山家の夏の一日を淡々と描いた映画。
良平が抱き続ける兄への劣等感やひがみ、
後継ぎを失った父が決して口に出すことのない思い、
食事の支度に専念しながら、時に母の胸をよぎる
「あんなことで死んでしまった」長男への無念。
さまざまな色のさまざまな思いがこの映画の底に流れます。
是枝作品の常連YOUと今回が初出演の樹木希林のかけあいににんまりしながら、
夏の浜を洗う波のようなできごとに身を浸しているうちに結構グッショリぬれてしまう…
おだやかですが、じわりとしみこむ映画です。

スタッフ
監督・原作・脚本・編集/是枝裕和、撮影/山崎裕
キャスト
良平/阿部寛、妻/夏川結、ちなみ/YOU、母としこ/樹木希林、父恭平/原田芳雄

シネカノン有楽町1丁目、渋谷アミューズCQN、新宿武蔵野館他にて6月28日全国公開
 
by Mtonosama | 2008-06-05 12:25 | 映画 | Comments(0)