ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:山口仙二 ( 1 ) タグの人気記事

ヒロシマナガサキ
White Light/Black Rain:The Destraction of Hiroshima and Nagasaki
f0165567_7205692.jpg

©2007 Home Box Office,Inc.All rights reserved

前回、当試写室で上映した「ひろしま」。
そして、今回上映する「ヒロシマナガサキ」。
いずれもアメリカ人監督によるドキュメンタリー映画です。

毎年、8月が近づくと、わたしたちを覆う重苦しい気分。
と同時に、ああ、またこの季節か、と若干引き気味になっている自分もいます。

そんな自分を鞭打つように岩波ホールで試写を観てきました。
結果、「ひろしま」はこれまでの原爆へのイメージを覆す新しい視点の作品でしたし、
本作も、原爆投下を過去にとどめず、現在、そして、未来につないでいく作品でした。
観に行ってよかった。


f0165567_7215769.jpg
監督はスティーヴン・オカザキ。1952年ロスアンゼルス生まれの日系3世です。
1991年「Days of Waiting(待ちわびる日々)」ではアカデミー賞短編ドキュメンタリー部門でオスカーを受賞。
戦時下のアメリカで日系アメリカ人の夫と離れることを拒み、夫と共に強制収容所での生活を選んだエステル・イシゴという女性を描いた映画でした。
日系人に課せられた強制収容や、日本本土に投下された原爆。
それはアメリカに住む日系人として等閑視できない現実だったのでしょう。

本作「ヒロシマナガサキ」は監督の内部で25年もの間大切に暖められてきた作品です。
意欲的で、わかりやすく、力強い映画――
被爆者に関して、そんな長編映画を作りたいと思い続けていたそうです。

今まで、それがかなわなかったのは、最初の頃は技術的な問題もありましたが、
日米の検閲の問題もありました。

被爆50年目にあたる1995年に米スミソニアン協会で原爆展が開催される、
と報道されたことがありました。
とのなども「おお、いよいよアメリカで!」と思ったことを記憶しています。
ところが、米国内で猛反発が起き、原爆展は中止。
展示とともに計画されていた映画製作もストップしてしまいました。

さまざまな紆余曲折を経て本作が完成したのは2007年のことです。

f0165567_723267.jpg

14人の被爆者の証言と、原爆に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に構成された本作。
監督は500人以上の被爆者と会い、その内の100人以上に取材、
そして、この映画のために14人の被爆者の証言を選びました。

f0165567_7245575.jpg

原爆が投下されてから、まもなく70年を迎えます。
しかし、彼らの悲しみ苦しみはいまだ色褪せることはありません。

10歳の時、長崎で被爆した下平作絵さんは、最後に生き残った家族が亡くなったとき、
自殺を考えたといいます。
そのとき思ったこと。
「人間はギリギリのときに、死ぬ勇気と生きる勇気と二つ並べられるんじゃないかな。
妹は残念ながら死ぬ勇気を選びましたが、わたしは生きる勇気を選びました」……

f0165567_7262838.jpg

被爆者として初めて国連で演説し、被爆者援護や核兵器廃絶運動に尽くし、
先日(7月6日)82歳で亡くなった山口仙二さん。長崎で14歳の時に被爆し、
40日後ようやく意識を取り戻しました。そのときの記憶を語ります。
「看護婦さんが治療のために、病室に近づいてくると、
大人も子供も『殺してくれーっ』と嘆願するんです。治療が痛いから」……

原爆投下は戦争を終結させるための使命だと信じていたセオドア・“ダッチ”・バン・カーク。
彼は原子爆弾リトル・ボーイを搭載したエノラ・ゲイの航空士でした。彼は言います。
「何人かが集まると必ずバカなヤツがこう言う。イラクに原爆を落とせばいいんだ。
彼らは核兵器が何なのかわかっちゃいない。わかっていたらいえないことだ」……

冒頭、カメラは渋谷・センター街の中高生を映し出します。
そして「1945年8月6日に何が起きたか知っていますか」と訊ねますが、
誰一人答えることのできる子はいませんでした。

f0165567_7281730.jpg

さて、証言者です。野球観戦で興奮もする普通に生活を楽しむ人々です。
彼らは誰も「原爆は許さない!」と声を荒げはしません。
ただ静かに記憶と体験を語り、手術の後をカメラの前にさらします。

活動家が大きな声で叫ばなくても、原爆が圧倒的な破壊力を持つ暴力装置であることは
わかっています。
充分にわかっています。
今、私たちにはこれを68年前の悲劇としてドキュメンタリー映画を観て
オシマイにしてしまわないための想像力と行動力とが必要です。

その想像力を今、私たちが向き合っている現実に対して拡げていく必要があることをあらためて感じました。

山口仙二さんのご冥福をお祈り申し上げます。合掌。





今日もポチッとしていただけたら嬉しいです。
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆7月17日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ヒロシマナガサキ
監督・製作・編集/スティーヴン・オカザキ、共同プロデューサー/後藤太郎、繁沢敦子、撮影監督/川崎尚文、撮影/スティーヴ・コンディオッティ、一之瀬正史、田宮健彦、スティーヴン・オカザキ
証言者
居森清子、笹森恵子、中沢啓治、田中ヤスヨと岡チエミ、下平作江、吉田勝二、坪井直、肥田舜太郎、深堀悟、キム・パニョン、永野悦子、山口仙二、谷口稜曄
モリス・ジェプソン、ローレンス・ジョンストン、ハロルド・アグニュー、セオドア・“ダッチ”・バン・カーク
7月20日(土)~8月16日(金)岩波ホールにて緊急上映
2007年、アメリカ、1時間26分、カラー、配給/シグロ・ザジフィルムズ、協力/岩波ホール・ANT-Hiroshima、特別推薦/日本原水爆被害者団体協議会、http://www.zaziefilms.com/hiroshimanagasaki/

by Mtonosama | 2013-07-17 07:37 | 映画 | Comments(8)