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母と暮らせば
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©2015「母と暮らせば」製作委員会


初めて長崎を訪れたのは高校の修学旅行です。
中国風の寺院や
聖人像や大浦天主堂を見ました。
中華街も行きました。
もちろん長崎の原爆のことは知っていたのに
この美しい街で多くの建物が壊れ、
多くの方が亡くなったことは深く認識できませんでした。

原爆が落とされて70年の節目に
このような映画を見られたのは感無量であります。

生涯で一番大事な作品をつくろうという思いでこの映画の製作にのぞみます

山田監督が井上やすし氏と語り合うように脚本をつくりあげたという本作。
山田作品におなじみの俳優さんに、二宮和也という才能も加わり、
感動的なエンタテインメント映画が生まれました。

ストーリー
1948年8月9日。長崎。
あの日から3年。
助産婦をして暮らす伸子の前にあの日原爆で亡くなった息子・浩二が
以前のおしゃべりな息子のまま、ひょっこり姿を現した。
伸子はびっくり。
というのも
その日浩二の墓前で、
一緒に来てくれた浩二の婚約者・町子に
「あの子は一瞬で消えてしまったの。もうあきらめるわ」
と告げたばかりだったからだ。
「元気だった?」思わずそう訊ねる伸子に浩二は大笑い。
「僕はもう死んでるんだよ。相変わらずおとぼけだね。母さん」

その日から浩二は時々伸子の前に現れるようになった。
楽しかった頃の思い出話や近所の人の話まで
話題はつきない。
だが、一番の関心事は浩二の恋人・町子のことだ。
結婚の約束をしていた浩二を突然失ってしまった町子。
あれから3年、小学校教師になった彼女は
心の持って行き場所もないまま、伸子を気にかけ、
折にふれ、訪ねてきてくれる優しい娘である。

そんな町子のことを伸子もまた気にかけている。
「浩二、もし町子に好きな人ができたら、諦めるしかないのよ。
だって、浩二はもうこの世の人じゃないんだから」
伸子の言葉に血相を変えて抗議する浩二。
「いやだ!町子には僕しかいないんだ」
わかってはいるが、町子のことを考えると
どうしても自分の死を受け入れられない浩二だった。
歎きながらフッとかき消える浩二。
悲しくなり、涙を流すといつも消えてしまうのだ。

母と二人でいるときはよくしゃべり、よく笑う浩二。
「浩二はよう笑うのね」
と言う母に
「悲しいことはいくらでもあるけん、なるべく笑うようにしとるのさ」

伸子はそんな息子が愛しくて仕方がなかった。
二人で過ごす時間は思えば奇妙なものだが、
昔のままの楽しい時間だった。
それは永遠に続くものに思えた……

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伸子の家に向かう坂道。
急な坂道を登り、ほっと息をつくと夕日が沈もうとしており
ミカン色の海と景色が拡がっています。

そこにはあまりにも平和で穏やかな人々の暮らしがあり、
原爆が落とされたことは信じられないほどです。

怒りの広島、祈りの長崎
という言葉がありますが、
おっとりとした伸子とおしゃべりな亡霊・浩二のやりとりには
怒りや激しさはありません。

でも、ハッと目を瞠ったシーンがあります。
「しようがないよ。そいが(原爆で死んだのは)僕の運命さ」
と言った浩二に
「運命?違う。たとえば 地震や津波は防ぎようがないから運命だけど、
これは防げたことなの。
人間が計画して行った大変な悲劇なの」
と母・伸子が応えたシーンです。

おっとり、おとぼけの伸子が強く応えたこの言葉には大変な力がありました。
吉永小百合を大いに見なおしたシーンでした。

さらに、山田監督作品には最近おなじみの黒木華さん。
彼女は良いですねぇ。
ごく普通のすっきりした顔立ちで特別美人じゃありません。

彼女の動向が本作の大きなポイントになるわけですが、
(それがなにかは是非本作をご覧の上でご判断いただきたく思います)
そのシーンでは思わず嗚咽しました。
あ、ダメです。今でも涙が出てきます。

そして、いつもは気にしない映画音楽も今回はきちんと聞こえました。
かといって音楽が際立って聞こえたという訳でもありません。
映画音楽のあるべき姿を教えてもらったような気がします。
坂本龍一もやっぱりすごいです。

是非ご覧になっていただきたい一作です。





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母と暮らせば
監督・脚本/山田洋次、共同脚本/平松恵美子、企画/井上麻矢(こまつ座)、撮影/近森眞史、音楽/坂本龍一
出演
吉永小百合/福原伸子、二宮和也/福原浩二、黒木華/佐多町子、浅野忠信/黒田正圀、加藤健一/上海のおじさん、広岡由里子/富江、本田望結/風見民子、小林稔侍/復員局の職員、辻萬長/年配の男、橋爪功/川上教授
12月12日(土)全国ロードショー
2015年、日本、配給/松竹

by Mtonosama | 2015-12-03 05:47 | 映画 | Comments(3)

母と暮らせば
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©2015「母と暮らせば」製作委員会


「父と暮らせば」そして「母と暮らせば」
広島の原爆そして長崎の原爆
父の亡霊そして息子の亡霊
どれもみな対になっています。

でも、「父と暮らせば」は井上ひさし氏の原作ですが、
「母と暮らせば」は違います。

“「父と暮らせば」と対になる作品を
「母と暮らせば」というタイトルで長崎を舞台に作りたい・・・“

井上ひさしがそう話していたと彼の三女・麻矢さんから聞いた
山田洋次監督が
「井上ひさしさんと一緒に書くつもりで」
脚本を書き上げ、
今回上映されるのが『母と暮らせば』です。

舞台作品として書かれた「父と暮らせば」。
映画『父と暮らせば』(‘04 黒木和雄監督)も舞台劇を思わせ、
娘・宮澤りえと亡霊の父・原田芳雄の軽妙なやりとりと
やがて悲しき結末が印象的な作品でした。

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http://movie.walkerplus.com/mv57343/

本作『母と暮らせば』で決まっていたのはタイトルと
長崎が舞台ということだけ。

山田洋次監督は長崎の原爆に関する資料を読み、
当時を知る方々に取材しました。
その中には当時長崎医科大学の学生だった土山秀雄元長崎大学学長もいました。
作品中の憲兵から息子を連れ戻した母親の話など
土山さんの実体験も盛り込まれています。

戦後70年
原爆という重いテーマではありますが、
監督は「母と息子の話として描こう・・・」と想いを絞り込んでいき、

原爆で死んだ長崎医科大生の息子が
亡霊となって母親の許にあらわれる
という構想をふくらませていきました。

そして、完成したのが本作です。

まさに井上ひさしや長崎で被爆なさった方や亡くなった方々と
会話を交わしながら生まれた映画なのであります。

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個人的なことをいうと母親役の吉永小百合は
何を演じても優等生っぽい空気をまとわせるし、
亡霊になった息子を演じた二宮和也も
「嵐」の二宮くんが前面に出てイヤだな、
と思っていました。

ごめんなさい。

そんなことはありませんでした。
吉永さんは凛とした美しさを漂わせつつも
悲しさと優しさとおかしみを湛えた母親を
肩の力を抜いた自然体で演じていました。

二宮くんも饒舌な次男坊を
力むでなく、激するでなく演じ切りました。
『硫黄島からの手紙』で演じた貧相な一兵士にも通じる
ちょっと内弁慶でおしゃべりな息子でした。

難点?
ありますよ。歌がうますぎることです。
映画の中で寮歌を歌うシーンがありましたが、
二宮くん、「嵐」になっちゃってました。
寮歌というのはもっとバンカラ風に歌わなきゃダメです。
でも、良い俳優ですね。
櫻井くんが好きだったけど二宮くんも好きになりました。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
涙あり、笑いあり。
昔なつかしい邦画って感じで楽しめますよ。

どうぞ次回をご期待ください。



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母と暮らせば
監督・脚本/山田洋次、共同脚本/平松恵美子、企画/井上麻矢(こまつ座)、撮影/近森眞史、音楽/坂本龍一
出演
吉永小百合/福原伸子、二宮和也/福原浩二、黒木華/佐多町子、浅野忠信/黒田正圀、加藤健一/上海のおじさん、広岡由里子/富江、本田望結/風見民子、小林稔侍/復員局の職員、辻萬長/年配の男、橋爪功/川上教授
12月12日(土)全国ロードショー
2015年、日本、配給/松竹、

by Mtonosama | 2015-11-30 05:15 | 映画 | Comments(8)
小さいおうち -2-

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©2014「小さいおうち」製作委員会


《女中》という言葉はあまりよろしくないということで
《お手伝い》という言葉を使うようになったと150歳のとのは記憶していますが、
戦争前の時代は中流家庭以上のおたくには普通に女中さんがいたのだとか。
今のように家電なんて便利なものがない時代には家事労働というのはとても大変。
主婦一人でこなせるようなものじゃなかったということもあるのでしょうね。

ある年代以上の方だと、女中さんに勉強を教えてもらったとか、
いつも遊んでもらったとか、
その頃の日々を懐かしそうに語ったりなさいます。

この映画の主人公ともいうべき布宮タキは東北の農村出身です。
尋常小学校を卒業して東京に女中奉公に出て、奉公先の坊やを親身になってお世話しました。

時代は戦争前の古き良き時代と平成の現在を行ったりきたりしながら進行するのですが、
さあ、一体どんなお話かというと――


ストーリー
平成
布宮タキは鉛筆の芯をなめなめ自分史を書いている。
大学生の健史は大伯母で一人暮らしの彼女を訪れる際に
その原稿を読むのを楽しみにしていた。
そこには健史の知らない昭和初期の日本が描かれているのだ。

昭和
布宮タキは東京郊外の平井家に奉公する女中である。
タキが働くのは平井家。おもちゃ会社に勤める雅樹と妻の時子、一人息子・恭一の三人家族。
彼らは赤い三角屋根のモダンな家に住んでいた。
若く美しい時子は気さくで優しく、タキは彼女に憧れ、懸命に平井家のために尽くすのだった。

新年、平井家に雅樹の会社の社長や社員が集まり、日中戦争と金儲けの話で大いに盛り上がる。
その中で一人、話の輪に入れないのが新入社員・板倉だった。
彼は酒席を抜けだし、恭一の部屋で眠ってしまう。
客たちが帰り、雅樹も寝た後にめざめた板倉はタキのつくった雑煮を食べながら、
時子と音楽や映画の話で意気投合する。
それ以後、彼は平井家を訪れ、レコードを聴いたり、時子と談笑するようになっていった。

ある台風の夜、雅樹は出張、女ばかりで心細い思いをしている平井家を板倉が訪れ、
雨戸を打ち付けるなどしてくれた。
風は強く、とうとう停電。板倉は泊っていくことに。
深夜、扉が風で煽られる音にめざめた時子はソファで眠る板倉を起こす。
扉を押さえながら、暗闇の中で寄り添う二人。

しばらくして、社長は身体が弱く徴兵の心配がない板倉に商売がらみの縁談を持ち込む。
時子は雅樹から縁談の取りもちを頼まれるが、板倉は頑ななまでに拒む。
見合写真を板倉の下宿に持参する時子。
だが、帰宅した時子の後ろ姿を見て、タキは息を呑んだ。
帯の模様が朝出かけた時と逆になっていたのだ――

時子と板倉の噂が広がり始める。
戦況は悪化し、ついに板倉にも召集令状が届いた。別れを告げるため平井家を訪れる板倉。
翌朝、タキは慌ただしく出かける時子を見て、板倉に会いに行くのだと直感。
必死に時子を説得する。
「奥様がいらしてはいけません。板倉さんに来ていただきましょう」
タキは、板倉に来訪を請う手紙を、時子に書かせ、宛名のないその手紙を胸に板倉の下宿に向った。
その日、暗くなるまで板倉を待ち続ける時子だったが、板倉が訪れることはなかった・・・・・

平成
原稿用紙の上で泣き伏すタキ。
そこには『小さなおうちの恋愛事件は幕を閉じました』と書かれている。
健史が訊ねても何も答えず、タキは泣くばかり。

なぜ、そんなに泣いたのか、訊きたくてもタキはもういない。
遺品の中にあった茶色く変色した宛名のない未開封の手紙。

数年後、社会人になった健史は偶然「イタクラ・ショージ原画展」のポスターを
みつける。
そして、宛名のない手紙に導かれるまま、秘密を探る旅に出る……

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戦争のさなかにありながら、市民はまだまだ穏やかに暮らしています。
山田洋次監督作品におなじみの俳優さんたちが
戦時とはいえのんびりした東京郊外の小市民の暮らしをくすくす笑いと共に演じました。

それが一変するのが小さな赤い屋根のおうちが焼夷弾に直撃されて炎上するシーンです。
古き良き時代が燃え上がる場面では思わず声をあげてしまいました。

ラストにもうひとつの「ちいさいおうち」が登場します。
バージニア・リー・バートンの絵本です。
草原に一軒ポツンと建った小さなおうち。
その周囲に家が建ち、草原は町になり、家々はビルになり、町は都会になっていきます。
でも、高いビルの谷間にはあの小さな家が年老いた姿で残っている・・・・・
そんな内容だったような記憶があります。
幼少の頃に読んだきりなのではっきりは覚えていません。

しかし、ラストにこの絵本が登場することで
この映画がただの不倫映画ではないことがわかります。
戦争は知らず知らずの内にわたしたちの生活に入り込んできて、
気づいたときにはすべて失われるのだということも思い知らされました。

山田洋次監督の82本目の作品、良かったです。





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小さいおうち
監督/山田洋次、原作/中島京子(文春文庫刊)、脚本/山田洋次、平松恵美子、音楽/久石譲、
撮影/近森眞史
出演
松たか子/平井時子、黒木華/布宮タキ、片岡孝太郎/平井雅樹、吉岡秀隆/板倉正治、妻夫木聡/荒井健史、倍賞千恵子/布宮タキ
2014年1月25日(土)ロードショー
日本、2時間16分、企画協力/文芸春秋、制作・配給/松竹株式会社
http://www.chiisai-ouchi.jp/

by Mtonosama | 2014-01-19 04:57 | 映画 | Comments(19)
小さいおうち -1-

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©2014「小さいおうち」製作委員会


試写室の前から2列目中央というまあまあお気に入りの席に座って悦にいっていると隣に女性が座りました。
すると、そのまた隣に女性の顔見知りとおぼしき方が「あらぁ、こういうの観るんだぁ」
と言いながら、入ってきました。
パンフレットに目を落としながら、2人の会話を聞いていると
「○○さんが良かったって言ってたの」と最初に隣に座った女性が答えます。
「あら~、そうなの」
と応えつつ、お二人は近況報告にうつっていきました。

「山田洋次監督作品だから観ておこっと」くらいの軽い気持ちで試写に来たとのは
それを聞いて期待が高まりました。

根が素直なとのはさりげなく聞こえてくる褒め言葉に影響されやすいのであります。

寅さんシリーズや学校シリーズ、藤沢周平シリーズ・・・
山田洋次作品はどれも皆見ごたえがありますが、
人情やらほのぼのした家族愛がその根底にあるような気がします。

今年84歳を迎える山田洋次監督の82本目となる本作ですが、
これまでと違うのは、家族の秘密を描き出したこと。

原作は中島京子の「小さいおうち」。
2010年に第143回直木賞を受賞したベストセラー小説です。


中島京子
1964年、東京都出身。出版社勤務、フリーライターを経て「FUTON」(‘03)でデビュー。06年「イトウの恋」、07年「均ちゃんの失踪」、08年「冠・婚・葬・祭」がそれぞれ吉川英治文学新人賞候補に。10年「小さなおうち」で第143回直木賞を受賞。著書に「平成大家族」「女中譚」「エルニーニョ」「花桃実桃」「東京観光」「眺望絶佳」「のろのろ歩け」など。ほかエッセイ集に「ココ・マッカリーナの机」、訳書に「地図集」(董啓章・著、藤井省三・共訳)がある。


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昭和の初め、東京山の手の赤い屋根の小さなおうちに女中奉公していた布宮タキが
自身の回想録を元に、かつて働いていた平井家の中で起こった密やかな恋愛について回顧する物語。
昭和初期から次第に戦況が悪化していく中での東京の中流家庭の庶民の生活が描かれます。

この物語を読んだ山田洋次監督、
「ぜひとも自分の手で映画にしたい」と作者に手紙を出し、映画化が実現したといいます。
山田洋次監督の描く恋愛ものというのも珍しい気がするのですが、
女中さんの目を通してみた奥様の恋愛。
それが監督の手にかかるとどんな風になるのか、かなり興味深いと思いませんか?

時代は戦争前の穏やかな時代。
女中さんといい、トトロに出てくるような赤い屋根の小さなおうちといい、
なつかしいような悲しいような不思議な気持になります。

映画って、映画そのものの時代背景だけではなく、
観客である自分自身がどのような時代に生きているか、ということも、
その感じ方に大きな影響を与えると思います。
きっと、とのの気持の奥には時代への不安もあったのかもしれません。

さあ、いったいどんなお話なのでしょう。続きは次回まで乞うご期待でございます。


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小さいおうち
監督/山田洋次、原作/中島京子(文春文庫刊)、脚本/山田洋次、平松恵美子、音楽/久石譲、撮影/近森眞史
出演
松たか子/平井時子、黒木華/布宮タキ、片岡孝太郎/平井雅樹、吉岡秀隆/板倉正治、妻夫木聡/荒井健史、倍賞千恵子/布宮タキ
2014年1月25日(土)ロードショー
日本、2時間16分、企画協力/文芸春秋、制作・配給/松竹株式会社
http://www.chiisai-ouchi.jp/

by Mtonosama | 2014-01-16 07:13 | 映画 | Comments(5)
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©2010「おとうと」製作委員会

おとうと

こんなしょうもない弟がおったら困りますがな(どうぞ、大阪弁で発音してください)。

とはいえ、しょうもない兄やら姉やら妹やらはどこの家にも1人や2人はいます。
その代表格が寅さん。
そんな寅さんが今度こそ帰ってこられない旅に出てから早や14年経ちました。

不出来な兄貴だからこそ、その不在はこたえます。
というわけで、山田洋次監督が10年ぶりの現代劇としてメガホンをとったのが「おとうと」。

幸田文原作の「おとうと」は今からもう半世紀(!)も前
市川昆監督が映画化しています。
1990年4月30日にもTBSでドラマ化〈主演:斉藤由貴、木村拓哉〉されました。

山田洋次監督は敬愛する市川昆監督へのオマージュをこめて
久々の現代劇に、この「おとうと」を選びました。
くすっと、あるいは、ワハハと笑ったり
めそっと、あるいは、しゃくりあげて泣いたり
山田洋次監督流の人情劇に仕上がりました。

「たそがれ清兵衛」(‘02)
「隠し剣 鬼の爪」(’04)
「武士の一分」(‘06)
「母べえ」(’08)と時代劇が続いた監督。
今回は「十五才 学校Ⅳ」以来の現代劇です。
そして「母べえ」で共演した吉永小百合と笑福亭鶴瓶が再び登場しました。
山田組ならではの豪華な組み合わせではありませんか。

しかし、吉永小百合と鶴瓶が姉弟だなんて。
あまりにも似ていなさすぎます(笑い)。
ですが、ま、そこは映画。大目に見ていただきましょう。
(ちなみに市川昆版「おとうと」は姉を岸惠子、弟を川口浩が演じています。
あの川口浩隊長ですが、若い頃は二枚目だったんです)

ストーリー
東京郊外。平凡な商店街の一角で小さな薬局を営み
女手ひとつで一人娘の小春を育ててきたしっかり者の吟子。
早くに夫を亡くし、義母と娘と三人で暮らしていましたが
明日はその小春の嫁ぐ日。お相手はエリート医師です。

吟子には大阪で勝手きままに暮らす独り者の弟・鉄郎がいます。
鉄郎は吟子の夫の十三回忌で大酒を飲んで暴れて以来、吟子とは音信不通。
鉄郎にあてた結婚招待状も宛先人不明で戻ってきていました。

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式当日、吟子の兄・庄平は支度部屋で花嫁姿の小春を見て、もう涙ぐんでいます。
和やかに、穏やかに、披露宴が始まりました。
と、そこへ
羽織袴の鉄郎が。

一瞬かたまる庄平、吟子。
「酒は飲むな!」と兄・庄平に釘を刺され、鉄郎は宴の席につきますが
酒を目の前にして我慢のできるはずもなく、一気飲みをするは
マイクを独占して浪曲をうなるは、テーブルをひっくりかえすは、披露宴は大荒れ。
吟子と庄平は新郎両親の家まで怒られに行きます。

この鉄郎、子どもの頃から学校でタバコを吸ったり、万引きしたりの問題児。
学校や警察へ頭を下げて迎えに行くのはいつも姉の吟子の役目でした。
「もうあなたのために謝りに行くのはいやよ」と言いながら
今回も大阪までの新幹線代を手渡す吟子。

一方、小春は婚家を飛び出してきました。鉄郎の一件が影響したのは確かでしょう。
再び女三人の静かな日々が始まりました。

ある夏の日、薬局に鉄郎の恋人と名乗る女が現れます。
鉄郎直筆の借用書を見せ
「鉄郎さんと連絡が取れないので少しでいいから返してもらえまへんか」
と頭を下げます。
吟子は薬局改築のために貯めていた貯金をすべてひきだし、女に差し出します。

ほどなく上京してきた鉄郎に絶縁を言い渡す吟子。
しかし、去っていく鉄郎のやつれた姿が心にひっかかるのでした…

披露宴で鉄郎が繰り広げる傍若無人なふるまいに「やばいぞ、これは」と。
「渥美清なら、もっと洒脱に演じただろうなぁ」とないものねだりもしましたが
怒らせたり、笑わせたり、泣かせたり、また、笑わせたり、と
名匠の作品は安心して観ていられます。このわかりきったパターンがうれしい。

うまい脇役たちのお約束のくすぐり的笑わせ。
鶴瓶のできそこないの福笑いのようなあの笑顔とコテコテの大阪弁。
吉永小百合が演じるまじめで上品な吟子さん。
吟子さんが鉄郎につられて、時々話す大阪弁がご愛嬌です。
約束通りの泣かせとくすぐりにホッとする映画。

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作家性の高い映画もいいけれど、伝統芸のようなこういう映画も楽しめる日本っていいな、
と思ったのでありました。

おとうと
監督/山田洋次、脚本/山田洋次、平松恵美子
出演
高野吟子/吉永小百合、丹野哲郎/笑福亭鶴瓶、高野小春/蒼井優、長田亨/加瀬亮、丹野庄平/小林稔侍、高野絹代/加藤治子、丸山/笹野高史、遠藤/森本レオ、小宮山進/小日向文世、小宮山千秋/石田ゆり子
2010年1月30日(土)ロードショー
カラー、2時間6分、制作・配給/松竹株式会社
www.ototo-movie.jp

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by mtonosama | 2009-12-08 05:04 | Comments(16)