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殿様の試写室

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東京家族 -2-

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(C)2013「東京家族」製作委員会

「東京家族」は2011年4月1日のクランクインを目指して準備されていたそうです。
そこを襲った3月11日の東日本大震災、そして、福島原発事故。

製作は延期され、約1年を経て、新たに書き直された脚本で撮影が開始されました。
映画は震災後の2012年5月、東京が舞台です。

「東京物語」「東京家族」
どちらも大変な時期を経て製作された作品という共通点があります。

「東京物語」で笠智衆が演じた父・周吉を演じるのは「東京家族」では橋爪功、
東山千栄子が演じたおっとりとした母親は吉行和子。
そして、原節子の役は蒼井優が演じます。

さあ、どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
上京&再会
2012年5月、
瀬戸内海に浮かぶ小島に暮らす平山周吉と妻のとみこは子どもたちに会うために上京。
品川駅に迎えに来るはずの次男の昌治は間違って東京駅へ。
次男と会えないまま、夫婦は郊外で開業医をする長男・幸一の家へタクシーで向かう。
不注意な弟に呆れる長女の滋子。歓迎の支度に大忙しの長男の妻・文子。
周吉・とみこが到着し、大きくなった孫たちと対面。
やがて昌治も現れ、久しぶりに家族全員が楽しげに食卓を囲む。

日曜日、両親と次男を連れて横浜見物へ向かうはずだった幸一だが、
急患のため往診へ行くことになってしまった。
とみこはすねる孫を連れて近くの公園で遊ぶ。
だが、9歳にして既に将来を諦めたような孫の言葉にそっとため息をつく。

長女・滋子の家
幸一の家を後に、美容院を経営する滋子の家に行く周吉ととみこ。
ところが、滋子は忙しくて、両親をどこにも案内することができない。
夫の庫造は周吉を駅前の日帰り温泉へと連れ出す。

次男・昌治
滋子に頼まれ、東京案内をする昌治。柴又帝釈天の鰻屋で昼食。
ビールを注ごうとする昌治に断る周吉。
大酒呑みだった周吉は幸一に諭され、断酒しているからだ。
舞台美術の仕事をする昌治に将来の見通しはあるのか、
と問いただす周吉をつっぱねる昌治。昔から自分には厳しい周吉が苦手だった。
その頃、滋子は美容院の仕事が忙しく、両親の相手ができないから、
兄妹でお金を出し合って横浜のホテルに泊めてあげようと幸一に提案していた。

横浜のホテル
横浜のホテルの広い部屋で所在なく窓の景色を眺める周吉ととみこ。
慣れないホテルでの寝苦しい一夜を過ごした夫婦は
2泊の予定を切り上げて滋子の家に帰ってきてしまう。
そんな両親に、今夜は都合が悪いからいてもらっては困ると突き放す滋子。
周吉は同郷の友人宅へ、とみこは昌治のアパートへ行くことになる。

昌治のアパート
久しぶりの母の手料理に舌鼓を打つ昌治。嬉しそうに見守るとみこ。
そのとき、母に紹介するために呼んだ恋人の紀子がやってくる。
とみこは一目見て紀子に好感を持つ。
昌治との出会いはボランティアで行った福島の被災地でのことだという。
とみこは翌朝出勤前に朝食を届けてくれた紀子にもしものときのためにと現金を預ける。
「昌治は使ってしまうからね」と呟きながら。
一方、周吉。
あてにしていた友人から宿泊を断られた上、断っていた酒を呑んだ挙句、泥酔。
幸一の家でようやく落ち着いたところへ、とみこが上機嫌で帰宅。
だが、その理由を話す前に突然昏倒してしまった……

久々の感激の出会いの後は、親の思いと子どもたちとの思いが食い違い、
次第に不協和音が生じてくる様子。誰にでも経験がありますよね。

何も難しい部分のない素直な映画です。
小津調を彷彿させる画面構成、ローアングルに関しては
「おっ、やってるな」と、思わず声に出しそうになってしまいました。

60年前の俳優たちよりは台詞のテンポが早くなっているような気がするのですが、
当時よりも、時代が前のめりに進んでいるということなのでしょうね。

吉行和子と東山千栄子、外見的にはあまり共通項がないおふたりですが、
おっとりとしたおかあさんは見ていて心が安らぎます。
亡くなった母を思い出しました。
吉行和子も東山千栄子も亡母もまるで似ていませんが、
「母」という存在そのものが安らぎを与えてくれるものなのでしょう。

大震災後の東京物語、いえ、東京家族。
家族の抱える確執、愛情はうっとおしいと思われることもあるけれど、
お互いを結ぶ一本の糸になっているのは確かです。





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☆2013年1月19日に更新しました。「東京家族」は今日から公開です。いつも応援ありがとうございます☆

東京家族
監督/山田洋次、脚本/山田洋次・平松恵美子、撮影/近森眞史、音楽/久石譲
出演
橋爪功/平山周吉、吉行和子/平山とみこ、西村雅彦/平山幸一、夏川結衣/平山文子、中嶋朋子/金井滋子、林家正蔵/金井庫造、妻夫木聡/平山昌治、蒼井優/間宮紀子、小林稔侍/沼田三平
2013年1月19日(土)ロードショー
2012年、日本、2時間26分、製作・配給/松竹株式会社
http://www.tokyo-kazoku.jp/

by Mtonosama | 2013-01-19 06:25 | 映画 | Comments(8)
東京家族 -1-

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(C)2013「東京家族」製作委員会

世界中の映画人から敬愛される小津安二郎監督。
当試写室で上映してきた海外の映画監督も一様にこの巨匠にオマージュを捧げています。
ローアングルからじっくりと撮影し、対象に寄り添う「小津調」とも言われる作風。
とても日本的なのに世界中の監督に敬愛される巨匠です。

そんな巨匠に山田洋次監督もまた大いなる敬意を表し、
自身の監督生活50周年を記念する作品として小津作品の「東京物語」をモチーフに
製作したのが本作「東京家族」です。

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ちなみに「東京物語」ですが、
昨年、世界の映画監督が選ぶ優れた映画の第1位に選ばれました。
英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」誌が2012年8月2日に発表した
<世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画〉に「東京物語」が選出されたのです。
同誌は10年ごとに映画50選を発表しています。

第1位 「東京物語」 小津安二郎監督
第2位 「2001年宇宙の旅」 スタンリー・キューブリック監督
第3位 「市民ケーン」 オーソン・ウェルズ監督
第4位 「8 1/2」 フェデリコ・フェリーニ監督
第5位 「タクシードライバー」 マーティン・スコセッシ監督

並み居る名匠巨匠を押しのけて堂々の1位です。すごいです。

東京物語は1953年に製作されました。
2013年の今年でめでたく還暦を迎えたことになりますね。
1953年11月3日に松竹配給で公開。「キネマ旬報」ベスト10で第2位。
58年にはロンドン国際映画祭でサザーランド賞を受賞し、
世界の小津ブームのきっかけになりました。


東京物語
1953年の夏、尾道に暮らす周吉(笠智衆)と妻とみ(東山千栄子)が
東京の子どもたちに会うため上京してきた。
しかし、長男の幸一(山村聡)も長女の志げ(杉村春子)も毎日の生活が忙しく、
なかなか両親の相手ができない。
寂しい思いをする2人を慰めたのは戦死した二男の妻・紀子(原節子)だった…




笠智衆のあの語り口や土手に立つ姿などが150歳のとのにはとても懐かしい映像です。

さて、山田版「東京物語」こと「東京家族」。
話の大筋も人物もほぼ同じ設定ですが、東京物語から60年経過したこと、
そして、2年前に経験した東日本大震災、引き続く福島原発メルトダウンを経た後に
製作されたということ。
このことに意味があるようです。

1953年に製作された「東京物語」は第2次世界大戦終結から8年経って製作されました。
いすれも大変な経験を経た後に生まれた作品です。
親子の問題、家族の問題、つながりの問題が、
あの時も、そして、今回も、あらためて浮上してくるんですねぇ。

「東京物語」が製作後60年経っても、今日的で世界的な価値を持つ理由、
多くの世界の監督達が認める理由、
そして、山田洋次監督が「東京家族」を撮った理由・・・・・
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それは、別れや出会いを含みつつ、
いがみあい、それでも、求めあう家族というモチーフこそ
世界共通であり、今、この時期最も必要なものだからかもしれませんね。

おっと、ここで締めてちゃいけません。
俳優たち、60年後の日本、どう変わり、どこが同じか、
そのあたりは次回までのお楽しみということで。
乞うご期待でございます。


今日お亡くなりになった大島渚監督のご冥福をお祈り申し上げます。監督、お疲れ様でした。



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東京家族
監督/山田洋次、脚本/山田洋次・平松恵美子、撮影/近森眞史、音楽/久石譲
出演
橋爪功/平山周吉、吉行和子/平山とみこ、西村雅彦/平山幸一、夏川結衣/平山文子、中嶋朋子/金井滋子、林家正蔵/金井庫造、妻夫木聡/平山昌治、蒼井優/間宮紀子、小林稔侍/沼田三平
2013年1月19日(土)ロードショー
2012年、日本、2時間26分、製作・配給/松竹株式会社
http://www.tokyo-kazoku.jp/

by Mtonosama | 2013-01-16 08:36 | 映画 | Comments(6)
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(c)2008松竹株式会社

連獅子/らくだ

笑門来福。
あれも、これも、そう、巷に吹いている不景気風も大笑いで笑い飛ばしてしまいましょう。
それには「らくだ」でございます。
さらに紅白の毛ぶりで春から縁起のいい「連獅子」でめでたさ満開、といきたいではありませんか。

歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影し、スクリーンで上映するシネマ歌舞伎。
‘05年1月野田秀樹作・演出の新作歌舞伎「野田版 鼠小僧」を皮切りに、
坂東玉三郎の「鷺娘」と玉三郎と尾上菊之助の「日高川入相花王」を二本立て(’06公開)で、
同じく玉三郎・菊之助による「京鹿子娘二人道成寺」(‘07公開)、
野田版 研辰の討たれ」(’08年5月公開)と数え、
同年10月には六作目となる山田洋次監督「人情噺文七元結」が公開されました。
そして最新作が、二本立てで公開されるこの「らくだ」と「連獅子」。
「連獅子」では再び山田洋次監督がメガホンをとっています。

「らくだ 眠駱駝物語

皆さまご存知の名作落語。
明治時代に上方落語として完成され、
大正には三世柳家小さんが江戸の噺にも仕立て直したという落語です。
歌舞伎としても人気演目で、
今回のシネマ歌舞伎は‘08年8月に歌舞伎座で上演された舞台を撮影・収録したもの。

        棟割り長屋のすりきれた畳の上、風呂先屏風の裾から汚い足がにょっきりのぞいています。
        フグにあたって急死した馬太郎こと“らくだの馬”でございます。
        仲間の半次が葬式の金を調達しようと、屑買いの久六に声をかけますが、
        らくだの家には金目のものなどありゃしません。
        大家から通夜の酒肴をせしめようとした半次、
        久六を使いに出して「通夜の酒肴を出さなけりゃ、
らくだを担いでカンカンノウを踊らせるぞ」と脅させます。
        しかし、大家がこれまた剛の者。
        「らくだが死んだとはこりゃ目出度い。死人のカンカンノウたぁ珍しい。ぜひ見てみたい」
と言い出しまして…

もう、これがおかしいといったら。
笑い過ぎて涙がでてきます。
スクリーンを見れば久六役の勘三郎も汗まみれになって笑っています。
これがシネマ歌舞伎の良さですわ。
歌舞伎座の座席に座っていたんじゃ、
勘三郎の大汗かいた顔や三津五郎の笑いをかみころした表情など見られません。
らくだが久六に負ぶわれて踊る足さばき、脱力感たっぷりの手の動き。
笑い過ぎてお腹が痛くなっても誰も責任はとってくれませんから、それだけはご用心、ご用心。

「連獅子」

いわずとしれた歌舞伎十八番。河竹黙阿弥作詞による歌舞伎舞踊の人気演目です。
2007年10月新橋演舞場で親獅子・中村勘三郎、子獅子・勘太郎と七之助が舞った、注目の親子連獅子。
この舞台を「人情噺文七元結」に続き、山田洋次が監督をつとめました。
実はこの企画、勘三郎自ら山田監督に頼み込んで実現したといいます。
勘三郎の祖父・六代目菊五郎も、昭和10年小津安二郎監督に「鏡獅子」を撮ってもらった例に倣い、
時代を代表する名監督に一世一代の舞台を撮影してもらい、
後世に伝えていきたいという思いがあったのでしょう。

通常、連獅子といえば親獅子、子獅子の2人舞い。
ところが中村屋には勘太郎と七之助という二人の立派な跡取り息子がいるとあって、
当代ならではの3人舞い。
これは注目です。

クライマックスの毛振りといい、舞台上での大見えといい、さすが兄弟、さすが親子。
「中村屋っ」と声をかけたくなります。
毛振りシーンのこの迫力、舞台上に設置したカメラで舞台稽古を撮影したことで生まれました。
客席からでは決して観ることのできない映像です。

芝居小屋の客席から観れば、観客や役者の熱気や興奮がダイレクトに伝わってくるでしょう。
大向こうからの声掛けも臨場感をそそります。
しかし、シネマ歌舞伎もそれにまさるとも劣らない魅力が満載です。
いや、ほんと。
勘三郎があれほど汗まみれになって芝居をしているとは、知りませんでした。
連獅子・らくだの豪華二本立て、たまには歌舞伎もいいですねぇ。


「らくだ 眠駱駝物語」
作/岡鬼太郎、改訂・演出/榎本滋民
配役
中村勘三郎/紙屑屋久六、坂東彌十郎/家主女房おいく、片岡亀蔵/駱駝の馬太郎、尾上松也/半次妹おやす、片岡市蔵/家主左兵衛、坂東三津五郎/手斧目(ちょうなめ)半次

「連獅子」
作/河竹黙阿弥、監督/山田洋次
配役
中村勘三郎/狂言師後に親獅子の精、中村勘太郎/狂言師後に子獅子の精、中村七之助/狂言師後に子獅子の精、片岡亀蔵/僧蓮念、坂東彌十郎/僧偏念
東劇ほか全国順次公開中
東劇
11:00 13:30 16:00 18:40
16:00と18:40の回の「連獅子」は長唄歌詞の日本語字幕版を上映
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki

by mtonosama | 2009-01-04 06:38 | 映画 | Comments(4)