ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:思秋期 ( 2 ) タグの人気記事

思秋期 -2-
Tyrannosaur

f0165567_548178.jpg


(C)CHANNEL FOUR TELEVISION/UK FILM COUNCIL/EM MEDIA/OPTIMUM RELEASING/WARP X/INFLAMMABLE FILMS 2010

イギリス映画の奥深さを感じさせてくれる作品でした。
これを俳優出身の弱冠38歳のバディ・コンシダイン監督が撮ったとは驚きであります。

監督の実父がモデルだという救いようのない男と
穏やかで何の不自由もなく暮らす主婦が、人生の秋を迎えた時期に出会います。

これが、例えばロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープだったとしたら、
「恋におちて」(‘84)みたいになるわけですが――
う~ん、そうはいかないんですね。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。

f0165567_5583385.jpg

ストーリー

リーズ。イギリスの工業都市。
ジョセフは失業中のアル中男。妻は糖尿病で早世していた。
失業手当を受けながら、日々町で飲んだくれている。
彼はキレやすく、怒りと暴力の衝動を抑えることができない。
犬を蹴り、ガラスを割り、周囲に当たり散らす。
いつもあちらこちらにトラブルの種をまいて回っているような男だ。

f0165567_6293156.jpg今日もそんなトラブルで仕返しを受けたジョセフは血を流しながら、
とあるチャリティショップに逃げ込んできた。
そこにいたのがハンナ。チャリティの古着屋を営む40代半ばの女。
信心深く、古着の間に蹲って出てこようとしないジョゼフのために祈ろうとする。

彼女はこぎれいな高級住宅地に住み、夫のジェームスと2人で暮らしている。
何不自由なく暮らしている金持ちの有閑マダム・・・・・か。

f0165567_633896.jpg
明るく、優しいハンナと出会い、ジョセフの心も少しずつ癒されていくように。
だが、彼女もまた酒に逃げ道を求め、その内部に大きな闇を抱える存在だった。

その闇がある日とんでもない事件に発展することに……

f0165567_635525.jpg

どうしてそんなに理不尽なキレ方をするの?
どうしてそんなことでそこまで怒らなくちゃならないの?
あ~、止めようよ。自分の飼い犬をそこまで思いっきり蹴るのは。

人生の理不尽さに腹を立て、自分の不運はすべて周囲のせいと決めつけ、
人々はすべて自分に悪意を持っているものと思い込むジョセフ。
わかるような気はします。
でも、そこまで暴れる彼を観ていたら暗澹とした気持になってきます。

そして、生活を保証され、親切を押し売りするかのようにチャリティショップで
仕事をするハンナに、ジョセフ同様、八つ当たりしたくなりました。
でも、彼女の抱える闇にゾッとしました。
人って、表から見ただけでは何もわかりません。

f0165567_661011.jpg

糖尿病で早世した妻をティラノザウルスと呼び、
おそらくは不幸な結婚生活を送ったジョセフ。
仕事も人生もうまくいかず、労働者階級の底辺で這いずり回る彼は、
酒を飲み、周囲に当たり散らすしかないのかもしれません。

およそ対照的なハンナもうわべを装わなくてはならないだけ、
薄気味悪いDV夫との日々には耐えがたいものがあったに違いありません。

人生って一筋縄ではいかないものです。
でも、もしかしたら、良い方向に展開するかもしれない――
そう思えるから生き続けていけるのでしょうけれど。

もの想う秋。思秋期
人生について深く考えてしまう映画です。





今日もポチッとお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆10月16日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

思秋期
脚本・監督/バディ・コンシダイン、製作/ディアミッド・スクリムショウ、撮影監督/エリック・アレキサンダー・ウィルソン
出演
ピーター・ミュラン/ジョセフ、オリヴィア・コールマン/ハンナ、エディ・マーサン/ジェームズ、サミュエル・ポットモレイ/サミュエル、ネッド・デネヒー/トミー、ロビン・バトラー/ジャック
10月20日(土)新宿武蔵野館、梅田ガーデンシネマ他全国順次ロードショー
2011年、カラー、98分、英語、イギリス、字幕翻訳/岸田恵子、提供/新日本映画社、配給・宣伝/エスパース・サロー、後援/ブリティッシュ・カウンシル
http://tyrannosaur-shisyuuki.com/

by Mtonosama | 2012-10-16 06:20 | 映画 | Comments(8)
思秋期 -1-
Tyrannosaur
f0165567_6142911.jpg

(C)CHANNEL FOUR TELEVISION/UK FILM COUNCIL/EM MEDIA/OPTIMUM RELEASING/WARP X/INFLAMMABLE FILMS 2010

思春期は遠い昔に置いてきてしまったので、思秋期という言葉に心魅かれるようになりました。
思秋期―― もの想う秋にふさわしい美しい言葉ではありませんか。
もしかしたら思春期よりは味わい深い人生の季節かもしれません。

というわけで出かけたのですが、
ウワーッ!
これはものすごい映画でした。
圧倒されてしまいました。

f0165567_6213862.jpg

それゆえ、
「観に行こうと思っているけれど、どうだった?」
と訊かれたとき、
「いやぁ、暗いわ」
と答えてしまったとの。

「思秋期」という美しい言葉に魅かれて観に行くと、手痛いボディーブローをくらいます。
なんてったって、原題が“ティラノザウルス”ですから。

主人公も、その歳(とのより100歳年下の50代というお年頃でしょうか)になって、
これほどまでに追い詰められ、不器用で、悲しく、貧しい人生ではつら過ぎるよ――
と、なんとも暗澹たる気持ちになってしまいました。
ま、己が人生と重ね合わせるから、そんな想いにもなるのでしょうが。

「思秋期」の脚本を書き、監督を務めたのは、
「ボーン・アルティメイタム」(‘07)「ブリッツ」(‘11)などに出演した俳優パディ・コンシダイン。


パディ・コンシダイン
■生年月日 : 1974/09/05
■出身地 : イギリス
■バートン大学で演技の勉強を始めるが、途中で専門を写真に変えブライトン大学を首席で卒業。役者として成功を収める以前はカメラマンをしていた。「24アワー・パーティ・ピープル」「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」「シンデレラマン」など、話題作や大作への出演が続き、印象的な存在感と演技力を見せつけた。多くの映画賞に役者としてノミネートの経験があり、2007年に監督と脚本を勤めた「Dog Altogether」では英国アカデミー賞やヴェニス映画祭など数多くの映画賞の短編作品部門を受賞している。
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=728913

「Dog Altogether」で、映画監督デビューも果たしたコンシダイン監督の初の長編映画となったのが、
その拡大版ともいえる本作「思秋期」です。

f0165567_634254.jpg

憧れの監督はケン・ローチ、と語るコンシダイン監督。
まだ40歳にもなっていない彼が、
50代半ばを越えたどうしようもない主人公の心情や行動や人生を
どうしてここまでリアルに描けるのか、と首をかしげていました。
いくら俳優としてさまざまな役柄を演じたとはいえ、
脚本も監督もつとめるとなるとなまじっかな理解や観察だけでは不充分なはずです。

が、しかし、
その理由がわかりました。
なんと、「Dog Altogether」と本作の共通の主人公であるジョゼフのモデルは
コンシダイン監督の実の父親だったのです。

f0165567_6351425.jpg

いや、やばい人物ですよ。この主人公は。

もしも、とのがこういう親を持っていたら、とても映画になどできないでしょうし、
人に話すこともできないかもしれません。
暗い気持になり、衝撃を受けながらも、ラストまで正視していられたのは、
予想外の展開と、主人公ジョゼフを演じるピーター・ミュランの眼の奥に宿る
哀しげで、優しげな光のせいだったような気がします。
また、もうひとりの主役ハンナを演じたオリヴィア・コールマンも
テレビのコメディシリーズ出身とは思えないキャラクターを見せてくれました。
新境地開拓といったところかもしれません。
あ、彼女、最近では「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(‘12)でサッチャーの娘キャロル役を演じています。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
乞うご期待でございますよ。

f0165567_6365569.jpg



今日もポチッとお願いできれば嬉しゅーございます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆10月13日に更新しました。いつも応援をありがとうございます☆

思秋期
脚本・監督/バディ・コンシダイン、製作/ディアミッド・スクリムショウ、撮影監督/エリック・アレキサンダー・ウィルソン
出演
ピーター・ミュラン/ジョセフ、オリヴィア・コールマン/ハンナ、エディ・マーサン/ジェームズ、サミュエル・ポットモレイ/サミュエル、ネッド・デネヒー/トミー、ロビン・バトラー/ジャック
10月20日(土)新宿武蔵野館、梅田ガーデンシネマ他全国順次ロードショー
2011年、カラー、98分、英語、イギリス、字幕翻訳/岸田恵子、提供/新日本映画社、配給・宣伝/エスパース・サロー、後援/ブリティッシュ・カウンシル
http://tyrannosaur-shisyuuki.com/

by Mtonosama | 2012-10-13 06:52 | 映画 | Comments(6)