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               明りを灯す人 -2-
               SVET-AKE(THE LIGHT THIEF)

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                   世界にはまだまだ知らない国があるものです。
       キルギス共和国といわれても、元ソビエト連邦に属していたキルギスタンという国があったな、
                      ということくらいは知っていても、
                    そこに暮らす人がどんな顔をしているのか、
                        どんな生活をしているのか、
                  などということはさっぱりわかりませんでしたから。

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       ソ連が崩壊して、1991年8月に独立したキルギス共和国は急進的な経済改革を行いました。
              成果は現れましたが、さまざまな社会問題や経済問題も出現。
                      貧困問題はとりわけ深刻です。

            都市と農村の貧富の差は大きく、なかでも高齢者に皺寄せが来ています。
             映画の舞台となった小さな村にも、なんとか食べることはできても、
               電気代などの光熱費が支払えないお年寄りが大勢います。

            「明りを灯す人」も、明り屋さんと村人から呼ばれている主人公が
             電気代を払えない貧しい老人のために電気を無料で使えるように
                 メーターを細工しているシーンから始まりますよ。

ストーリー
廃品をかき集めたような風車を手入れしている男がいます。
村人たちから明り屋さんと呼ばれているこの男は、アンテナの調節や電気の修理の他、
どんな用事でも声をかけられたら自転車ですぐに駆けつける村の便利屋さん。

ある日、明り屋さんが村の老人の家で電気を無料で使えるように細工していると、
警察がやってきました。警察官に妻のベルメットが叫びます。
「捕まえるなら、本物の犯罪者を捕まえなさいよ。この人は人助けしているんだからね!」

都会からベグザットという男がやってきました。
彼は明り屋さんの親友マンスールの親戚で、国会議員に立候補し、
選挙対策のため、村に来たのでした。
エセン村長は村の長老たちを集め、
「ベグザットの狙いは土地です。彼にだまされないように」
明り屋さんに村の状況を嘆く村長。明り屋さんは憔悴した村長の身体が心配でなりません。

ベグザットは村人の票を集めるため、動き始めました。
エセン村長に協力を求め「俺が当選すれば、この不毛な土地を天国にしてやる」と言うのですが、
村長は「この土地は不毛じゃない。人が生き、子どもが生まれ育っている」と
きっぱり彼への協力を断るのでした……


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             天山山脈を望む村の広場でコク・ボルの試合が行われます。
    コク・ボルというのは、馬に乗って山羊を奪い合う競技で遊牧時代を今に伝える勇壮なものです。

       今はもう夏場だけ、それもごく少数の人が遊牧生活をしているにすぎないのですが、
         それでもこの村には自由で独立した遊牧民族の風習や伝統が残っています。

       ひとが遊牧民に憧れるのは、彼らが権力にとらわれることなく自由に移動できるから、
                     と思うのですが、どうでしょう。

              ま、いくら憧れても、この村も時代の変化から逃れることはできず、
      映画の中でも2010年に起こった「血の革命」のニュース映像やラジオ放送が流れてきます。
    都会からやってきた男のために、明り屋さんと親友マンスールとの関係にもヒビが入っていきます。

血の革命 
国民の不満が高まり、大規模なデモが発生。88名の被害者を出した治安当局との衝突の末、
バキエフ大統領は出国、辞任。オトゥンバエヴァ元外相を議長とする「暫定政府」が発足した。


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              貧しいけれども人々が支え合って暮らすユートピアのような村、
            そして、遊牧時代の自由で、大らかで、親切な心根を持った明り屋さん。

            いいなぁ、癒されるなぁ、と、無責任な都会人の気まぐれな憧れだけで
                 うっとり観ていると思いがけない結末に愕然とします。

                             でも、でもね、
         この映画のラストは勢いよく回る風車がひとつずつ灯してゆく電球のシーンなのです。
          監督が言っていますが「これは私にとって平穏な未来の希望を意味しています」。
                        エンドクレジットの前には
                 「私の孫たちへ、彼らが幸せでありますように」とあります。

                        未来の希望!持ちたいです。

  

                                 

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明りを灯す人
監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/タリブ・イブライモフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ
出演
アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバゾバ、アスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
10月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、キルギス=ドイツ=イタリア=オランダ、80分、日本語字幕/関美冬、字幕監修/井上徹、後援/在日キルギス共和国大使館、協力/風の旅行社、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/akari

by mtonosama | 2011-09-16 07:10 | 映画 | Comments(8)
             明りを灯す人 -1-
             SVET-AKE(THE LIGHT THIEF)

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                 さあ、久々にあまり知らない国へ飛びましょう!
                          キルギスです。
                      正式名称はキルギス共和国。
            かつてはキルギスタン(黠戞斯坦)と呼ばれていた中央アジアにある
                      旧ソビエト連邦の共和国です。
首都はビシュケク。カスピ海の東に位置し、北から時計回りにカザフスタン、中華人民共和国、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接する。ソビエト連邦から独立したウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタンとともに中央アジアを形成し、独立国家共同体 (CIS) の加盟国となっている。
(Wikipediaより)

             シルクロードの北の道がキルギスを通っていたこともあって、
大昔から匈奴や唐、13世紀にはモンゴル帝国の支配下に入るなど異民族の通り道にあたっていました。
               なんか司馬遼太郎の世界を想わせ、ドキドキします。
     そして20世紀の初めからは1991年に独立を果たすまでソ連に支配されていたキルギス。

        そんなわけで、この映画に登場する人々の顔はアジア的な顔をしています。
             監督でもあり、主役でもあるアクタン・アリム・クバトさんは
              喧嘩ッ早くない朝青龍という感じの愛嬌のある顔立ちです。

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アクタン・アリム・クバト監督
1957年生まれの54歳。76年、首都ビシュケクにあるビシュケク美術専門学校に入学。
80年に卒業し、キルギスフィルム・スタジオでセットデザイナーとして働き始めました。
その後、いくつかの作品で美術監督を務め、
90年、短編ドキュメンタリー”A Dog Was Running”で監督デビュー。
93年には中編劇映画「ブランコ」を監督し、ロカルノ国際映画祭の短編映画部門でグランプリを受賞。
国際的に注目されます。
98年、長編劇映画デビューとなる「あの娘と自転車に乗って」を発表。ロカルノ銀豹賞(準グランプリ)をはじめ、ビエンナーレ、東京などの国際映画祭で数々の賞を受賞。
2001年、「ブランコ」「あの娘と自転車に乗って」に続く自身の少年時代を描く3部作の最終章となる
「旅立ちの汽笛」を発表しました。
2010年、9年の歳月をかけ、「明りを灯す人」を完成。
本作では名前をロシア名のアブディカリコフからキルギス名のアリム・クバトに変え、
自ら主演も務めました。ロシアで行われたキノショック映画祭で主演男優賞を受賞し、
監督としてだけではなく、俳優としても認められる存在に。
現在、次回作”Centaur”を準備中。かつて馬泥棒だったケンタウロスとアラビア馬の物語。
民話にイスラム的文化を盛り込んだ作品になるということです。


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   さて、この映画の舞台となる村は「中央アジアの真珠」と呼ばれるイシク・クル湖のほとりにあります。
20メートルを超す透明度を誇るこの湖は天山山脈の山間部にひっそりと位置し、幻の湖といわれていました。
              ソ連時代には高官専用の保養地として利用されていたとか。
            今では夏になると湖水浴を楽しむ人々でにぎわいを見せる湖です。

                       でも、村は豊かではありません。

                      キルギス民族はもともと遊牧民です。
           今ではほとんどの人が定住していますが、その時代の精神は今も受け継がれており、
              本作の中でも遊牧民としての生活習慣や風習を見ることができます。

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                        そして、主人公は電気屋さん。
              彼は広大な自然の中で、乏しい資材で工夫して風車を作っています。
              そうそう、イシク・クル湖のほとりは強い風が吹く場所なのです。
                         風車は電気も起こします。

                   なんか、その風車の存在がとても寓話的で、象徴的で、
                   この映画のキーポイントのような印象を受けます。
                         馬と草原、優しい人々―――

               こんな時代、こういう映画を見ると心にポッと明りが灯るようです。
              原題”SVET-AKE”の”SVET”も「光/明り」という意味があるそうですし。

                       中央アジアのスイスといわれるキルギス。
                 さあ、この村を舞台にどんなお話が繰り広げられるのでしょう。
                         次回まで乞うご期待であります。

                                

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明りを灯す人
監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/タリブ・イブライモフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ
出演
アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバゾバ、アスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
10月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、キルギス=ドイツ=イタリア=オランダ、80分、日本語字幕/関美冬、字幕監修/井上徹、後援/在日キルギス共和国大使館、協力/風の旅行社、配給/ビターズ・エンド
www.bitters.co.jp/akari

by mtonosama | 2011-09-13 06:47 | 映画 | Comments(8)