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タグ:是枝裕和監督 ( 7 ) タグの人気記事


三度目の殺人
-2-

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(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ


その昔、『誰も知らない』(’04)の試写を観て、
感動のあまり呆然としていると、
大きな人がスクリーンの前に現れました。
それがリアル是枝監督を見た最初です。

身体は大きいけれど、どこかおずおずとした監督が
国内外で数々の映画賞を受賞するほどの監督になられましたとは・・・
ババはただただ嬉しうございます。

ストーリー
拘置所を訪れた弁護士の重盛に
「殺しました」と罪を認める三隅。
三隅は自分を解雇した食品加工工場の社長を殺し、
その財布を奪って遺体に火をつけた容疑で起訴されていた。
彼は30年前にも強盗殺人を犯しており、
死刑はほぼ確実と思われていた。

元々は重盛と同期の摂津弁護士が担当していた事件だが、
会うたびにコロコロと供述を変える三隅に音をあげ、
重盛に担当を押し付けてきたのだった。

死刑から無期懲役に持っていこうと
新人の川島弁護士を助手に調査を始める重盛。
調査の中で三島が財布を盗んだのは
遺体にガソリンをかけた後だとわかり、
弁護方針を強盗殺人から殺人と窃盗に変える。

ところが、思いもかけない事態が発生。
三隅は重盛に無断で週刊誌の取材に
「社長の奥さんに頼まれ、保険金目当てで殺した」
と独占告白したのだ。
真偽の程を訊ねる重盛に、
三隅は社長の妻からの依頼メールが携帯に残っていると答える。
その銀行口座には給料とは別に50万円も振り込まれている。

急遽、美津江主犯説に切り替える重盛。

美津江との関係の裏を取るため、三隅のアパートを訪ねる重盛。
そこで知った意外な事実。
三隅の部屋を訪れていたのは美津江ではなく、
足の不自由な女の子だというのだ。
それは美津江の娘の咲江だった。
更に三隅は逮捕を覚悟していたかのように身辺整理も済ませていた。

三隅が犯した最初の殺人の裁判で裁判長だった重盛の父は
「三隅は楽しむために殺す獣のような人間」と言う。
三隅を逮捕した刑事は
「感情の無い空っぽな器のようで不気味だった」と。

三隅という男がつかめないまま第1回公判が開廷した……

是枝監督が取材した弁護士はみな異口同音に」
「法廷は真実を解明する場所ではない」
と言ったそうです。
ならば、何が真実かわからないような法廷劇を
撮ってみようと思ったのがこの作品を作るきっかけだったとか。

クールな重盛弁護士が
「いったい何が本当なんだ」と追い詰められ、
接見室のアクリル板を隔てて
三隅と重盛が禅問答のように言葉を交わすシーンが圧巻でした。

本当のことは三隅が胸におさめたまま。
状況から判断しようにも
状況は二転三転。
何が本当なんだ・・・
重盛のみならず観客も問いかけたくなります。

毎回エッジのきいた作品に「満足満足」と舌なめずりしながら
映画館を後にするのですが、
今回は深く考え込みながら家路につきました。





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三度目の殺人
原案・監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影監督/瀧本幹也、美術監督/種田陽平、音楽/ルドヴィコ・エイナウディ
出演
福山雅治/重盛弁護士、役所広司/三隅、広瀬すず/咲江、吉田鋼太郎/摂津弁護士、斉藤由貴/美津江、満島真之介/川島弁護士、市川実日子/検事、橋爪功/重盛の父
9月9日(土)全国ロードショー
2017年、日本、カラー、124分、配給/東宝、ギャガ、http://gaga.ne.jp/sandome/

by Mtonosama | 2017-08-27 05:30 | 映画 | Comments(4)

三度目の殺人
-1-

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(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ


『三度目の殺人』。
是枝監督の最新作です。
『そして父になる』(‘13)
http://mtonosama.exblog.jp/20412943/
http://mtonosama.exblog.jp/20430346/

『海街diary』(’15)
http://mtonosama.exblog.jp/24104314/
http://mtonosama.exblog.jp/24115383/

『海よりもまだ深く』(’16)
と家族をテーマにした作品が続いていましたが、
今回はなんと法廷もの。
いえ、法廷も舞台になってはいますが、
サスペンスというジャンルにくくるものでありましょうか。

ここでふとサスペンスってなんなのか
わからなくなってしまいました。

サスペンス
サスペンスは、ある状況に対して不安や緊張を抱いた不安定な心理、
またそのような心理状態が続く様を描いた作品をいう。
シリアス、スリラー(サイコスリラー)、ホラー(サイコホラー)、
アクションものといった物語の中で重要な位置を占める。
単純に「観客の心を宙吊りにする」という意味で
ズボンのサスペンダーを語源だとする説明もある。
また、より広い意味においては、
観客や読者が作品(の行く末や登場人物など)に対して
不安や緊張の心理、物語の結末を知る事への希求を抱かせ、
その作品に対しての興味と関心を持続させる事ができる
(あるいは、製作者がそのように意図した)作品もサスペンスといわれる事が多い。
(Wikipediaより)

なるほどね、サスペンダーか。
確かに心がひっぱられた映画でした。
映画を観ている間も、観終わってからも。

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主役の弁護士を演じるのは
『そして父になる』で思わぬ側面を見せてくれた福山雅治。
『海街diary』に続き、広瀬すずも再び登場します。
そして、福山が弁護する殺人犯が
今回、是枝作品には初登場の役所広司。
豪華な演技陣です。
役所広司がつかみどころのない不気味な人物を
淡々と演じていました。
〈観客が抱く物語の結末を知る事への希求〉がサスペンスの広義なら
まさに彼が演じる三隅という人物こそサスペンスそのものでした。

是枝監督としては初めてのサスペンスへの挑戦。
殺人の前科のある三隅が
解雇された工場の社長を殺した容疑で起訴され、
犯行も自供し、死刑はほぼ確実なのだが・・・

という事件としてはありふれたものにみえますが、
そう簡単なことではありません。

閉所恐怖症に陥りがちな法廷や接見室のシーンが多くても
是枝監督の綿密なリサーチの賜物か、
サスペンダーに引っ張られるズボンのように
観客はひきつけられます。

なにせ弁護士たちの協力を得て、
何度も「模擬接見」を繰り返したり、
「模擬裁判」を行いながら、
そのやりとりを脚本にしていったのだそうです。

なんたって原案・監督・脚本・編集すべて是枝監督ですからね。
臨場感たっぷりです。

更に脇を固める
吉田鋼太郎、斉藤由貴、満島真之介、橋爪功という俳優陣。

これはもう期待するしかありません。

さあ、続きは次回まで
乞うご期待でございますよ。



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三度目の殺人
原案・監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影監督/瀧本幹也、美術監督/種田陽平、音楽/ルドヴィコ・エイナウディ
出演
福山雅治/重盛弁護士、役所広司/三隅、広瀬すず/咲江、吉田鋼太郎/摂津弁護士、斉藤由貴/美津江、満島真之介/川島弁護士、市川実日子/検事、橋爪功/重盛の父
9月9日(土)全国ロードショー
2017年、日本、カラー、124分、配給/東宝、ギャガ、http://gaga.ne.jp/sandome/

by Mtonosama | 2017-08-24 05:48 | 映画 | Comments(0)

海街diary
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(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ


みんな若くてきれいな姉妹です。

長女の幸は看護士で小児科医と恋愛中。
この医師には心を病んだ妻がいるので、離婚はできません。
幸もそのことをわかっています。
でも、不倫ですね。

次女・桂乃は自由奔放。お泊りをする間柄のボーイフレンドあり。
信用金庫に勤め、仕事はほどほどに、人生は楽しく、といったタイプ。
でも、失恋をきっかけに仕事に燃えることになります。

三女・千桂はスポーツ用品店勤務。
エベレスト登山中、凍傷で足の指を6本失った店主を良い相棒に
地元中学生のサッカーチームのサポーターをしています。
釣りが好き。ヘラブナ釣りとかが。

この三姉妹の父が女を作り、出奔。
棄てられた母も再婚して家を出ていき、姉妹は鎌倉の古い大きな家で祖母に育てられました。

その父が死んだという知らせが舞い込んだことから、このお話は始まるのですが――

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ストーリー
15年前、妻子を捨てて出て行った父が死んだ。
父の葬儀のために訪れた夏の山形で三姉妹は中学生の腹違いの妹すずに会う。
すずの母は既に亡く、父は三度目の結婚をしていた。
その相手は幼い連れ子がいて、夫の死にべそべそ泣くばかりで何もしない。
しっかり者のすずが気丈にふるまっていた。
姉たちから「お父さんの世話をしてくれてありがとう」と声をかけられ、涙ぐむすず。
駅のホームまで送ってきた彼女に、幸は「鎌倉で一緒に住まない?」と声をかける。

秋、すずが鎌倉に越してくる。
幸は大叔母の史代に
「あの子はあんたたちの家庭を壊した人の娘なのよ。一緒に暮らすのは難しいわよ」
といわれながらも、和やかに暮らし始めた。
すずは地元のサッカークラブに入団する。
転校した中学校でも仲の良い友人たちができ、美しく紅葉した木々の中、通学した。

冬、広い家はその分寒く、姉妹はこたつで酒を飲んだり、宿題をしたり。

春、腰越のシラス漁が始まった。すずはサッカーの仲間と釜揚げシラスを作る手伝いに。
そんなサッカー仲間の風太にだけは家庭のことを話せるすずだった。
風太の自転車の後ろに乗って満開の桜の花のトンネルを駆け抜ける。

庭の梅の実をもぎ、梅酒を漬け、梅雨が訪れる頃、
姉妹の生活に思わぬできごとが。
音沙汰のなかった母が祖母の七回忌に現れ、鎌倉の家を売ると言いだしたのだ……

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四姉妹がそれぞれに抱える想いを
行きつけの海猫食堂のおばさんや大叔母さんが優しく見守ります。
四人の淡々とした日々は、
出会いや別れを繰り返しながら続きます。

その中心にはいつも古くて広い家が佇んでいます。
花が咲き、梅の実がなり、冬には隙間風が吹き抜けるこの古い家が、
四人をこれからも守ってくれるでしょう。

人生って案外なんとかなっていくものです。

大人のメルヘンのような映画でした。





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海街diary
監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影/瀧本幹也、原作/吉田秋生「海街diary」(小学館「月刊フラワーズ」連載)、音楽/菅野よう子
出演
綾瀬はるか/香田幸、長澤まさみ/香田佳乃、夏帆/香田千佳、広瀬すず/浅野すず、大竹しのぶ/佐々木都、堤真一/椎名和也、加瀬亮/坂下美海、風吹ジュン/二ノ宮さち子、リリー・フランキー/福田仙一、樹木希林/菊池史代、鈴木亮平/井上泰之、前田旺志郎/尾崎風太、キムラ緑子/高野日出子
6月13日(土)全国東宝系ロードショー
2015年、日本映画、128分、カラー、http://umimachi.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2015-06-09 05:47 | 映画 | Comments(6)

海街diary
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(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

『海街diary』。
あれ?このタイトル、まるでとののためにあつらえたようでありますよ。
とのが住んでいるところも海街ですから。
そりゃあ、とのは主役の綾瀬はるかさんとは全く以て違うタイプではありますが・・・

などと思いながら、映画を観て、これまた驚きました。
だって、全部ご近所なんです。

一番びっくりしたのは三女・千佳の勤めるスポーツ用品店。
いつも通る路地にあるお店ではありませんか。
小さなお店で多分地元の人間しか知らないと思います。
是枝監督、よくぞこのお店をみつけてくれたなぁとなんだか嬉しくなりました。

映画の中で異母妹のすずちゃんがお手伝いに行く釜あげしらす屋さんだって、
すずちゃんがボーイフレンドとチャリで走る道だってみんな知ってます。
もうこうなると映画どころではありません。

そんな訳で今回はあまり客観的になれませんが、どうぞご容赦くださいませ。

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原作は吉田秋生の漫画。
第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ対象2013を受賞した「海街diary」。
現在、「月刊フラワーズ」でシリーズ連載中です。

両親に捨てられた三姉妹と父の残した腹違いの妹が
一緒に鎌倉の大きな古い家で暮らし始める物語。

両親に捨てられた子どもたちというと
どうしても是枝作品『誰も知らない』(‘04)を思い出してしまいます。

でも、あのとんがった感じはなく、
美しい女優さんたちの織りなす仲良し姉妹の物語に見えました。

これまでの是枝作品にあったちょっとひっかかる部分というのがないのは
是枝ファンとしては少しばかり物足りないように思ってしまいました。

とはいえ、キャストは豪華です。
女優陣は今をときめく綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。
常連の樹木希林、そして、是枝作品には初出演の大竹しのぶ。
俳優陣は「そして、父になる」以来2度目となるリリー・フランキー、
おなじみ加瀬亮や前田旺志郎、初出演の堤真一と鈴木亮平。
すごいですね。

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鎌倉の四季と趣ある古民家。
女子好みの素材はたっぷりつまっています。

監督もまたこの古民家がみつからなければ撮影しない位の意気込みだったそうで
スタッフたちがくまなくあたって見つけ出した家はイメージ以上の家でした。

日当たりの良い縁側はいかにも懐かしげで、
庭には毎年立派な実をつける梅の樹もあり、この映画の準主役ともいえる佇まいです。

サッカーの試合から帰ってシャワーを浴びたすずがバスタオル一枚で縁側に走ってきて
足の指で扇風機をつけます。
そして、バッとタオルを開き、風を受け、幸に「こらーっ!」と怒られる。
借りてきた猫みたいに大人しく良い子だったすずが徐々に香田家に慣れていくシーンです。

これなんかもこの古い家があってこそなんですよね。

是枝作品の中にこれまであった社会的な要素や
エッジ感みたいなものはないけれど、
現代版「若草物語」として女の子の成長を楽しみながら鑑賞する手もあるな、と
段々思えてきました。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
続きは次回までお待ちくださいね。



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海街diary
監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影/瀧本幹也、原作/吉田秋生「海街diary」(小学館「月刊フラワーズ」連載)、音楽/菅野よう子
出演
綾瀬はるか/香田幸、長澤まさみ/香田佳乃、夏帆/香田千佳、広瀬すず/浅野すず、大竹しのぶ/佐々木都、堤真一/椎名和也、加瀬亮/坂下美海、風吹ジュン/二ノ宮さち子、リリー・フランキー/福田仙一、樹木希林/菊池史代、鈴木亮平/井上泰之、前田旺志郎/尾崎風太、キムラ緑子/高野日出子
6月13日(土)全国東宝系ロードショー
2015年、日本映画、128分、カラー、http://umimachi.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2015-06-06 05:56 | 映画 | Comments(8)
そして父になる -2-
LIKE FATHER,LIKE SON

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©「そして父になる」製作委員会

『そして父になる』
英語タイトルは”LIKE FATHER ,LIKE SON”。
「父のように、息子のように」って意味ですかねぇ。

かなり映画の真意を伝えてくれるタイトルです。

男にとって子どもを持つということは、
女とは違って産みだす作業がないだけに、
まずは父親であらねば、
と思いこむことから始まるのかもしれませんね。
父性というのは最初からあるものではなく、
その獲得には、母性以上に努力が必要なのかもしれません。

さあ、どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
野々宮良太は一流大学を出て、大手建設会社に勤務。
都心の高級マンションに暮らすバリバリの勝ち組である。
それらは全て自分の努力と能力で獲得したと思っている。順風満帆な人生。
気になることといえば6歳になった一人息子慶多が優しすぎる性格であることくらいか。

だが、一本の電話が彼の順調な人生に小石を投げこむ。
そして、その波紋は次第に大きく拡がっていった。
11月のある日、妻のみどりが慶多を産んだ群馬の病院で
子どもの取り違えがあったことが判明したのだ。
DHA鑑定の結果、慶多は他人の子だった。

病院側の仲介でまずは親だけで面会。
野々宮良太は群馬で小さな電気店を営む斎木雄大とその妻ゆかりに会う。
野々宮夫婦とはまったくタイプの違う夫婦である。

病院側は一般的にはほぼ全員が血のつながりを選ぶものだと説明し、
できるだけ早く決断することを提案する。

翌月、子どもを連れて会うことになった二家族。
ショッピングモールのカフェで良太とみどりは実の子である琉晴をみつめる。

年が明け、二家族は実の子を家に一泊させることに。
みどりとゆかりは同郷ということもあり、母親同士心を開き、子どもたちの情報を交換。
初めての宿泊の日、慶多を送り届けた良太は斎木家のみすぼらしさにとまどった。
だが、斎木家ではゆかりの父も加わり、6人の賑やかな食卓で餃子を囲み、
食後は雄大が子どもたちと一緒に狭い風呂に入る。
一方、野々宮家は都会的な高層マンションのダイニングテーブルですき焼き。
3人だけの静かな食事。良太は琉晴の箸遣いを正す。

小学校の入学式が終わっても結論を出せない二家族……

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血のつながりか、6年間の歳月か。
病院側の言うように、世間は血のつながりを選ぶものなのでしょう。
だが、6年間の歳月は決して短いものではありません。
でも・・・
やっぱり・・・
簡単に結論の出る問題ではありません。
映画を観ながら、みどりやゆかりの立場に立ちながら、一緒になって迷ってしまいます。

5年前に自身も子を持つ親となり、
自分と子どもを繋ぐものについて考えるようになった是枝監督もそうだったのでしょう。

群馬の電気屋から都心の高層マンションに連れてこられた琉晴の小さな背中が
窓外に拡がる都会の風景を眺めながら自分の置かれた状況を全身で拒絶しています。
父を忘れることで血のつながらない父との絆を守り抜こうとするかのような慶多のこわばった肩。
是枝監督は子どもを撮らせたら天下一品です。

監督は参考文献として「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」(奥野修司著、文春文庫刊)を読み、
ほとんどのケースが「血」を選んで、お互いの子どもを交換する中、
子どもを交換しないという選択をした家族もいたということに刺激を受けたそうです。

これはもちろん家族の映画ではありますが、
《父になること》を描いた男の映画なんだと思います。

正直言って、野々宮良太の上から目線はいやらしい。
いくら福山さんでもちょっと・・・
こんな男が連れあいだったらぶっ飛ばしてしまいます。
挫折を知らない会社人間が子どもの取り違え事件をきっかけにして変わっていく――
確かに知人が言うようにベタな展開かもしれません。

とはいえ、野々宮良太が慶多や琉晴のどちらかを選ぶということではなく、
父になっていく、父であることに気づくシーンは感動的です。

《父帰る》でも、《父性の復権》でもなく、「父になる」以外のなにものでもありません。
男というのは不器用でやっかいな生きものなのですね。





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そして父になる
監督、脚本、編集/是枝裕和、撮影監督/瀧本幹也、製作/亀山千広、畑中達郎、依田巽、参考文献:奥野修司著「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」(文春文庫刊)
出演
福山雅治/野々宮良太、尾野真千子/野々宮みどり、真木よう子/斎木ゆかり、リリー・フランキー/斎木雄大、二宮慶多/野々宮慶多、黄升炫/斎木琉晴、中村ゆり/宮崎祥子、高橋和也/野々宮大輔、田中哲司/鈴木悟、井浦新/山辺真一、風吹ジュン/野々宮のぶ子、國村隼/上山一至、樹木希林/石関里子、夏八木勲/野々宮良輔
9月28日(土)ロードショー
2013年、日本、120分、配給/ギャガ、http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-09-21 06:34 | 映画 | Comments(8)
そして父になる -1-
LIKE FATHER,LIKE SON

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©「そして父になる」製作委員会

知人が、是枝監督もベタな映画を作るなぁ、と言いました。
今更なんで赤ちゃん取り違えなんだ? と。

ああ、それって男の人の考え方かなぁ、と思いました。

『そして父になる』がカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、
映画の内容を報道で知ったときから、
150歳とはいえ、一応、女であるとのは
「えーっ、6年間も自分の子だとばかり思って育てていた子が他人の子だったら、どうすればいいんだろう」
と友人とも話し、真剣に悩んでしまったからです。
だって、口で言うほど簡単な問題じゃないですよねぇ。

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と、父を演じた福山雅治さんも思ったでしょうか?
いえ、思わなかったと思います。
福山さんは独身ですし、子どももいないし、歌に、演技に、カメラに――
一生懸命になれる対象はいっぱいありますものね。

だから、『そして父になる』なのです。
産み、育てることによって最初から母である女性と違って、
男性は生まれてきた子どもと日々を重ねることによって《父になる》のです。
「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」と同じく
「男は父に生まれるのではない。父になるのだ」なんですよね。
福山さんもこの映画で父親になりました。

本作では福山さんが父になっていく様子を観るのが課題です。
などと勝手に課題決定するとのです。

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突然ですが、

こんな夢を見た――
(と冒頭だけ漱石先生の「夢十夜」を借ります)

「福山雅治が父親かぁ」と考えていたら、その夜、夢を見てしまいました。

なぜか、ひかちゃんを連れて福山雅治と横浜MM21を一緒に歩いていました。
お外が嫌いで暴れるひかちゃんを力一杯抱き締めながら、福山さんの後を小走りについていくのです。
『夏の終り』のシーンもごちゃ混ぜになったようなちょっと幸せな夢でした。

すいません。
映画とはなんも関係ないことを。

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今回は第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞の記憶も新しい福山雅治主演、是枝裕和監督作品
『そして父になる』を上映するものですから、ちょっと舞い上がっております。

いけない、いけない。冷静にならねば・・・・・

すーっ・ふーっ(深呼吸)。

『そして父になる』は、福山雅治が「一緒に何かできませんか?」と
是枝監督に声をかけたことから映画作りがスタート。
福山さんと会った是枝監督は未だ見たことのない彼を撮ってみたいと考えて
彼のためにシナリオを書き下ろしたのだそうです。

是枝監督も福山雅治も好きなとのにとってはもうたまりません。

すーっ・ふーっ(もう一度深呼吸)。

キャスティングも魅力的です。
福山雅治の妻には尾野真千子。
取り違えられたもうひと組の夫婦はリリー・フランキーと真木よう子。
子役たちも『誰も知らない』同様、自然な演技を見せてくれました。
監督はホントに子どもを使うのがうまいです。
他には是枝作品にはこの人ありの樹木希林(『歩いても歩いても』)、
井浦新(『空気人形』)が出演。
井浦さんはどこか象徴的なアイコンのような役割で登場するのでお楽しみに。

ああ、なんかメロメロです。
次回はもっと冷静に上映したいと存じます。
どうぞ、これに懲りず、またご来室くださいませ。



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そして父になる
監督、脚本、編集/是枝裕和、撮影監督/瀧本幹也、製作/亀山千広、畑中達郎、依田巽、参考文献:奥野修司著「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」(文春文庫刊)
出演
福山雅治/野々宮良太、尾野真千子/野々宮みどり、真木よう子/斎木ゆかり、リリー・フランキー/斎木雄大、二宮慶多/野々宮慶多、黄升炫/斎木琉晴、中村ゆり/宮崎祥子、高橋和也/野々宮大輔、田中哲司/鈴木悟、井浦新/山辺真一、風吹ジュン/野々宮のぶ子、國村隼/上山一至、樹木希林/石関里子、夏八木勲/野々宮良輔
9月28日(土)ロードショー
2013年、日本、120分、配給/ギャガ、http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-09-18 07:09 | 映画 | Comments(6)
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(C)2008「大丈夫であるように」製作委員会
大丈夫であるように
――Cocco 終らない旅――


是枝裕和監督作品が好きです。
「誰も知らない」(‘04)を観終わって、感動して呆然と座席に座っていた時
突然、監督本人が現われ、試写室の観客に挨拶をしました。
舞台挨拶ではありません。座席とスクリーンの間、いわゆる平土間での挨拶です。
まだ、公開もされていないし、カンヌでの主演男優賞など思いもよらない時の話です。
大きな体の実直そうな監督はボソボソと話して、すぐにひっこんでいきました。
あんな普通の人がこんなすごい映画を作るんだ、と思ったものです。
そのときから「花よりもなほ」 (‘06)、「歩いても歩いても」(‘08)と続き
本作「大丈夫であるように」です。もう、これは観なくては。

「観るぞ」と意気込んで試写室に向かいました。
ところが、Coccoです。Cocco,who?

映画の冒頭、なにやらゾロリとしたスカートをはいた痩せぎすの女の子が
ゴム草履でペタペタと冬枯れの沖縄の田舎町を歩いています。
沖縄だとわかったのは冬なのにゴム草履を履いていたからです。
カメラに撮られているという高揚感があるのか、それとも元来がそんな性格なのか
痩せた女の子Coccoはやけに元気そうに田舎町の商店に入っていきます。
お店の人とは顔なじみの様子です。
そうか。沖縄出身なのか。アルバムを録音した時お世話になった人たちに挨拶をしているのか。
と、なんとなくわかってきます。

Coccoはロケバスの中でも元気そうによく話します。黒砂糖をかじる姿が映し出されますが
そのときナレーションが入ります。

「この旅行中、彼女が口にしたのは
彼女の母が生まれた島でとれた伊平屋島産の黒砂糖だけだった」


拒食症だったのですね。
そういえば、先日亡くなった筑紫哲也さんの追悼番組に
ロンドンからの中継で彼女が出演していましたが
映画の時より痩せていたようでした。

1997年シングルCD「カウントダウン」でメジャーデビューした1977年生まれのCocco。
アルバムを4枚出し、HITACHIのCFや「ミュージックステーション」に出演するなど
活躍しましたが、2001年に突然活動中止。
そして06年復活。
沖縄での「ゴミゼロ大作戦」、絵本の執筆など歌とは違う分野でも活躍しています。

彼女の「Raining」という歌を聴きましたが、優しいメロディラインながら、
その歌詞の激しさにちょっとたじろぎました。
「ジュゴンの見える丘」もメッセージ性の強い歌です。

07年8月ヘリポートの基地移設が進行中の大浦湾
絶滅の危機にあるジュゴンのニュースがきっかけとなって生まれた「ジュゴンの見える丘」に
共感した是枝監督がCoccoデビュー10周年の全国ライブツアーに同行
家族と暮らす沖縄での日常も記録しました。
それがこの「大丈夫であるように ―― Cocco 終らない旅 ――」です。
この作品、ドキュメンタリー映画なのか、メッセージ映画なのか
それは監督自身も答えを出せないそうです。

ひめゆり部隊で生き残ったおばあたちを招待したライブ。そこで歌う「お菓子と娘」
六ヶ所村から届いたファンからの手紙を読んでプルトニウムリサイクル施設を訪れるCocco。
危険と隣り合わせに生きる人々が沖縄以外にもいることを知り、ライブでそのことを熱く語ります。

「歌で何ができるかわからないけど、失くすものも守れないものもいっぱいあるけど、それでもやっていこうと思う」


ドキュメンタリー映画?メッセージ映画?
監督本人がわからないというのですから、私もわかりません。
でも、この映画を観て、苦しくなるほどに感じたのは
Coccoは人々の苦しみをすべて一人で背負い込もうとしているのではないか。
ジュゴンの住む場所がなくなるかもしれないことも自分の責任として感じているのではないか。
それが拒食症とリストカットとして現われているのではないか、ということです。

細い体で声をふりしぼるように歌う彼女を見ていると、そんな痛々しさを感じてしまいます。
是枝監督、筑紫哲也。Coccoは真剣な映画作家、ジャーナリストにとってのミューズなのでしょう。
監督の言葉です。

「Coccoの旅に同行した。
きっかけはライブ・アースでジュゴンのことを語り、唄う、彼女の姿を見たことだった。
僕の中で何かが震えた、何かしたい――素直にそう思った。
だから撮らせてもらうことにした。泣きながらカメラを回したのは生まれて初めてだ。
この感情を一人でも多くの人と共有できたらいいなぁと、今、強く思っている」


Cocco,who? なんて言ってごめんなさい。
文字通り、身を削っての彼女の訴えに耳と目を向けなければいけないのかもしれません。

大丈夫であるように -Cocco終わらない旅―
プロデュース・監督・編集/是枝裕和
出演
Cocco
挿入歌
「てぃんさぐぬ花」「赤田首里殿内」「じんじん」「べーべーぬ草」(沖縄民謡 作者不詳)
「お菓子と娘」(作詞:西條八十、作曲:橋本国彦)
「Rainbow」(作詞・作曲:Dr.Strangelove)
「樹海の糸」「強く儚い者たち」(作曲:柴草玲)
「連続カチャ―シー2005」(金城実&よなは徹 リスペクトレコード)
12月13日シネマライズ・ライズX他にて全国ロードショー
配給クロックワークス
www.dai-job.jp

by mtonosama | 2008-12-01 06:38 | 映画 | Comments(10)