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最終目的地 -2-
The City of Your Final Destination

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©2008 ST.PANCRAS INC. ALL RIGHTS RESERVED

さて、前回、ウルグアイ、ウルグアイと騒ぎましたが、
本作の撮影地は実はアルゼンチンです。

未舗装の田舎道。
ずぶずぶと足を呑みこむ底なし沼。
鬱蒼とした密林を背景に、滅びゆくものの色合いを帯びつつ、寂しげに、侘しげに、
しかし、風格を誇示しつつ聳える邸宅。
南米の湖畔に打ち捨てられ、今や朽ち果てようとしているベニスから運んだというゴンドラ。

最高の道具立てではありませんか。
こうしたお膳立てさえ整っていれば、ウルグアイであれ、アルゼンチンであれ、関係ありません。

古色蒼然とした道具、そして、登場人物。
さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
コロラド大学の教員オマー・ラザギは、1冊の著書のみを遺し、自殺した作家ユルス・グントの伝記を書くことを計画。
研究奨励金の認可を得るためには作家の遺言執行人たちの公認を得なければなりません。
彼らに手紙をしたためるオマー。ほどなく返信がきました。
しかし、それは公認を却下するというものでした。
オマーの恋人ディアドラはウルグアイへ行って直接交渉せよとオマーを煽ります。

ウルグアイまで飛んできたオマー。
街から遠く離れたオチョ・リオスにある作家の屋敷には、
作家の未亡人キャロラインと作家の愛人アーデンとその娘ポーシャ、
作家の兄アダムとそのパートナーの日本人ピートが今も共同生活を営んでいます。
キャロライン、アーデン、アダムから伝記執筆の公認を得ようと交渉を開始するオマー。

ところがアダムはあっさりと公認します。
ところが、それには亡母が遺した宝飾品の数々をアメリカで売ってほしいという条件がついていました。

アーデンはオマーと過ごす内、彼に共鳴するものを感じ、公認を与える決意をします。

しかし、キャロラインは頑なな態度を変えません。
夫は決して伝記を望んではいなかったと主張し、公認を与えようとはしないのです。

やがて1冊しか著書がないと思われていた作家が実は2冊目の執筆にあたっていたことがわかります。

オマーの出現は遺言執行人たちの気持を揺るがし、
オマー自身も自分の生き方を問い直し始めるのでした……

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夫の愛人と奇妙な共同生活をする未亡人キャロラインの意固地な態度や気難しさが
次第に溶けてゆく様子を演じ切ったローラ・リニーには感服しました。
はかなげな愛人アーデンを演じたシャルロット・ゲンズブールの影が薄れるくらいの存在感でしたねぇ。
すごい女優さんです。
アンソニー・ホプキンスも良かったです。
あ、そうそう、真田広之が演じたのはその愛人役。

最終目的地――
密林を背景にそそり立つ屋敷が最終目的地であるかのように思わせ、そうではありません。
おそらくは湿気や密林の微生物のために朽ち果てようとしている邸宅。
滅びこそ最終目的地であるという隠喩を匂わせつつ、実は違っていた・・・・・
などと小難しく考える必要はありません。

ガルシア=マルケスやホルへ・ルイス・ボルヘスやマヌエル・プイグなど、
南米の土壌から生まれた作家たちの作品の中に漂う
どこか不思議で、幻想的な雰囲気を感じさせる映画でした。

そうした雰囲気を音楽がまた倍加してくれるんですよね。
これは絶対に映画館で体感すべき映画だ、と思います。





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最終目的地
監督/ジェームズ・アイヴォリー、脚本/ルース・プラワー・ジャブヴァーラ、原作/ピーター・キャメロン、撮影/ハビエル・アギーレサロベ、音楽/ホルへ・ドレクスレル
出演
アンソニー・ホプキンス/アダム・グント、ローラ・リニー/キャロライン・グント、シャルロット・ゲンズブール/アーデン・ラングドン、オマー・メトワリー/オマー・ラザギ、真田広之/ピート、アレクサンドラ・マリア・ララ/ディアドラ
10月6日(土)よりシネマート新宿他全国順次ロードショー
2008年、アメリカ映画、117分、字幕/田中武人、提供・配給/ツイン、宣伝・配給協力/太秦、協力/パラマウントジャパン、http://www.u-picc.com/saishu/

by Mtonosama | 2012-10-05 07:22 | 映画 | Comments(7)
最終目的地 -1-
The City of Your Final Destination

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©2008 ST.PANCRAS INC. ALL RIGHTS RESERVED

「最終目的地」。
タイトルから「ターミネーター 最後の○○」的なものを連想してしまいました。
オリジナルタイトルも“The City of Your Destination”。ほぼ、まんまです。

タイトルにひっかかりを感じつつも、
南米ウルグアイの緑濃い孤絶した邸宅に暮らす不思議な家族の話と聞いて、観てきました。

ウルグアイ、首都モンテビデオ。
パラグアイ、首都アスンシオン。
国の名前はウルとパラの違いだけなのに、首都の名前は全然違うんだなぁ、と、
小学生のとき、つまらないことに感心しながら首都を覚えました。

「ウィスキー」(‘04)というウルグアイの映画は観たことがありますが、
そういえば、パラグアイ映画はまだ観たことがありません。
2006年に「ハンモック」という映画が上映されたようですが。

ま、その位、知らない国ですし、日本から遠く離れた国でもありますから、
憧憬を感じます。

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ウルグアイの都市の様子ならなんとなくわかります。
「ウィスキー」という映画は首都モンテビデオを舞台にしていましたから。
モンテビデオは、なんていうか、太陽光線のまぶしくないハバナって感じでしょうか。
ハバナも行ったことはありませんけどね。

「最終目的地」は84歳のジェームズ・アイヴォリー監督の集大成ともいえる作品です。
「眺めのいい部屋」(‘87アカデミー賞3部門受賞)、
「モーリス」(‘87ヴェネチア国際映画祭3部門受賞)、
「ハワーズ・エンド」(‘93アカデミー賞3部門受賞)、
「日の名残り」(‘94アカデミー賞主要8部門ノミネート)、
「上海の伯爵夫人」(‘05)
など数々の名作を生みだしてきたジェームズ・アイヴォリー監督。

本作はアメリカの現代作家ピーター・キャメロンの同名小説を原作とした作品です。

南米ウルグアイを舞台に、
作家の未亡人、作家の愛人と娘、作家の兄とそのパートナー(彼らはゲイです)、
その作家の伝記を執筆するために訪れた青年と恋人――
それらの人間関係や、それぞれが抱える心の葛藤を、
退廃的で鬱々とした南米の空気感の中に描きこみました。

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脚本は「眺めのいい部屋」「ハワーズ・エンド」でアカデミー賞脚色賞を2度受賞している
ルース・プラワー・ジャブヴァーラ。
撮影はゴヤ賞6度受賞のスペインの名カメラマン「宮廷画家ゴヤは見た」のハビエル・アギーレサロベ。
音楽は「モーターサイクル・ダイアリーズ」でウルグアイ人として初めてアカデミー賞主題歌賞を
受賞したホルへ・ドレクスレル――

監督、脚本、撮影、音楽。どれもこれもかつての作品の中で強い印象を残した人物ばかり。
なかでも音楽がまた良かったんですわ。

映画の中の音楽って普段あまり気にすることはないし、
逆に、ミュージカル映画ならともかく、
音楽ばかりが立ってしまうのっていけないと思っていました。
しかし、今回は違います。最高でした!
この映画のために書き下ろしたエンディング曲”EL MUSEO DE LAS DISTANCIAS ROTAS”,
”LA BRUMA DEL AYER”も素晴らしいのですが、
作中にちりばめられたクラシックやオペラのセレクトにはうなりました。
密林の温気をここまで彷彿させますか。絶句です。
おそるべし。ホルへ・ドレクスレル。

ウルグアイの密林の濃密な空気感、ウルグアイの田舎町の高い空・・・・・
行ったことはないけれど、観客の脳につきつけてくるものは、
映像と並び、いえ、もしかしたらそれ以上に音楽の功績が大きいかもしれません。

さあ、どんなお話なのでしょう。真田広之さんの役どころも気になるところですしね。
続きは次回まで、乞うご期待でございますよ。



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☆10月2日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

最終目的地
監督/ジェームズ・アイヴォリー、脚本/ルース・プラワー・ジャブヴァーラ、原作/ピーター・キャメロン、撮影/ハビエル・アギーレサロベ、音楽/ホルへ・ドレクスレル
出演
アンソニー・ホプキンス/アダム・グント、ローラ・リニー/キャロライン・グント、シャルロット・ゲンズブール/アーデン・ラングドン、オマー・メトワリー/オマー・ラザギ、真田広之/ピート、アレクサンドラ・マリア・ララ/ディアドラ
10月6日(土)よりシネマート新宿他全国順次ロードショー
2008年、アメリカ映画、117分、字幕/田中武人、提供・配給/ツイン、宣伝・配給協力/太秦、協力/パラマウントジャパン
http://www.u-picc.com/saishu/

by Mtonosama | 2012-10-02 06:50 | 映画 | Comments(8)