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タグ:沈黙の春を生きて ( 2 ) タグの人気記事

         沈黙の春を生きて -2-
                 Living the Silent Spring

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                          ベトナムを訪れるヘザー
                      ©2011 Masako Sakata/Siglo

          原子力発電は電気をつくり、合成化学物質:農薬は田や畑に発生する害虫を殺し、
                    雑草を枯らして作物をより大きく育てます。

                        これらが導入された当初は
                   安くてきれいな電気を使うことができるとか、
        作物を効率よく育てることができれば世界の飢えている人々にも食糧が行き渡るだろうとか、
                    夢を見たこともあったのだと思います(たぶん)。

                 動機がいかに純粋でも(これは最上級に善意に解釈した見解です)、
                使用し続ける内に、問題が出てきても中止できなくなってしまいます。
                           慣性の法則のようなものでしょうか。
                   そこに携わる会社の問題もあるし、国の政策も関わってきます。
   そして、その便利さに慣れてしまった私たち自身も警告に耳を傾けることをしなくなってしまっていました。

                      事態はもう警告の段階を過ぎているのだと思います。
                   福島原発、そして、枯葉剤の被害者たちがそのことを教えています。
                 
                 この映画で、枯葉剤の被害者たちは私たちに何を語ってくれるのでしょうか。

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                      ヘザーとツーズー病院の子どもたち
ストーリー
1962年にレイチェル・カーソンが書いた「沈黙の春」は、
当時隆盛を誇った農薬の危険性を予言し、DDTが禁止されるきっかけとなりました。

その頃、ベトナムではジャングルにひそむゲリラの隠れ場所をなくそうと、米軍による
枯葉剤散布が始まりました。
枯葉剤には人体や自然環境に大きな影響を及ぼすダイオキシンが含まれていました。

  ダイオキシンとは
ポリクロロジベンゾジオキシン( PCDD )の俗称、また特にその中の2 ・ 3 ・ 7 ・ 8 - テトラクロロジベンゾパラジオキシン( TCDD C12H4O2Cl4 のこと。毒性が強く、分解されにくい化合物で、皮膚・内臓障害を起こし、催奇形性・発癌性があるものが少なくない。
除草剤 2 ・ 4 ・ 5 - T などの分解で生成するといわれ、都市のごみ焼却の灰、製紙の汚泥、自動車の排ガス中に見出されており、環境汚染物質として問題となっている。
(三省堂大辞林)


当時のアメリカ政府が「人体に影響がなく、土壌も1年で回復する」と説明した枯葉剤は400万人ものベトナム人に直接散布され、その被害は戦後35年が経った今も続いています。
当時ベトナムに駐留していたアメリカ軍兵士も枯葉剤を浴び、多くの帰還兵がいまだにその影響で苦しみ、彼らの子どもや孫にまでその被害が及んでいます。

帰還兵の娘ヘザー・A・モリス・バウザーは片足と指が欠損して生まれました。
ベトナムを訪れたヘザーは多くの枯葉剤被害者に会います。
彼らもまた直接この薬剤を浴びた人たちの2世、3世にあたる世代です。
生まれながらに重い十字架を背負い、その母たちは自分を責めて泣いています。
彼らと言葉を交わし、手をとり合いながら、ヘザーはベトナムとアメリカの被害者たちがつながって生きることの大切さに気づきます……


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                            レー・ティ・ミットと息子

                      試写が終わり、室内が明るくなると、
            観客は咳をしたり、慌てて汗を拭いたり、動揺を隠しきれませんでした。
            会場にいた坂田雅子監督の「これ以上、手遅れになることのないように」
                       という挨拶が突き刺さりました。

          人間が生きていくことはそれ自体が何かを破壊し、殺すことなのかもしれません。
           しかし、それを最小限にとどめていくように知恵を使うことはできるはずです。

             半世紀も前のレイチェル・カーソンの言葉が重く響いてくる映画です。

   


                              

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沈黙の春を生きて
企画・監督/坂田雅子、製作/山上徹二郎、編集/ジャン・ユンカーマン、ナレーション/加藤登紀子、撮影/ビル・メガロス、山田武典、坂田雅子、ロバート・シーモン、整音/小川武、音楽/グエン・タイン・トゥン、難波正司、写真/Philip Jones Griffiths /Magnum、資料映像/米国公文書館、Thought Equity Motion/CBS News,Jerome Kanapa、ベトナム語翻訳/武田玲佳、製作事務局/佐々木正明、西晶子、奥野尚子、長沢義文、石田優子、協力/ベトナム枯葉剤被害者の会(VAVA)、グエン・ミン・イ、ハ・ティ・マック、ツーズー病院、シンクワイヤ、岩波ホール、宮田興、吉岡雅春、石原大史、西世賢寿、大重裕二
出演
クイン・トゥとファン・クック・フイ、グエン・タイン・タムと家族、ホアン・チャン・ルイと娘ルエン、ヘザー・A・モリス・バウザー、グエン・ヴァン・リエンと家族、シャロン・L・ペリー、シャリティー・キース=ライカード、ツーズー病院 平和村の子どもたち
9月24日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールにて4週間限定上映ほか全国順次公開
2011年、日本、日本語、英語、ベトナム語、87分、配給/株式会社シグロ
www.cine.co.jp/chinmoku_haru/

by mtonosama | 2011-09-10 07:07 | 映画 | Comments(4)
          沈黙の春を生きて -1-
                  Living the Silent Spring

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                         〈ツーズー病院を訪れたヘザー〉   
                      ©2011 Masako Sakata/Siglo

          その昔、休みが明けて、実家のある町から新幹線に乗り、東京へ戻ってくるとき、
            必ず「ああ、東京に着いてしまったなぁ」と実感した場所があります。
               (すいません。まだまだおうちが恋しかった年頃でして…)
               新横浜を過ぎ、多摩川を渡り、左方面へ眼をやったあたり。
                 少し小高くなった丘陵に家がびっしり建っています。

               江戸時代まで逆行しなくても、明治時代や昭和の初期には、
                    多分丘陵しかなかったのでしょう。

             そこにびっしりと磯のフジツボのように家々がはりついている様子は
                     悪性の細胞を思わせるものでした。
                     まだ年端もいかない小娘でしたから、
             自分も、自分の家も、フジツボみたいにはりついて生きていることに
                    思いを馳せることはありませんでしたが。

                       なにが言いたいのかというと、
         人間は自然を損なうことなく、存在することはできないのではないか、ということです。

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                            〈キエウと母〉
                         
                         今だったら、原発です。

                今から半世紀前、次のように警告している学者がいました。

化学物質は放射能と同じように不吉な物質で
世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまいます。
いまのうちに化学薬品を規制しなければ大きな災害を引き起こすことになります

                           レイチェル・カーソン著「沈黙の春」

レイチェル・カーソン(1907年5月27日―1964年4月14日)
アメリカの作家で海洋生物学者。
1962年に出版した「沈黙の春」(新潮社刊)で、殺虫剤などの「合成化学物質」の無分別な大量散布は生態系を乱し、生物環境の大規模な破壊をもたらし、人間の生命に関わることになると警告。
本書は社会に大きな衝撃を与え、世界が環境問題に目を向けるきっかけになった。

原子力発電所も化学物質も、人間がより快適に暮らすために必要なものとして作り出されたものではあります。
        しかし、いったん動き始め、使われ始めてしまえば容易に止めることはできません。
                 まして、不測の事態が起こったときにどうなったか、
               警告を無視して動かし続け、使い続けていれば、どうなるのか、
                  それはもう私たちの眼前で起こっていることです。

                この映画は放射能の映画ではなく、化学物質の映画ですが、
                      レイチェル・カーソンが指摘している通り、
              両者は世界のありかたも、生命のありようも変えてしまう物質です。

                  ベトちゃんとドクちゃんを覚えていらっしゃいますか?

ベトナム戦争で使われた枯葉剤のために、腰部から下が合体した形で生まれてきた結合双生児です。
兄はグエン・べト(1981年2月25日―2007年10月6日)、弟はグエン・ドク(1981年2月25日―)。
1986年、兄ベトが急性脳症を発症し、治療のために日本へ緊急移送。手術を受けました。
その2年後、兄が意識不明に陥り、2人とも死亡してしまう事態を避けるため、
ホーチミン市立ツーズー病院で2人の分離手術が行われました。
日本赤十字社がこの手術を支援し、手術は成功。兄には左足、弟ドクには右足が残されました。
弟には日本から義足が送られ、その後、彼は職業学校でコンピュータープログラミングを学びます。現在はツーズー病院で働き、ボランティア活動も行っています。2006年にはボランティア活動で知り合った女性と結婚。結婚後は兄をひきとり、26歳で亡くなるまで夫婦で介護していました。(Wikipediaより)


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                       〈ヘザーとベトナムの子どもの手〉

                多くのベトちゃんドクちゃんを生んだ枯葉剤は
       ベトナムの大地に1ヘクタールあたり約27リットルの割合で散布されました。
          散布から24時間でジャングルの木々は変色し、1ヶ月で落葉します。
         次の新芽を殺すため、枯葉剤は繰り返し、繰り返し、散布されました。
         通常の10倍の濃度を持つ枯葉剤はジャングルの植物をことごとく枯らし、
              その散布面積は四国全体の面積に匹敵するといいます。
               http://ha6.seikyou.ne.jp/home/AALA-HOKKAIDO/kareha.htm              

             え、なぜジャングルを枯らす必要があったか、ですか?
   それはジャングルに潜み、アメリカ軍を悩ましていたゲリラたちの隠れ場所をなくすためです。

            しかし、そのために当時のベトナム人ゲリラ兵士だけではなく、
        ジャングル周辺の農民、そして、その子や孫まで枯葉剤の害を受けるということに
           アメリカ政府や枯葉剤製造会社は考えが及んでいたのでしょうか?

       また、ベトナム人だけではなく、枯葉剤を散布したアメリカ兵士とその子どもたちも
                    被害者になっていました。

       「沈黙の春を生きて」は前作「花はどこへ行った」でベトナム戦争の実態に触れた
                 坂田雅子監督が撮影・監督した作品です。

                放射能だけでも気が重いのに、化学物質まで…
                   生きるってつらいことばかりです。
            でも、私たちは被害者であるだけではなく、加害者になりうる、
         いえ、既に加害者であることに考えを及ぼす必要があるんですよね。はぁ―――

                                 続

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クイン・トゥとファン・クック・フイ、グエン・タイン・タムと家族、ホアン・チャン・ルイと娘ルエン、ヘザー・A・モリス・バウザー、グエン・ヴァン・リエンと家族、シャロン・L・ペリー、シャリティー・キース=ライカード、ツーズー病院 平和村の子どもたち
9月24日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールにて4週間限定上映ほか全国順次公開
2011年、日本、日本語、英語、ベトナム語、87分、配給/株式会社シグロ
www.cine.co.jp/chinmoku_haru/

by mtonosama | 2011-09-07 06:56 | 映画 | Comments(4)