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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

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太陽の蓋 
-1-

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©「太陽の蓋」プロジェクト/ Tachibana Tamiyoshi


何が不思議といって、
あの日、あれだけの大震災に襲われ、
津波に多くの人命が流され、
さらに原子炉建屋の水素爆発という事態まで目の当たりにしながら
原発再稼働を主張する政府、電力会社、経済界の心の内ほど
不思議なものはありません。

5年前
水に流されながら燃える家や
仙台空港にまで押し寄せた津波が旅客機をじりじりと押していくという
信じられない光景をTV画面の中に観て息を呑みました。
そして、
「原発は?原発はどうなった?」
と不安になりました。

それから後の眼を疑うような映像をリアルタイムで追いながら
ああ、もうこの国は終わりなんだ―――
と胸がしめつけられました。

あれから5年。
世の中は何もなかったかのように回り、
知らぬ間に夜の街もあの出来事の前のように明るくなりました。

Under control
と目じりも頬も垂れた総理大臣は明るく口にします。

んな訳ないだろうが!

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当試写室では
あの事故の後、
2011年5月『100,000年後の安全』
http://mtonosama.exblog.jp/15982946/
10月『アンダーコントロール』
http://mtonosama.exblog.jp/16742174/
http://mtonosama.exblog.jp/16755138/
2012年2月『プリピャチ』
http://mtonosama.exblog.jp/16755138/
http://mtonosama.exblog.jp/17256592/
3月『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』
http://mtonosama.exblog.jp/17357891/
http://mtonosama.exblog.jp/17368770/
10月『フタバから遠く離れて』
http://mtonosama.exblog.jp/18045431/
http://mtonosama.exblog.jp/18055781/
2013年2月『故郷よ』
http://mtonosama.exblog.jp/18576798/
http://mtonosama.exblog.jp/18591585/
2014年2月『家路』
http://mtonosama.exblog.jp/21442421/
http://mtonosama.exblog.jp/21456325/
2016年2月『大地を受け継ぐ』
http://mtonosama.exblog.jp/24953297/
http://mtonosama.exblog.jp/24962676/

8本の原発、放射能関連の映画を上映してきました。
内『プリピャチ』『故郷よ』はチェルノブイルのその後を描いた映画、
『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』は広島原爆以後のドキュメンタリーです。

ドキュメンタリーが多いのですが、
2012年10月には『希望の国』(園子音監督)という劇映画も公開されています。

当試写室で上映した劇映画は『家路』でした。
福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内で代々暮らし、農業を営み、
今は仮設住宅に暮らす家族が主人公の物語。
松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子が出演しています。

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今回、上映するのは『太陽の蓋』。
これまでの映画が原発事故後、福島の地を離れ、
苦悩する人々の日々を描いたものだとすると、
本作は
あの事故の後、息をつまらせるような思いで
TV画面をみつめた私たちの日々を
再現するような作品です。

東日本大震災が発生し、福島原発事故が起きた
3月11日からの5日間。
原発事故の真相を追う新聞記者をキーパーソンとし、
首相官邸内、東京や福島で暮らす人々の姿なども多角的に捉えた
オムニバス構成の劇映画です。
2011年3月11日以降、未曾有の事態に身動きできず
何一つ真相が見えない不安の中にいた日々が蘇ります。

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製作にあたった橘民義さんは言います。
「私がこの映画を作りたいと思ったのは
事故以来今日まで大きく歪曲して伝えられた事実を
正確に伝え直したいと思ったからに他ならない」

もう一度、あの日を思い出してみましょう。
あんな怖い日々のことを忘れるなんてとんでもないことです。

まして再稼働だなんて――
どういうこと?



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太陽の蓋
監督/佐藤太、脚本/長谷川隆、製作/橘民義、プロデューサー/大塚寧、音楽/ミッキー吉野、撮影/小宮由紀夫
出演
北村有起哉/東京中央新聞記者・鍋島、大西信満/毎匡新聞記者・山中、中村ゆり/鍋島の妻・麻奈美、郭智博/修一
7月16日(土)より渋谷ユーロスペースより全国順次公開
130分、カラー作品、配給・宣伝/太秦

by Mtonosama | 2016-07-03 05:45 | 映画 | Comments(6)

首相官邸の前で
-2-
Tell the Prime Minister

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さて、映画未体験の小熊監督。
映画づくりにあたって監督はまず毎週金曜日に行われている官邸前抗議の主催者に相談。
協力を約束してくれた彼らが撮影と編集の石崎俊一さんを紹介してくれました。

そして、2014年5月、映画づくりは決まりました。
スタッフは2名、企画決定は30分。
監督と出資は小熊英二、撮影と編集は石崎俊一。

『首相官邸の前で』を構成するのはネット上で探し当てた自主撮影映像。
それは撮影者の賛同と協力に基づいて使用された映像です。

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だからこそ、
既存メディアでは困難なカメラ位置で撮影されたシーンが随所に。

あ、そうそう。
カンパで調達したヘリコプターから撮った画像もまるで知らなかったものでした。
迫力があります。
官邸前で、あるいは新宿でスピーチする人々からは深刻で悲痛な訴えがあがります。

それにしても、本作の中で吉田理佐さんが
「記者クラブが目の前にあるのに、誰も取材に出てこないこの日本という国はおかしい」
と語っていますが、その通りだと思います。

原発事故に抗議する人々をここまで報せない日本の報道とは一体なんでしょう。

私も本作に出てくる高円寺に集まった原発事故に抗議する大勢の人々の集まりを知りませんでした。
新宿アルタ前のデモも知りません。

高円寺やアルタ前、経産省前に集まった人の情報源はインターネットでした。
撮る側も撮られる側もインターネットによってつながれていたんですね。

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映画は世代も国籍も地位も立場もまったく異なる8人へのインタビューを挿みつつ、
運動が高円寺から新宿アルタ前、そして、経産省前から首相官邸の前へと、
場所を変え、そこに人が集まり、語る経緯を粛々と映し出します。

福島第一原発1.5kmの自宅から玄関にあった3000円をひっつかんだだけで
避難した家庭の主婦である亀屋さんも官邸前でスピーチします。
吉田さんも仕事の合間をぬっては官邸前にやってきてスピーチするようになりました。
「こういう運動は自分には合わない」と言っていた育児用品会社を経営する服部さんも
変わってきます。
「日本人は声をあげないと思っていた」と語るヤシンタ・ヒンさんも
事故後本国へも帰らず、官邸前にやってきました。
そして、日本人への見方も変わりました。

「私たちがめざすのは暴動ではない。この抗議を永く続けることだ」
の声に熱した人々が散会していく様子は深く印象に刻まれました。

警備にあたる警官たちの多くは福島で任務にあたり、被爆しています。
彼らにとってもスピーチで語られることは決して無縁なことではありません。

敵も味方もないはずです。

映画は、政府首脳陣と同じテーブルにつき意見を陳述する人々、
そして2012年夏の20万人が首相官邸前を埋めつくす様子を映し出します。

民主党政権は2030年までに原発をゼロにするエネルギー基本計画を発表しました。

と、これで大団円を迎えた、といけば良かったのですが・・・

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それが「原発は重要なベース電源」ですと。

この映画を記録だけに終わらせてはいけません。

ここまで人々が動く、ということ。
じいさんばあさんだけが主役だった運動に学生や若い母親も入ってきたということ。

これを無視して再稼働を強行し、
安保法案を通すというなら、この国はいったいどうなってしまうのでしょう?






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首相官邸の前で
企画・製作・監督・英語字幕/小熊(おぐま)英二、撮影・編集/石崎俊一、音楽/ジンタらムータ、英語字幕校正/デーモン・ファリー
出演
菅直人、亀屋幸子、ヤシンタ・ヒン、吉田理佐、服部至道、ミサオ・レッドウルフ、木下茅、小田マサノリ
9月2日(水)より隔週水曜日、渋谷アップリンクにて公開
2015年、109分、日本、日本語(英語字幕付き)配給/アップリンク
http://www.uplink.co.jp/kanteimae
/
by Mtonosama | 2015-09-04 06:06 | 映画 | Comments(4)
家路 -2-

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©「家路」製作委員会

2012年、当試写室で「プリピャチ」というチェルノブイリ事故のその後を撮影した
ドキュメンタリー映画を上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/17244517/ http://mtonosama.exblog.jp/17256592/

2013年には「故郷よ」というチェルノブイリ事故後プリピャチに暮らしていた人々
を描いた劇映画を上映しています。
http://mtonosama.exblog.jp/18576798/ http://mtonosama.exblog.jp/18591585/

プリピャチというのはチェルノブイリ原発から4キロしか離れていない街です。
「故郷よ」は事故後30年近くを経過しても、立入制限区域であるプリピャチの市内や
かつて原発で作業する人々が住み今や廃墟となったアパートの中に、
俳優とカメラが入り、撮影した映画でした。

チェルノブイリ事故に関連した劇映画は事故後数十年を経てようやく撮影されましたが、
日本では事故後3年を迎える前に撮られています。
既に、2012年にも園子音監督が「希望の国」を制作していますし。

さあ、事故後3年にして描かれた劇映画、いったいどんな作品なのでしょう。


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ストーリー
次郎
あの日から誰も入ることができない家。
かつては大勢の家族で暮らしていた家。
警戒区域内にあっても、季節はめぐり、今は鮮やかな新緑に彩られるこの家に
次郎は誰にも告げず、たった一人で帰ってきた。
一人で苗を育て、土を耕し始めた。
そこへ同級生が訪れる。
彼と想い出の地をめぐりながらボツボツとこれまでのことを話し始める次郎。
なぜ、この家を出て、二十年近くも帰らずにいたのか。
なぜ、震災後の今、誰もいなくなった家に戻ってきたのか・・・
同級生は訊く。「ここで暮らしていくって、ゆっくり自殺するようなものじゃないのか?」
次郎は「誰もいなくなったら、何もなかったってことになる」と――

総一
先祖から受け継いだ土地を福島原発事故によって失い、仮設住宅に暮らす総一。
今日も警察に行き、窮状を訴える。
農家の長男である総一は父から受け継いだ田畑を失うことは故郷を失うことであり、
自身の尊厳を失うことでもあった。この現実の前では光もなければ可能性も希望もない。
総一の妻・美佐は娘を姑に預け、以前のように風俗で働き始めている。

母・登美子
総一と美佐に気を遣いながら狭い仮設で同居する総一の継母・登美子。
容赦ない現実を静かに受け入れているように見えながらも、
地域の権力者だった亡夫の下で小作人のように働かされてきたというわだかまりを
抱え、少しずつ壊れ始めている。
とりわけ彼女の心に重いしこりとなっているのは20年程前、夫に言われるままに、
血を分けた息子である次郎を家から送り出したことへの深い悔いである。

家族の再会
やがて次郎の帰ってきていることを知った総一は次郎を迎えにいく。
畑を耕す次郎を見て、総一はたまりにたまった憤懣を弟に向ってぶつけてしまう。
そんな兄に「ここでもう一度やり直したい」と告げる弟。
その後、仮設住宅にやってきた次郎に「みんな揃ったね」と喜ぶ母・登美子。
次郎と登美子は何も変わらなかったかのように米作りの段取りを話し始める。
翌日、母子はかつて暮らした家に向う。
途中まで見送った総一の中でも何かが変わり始めたようだ……

チェルノブイリ事故から数十年経って
ようやく劇映画「故郷よ」が撮影されたことに較べると、
本作のような、過去も現在もこれからのことも含め、
あの地に暮らす人たちを客観的にとらえようとする劇映画が撮影されたことは驚きです。

原発事故が皆の記憶にまだ生々しい時期に
(というか、今も、これからも進行形でありますが)
撮影されたのですから。

日本人は忘れやすい人々であるとはいえ、
今はまだ、あの事故を終わったこととして結論を出す時期ではありません。
そうです。
本作は結論ではなく、とまどいをとまどいとしてそのまま描き出した作品なのでしょう。

福島の原発事故は終わったのではなく、これからも続いていきます。
これからも私たちの内にあります。





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☆2月21日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

家路
監督/久保田直、脚本/青木研次、企画協力/是枝裕和、諏訪敦彦、撮影/板倉陽子
出演
松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子、安藤サクラ、山中崇、三石研、田中要次、石橋蓮司
3月1日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年、日本、1時間58分、配給ビターズエンド
http://www.bitters.co.jp/ieji/

by Mtonosama | 2014-02-21 07:03 | 映画 | Comments(8)