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殿様の試写室

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タグ:裁かれるは善人のみ ( 2 ) タグの人気記事


裁かれるは善人のみ
 -2-
Leviathan


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©2014Pyramide/LM


荒涼という言葉を目で確かめてみたいとお思いでしたら、
是非とも本作をご覧ください。

例えば、とのが思う荒涼とした世界は
「嵐が丘」に出てくるようなヒースが生い茂り、
冷たい風が吹きつける曇天下の大地みたいなイメージでした。

でも、そんなのまだまだ。
本作と比べれば、乙女の憧れ(テヘッ)。
抒情性が漂っています。

本作は容赦ない荒涼感ですものねぇ。

藤原新也さんが、アジアは貧困だが、それは豊饒な貧困だ、
みたいなことを何かに書いていましたが、
本作の中の貧困には豊饒さなど薬にしたくともまったくありません。
絶望的な荒涼です。

荒漠とした舞台に加え、このタイトル。
オリジナルタイトルの“リヴァイアサン”。
リヴァイアサンといえばホッブズです。
読んではいませんが、高校時代、試験前に暗記した記憶があります。

トーマス・ホッブズ著「リヴァイアサン」
1651年に刊行された政治哲学書。
人間は自然の状態に置かれたままでは争いを起こしてしまう生きものとし、
その混乱状態を避けるため、「個人」は「国家」に権利を譲渡し、
社会契約を結んだと定義。
国家は社会による保護を確立し、個人を守り、介入。
この保障と引き換えに人間は自由を国家に委譲する。

ふーん、そうだったのか。

これは17世紀の考え方だけれど、
21世紀の今だってどうなるかわかりませんね。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
入り江に面した小さな町。
モスクワから遠く離れた寂しい田舎町だ。
自動車修理工場を営むコーリャは若い妻リリア、
亡妻との間に生まれた息子ロマと共に
住み慣れた家に暮らしている。
思春期のロマは継母であるリリアに心を開かず反抗的だ。

1年後に選挙を控えた強欲な市長ヴァディムは
権力にものを言わせ、コーリャの土地を買収しようと画策している。

祖父の代からの土地と家を守りたいコーリャは
市長と争うべく、戦友でもある弁護士のディーマをモスクワから呼び寄せる。
ディーマは市長の悪事の証拠をつかみ、
コーリャの件から手をひくように言い、
市長に350万ルーブルを支払わせることに同意させるのだが……

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と、ここで終わりならめでたしめでたしなのですが、
そうは問屋が卸さないのが悲劇の悲劇たる所以でございます。
悪辣な市長。
優しい顔をしながら、
神にすがるコーリャや市長すらも掌の上で転がす司祭。
若い継母リリアの苦悩。
少年の懊悩。
妻に裏切られるコーリャの苦悩。

あらゆる悲劇が錯綜し、
これでもかと襲いかかる時、
それでも人は雄々しく生きられるのでしょうか。

心が折れてしまった人々の前に
沈みかけたまま残骸をさらす廃船と
海岸に打ち上げられ巨大な白い骨となったクジラが
抗いきれない苦しみそのものとなって横たわります。







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☆10月31日に更新しました。もう明日は11月です。まさに光陰矢のごとしであります☆

裁かれるは善人のみ
監督/アンドレイ・ズビャギンツェフ、脚本/アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン、製作/アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、共同製作/マリアナ・サルダーロワ、製作指揮/エカテリーナ・マラクーリナ、撮影/ミハイル・クリチマン
出演
アレクセイ・セレブリャコフ/コーリャ、エレナ・リャドワ/リリア、ウラディミール・ヴドヴィチェンコフ/ディーマ、ロマン・マディアノフ/市長、セルゲイ・ポホダーエフ/ロマ、アンナ・ウコロワ/アンジェラ、アレクセイ・ロージン/パーシャ
10月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2014年、ロシア、140分、日本語字幕/大西公子、字幕監修/井上徹、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/zennin/

by Mtonosama | 2015-10-31 05:32 | 映画 | Comments(16)

裁かれるは善人のみ 
-1-
Leviathan

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©2014Pyramide/LM


人は悲劇が好きなのでしょう。
ギリシャ時代から悲劇と喜劇はあるし、
シェークスピアだって両方とも書いてますし、
悲しいことがあってこそ、喜びもきわだつ訳だし、
喜びがあるからこそ、悲しみも深く感じられるのでしょうね。

本作『裁かれるは善人のみ』はドストエフスキーも真っ青な悲惨なお話。
ロシアって「これでもかっ」「まいったかっ」て程、暗いお話が目立ちますよね。
あ、そうなんです。これはロシア映画です。
それでいてウオッカで浮かれているんですから、
よくわかりません。
いや、人生は暗いからこそ、ウォッカでも飲まなきゃやっていられないのでしょう。

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本作はカンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞等受賞、
アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、
各国の主要映画祭を総なめにした作品。

監督はデビュー作『父、帰る』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝き、
『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』と2作続けてカンヌ国際映画祭で受賞した
アンドレイ・ズビャギンツェフ。
相変わらず一度では憶えられない難しい名前です。

アンドレイ・ズビャギンツェフ
1964年ロシア、ノヴォシビルスク生まれ。
地元の演劇学校を卒業後、同市の劇場で働く。
86年、モスクワに移り、
90年、ルナチャルスキー記念演劇大学の演技コースを卒業。
劇団には所属せず、舞台やテレビ、映画の端役やエキストラを務める。
その後、広告業界に入り、テレビCMをはじめ、テレビドラマの演出を担当。
2003年に『父、帰る』で劇場長編映画デビュー。
ヴェネチア国際映画祭でソ連・ロシア映画として
『僕の村は戦場だった』(‘62、アンドレイ・タルコフスキー監督)以来の
長編映画デビュー作で金獅子賞を受賞という快挙をなす。
07年、第2作『ヴェラの祈り』でコンスタンチン・ラヴロネンコが
カンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞。
11年、第3作『エレナの惑い』は
カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員特別賞を受賞した他
モスクワ国際映画祭で監督賞、
ロシアのアカデミー賞であるニカ賞で主演女優賞・助演女優賞のダブル受賞。
本作『裁かれるは善人のみ』は
カンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞等受賞、
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、
多くの映画祭で受賞している。

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とことん暗く悲劇的な本作。
なんとアメリカであった実話・キルドーザー事件に着想を得て生まれた映画です。

キルドーザー事件
マービン・ヒーメイヤーという52歳の溶接工が2008年に起こした事件。
彼のガレージの隣に倒産した工場があり、
アメリカの巨大企業が再開発のためにその土地を買い取った。
再開発に反対するヒーメイヤーは
巨大企業、市役所、警察、コロラド州を相手に闘いましたが、功を奏しません。
絶望した彼がブルドーザーを装甲車に改造し、市役所などの建物を次々と破壊した事件。

この事件に心を打たれたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督は
本作をつくることになるのですが・・・

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さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回まで、乞うご期待でございます。



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☆10月28日に更新しました。いつも応援して下さって本当にありがとうございます☆

裁かれるは善人のみ
監督/アンドレイ・ズビャギンツェフ、脚本/アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン、製作/アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、共同製作/マリアナ・サルダーロワ、製作指揮/エカテリーナ・マラクーリナ、撮影/ミハイル・クリチマン
出演
アレクセイ・セレブリャコフ/コーリャ、エレナ・リャドワ/リリア、ウラディミール・ヴドヴィチェンコフ/ディーマ、ロマン・マディアノフ/市長、セルゲイ・ポホダーエフ/ロマ、アンナ・ウコロワ/アンジェラ、アレクセイ・ロージン/パーシャ
10月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2014年、ロシア、140分、日本語字幕/大西公子、字幕監修/井上徹、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/zennin/

by Mtonosama | 2015-10-28 05:24 | 映画 | Comments(8)