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殿様の試写室

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タグ:角田光代 ( 3 ) タグの人気記事

紙の月
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©「紙の月」製作委員会

『紙の月』を観終わって、ふーっと声にならない声を出しながら試写室を出たとき
後ろから出てきたおじさんが部下と思われる若い女性に
「きみは感情移入した?」と訊ねる声が聞こえました。

「はい。でも、宮沢りえさんではなく、小林聡美さんの方に」
「ふーん、ぼくはやっぱり宮沢りえだなぁ」
「男性でも、ですか?」

などという感想を聞きながら、
とのは「私が感情移入したとしたら、だまされているとも気づかずお金を渡す老人かなぁ」
と思ってしまったのは150歳という歳ゆえでしょうか。
(悲しいことに、お金を持っているというくくりではありませんが)

小説で出てきた梨花の高校時代やOL時代を証言する女性たちは本作には登場しません。
その代わりに登場するのが銀行勤務の甘い罠を嘆く銀行員・相川恵子や
小林聡美演じる有能なベテラン行員・隅より子。
銀行の内幕がずいぶんわかりやすくなりました。

さあ、映画ではどう見せてくれるのでしょう。


ストーリー
1994年。
梅澤梨花。子どもはいないが優良企業に働く夫と穏やかな日々を送っていた。
契約社員として働く銀行でも上司から高い評価を受けている。
梨花の仕事は外回りの営業社員。裕福な老人たちが主な顧客である。
裕福な独居老人の平林も梨花に信頼を寄せる一人。
有能だが厳格なベテラン行員・隅、若手で調子の良い窓口係の相川。
梨花は同僚たちとも波風を立てずに勤務している。
何不自由のない日々。
ただ、夫との間には倦怠感が漂い始めてはいた。

銀行からの帰途、梨花は平林の家で会った孫の光太と駅で再会。
その後、憑かれたように彼との逢瀬を重ねる。
そんなある日、デパートの化粧品売り場での支払い時、手持ちの金が足りないまま、
顧客からの預かり金に手をつけてしまった。
たった1万円。すぐに自分の通帳から返せばすむこと。
銀行に戻る前に口座から引き落とし、預かり金の袋に戻したが。
これが始まりだった。

光太は学費のために借金をしている。
「顧客からの定期の申し込みがキャンセルになった」という方法で入手した200万円を
彼に渡す梨花。
認知症で彼女にお金を引き出させたことも忘れている顧客の300万円を自分の通帳に入金。
自宅で定期預金証書や支店印のコピーを偽造。
横領額はもはや彼女の返済能力をとっくに超えている。
梨花は上海勤務になった夫にも同行しない。
高い服を買い、高級ホテルのスイートルームに連泊し、光太をマンションに住まわせる。
暮らしは日を追って贅沢になり、梨花の感覚は歪み、その行動はエスカレートする……

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ふーっ。

でも、ラストが良かったなぁ。
走る梨花。
全力で走る梨花を観ながら、なんてかっこいいの!と思ってしまいました。

恋に溺れ、犯罪に走ってしまった中年女性。
ああ、惨めだねぇ、バカだねぇ、と断罪するのは簡単なんですけど。
それだけでもないんですよね。
「梨花になってみたい」と言った男性の言葉がそれを表している気がします。
もちろん横領は犯罪であり、
気持良くお金を使った後に露見したときの結末は明らか。

みんな、ばれたら大変なことになるからやらないだけかも。
お金に困らない老人がいて、そのお金は、顧客宅から銀行までとはいえ自分の手中にある。
お金を使える対象=恋人ができて、お金を使える喜びや楽しみを知ったら――
つまり梨花のような状態になったら、絶対やらないといえるかなぁ。
湯水のようにお金を使えたら楽しいだろうな。
ホテルのスイートに泊ってシャンパン飲んでフレンチ食べてみたいわぁ。
後が怖いから、とのはやらないけど。

でも、梨花はやってしまったんですよね。
わかっていながら一線を越えてしまった梨花は全力で走って、逃げるしかありません。
これ、生き方の美学というより、映像の美学かもしれない。
美人が全力疾走する様は美しいのであります。





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☆11月11日に更新しました。今週、引越します。そのため、当試写室での上映に遅れが出ますが、今後ともごひいきの程お願い申し上げます☆

紙の月
監督/吉田大八、脚本/早船歌江子、撮影/シグママコト、プロデューサー/池田史嗣、石田聡子、明石直弓
出演
宮沢りえ/梅澤梨花、田辺誠一/梅澤正文、池松壮亮/平林光太、小林聡美/隅より子、大島優子/相川恵子、近藤芳正/井上次長、石橋蓮司/平林孝三、中原ひとみ/名護たまえ、佐々木勝彦/小山内等、天光眞弓/小山内光子、平祐奈/14歳の梨花
11月15日(土)全国ロードショー

by Mtonosama | 2014-11-11 07:03 | 映画 | Comments(14)
紙の月
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©「紙の月」製作委員会


文庫本で「紙の月」を読み終えたところに、映画『紙の月』の試写状が届きました。
角田光代作。第25回柴田練三郎賞受賞作品です。
銀行のお金を横領する女性の話で、
主人公にまつわる友人たちの証言によって、
彼女の人となりとその犯罪に至る過程を重層的につみあげていくという内容でした。

本の帯に宮沢りえが載っていたので、
主人公の横領犯・梨花は宮沢りえ的美人なのだなと想像しながら読んでしまいました。
(う~ん、本を読む段階からキャスティングを脳内に刷り込むのっていいのだろうか)

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普通の主婦だった梅澤梨花がたまプラーザの銀行の契約社員になり、
その丁寧な営業と清楚な美しさから顧客たちのお気に入りになっていきます。
そりゃ、宮沢りえのように親切で優しくきれいな営業ウーマンが来たら、
お金持のお年寄りはどんどん預金するでしょう。

角田光代さんといえば「八日目の蝉」も映画化されました。
『八日目の蝉』(‘11)
http://mtonosama.exblog.jp/15856973/ http://mtonosama.exblog.jp/15872227/
これも心に残る映画でした。
そのときの監督が吉田大八さんですが、彼は本作でもメガホンをとっています。


吉田大八監督
1963年鹿児島県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、CM制作会社でディレクター。
07年、カンヌ国際映画祭批評家週間正式招待作品『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』で
映画監督デビュー。
その後『クヒオ大佐』(‘09)や『パーマネント野ばら』(‘10)を監督。
http://mtonosama.exblog.jp/13515643/ http://mtonosama.exblog.jp/13544080/ 
4作目『桐島、部活辞めるってよ』(‘12)で第36回日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめ数多くの賞を受賞。
http://mtonosama.exblog.jp/17843483/ http://mtonosama.exblog.jp/17853290/
 

角田光代&吉田大八。最近の邦画界の最強コンビであります。
加えて、今回は宮沢りえですからね。
これはもう小説を読んだ方もそうでない方も一度映画館にいらして損はありません。

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小説では梨花がタイの雑踏をさまよう場面から始まります。
身体にまとわりつくような暑気と湿気。
梨花の不安感が伝わってきます。
一転。
ミッションスクール時代の同級生の証言。
梨花の結婚生活、たまプラーザでの銀行勤務。
そして、大学生の恋人との出会い。
営業先からの帰途、立ち寄ったデパートでの買い物。営業かばんの中の現金・・・

語り手が変わり、場面が移るごとに緊張感が増して、
何度、「ああ梨花さん、止めようよ」と本を閉じたことか。

現在、銀行業務はオンライン化され、
梨花がおこなったような犯罪は起こりえないといいますが。
時代は1994年。バブルが崩壊した20年前のお話です。

<魔がさす>
「この小説を5文字以内で要約せよ」と試験に出てきたら、こう答えるのでしょうが、
小説も映画ももっといろいろ語りかけてきました。

さあ、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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☆11月8日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます☆

紙の月
監督/吉田大八、脚本/早船歌江子、撮影/シグママコト、プロデューサー/池田史嗣、石田聡子、明石直弓
出演
宮沢りえ/梅澤梨花、田辺誠一/梅澤正文、池松壮亮/平林光太、小林聡美/隅より子、大島優子/相川恵子、近藤芳正/井上次長、石橋蓮司/平林孝三、中原ひとみ/名護たまえ、佐々木勝彦/小山内等、天光眞弓/小山内光子、平祐奈/14歳の梨花
11月15日(土)全国ロードショー

by Mtonosama | 2014-11-08 06:45 | 映画 | Comments(10)
               八日目の蝉 -1-

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                   ©2011映画「八日目の蝉」製作委員会

         直木賞作家・角田光代さんの小説「八日目の蝉」が原作の映画です。
       NHKでもドラマ化されたので、ご覧になった方は多いのではないでしょうか。
とのもTVで飛び飛びに観ました。そのときの印象は赤ちゃんを抱いた人がいっつも走っているなぁ、というもの。

          TVではそんな観方しかしていないし、原作も読んでいないので、
             映画化されたと聞き、勇んで試写室に足を運びました。

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     角田光代原作の映画化作品は「空中庭園」(‘05)を観ただけでしたが、案外多いんですね。
「真昼の花」(‘05)、「Presents ~合い鍵~」(‘06)、「うに煎餅」(‘07)、そして、今回の「八日目の蝉」(‘11)です。
           あ、あと本人が出演した「40歳問題」(‘08)という映画もありました。
            (これはドキュメンタリー映画で角田さんの作品ではありませんが)。

   その中で一番新しい映画化作品「八日目の蝉」は、角田光代が手がけた初の長編サスペンス。
     05年11月から読売新聞で連載され、07年第2回中央公論文芸賞を受賞した作品です。

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             この写真からもわかるように、角田光代さんはまだ若い作家。
                          ちょっとウィキってみると―――

角田 光代(かくた みつよ、1967年3月8日 - )は、日本の作家、小説家、翻訳家。
神奈川県横浜市出身。捜真小学校から捜真女学校中学部・高等学部を経て早稲田大学第一文学部文芸専修課程卒業。大学では学生劇団「てあとろ50'」に所属。大学在学中の1988年、彩河杏名義で書いた「お子様ランチ・ロックソース」で上期コバルト・ノベル大賞受賞。
1990年、「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞受賞し角田光代としてデビュー。1996年に『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を受賞したほか、数度芥川賞の候補に挙がった。2005年、『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞受賞。『キッドナップツアー』など児童文学も手がけている。
私生活では、芥川賞作家の伊藤たかみと結婚していたが、その後離婚。2009年10月、ロックバンドGOING UNDER GROUNDの河野丈洋と再婚した。輪島功一のボクシングジムに通っていたことがある。(Wikipediaより)

         と、ありました。へぇ、横浜出身だったんですね。へぇ、ボクシングジム!?
             それにしても早稲田は女性作家をたくさん輩出してますね。
             とのは今、小川洋子にこってますが、彼女も早稲田です。

            いえ、早稲田は関係ありません。映画「八日目の蝉」です。

       映画のキャッチコピーは「優しかったお母さんは私を誘拐した人でした」。
               優しかったお母さんを演じたのは永作博美。
         誘拐された「私」を演じたのは現在NHK朝の連続ドラマのヒロイン・井上真央。

          さあ、どんなお話でしょうか。テレビで見た印象とはずいぶん違ってました。
      何度も泣いてしまいました。とのは涙もろいということをさしひいても、なかなか見せる映画です。
                  どうぞ、次回を楽しみになさってくださいませ。

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八日目の蝉
監督/成島出、原作/角田光代(中公文庫)、脚本/奥寺佐渡子、撮影/藤澤順一、音楽/安川悟朗
出演
井上真央/秋山恵理菜、渡邊このみ/秋山恵理菜・薫、永作博美/野々宮希和子、小池栄子/安藤千草、森口瑤子/秋山恵津子、田中哲司/秋山丈博、市川実和子/沢田久美・エステル、平田満/沢田雄三、吹雪ジュン/沢田昌江、劇団ひとり/岸田孝史、余貴美子/エンゼル、田中泯/タキ写真館・滝
4月29日(金・祝日)ロードショー
2011年、カラー、147分、配給/松竹、http://www.youkame.com


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by mtonosama | 2011-04-23 06:23 | 映画 | Comments(5)