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誰のせいでもない
-2-

EVERY THING WILL BE FINE


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(C)2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED.


ヴィム・ヴェンダースを畏敬しています。
だから、その作品に臨むときはつい身構えてしまうし、緊張します。
憧れの人に会うときって、そういうものですよね。
『ベルリン・天使の詩』を観たときがそうでした。
今回も久々の彼の劇映画ですから身構えました。

しかし、
彼は熟成していました。
同時に、更なる進化を遂げていたのです。

ストーリー
凍った湖上の小屋で小説を書くトマス。
朝、小屋を出ると釣り人達が釣果を自慢している。
愛想よく言葉を交わすトマス。
だが、彼は作品に行き詰まっていた。
心配して頻繁に電話をかけてくる恋人のサラ。

その日の夕暮、トマスは車を走らせていた。
雪が舞い、視界は悪い。
突然、丘の上から橇が滑り落ちてきた。
間一髪で停まる車。
慌てて車から降りると、呆然とへたりこむ幼い少年。
怪我はない。
ホッとして少年を家に送り届けるトマス。
ドアを開けてにこやかに出迎えた母ケイトだったが、
息子を見て顔色を変えた―――

弟の姿がなかったからだ。

車を運転していたのはトマス。
小さな兄弟を雪の中で遊ばせ、読書に耽っていた母ケイト。
弟に注意を払うべきだった小さな兄クリストファー。
子供の死は誰のせい?
いや、誰のせいでもない。

だが、事故はトマスの心に深い傷跡を残した。
恋人サラとの関係も壊れた。
しかし、彼には書き続けることしかできない。

2年後
作家として成功したトマス。
あの事故から初めて現場を訪れ、ケイトと出会う。
ある日、ケイトはトマスを呼び出し、家へ招いた―――

4年後
トマスは編集者のアンとその娘ミナと新しく生活を始める。
ある日3人で遊園地に行くと観覧車が倒れてきた。
事故に遭った女性を冷静に救助するトマス。
その落ち着き払った姿に一抹の不安を感じるアン。

ある晩、アンと二人で出かけたコンサートでトマスはかつての恋人サラに出会う。
トマスの悪意はないが、不用意な言葉を受け、
苦しかった彼との日々を思い出したサラは思わず彼の頬を打つ。

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11年後
トマスのもとにケイトの息子クリストファーからの手紙が届く。
11年前の事故の日、5歳だった彼も今や16歳。
作家になる夢を持ち、トマスに憧れ、会ってほしいという手紙だ。
だが、トマスは「作品執筆中のため、会う時間はない」と断る
が、ケイトに責められ、クリストファーと会うトマス。

クリストファーは大学に入学。
息子を育て上げたケイトは家を売り、一人で英国へと旅立つ。
トマスは作家としての地位を確立していた。
ある夜、朗読会から帰宅したトマスに小さな事件が起きる……

ものすごく乱暴に括ってしまえば、
トマスという青年が作家として成功するまでの12年間の人生が描かれています。
その間に、出会いがあり、別れがあり、事故があり、苦しみがあり、
時が流れていきました。

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クリストファーがトマスに会いにきたとき、
「小説に出てくる少年は自分がモデルか?」と問います。
悲しい事故が起こり、
そこに関連した人々がそれぞれに自分を責めながら
12年間という歳月を生きてきました。

クリストファーが「自分がモデルか?」と訊ねたのは
弟の死に対して責任を感じてきたからだし、
トマスが「君はモデルじゃない」と答えたのは、
自分が事故で感じた想いを作品化しているのではないかと
罪悪感を抱いてきたからでしょう。

歳月は誰の上にも平等に流れていきますが、
それぞれが内部に抱え込んだ想いは一括りにはできません。

心を3Dで描こうとするヴィム・ヴェンダース監督。

こんな手があったのか、と
巨匠の熟成と進化に凡人は頭をうなだれるしかありません。

もう一度、今度は3D版を観に行かねば。







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誰のせいでもない
監督/ヴィム・ヴェンダース、プロデューサー/ジャン=ピエロ・リンゲル、脚本/ビョルン・オラフ・ヨハンセン、撮影/ブノワ・デビエ、立体撮影監督/ジョセフィーヌ・ドローブ
出演
ジェームス・フランコ/トマス、シャルロット・ゲンズブール/ケイト、レイチェル・マクアダムス/サラ、マリ=ジョゼ・クローズ/アン、ロバート・ネイラー/クリストファー、パトリック・ボーショー/トマスの父、ピーター・ストーメア/編集者ジョージ
11月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷(3D&2D)、キネカ大森(2D)T・ジョイ蘇我(3D)、12月10日(土)よりシネマート新宿(3D)ロードショー
2015年、ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー、118分、日本語字幕/松浦美奈、配給/トランスフォーマー

by Mtonosama | 2016-11-16 05:30 | 映画 | Comments(4)
 

誰のせいでもない
-1-

EVERY THING WILL BE FINE

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(C)2015 NEUE ROAD MOVIES MONTAUK PRODUCTIONS CANADA BAC FILMS PRODUCTION GÖTA FILM MER FILM ALL RIGHTS RESERVED.


ヴィム・ヴェンダース監督といえば
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』('98)
『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』('11)
http://mtonosama.exblog.jp/17198768/ http://mtonosama.exblog.jp/17210360/
『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』(‘14)
http://mtonosama.exblog.jp/24281138/ http://mtonosama.exblog.jp/24291511/
といった卓越したドキュメンタリー映画が印象的です。

劇映画でいえば
『パリ・テキサス』(’84)
『東京画』(‘85)
『ベルリン・天使の詩』(’87)
等のちょっと尖った作品、
そして、
『都会のアリス』('73)
『まわり道』(’75)
『さすらい』(’76)
のロードムービー三部作を思い浮かべます。

いずれにせよ、作品を発表する度にファンの心を騒がせてくれる監督であります。

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今回はドキュメンタリーが二作続いた後の劇映画です。

これがまた尖った印象もなければ
ロードムービーでもありません。

主要登場人物は作家志望の男と
3人の女。
一寸見、普通の映画です。
天使も覗き見バーも出てきませんし、
ライ・クーダーの物悲しいギターの響きもありません。

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男がいて、恋人がいて、雪の中で交通事故を起こし、
事故にあった子供の母親と出会い、
12年の年月が流れ、
作家志望の男は作家になり、
新しい家族と出会う。

1人の男と3人の女とその子供たちの12年の年月が描かれています。

筋立てとしては極めて普通です。
ただ、登場人物が内省的なのが普通とはいいきれないところ。
(その前に「普通ってなによ」という問題はありますけどね)

本作がユニークなのは3D映画だということ。
『Pina』の時も3Dでした。
ダンスやアクションに3Dというのはわかります。
でも、なんで普通の劇映画で3Dの必要が?
と思ったとの。
ああ、バカでした。
ヴィム・ヴェンダースが3Dといえば3Dなのです。

眼鏡を二つ重ねるのは嫌だとか、
なんのために人は想像力を持っているのだとか・・・
つまらないこだわりから本作を2Dで観てしまったのです。

もちろん2Dも良かったですよ。
でも、監督の真の狙いを体感するためには
やはり3D版を見るべきでした。

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本作は、心の中での自分との対話、あるいは内省といったものが
主要な部分となっています。
心の中というのは人間の奥深い部分。
つまり奥行きです。
3Dは平面に奥行きをプラスしたもの。
もちろん観客は心の中を想像することはできます。
でも、心の深奥を3Dで表現したとしたら・・・
これ、想像を超えています。

3Dはアクションものの専売特許じゃありませんでした。
どこかで3Dをなめていたことを深く反省します。

とのは浅知恵から2Dで観てしまいましたが、
皆さまにはぜひ3Dでご覧になることをお勧めします。

主人公を演じたのはジェームス・フランコ。
思わぬ事故から抱えることになる罪悪感と向き合いながら生きる作家志望のトマスを
静かに、知的に、そして、戸惑いを見せながら演じました。
だから、彼が、あの超音速監督ダニー・ボイルの
『127時間』の主人公とは最初わかりませんでした。
http://mtonosama.exblog.jp/15998518/ http://mtonosama.exblog.jp/16013752/
彼、俳優のみならず
プロデューサー、監督としても活躍し、
本作で演じたトマス同様作家でもあります。
多才ですね。

さあ、巨匠ヴェンダース久々の劇映画。
いったいどんな作品でしょう。
続きは次回まで乞うご期待です。



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誰のせいでもない
監督/ヴィム・ヴェンダース、プロデューサー/ジャン=ピエロ・リンゲル、脚本/ビョルン・オラフ・ヨハンセン、撮影/ブノワ・デビエ、立体撮影監督/ジョセフィーヌ・ドローブ
出演
ジェームス・フランコ/トマス、シャルロット・ゲンズブール/ケイト、レイチェル・マクアダムス/サラ、マリ=ジョゼ・クローズ/アン、ロバート・ネイラー/クリストファー、パトリック・ボーショー/トマスの父、ピーター・ストーメア/編集者ジョージ
11月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷(3D&2D)、キネカ大森(2D)T・ジョイ蘇我(3D)、12月10日(土)よりシネマート新宿(3D)ロードショー
2015年、ドイツ・カナダ・フランス・スウェーデン・ノルウェー、118分、日本語字幕/松浦美奈、配給/トランスフォーマー

by Mtonosama | 2016-11-13 05:55 | 映画 | Comments(7)