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殿様の試写室

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               一枚のハガキ -1-

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               ©2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

                   最初から一番良いところを発表してしまうのって、
                あんまりおりこうな書き方ではないのですが、いっちゃいます。
         (「どうせお利口じゃないし」と、つっこみの来る前に言ってしまうというこのサガが悲しい)

                              新藤兼人監督。
                         邦画界で最高年齢の映画監督です。
                       今年4月22日に99歳の誕生日を迎えました。

             本作「一枚のハガキ」では自身の戦争体験を主人公に演じさせています。
          運の良い男と運の悪い女を登場させ(とはいえ、この区別も設定しにくいのですが)、
                      「生きる」ということの、間の悪さ、厄介さ、
                     あるいは、やってみたらなんとかなっちゃった――
                        みたいな、ある種、達観にも似た部分を
                99年生きてきた監督ならではの映画作法で描きだしてくれました。

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新藤兼人監督
1912年4月22日、広島県に生まれる。
34年、京都・新興キネマの現像部で働き始める。
後に美術部に移り、シナリオを書き始め、溝口健二監督に師事。
44年、松竹大船撮影所の脚本部に移籍。同年4月召集。呉海兵団に二等水兵として入隊。
45年、宝塚海軍航空隊で終戦を迎える。
終戦後、吉村公三郎監督と組んだ「安城家の舞踏会」(‘47)「わが生涯のかゞやける日」(’48)などで脚本家としての評価を決定づける。
50年、松竹退社。吉村公三郎、殿山泰司達と独立プロ「近代映画協会」を設立。
51年、「愛妻物語」で監督デビュー。
以降、「原爆の子」「第五福竜丸」など創作活動を開始。
60年、全編まったくセリフのない「裸の島」がモスクワ国際映画祭グランプリを受賞。
その独創的な姿勢は「鬼婆」、「本能」(‘66)などの作品にも貫かれている。「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」は記録映画の傑作として絶賛された。
95年、「午後の遺言状」が日本アカデミー賞最優秀作品賞はじめ、あらゆる映画賞を独占。
2011年、監督自身が「映画人生最後の監督作」と語る本作「一枚のハガキ」で第23回東京国際映画祭審査員特別賞を受賞。

脚本執筆作品には「源氏物語」(‘51 吉村公三郎監督)、「しとやかな獣」(‘62 川島雄三監督)、「刺青」(‘66 増村保造監督)、「けんかえれじい」(‘66 鈴木清順監督)、「ハチ公物語」(‘87 神山征二郎監督)、「完全なる飼育」(‘99 和田勉監督)などがあり、その数は230本を超える。
97年、文化功労者に選ばれる。
02年、文化勲章授与。
青い部分は「一枚のハガキ」に反映されている体験です) 

        と、まあ、戦後の日本映画史を映画作家として生き抜いてきた邦画界を代表する監督。

               「原爆の子」(‘52)、「裸の島」(‘60)、「午後の遺言状」(‘95)は
            モスクワ、ベルリン、メルボルンなど海外の映画祭でも高く評価されました。
 受賞作を中心に選び抜いた全19作品は「一枚のハガキ」公開記念~映画監督:新藤兼人の軌跡~と題して、
                     テアトル新宿で特集上映されますよ。

「一枚のハガキ」公開記念~映画監督:新藤兼人の軌跡~ 
                         7/23(土)~8/5(金
「一枚のハガキ」公開を記念して、新藤兼人作品19本をテアトル新宿にて特集上映!
http://www.ttcg.jp/theatre_shinjuku/
「愛妻物語」(‘51)、「原爆の子」(‘52)、「縮図」(‘53)、「狼」(‘55)、「第五福竜丸」(‘59)、「裸の島」(‘60)、「人間」(‘62)、「母」(‘63)、「鬼婆」(‘64)、「藪の中の黒猫」(‘68)、「裸の19歳」(‘70)、「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」(‘75)、「竹山ひとり旅」(‘77)、「北斎漫画」(‘81)、「さくら隊散る」(‘88)、「濹東奇譚」(‘92)、「午後の遺言状」(‘95)、
「生きたい」(‘98)、「三文役者」(‘00)
料金:一般・大専・シニア1300円、小中高:500円

         「一枚のハガキ」は監督自身が《映画人生最後の監督作》と語った渾身の一作!
         と結びたいところですが、そんなにガチガチになって鑑賞することはありません。 

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    99歳、さまざまな実験映画も撮影し、ご本人も泥沼の愛憎人生を過ごしたこともおありの新藤監督。
           過ぎてきた人生を、飄々と、また、淡々とふりかえることのできるお歳です。
                      余分な力がかかっていないんですねぇ。

                  でも、監督が、ご自分の人生をふりかえることは、つまり、
            観客にとっては人生を教えられることであり、今後への勇気を与えられること。
           その描き方はまさに長い映画人生の中から、身につけてこられたものなんですね。
                 年齢を重ねるということは素晴らしいことだと思います。

               さて、監督にとっての人生とはいかなるものなのでありましょうか。
                        続きは次回で。乞うご期待であります。

                                 

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一枚のハガキ
監督・脚本・原作/新藤兼人、製作/新藤次郎、渡辺利三、宮永大輔、プロデューサー/新藤次郎、撮影/林雅彦
出演
豊川悦司/松山啓太、大竹しのぶ/森川友子、六平直政/森川定造、柄本明/森川勇吉、倍賞美津子/森川チヨ、大杉漣/泉屋吉五郎、津川雅彦/松山啓太の伯父・利エ門、川上麻衣子/松山美枝、絵沢萌子/利エ門の妻、大地泰仁/森川三平、渡辺大/下士官、麿赤児/和尚
8月6日(土)テアトル新宿、広島・八丁座にて先行公開、8月13日(土)全国公開、
2011年、日本、カラー、114分、配給/東京テアトル
http://www.ichimai-no-hagaki.jp/

by mtonosama | 2011-07-14 06:39 | 映画 | Comments(8)
必死剣鳥刺し -2-

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              (C)2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

さて、藤沢周平ファン、時代劇ファン待望の東映時代劇映画「必死剣鳥刺し」です。

「鳥刺し」と聞いて、モーツァルト「魔笛」の鳥刺し男パパゲーノを思い出してしまった方、
すいません、それは忘れてください。

ストーリー
海阪藩の近習頭取・兼見三左エ門(豊川悦司)には或る過去があります。
3年前のこと、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を城中で殺したのです。
連子は類まれなる美貌の持ち主で藩主の寵愛を一身に浴び、藩政にも口を出し、
自分の意に染まない臣下を切腹にまで追い詰める悪女。
そのことを藩主に注進できるものはおらず、
唯一、藩主を諫めることのできるのが藩主の従弟・帯屋隼人正(吉川晃司)でした。
しかし、藩主は隼人正の意見も聞き入れようとはしません。
城内の空気は次第に重苦しさを増してゆきます。

三左エ門が連子を刺したのは、そんな時期でした。
最愛の妻・睦江(戸田菜穂)を亡くし、
生きる意欲も失っていた三左エ門にとって、
悪政の張本人である連子の殺害は死に場所を求めるための行動でもありました。

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ところが、予想に反する寛大な処置。
「一年の閉門後は再び藩主に仕えよ」という沙汰が下されます。
不審感と無力感を抱きながらも、閉門の処置に従う三左エ門。
物置小屋にむしろ一枚を敷き、冬の寒さ、夏の猛暑を耐える
彼の身の周りの世話をしたのは亡妻の姪・里尾(池脇千鶴)でした

閉門を解かれ、美しい庄内平野の田園地帯を歩きながら、
生きる力を次第に取り戻してゆく三左エ門。
ですが、連子亡き後も藩の抱える問題は何一つ変わってはいませんでした。
ある日のこと、三左エ門は中老・津田民部(岸辺一徳)から呼び出されます。
それは彼を天心独名流の遣い手と知っての相談。
その腕で、或る者を討ち取れというのです。
討ち取る相手は、別家の帯屋隼人正。
藩主の悪政を歯に衣着せず批判する彼もまた直心流の達人です。
三左エ門にとってはできれば闘いたくはない相手。
しかし、彼は藩命に従うことを決意します。

その決着の日、三左エ門は思いもよらなかった運命に流されていくのでした…


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いやぁ、剣戟シーンでは力が入りました。
自動車学校で思わず補助ブレーキを踏む指導教官のごとく、
足をつっぱっていました。

やはりお家芸。東映チャンバラの真髄であります。
〈必死剣鳥刺し〉なる秘剣の〈必死〉の本来の意味が
これでもかとばかりに描かれます。

映画を観ながら「なんで標準語をしゃべってるんだ?」とか
「なんで笹野高史みたいな俳優さんが出てきて笑わせてくれないんだ?」と
知らず知らず、山田洋次監督の隠し剣シリーズと比較しながら、
観ていた殿ですが、ラストのチャンバラですべて吹っ飛びました。

お家のため、とおのれの信念を曲げ、苦悩する藩士。
隠し剣シリーズの人物は侍や武士というより会社員と呼びたくなります。
それだけにラストの渾身の闘いが
思い通りにならない日々を過ごす人々の胸を打つのでしょう。

水戸黄門の印籠のように、隠し剣シリーズのチャンバラは日本人にとって
永遠のカタルシスなんだと思った殿でした。



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必死剣鳥刺し
監督/平山秀幸、脚本/伊東秀裕、江良至、原作/藤沢周平「必死剣鳥刺し」(文春文庫「隠し剣孤影抄」所収)
出演
豊川悦司/兼見三佐エ門、池脇千鶴/里尾、吉川晃司/帯屋隼人正、岸部一徳/津田民部、小日向文世/保科十内、戸田菜穂/兼見睦江、村上淳/右京大夫、関めぐみ/連子
7月10日(土)全国ロードショー
2010年、114分、公式HP http://www.torisashi.com/

by mtonosama | 2010-05-25 07:26 | 映画 | Comments(7)
必死剣鳥刺し -1-

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                 (C)2010「必死剣鳥刺し」製作委員会

なんかものすごくバラバラなラインナップの当試写室です。

前回のアルゼンチンタンゴから、今回は江戸時代へ飛び、
舞台は東北・海阪藩。
海阪藩(うなさかはん)と言ったら―――
そうです。ご存知、藤沢周平です。

これまでに
藤沢作品は「たそがれ清兵衛」(‘02)、「隠し剣 鬼の爪」(‘04)、「蝉しぐれ」(‘05)、
「武士の一分」(‘06)、「山桜」(‘08)、「花のあと」(‘10)
6本が映画化されています。

そのうち4本が山田洋次監督作品。
藤沢周平「隠し剣シリーズ」イコール山田洋次という公式を勝手に
作っていましたが、今回は違いました。
「レディ・ジョーカー」(‘05)、「しゃべれどもしゃべれども」(‘07)などを
監督した平山秀幸さん。
東映作品です。

そして、
東映といえばチャンバラ。
幼いころ、毎週土曜日には家族で東映映画をかけている映画館へ
チャンバラ映画を観にいきました。
今回、久々に、岩にぶつかるあの波がしらと三角形の東映ロゴの
オープニングシーンを観たとき、子どもの頃の興奮を思い出しました。

     あのシーンには「荒磯に波」という名前がついており、
     犬吠埼灯台の近くで撮影されたんですって。

映画といえば東映、東映といえばチャンバラでしたものねぇ。
(と、同意を求められて困りますよね。すいません)

最近のチャンバラ映画といえば藤沢周平「隠し剣シリーズ」。
今までのどの「隠し剣シリーズ」を観ても(「蝉しぐれ」「花のあと」は観ていませんが)、
ラストの剣戟が圧巻!
真田広之、永瀬正敏、木村拓哉、東山紀之など
最高の俳優陣が渾身の闘いぶりを見せてくれました。

でも、藤沢周平自身は
「名もない普通の人をえらいと思う」と言っていたように、
その作品の主人公は下級武士です。
現代にあてはめれば、日がな一日机に向かう人の良い公務員って感じですか。

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江戸時代、父の仕事はその息子が継ぎ、息子の仕事はそのまた息子が継いで、
ひたすら代々コツコツと机に向かって筆を走らせる下級武士たち。
忠義と人情の板挟みになりながらも愚直なまでにまじめに生きる彼らが
その人生でただ一回爆発するのがラストの剣戟というわけです。

「隠し剣シリーズ」の場合、あまり知られてはいないけれど、
どの主人公も最強の剣の遣い手である、というところが味噌です。
同僚たちは誰一人彼らの剣の腕を知りません。
〈隠し剣〉という言葉には秘技とか秘剣の意味もあるのでしょうが、
本当は、その腕を人の目から隠し、普通の人間を装う、という意味なのかも。

最後の最後にその技をさらし、丁々発止と斬り結ぶ―――
花はあるけれど、そこはかとない悲しさが漂います。
そうなんですねぇ。「葉隠」です。
「武士道と云ふは死ぬことと見つけたり」です。
「葉隠」(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に出された肥前国鍋島藩藩士、山本常朝の武士としての心得について見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基が筆録した記録である。全11巻。葉可久礼とも書く。(Wikipediaより)

さあ、今回の剣の使い手は豊川悦司です。
長身から繰り出す剣の技はさすがであります。
以前、「丹下左膳」ではがっかりさせられましたが、今度は魅せてくれましたよ。

というわけで、続きは次回までのお楽しみ。

続く

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必死剣鳥刺し
監督/平山秀幸、脚本/伊東秀裕、江良至、原作/藤沢周平「必死剣鳥刺し」(文春文庫「隠し剣孤影抄」所収)
出演
豊川悦司/兼見三佐エ門、池脇千鶴/里尾、吉川晃司/帯屋隼人正、岸部一徳/津田民部、小日向文世/保科十内、戸田菜穂/兼見睦江、村上淳/右京大夫、関めぐみ/連子
7月10日(土)全国ロードショー
2010年、114分、公式HP http://www.torisashi.com/

by mtonosama | 2010-05-22 06:12 | Comments(6)