ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:趙氏孤児 ( 2 ) タグの人気記事

                    運命の子 -2-
                          趙氏孤児

f0165567_6581769.jpg

(C)Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd. /21 Century Shengkai Film

権勢を誇りながら、無残にも謀略によって滅ぼされた趙一族。
その中で、ただ一人生き残った赤ん坊が成長を遂げ、みごと仇討を果たす・・・・・
一口に言ってしまえば、仇討物語ですが、
孤児を育てたのは、その孤児の存在ゆえに自分の妻子を殺された初老の男・程嬰、
そして、仇を討たれるのは、その孤児がもう一人の父と慕う男・屠岸賈(とがんこ)です。

これはちょっとすごいですよ。

元の時代、紀君祥(きくんしょう)によって戯曲としてまとめられた「趙氏孤児」は、
18世紀には英語とフランス語に翻訳されました。
ヴォルテールの「中国の孤児」はその翻案なのだそうです。

さてさて、どんなお話なのでしょうか。

f0165567_773993.jpg

ストーリー
2600年前、時は春秋時代。所は晋の国。
趙盾宰相の息子・趙朔は晋の君主の姉・荘姫を妻とし、趙氏一族はまさに我が世の春を謳歌していた。
これを快く思わない武官の屠岸賈(とがんこ)は、晋王殺害の罪を趙盾にかぶせ、
趙盾、趙朔はもちろんのこと、なんと趙氏一族300人を皆殺しにしてしまった。

それと時を同じくし、月満ちて出産間近の趙朔の妻・荘姫。
出産に立ち会ったのは自身も40歳を過ぎて男児を授かったばかりの医師・程嬰(ていえい)。
荘姫は趙家を受け継ぐべき唯一にして最後の男児を出産する。
だが、夫を殺され、自身の運命を悟った荘姫は赤ん坊を公孫に託すことを程嬰に頼み、
自害し、果てた。
程嬰は遺児を薬箱に隠して自宅に連れ帰り、妻に託す。

町では、屠岸賈(とがんこ)により趙氏の忘れ形見である孤児の大捜索が始まっていた。
公孫の迎えを頼むため家を出た程嬰は、兵士たちが家々から赤ん坊を奪い去っているところを目撃。
兵士たちは程嬰の家にもやってきた。
妻はたまたま乳を飲ませていた遺児を差し出すしかなかった。
だが、このままでは彼らの許に留まった程嬰の実子が趙氏孤児とみなされてしまう------

そこへやってきたのが荘姫の信頼する公孫。
彼は程嬰の妻子を自邸に連れていき、隠し部屋にかくまう。
その頃、程嬰は奪われた遺児を救出しようと屠岸賈邸の庭にいた。
屠岸賈は
「趙家の子を盗んだ者が寅の刻までに姿を現わさなければ、集めた子は皆殺しだ!」
とそこに集まった親たちに告げる。蒼ざめる親たち。

寅の刻がきた。
屠岸賈に呼び出され、
「趙家の子を誰に渡したかを言わなければ、ここに集めた赤ん坊は全員殺すぞ」
と恫喝された程嬰は「公孫様に渡しました」と告げてしまう。
ああ、しかし、この言葉こそ、実子の命を屠岸賈に引き渡すものだったのだ。
屠岸賈は兵士をひきつれ、公孫の邸へ。

哀れ、公孫は兵士たちに刺殺され、程嬰の妻子のひそむ隠れ部屋もみつけられてしまう。
赤ん坊を抱き締め、身体をすくめる程嬰の妻に屠岸賈は訊ねる。
「なぜ、そうまでして他人の子をかばう」
一瞬、ためらいを見せ、妻は答えた。「親のない子だから」
見せるだけと信じて差し出された子を、屠岸賈は容赦なく床に叩きつける。
息絶えた子を抱きしめた妻も兵士の刃に貫かれた。

妻子を殺された程嬰は趙氏の孤児をひきとり、そして、固く心に誓うのだった。
「この孤児を育てて、我が息子の仇をとってやる。屠岸賈に死よりも更に苦しい思いを与えてやるぞ。」
そして、自ら屠岸賈の家臣となり、孤児ともども近くに侍って仇討の機会を狙うのであった……


f0165567_7955.jpg

ヘロデ王が救世主と予言されたイエスを殺すため、赤ん坊を全ての家から連れ去り、
虐殺したという逸話より、もっと古い時代に同じようなことが行われていたのだから恐れ入ります。
人間の権力欲というものほど恐ろしいものはございませんね。

屠岸賈という人物、まさしく究極のヒールであります。
そして、一介の町医者・程嬰が、妻と子を殺されながらも、趙家の忘れ形見を育てて、
敵である屠岸賈の家臣となり、仇討のチャンスを狙う------

その手段は、孤児をして屠岸賈を父上と慕わせ、また、屠岸賈をして孤児を溺愛させ、
愛する者によって命を奪わせようとするもの。
「死よりも苦しい思い」とはこのことだったわけです。

こうなってくると、気の弱そうな町医者・程嬰こそ復讐の鬼であり、
究極の悪役だったはずの屠岸賈がどこか哀れに思えてきます。
これは役者のうまさも大きくものをいうのでありましょうが、
年月の経過は、いいもん、悪いもん、の区別を薄めていくのかもしれませんね。
2000年以上の長きにわたって、このお話が中国で愛されてきたのは、
すさまじい権力欲を描きだすと同時に、いつの世も変わらぬ父子の情愛を描いたものだからでしょうか。

親子の情愛を描くその後ろから、権力欲って空しいよ、という重奏低音が
ズンズン響いてきます。
現在の中国では、現代劇の形をとると言いにくい部分もありましょうが、
2600年も前の父子愛に絡めて、権力への不満をうまく訴えていますね。

チェン・カイコー監督、なかなかでありました。

   

                                   

今日もポチッとお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆12月23日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆


こちらもポチッとお願い申し上げます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
【署名のお願い】自然エネルギー100%と原発の段階的廃止を実現するため「エネルギー基本計画」を変えよう!

運命の子
監督・脚本/チェン・カイコー(陳凱歌)、原典/司馬遷「史記」、撮影/ヤン・シュウ(楊述)、武術監督/クウ・フエンチュウ(谷軒昭)
出演
グォ・ヨウ(葛優)/程嬰(ていえい)、ワン・シュエチー(王学圻)/屠岸賈(とがんこ)、ファン・ビンビン(苑冰冰)/荘姫(そうき)、ホワン・シャオミン(黄暁明)/韓厥(かんけつ)、ハイ・チン(海清)/程嬰の妻、チャン・フォンイー(張豊毅)/公孫、ヴィンセント・チャオ(趙文卓)/趙朔(ちょうさく)、ウィリアム・ワン(王瀚)/程勃(ていぼつ)・8歳、チャオ・ウェンハオ(趙文浩)/程勃(ていぼつ)・15歳、ポン・ボー(彭波)/晋の君主(霊公)、ワン・ジンソン(王勁松)/策士、パオ・グオアン(鮑国安)/趙(ちょう)盾(じゅん)
12月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ[リニューアル・オープニング第一弾作品]ほか全国順次公開
2010年、中国映画、カラー、128分、配給/角川映画、http://www.unmeinoko.jp/

by Mtonosama | 2011-12-23 07:22 | 映画 | Comments(6)
                    運命の子 -1-
                          趙氏孤児

f0165567_6454195.jpg

(C)Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd./21 Century Shengkai Film

        今回、当試写室で上映するのは、古代中国は春秋時代の強国、晋が舞台の物語、
          かの有名な司馬遷「史記」から題材をとった「運命の子」(趙氏孤児)です。

          「趙氏孤児」は「ハムレット」や「忠臣蔵」同様、復讐をテーマにした名作で
               中国では知らない人のいない有名なお話だとのこと。
           日本人なら「忠臣蔵」、中国人なら「趙氏孤児」ということらしいです。

                       今回は中国第5世代の巨匠、
                    「さらば、わが愛 覇王別姫」(‘93)、
                      「北京ヴァイオリン」(‘02)、
            「花の生涯~梅蘭芳」(‘08)http://mtonosama.exblog.jp/10447417/ 
        の陳凱歌(チェン・カイコー)監督の解釈による「趙氏孤児」初の映画化作品です。

           春秋時代なんていうと高校時代の世界史の授業を思い出しますが、
           中国の人たちは2600年も前のお話に未だに愛好しているのですね。
                   さて、いったいどんなお話なのでしょうか。

              でも、春秋時代ってどういう時代だったんでしたっけ?

                        夏、殷、周、秦、漢・・・・・
           中国の歴代王朝を確かに暗記した筈なのに、5つしか出てきません。
                     ま、いいでしょう(なにがいいんだか)。
         その3番目の周王朝が前770年都を洛邑へ移してから、世が乱れるのですが、
                     これが春秋時代の始まりであります。
                 そして、前403年に現在の山西省を治めていた国・晋が、
      その家臣である韓氏、魏氏、趙氏によって三分割され、漢・魏・趙の三国として建つまでを
                春秋時代といいまして、ここから戦国時代が始まります。

f0165567_650670.jpg

       その春秋時代の間に起きた「趙氏族皆殺し事件」がこのお話の大きな背景なんですね。
                 これ、試験に出ますから、しっかり覚えておいてください。

                                って…

                  いや、しかし、趙氏族は皆殺しにされたはずなのに、
                なにゆえその後、前403年に趙氏の国が建ったのでしょうか?

                 う~ん、この話のミソはどうやらその辺にありそうです。

            晋は現在の山西省にあった強国ですが、その君主に文公という人がいました。
                   彼は亡命生活の末に晋の君主に返り咲いた人物。
            この文公の家臣が趙衰(ちょうし)であり、文公と亡命の苦楽を共にしたため、
                     帰国後はひきたてられ大出世しました。
             趙衰(ちょうし)の息子・趙盾、孫の趙朔も、晋の重臣として権勢を振るい、
          その勢力は晋の君主にとっては脅威に感じられるようになってきたのであります。

                権力を世襲するということは昔も今も災いの元でありますな。

f0165567_6532339.jpg

               そして、前598年、文公の孫・景公は家臣の屠岸賈(とがんこ)に
                 趙朔以下、趙氏の一族300人を粛清させるのであります。

                             な、なんと・・・・・

            その後に展開される人間の情愛を鋭くえぐり出した「趙氏孤児」の物語が
                  「史記・趙世家」に記されているのであります。
           2600年の時を経て未だ中国人の魂を揺さぶるこの物語は雑劇、京劇、新劇など、
                   時代を超え、繰り返し舞台化されてきました。
                今回は陳凱歌(チェン・カイコー)監督による初の映画化。
             さてさて、どんな作品に仕上がっているかは次回のお楽しみということで、
                         皆さま、乞うご期待であります。

                                

今日もポチッとお願いできればうれしゅーございます。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
♪12月20日に更新しました。いつも応援ありがとうございます♪

こちらもポチッとお願いします。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
【署名のお願い】自然エネルギー100%と原発の段階的廃止を実現するため「エネルギー基本計画」を変えよう!

運命の子
監督・脚本/チェン・カイコー(陳凱歌)、原典/司馬遷「史記」、撮影/ヤン・シュウ(楊述)、武術監督/クウ・フエンチュウ(谷軒昭)
出演
グォ・ヨウ(葛優)/程嬰(ていえい)、ワン・シュエチー(王学圻)/屠(と)岸(がん)賈(こ)、ファン・ビンビン(苑冰冰)/(/)荘(そう)姫(き)、ホワン・シャオミン(黄暁明)/韓厥(かんけつ)、ハイ・チン(海清)/程嬰の妻、チャン・フォンイー(張豊毅)/公孫、ヴィンセント・チャオ(趙文卓)/趙朔(ちょうさく)、ウィリアム・ワン(王瀚)/程勃(ていぼつ)・8歳、チャオ・ウェンハオ(趙文浩)/程勃(ていぼつ)・15歳、ポン・ボー(彭波)/晋の君主(霊公)、ワン・ジンソン(王勁松)/策士、パオ・グオアン(鮑国安)/趙(ちょう)盾(じゅん)
12月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ[リニューアル・オープニング第一弾作品]ほか全国順次公開
2010年、中国映画、カラー、128分、配給/角川映画、http://www.unmeinoko.jp/

by mtonosama | 2011-12-20 07:19 | 映画 | Comments(10)