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タグ:静かなる情熱 ( 2 ) タグの人気記事


静かなる情熱

エミリ・ディキンスン

-2-

A QUIET PASSION

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(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


エミリ・ディキンスンは自分のことを
「私はミソサザイのように小さく、髪は栗のいがのように堅く、
眼はお客様が飲み残していったシェリー酒のような色です」
と語っていたそうです。

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ミソサザイ


本作の撮影にはアマストにある
エミリが実際に暮らした屋敷が使われました。

本作には約20篇の彼女の詩が織り込まれ、
その少女時代から
詩作を心のよりどころとし、
家族と共に生きた静かな時代が描かれています。
さらに、
病に苦しむ晩年からその死まで―――

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ストーリー
19世紀半ばのマサチューセッツ州。
大好きな家族と離れ、
マウント・ホリヨーク女子専門学校(現マウント・ホリヨーク大学)で
学んでいたエミリ・ディキンスン。
彼女は学校にみなぎる宗教的な色彩に神経質になっていた。

そんなエミリはアマストの自宅で
両親、兄、妹と共に暮らすことに。

裕福な弁護士である父の口添えで
彼女は地元の新聞に初めて詩を掲載されたが、
編集長は
「有名な文学は男の作品で女には不朽の名作は書けない」
と言う言葉を投げかけるのだった。

やがて彼女は妹ラヴィニアから資産家の娘、
ヴライリング・バッファムを紹介される。
活発で進歩的なヴライリングにエミリは次第に影響されていく。

間もなくハーバードを卒業した兄オースティンが
父と共に弁護士をすることになり、
妻スーザンを連れてアマストへ帰ってくる。

ふたりは隣に居を構え、やがて息子を授かる。
エミリは甥に優しいまなざしを注ぎ、
愛する生家に暮らせることを心から喜んでいた。

だが、アマストの外では世界は変わりつつあった。
時、あたかも南北戦争。
若い男たちは戦地に向かったが、
父はディキンスン家の一人息子オースティンが
参戦することを禁じた。

やがて、60万人以上の戦死者を出した
南北戦争は終わり、奴隷制度は廃止される。

エミリは外の変化とは関わりなく
「詩は救いのない者への唯一の救い」
と詩を作り続けていた。

そんな彼女の心を揺り動かす男性が現れた。
ワズワース牧師。
彼の説教に感動したエミリは
ワズワース夫妻を自宅に招待する。
そして庭を案内しながら
自作の詩を渡すのだった。

親友ヴライリング・バッファムが結婚し、
大きな喪失感を感じるエミリ。

その後、ワズワース牧師もアマストを去ることに。

さらに不幸は続く。
父が亡くなったのだ。

すっかり心を閉ざすようになったエミリ……

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なにせおうちから外へ出ることのなかった詩人ですから、
映画の舞台となるのはほぼ邸宅内部のみ。
激しい恋に落ちる訳でもなく
結婚して夫の浮気に苦しめられたり、
子どもの世話に明け暮れるわけでもありません。

映画の中で朗読される詩と会話が混然一体となった
静謐な内的世界を描き出した作品です。

18世紀末から19世紀に生きた文才のある女性
例えば、ジェーン・オースティンとかブロンテ姉妹などは
エミリのように裕福ではありませんでしたので
家庭教師をしながら作品を書いていました。

だから、最初はエミリ・ディキンスンに対して
反感を抱いたとのです。
第一、彼女はあまりにも偏屈ではありませんか。

でも、その内に、この不器用な女性の
生き方をじっくり見てやろうという気になりました。
生活の悩みがないだけ、
彼女の思索は純粋培養されたものだったような気がします。

でも、そんな彼女もぶつかった
女性への偏見。

もう
男って、なんでこうなの?





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静かなる情熱
監督・脚本/テレンス・デイヴィス、プロデューサー/ロイ・ボウルター、ソル・パパドパウロス、撮影/フロリアン・ホーフマイスター、美術/ムージェン・セップ、衣装/カトリーヌ・マルシャン
出演
シンシア・ニクソン/エミリ・ディキンスン、 ジェニファー・イーリー /ラヴィニア・ディキンスン、キース・キャラダイン/エドワード・ディキンスン、ジョディ・メイ/スーザン・ギルバート、キャサリン・ベイリー/ヴライリング・ バッファム
7月29日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、125分、配給/アルバトロス・フィルム、ミモザフィルムズ、字幕佐藤恵子、字幕監修/武田雅子、http://dickinson-film.jp/

by Mtonosama | 2017-07-22 05:32 | 映画 | Comments(2)

静かなる情熱

エミリ・ディキンスン

-1-

A QUIET PASSION

(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


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(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


時代は19世紀。
舞台は北米マサチューセッツ州。
美しい町アマスト。
ボストンから120㎞ほど離れた田舎町です。

エミリ・ディキンスンは
1830年この町に生まれ、
1886年55歳で亡くなるまで
この町を出ることはありませんでした。

あ、ただ1847年9月
17歳の時、
アメリカ最初の女子大
マウント・ホリヨーク女子専門学校に入学しています。

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この写真は在学中、彼女の生涯で
唯一撮影された肖像写真です。

でも、翌1848年8月には
宗教上の理由で退学してしまいました。

その後はず~~~っと終生
アマストの父の家を出ることはありませんでした。

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生前、発表された彼女の詩はわずか10篇。

エミリ・ディキンスンは
上流階級で生まれ育った子女ゆえ
生活に困ることもなく
病弱の母に代わって家事をとりしきり、
生涯結婚することなく
晩年はブライド病(腎臓炎)に苦しみました。

と、これだけ見れば
ふ~ん、恵まれた偏屈お嬢さんの自伝映画か、
と思いますよね。

とのはそう思ってしまいました。
でも、人生はそんな簡単なものではないんですねぇ。

彼女の詩を1篇だけ引用します。
I died for Beauty — but was scarce

I died for Beauty — but was scarce
Adjusted in the Tomb
When One who died for Truth was lain
In an adjoining Room —
He questioned softly "Why I failed" ?
"For beauty", I replied —
"And I — for Truth — Themself are one —
We Brethren, are", he said —
And so, as Kinsmen, met a Night —
We talked between the Rooms —
Until the Moss had reached our lips —
And covered up — our names —

「わたしは〈美しさ〉のために死んだ――けれど」 (1862年)

わたしは〈美しさ〉のために死んだ――けれど
墓に収まり 安らう間もなく
〈本当のこと〉のために死んだひとが
となりの部屋に横たえられた――
彼は静かに訊ねた「どうして失敗したのだろう?」
「美しさのためよ」とわたしは答えた――
「ぼくは――本当のことのために――このふたつはひとつで――
ぼくたちは兄弟だな」と彼は言った――
だから ある夜に同郷の親戚として出会った――
部屋を隔てて わたしたちは語りあった――
互いの唇に苔が這い寄り――
そして わたしたちの名前を――覆うまで――
http://nightinriver22.hatenablog.com/entry/Emily_Dickinson/I_died_for_Beauty_%E2%80%94_but_was_scarce

最後の2行なんてゾクッとしました。
余計なことを口走らないように自らの口を覆い、
その静寂に聴き入りたくなります。

エミリ・ディキンスン―――あまりなじみのない詩人でした。
彼女は生前評価されることもなく
裕福ではあっても
ガラスの天井どころか
コンクリートで固めた天井が女性の頭上を覆っていた時代に生き、
男女差別が当たり前で、
女性が表現者として認められることなどなかった時代に
詩を書き続けました。

その作品は1886年彼女の死後、
遺品整理をしていた妹によって発見されたのですが、
清書されたその詩は46束にまとめられ、
1800篇近くありました。

いまやその詩は多くの芸術家に影響を与えています。
サイモン&ガーファンクルは
「エミリー、エミリー」「夢の中の世界」を、
武満徹はその詩から着想を得て
「そして、それが風であることを知った」を作曲しました。

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外出を嫌い、家族以外の交流を避けていたエミリ。
その人生や人柄は明らかではありません。
そんな彼女を描き出した監督はテレンス・ディヴィス。

アメリカが舞台でありながら、
その静謐な世界は
イギリスの名匠である彼が描くにふさわしいものでした。

そして、エミリ・ディキンスンを演じたのは
なんと『セックス・アンド・シティ』のミランダ役
シンシア・ニクソンです。
彼女はエミリの熱心な愛読者だったんですって。

さあ、いったいどんな作品でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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静かなる情熱
監督・脚本/テレンス・デイヴィス、プロデューサー/ロイ・ボウルター、ソル・パパドパウロス、撮影/フロリアン・ホーフマイスター、美術/ムージェン・セップ、衣装/カトリーヌ・マルシャン
出演
シンシア・ニクソン/エミリ・ディキンスン、 ジェニファー・イーリー /ラヴィニア・ディキンスン、キース・キャラダイン/エドワード・ディキンスン、ジョディ・メイ/スーザン・ギルバート、キャサリン・ベイリー/ヴライリング・ バッファム
7月29日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、125分、配給/アルバトロス・フィルム、ミモザフィルムズ、字幕/佐藤恵子、字幕監修/武田雅子
http://dickinson-film.jp/

by Mtonosama | 2017-07-18 22:09 | 映画 | Comments(6)