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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!


あなた、その川を渡らないで
-2-
My Love,Don’t CrossThat River

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(C)2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.


主人公の老夫婦に出会ったのは
まったくの偶然だったというチン・ヨモン監督。

チン・ヨモン監督
1970年生まれ。
1997年、ドキュメンタリー製作の現場に初めて足を踏み入れて以来
主にTV用のドキュメンタリーを演出、製作。
2013年、イ・ソンギュ監督の劇映画『シヴァ、人生を投げろ』(日本未公開)
でプロデューサーを務める。
2014年『あなた、その川を渡らないで』で監督デビュー。
現在、北朝鮮出身の潜水要員に関するドキュメンタリー『異邦人』を制作中。

さて、主人公夫婦はいつも韓服を着ています。
二人が暮らす山間の田舎町では月に一度五日市という市が立ちます。
市が立つとご夫婦は一番美しい韓服を着て
訪れるのが長年の習慣でした。

ある時、たまたまその市に取材に来ていた地方紙の記者が
ふたりを目にして記事にしたのがネットで話題になり、
テレビ番組に登場。
その後はバラエティ番組で紹介される程有名に。
民族衣装がふたりを世に知らしめた訳ですね。
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ストーリー
おばあさんの用意した食事におじいさんは文句を言ったことがない。
まずかったら残し、美味しかったら残さずきれいに食べる。
そして、食後は必ずおばあさんにお礼を言う。

おじいさんはコマとゴンスンという2匹の犬を可愛がっている。
犬たちと楽しそうに遊ぶおじいさんをおばあさんは縁側で笑みを浮かべてみつめる。
76年間お互いをみつめ合いながら過ごしてきた。

ふたりには12人のこどもがいた。
だが6人は幼い内に亡くなっている。
お正月になると子どもや孫たちが集まってくる。
おばあさんの誕生日にも皆一同に集まり、
楽しい時間を過ごす。
だが、しばらくすると長男と長女が
年老いたふたりを心配するあまり、口喧嘩を始めた。

ふたりはおばあさんが14歳の時に結婚。
男と女のことをするのが恥ずかしく夜になると隠れていたおばあさん。
おじいさんはおばあさんが大人になるまで待ち、
その間は優しく顔を撫でてくれた。
98歳の今も、
おじいさんはおばあさんの顔を撫でながらでないと眠れない。

いつものように市場へ出かけるふたり。
新しい寝巻を着せてもらうこともなく死んでしまった
6人の子どものために寝巻を買い揃える。
先に死んだ方が天国で子どもたちに渡すのだという。

ある日、愛犬のコマが死んでしまった。
体調を崩していたおじいさんはショックで気力をなくしてしまう。

膝が痛むおばあさん。
おじいさんは力をふりしぼって街の病院につきそう。

おじいさんの咳が止まらない。
おばあさんは「天国でも着られるように」と
竈におじいさんの着物をくべる。
夏服と冬服の区別もつかないおじいさんを心配し
「天国でも教えてあげなくちゃいけないから、すぐに私を迎えにきてね」
とつぶやくおばあさん。

お天気の良い日、ゴンスンが仔犬を産む。
おじいさんも少し元気になり、仔犬たちと遊ぶ……

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ささやかな幸せに感謝しつつ
日々を生きる老夫婦。
仲の良さと幸せそうな様子しか目に映らないけれど
6人も子どもを亡くし、
先の大戦や朝鮮戦争も生き抜いてきたであろうふたり。

静かな感動に打たれ、
各人の祖父母を思い出させてくれる作品です。

やっぱり泣いてしまい、すぐに席を立てなかったとのでした。



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あなた、その川を渡らないで
監督・撮影/チン・モヨン
出演
チョ・ビョンマン/おじいさん、カン・ゲヨル/おばあさん
7月30日(土)シネスイッチ銀座ロードショー
2014年、韓国、86分、日本語字幕/伊勢田京子、配給/アンプラグド、http://anata-river.com/

by Mtonosama | 2016-07-24 05:46 | 映画 | Comments(4)

あなた、その川を渡らないで
-1-
My Love,Don’t CrossThat River

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(C)2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.


むかし、むかし、韓国の小さな村に
仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいました・・・

そんなおとぎ話のような映画でありながら
時代は現代であり、ドキュメンタリー映画なのであります。

主人公は98歳の夫と89歳の妻。
夫は98歳とは思えないほど背筋がすっと伸びた凛々しいおじいさん。
妻は豊かな白髪を短髪に刈った可愛いおばあさん。
いつも韓服(民族衣装)を身につけ、手をつないでお出かけするご夫婦です。

老人が主人公であり、
「その川」というのがおそらくは三途の川だろうと推測すると
死を描いた映画か、と思いますよね。

ところが、
心の底からお互いを大事に想う翁と媼の15ヶ月を追った映画なのです。
もちろんお歳もお歳ですからやがて別れのときが訪れはしますが――

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なんでもないお年寄りの映画が
あの名作『牛の鈴音』(‘09)
http://mtonosama.exblog.jp/12394849/
の記録を超え、韓国ドキュメンタリー映画史上最高となる
480万人の動員を達成しました。
国内では10人に1人が観たこととなります。

監督はチン・モヨン。
本作で監督デビューを果たしました。

小さな村の川のほとり。
結婚76周年を迎える老夫婦。
毎日二人は韓服を着て
手をつないで歩きます。
街の病院、市場、老人会の遠足にも
ナムルにいれる山菜を採りに山へ行く時でも
おそろいのスタイルで手を握り合って出かけます。

9歳も若いおばあさんが元気におしゃべりするのを
少し耳は遠いけれどしゃんとして男前のおじいさんが
優しくあいづちを打ちながら耳を傾けます。

初雪が降れば雪をかけあって笑い興じ、
落ち葉の季節には枯れ葉を手で掬いふざけ合います。

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最初は「えーっ、ありえない」とひいていたとのも
次第に二人の純愛に惹きつけられていきました。
そして、自分の祖父母を思い出していました。
―――
とのの母方の祖父は活動映画の弁士でした。
ある日、友人の借金の保証人になった祖父は
その尻拭いのため、
北海道の劇場と契約を結び、
弁士の拠点だった名古屋の地を離れ、
単身小樽へ向かったのです。
当時、弁士といえば時代の花形。
小樽の劇場で弁舌爽やかに語る祖父を見て
夢中になった少女がいます。
それが祖母でした。

その祖母から
どれだけ祖父がダンディだったか聞かされました。
祖父が亡くなってからも
あんなに素敵な人はいなかったといつも言っていました。

すっかり忘れていたけれど、
この映画を観て思い出しました。

韓国で本作を観た480万人の内、約半数が20代だったといいます。
経済状況も恋愛状況も厳しいといわれる韓国の若者たち。
老夫婦の思いやりに溢れた姿に憧れと救いを求めつつも
とののように自分たちの幼少期を思い出したのかもしれませんね。

チン・ヨモン監督は15ヶ月にわたって主人公達に密着し、
彼らの日常生活と江原道横城郡・古時里村の美しい四季を撮影しました。

さあ、一体どんなお話でしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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あなた、その川を渡らないで
監督・撮影/チン・モヨン
出演
チョ・ビョンマン/おじいさん、カン・ゲヨル/おばあさん
7月30日(土)シネスイッチ銀座ロードショー
2014年、韓国、86分、日本語字幕/伊勢田京子、配給/アンプラグド、http://anata-river.com/

by Mtonosama | 2016-07-21 06:09 | 映画 | Comments(8)
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(C)2008 STUDIO NURIMBO


さあ、また泣いていただきましょう!
涙を流して泣くのはけがれた心を浄化するには最も手っ取り早うございますことよ。

純愛、動物、老人、子ども。
これって涙スイッチBIG 4ですよね。

老人、動物、そして、彼らを結びつける純愛。
一頭の年老いた牛と老農夫を主人公にして綴られる農村の日々。
「牛の鈴音」は子どもを除いたBIG 3が揃った韓国の落涙ドキュメンタリー映画です。

この映画が失敗したら出家しようとまで考えたイ・チュンニョル監督(43歳)の長編映画デビュー作。
2009年、「牛の鈴症候群」なる社会現象まで起きたという韓国の超話題作です。
地味なんですけど、しみじみ来ます。
地味は滋味にも通じます。

ストーリー

慶尚北道 奉化(キョンサンプクド ポンファ)郡に79歳の農夫チェさんは
76歳の妻イさんと暮らしています。
2人は農業一筋で9人の子どもたちを育てあげました。
30年間チェさんとともに田を耕し続けてきた牛は40歳を過ぎています。
農耕牛の寿命は15年ほどというのに、牛は40年も生き、
老いた体で静かに働き続けています。
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誰もが機械を使う時代なのに、チェさんは牛を使って田を耕し
収穫を牛のひく車に乗せて運びます。
チェさんは草を食べる牛の身体に障るからと農薬は使いません。
おかげで雑草取りに忙しい奥さんは文句を言います。
「あたしはなんて不幸な女なんだろうねぇ」
牛はなにも言わず、ゆっくり静かに草を食み、おじいさんを荷車に乗せて歩きます。

ある日、かかりつけの獣医が来て
「この牛はそろそろ寿命だ。今年の冬は越せないかもしれない」と告げます…

静かな映画です。ナレーションもありません。
あ、ただ、おばあさんがず~っとおじいさんに文句を言っているので
それがナレーション効果を出しているかもしれません。

30年もチェさんと働いているのに、牛には名前がありません。
チェさんは時々牛をたたきます。
すると牛はやさしい目をショボショボさせて身をすくめます。
チェさんは手間いらずの人工飼料を与えたりせず
朝も暗い内から一生懸命牛の食事を作ります。

ペットブームの日本では、犬や猫を「この人」なんて呼んだりしながら
飽きれば平気で捨ててしまっているのに
チェさんは名前もつけない牛を同志として、30年間も共に働き、暮らしています。
(それはもうおばあさんがやきもちを焼くほど)

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フリーのテレビ演出家だったイ・チュンニル監督は当初テレビ番組をつくるつもりでした。
「父親」たちのドキュメンタリーを撮りたいと考えていたそうです。
1997年のアジア通貨危機で、監督の父親世代の多くの人々が職を失いました。
ちょうどこの映画のチェさんの年配の人々で、韓国の苦しい時代を支えてきた人々です。

彼らをどう描くか、を考えた時
監督の頭に閃いたのは、農家に育った自分の幼少時代の記憶と
100年ほど前に韓国を旅行して農民と牛について書いた「大地」の作家パール・バックでした。

2004年チェさんと牛に出会い、撮影を決めた当初から
監督は「この牛が死ぬまで撮影しようと決めていた」そうです。
3年後、編集作業に入った監督はこの作品を映画にしたいと思うようになりました。
そして、プロデューサーのコー・ヨンジェさんと知り合い
この大ヒット映画が生まれたのです。

韓国でも、日本でも、かつての穏やかな暮らしが
櫛の歯が欠けるように消えていっています。

この映画は老いた人たちの日々の営みを通して
かけがえのないものを永遠に失ってしまうかもしれない
チェさんの息子や娘たちの世代に「大切なものをなくしちゃいけないよ」
と静かに教えてくれます。

牛の首に下げた鈴の音が優しいけれど、胸に響く警鐘としていつまでも鳴り響いています。




牛の鈴音
監督・脚本・編集/イ・チュンニョル、製作/スタジオ・ヌリンボ、プロデューサー/コー・ヨンジェ、撮影/チ・ジェウ
出演
チェ・ウォンギュン、イ・サムスン
2008年、韓国映画、カラー、原題/ウォナンソリ(牛鈴の音)、英語題/Old Partner,配給/スターサンズ、シグロ、題字:菅原文太
12月19日(土)シネマライズ、銀座シネパトス、新宿バルト9、第七藝術劇場、シネマート心斎橋他全国ロードショー
www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/


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by mtonosama | 2009-11-28 05:24 | 映画 | Comments(14)