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(c) Ethan Productions

アライブ―生還者―
STRANDED

I’ve come from a plane that crashed on the mountains

中学3年のとき、社会の先生が授業中「先生はなぁ、戦争中、人を食べたことがあるんだぞ」と言い出しました。
中学生たちは「ェエーッ!」。教室は大騒ぎに。
でも、これは先生お得意の『人をくった』お寒~いジョークだったのですが。

1972年10月13日(金)、45人の乗客を乗せて飛び立ったウルグアイの飛行機がアンデス山中に墜落。
72日後の12月23日に16人が救助され、世界中に報道されました。
「アライブ―生還者―」はその事故とその30年後についてのドキュメンタリー映画です。

「アンデスの聖餐」とも呼ばれたこの事故。
雪のアンデス山中に墜落した飛行機事故で13人が死亡。
その後、食糧も医療品もないまま、次々と友人や肉親を見送り
苦渋の選択を迫られた16人の生存者にインタビューをした驚愕のドキュメンタリー映画です。

        監督はウルグアイのゴンサロ・アリホン。
        事故当時、監督は15歳という多感な年齢でしたし
        生還者の内の何人かを個人的に知っていたということもあり
        このできごとには大変なショックを受けました。

この時、起こったことはさまざまに報道され、「生存者」(P・P・リード著、新潮文庫)という本も書かれ、
映画(「生きてこそ」イーサン・ホーク主演、フランク・マーシャル監督)にもなりました。
しかし、事故から30年が経ち、生還者たちがあのできごとを客観的に語ることができるようになった今こそ
あらためて事故とその後の10週間のできごとを見つめなおし
壮絶な体験を経て今を生きる生還者たちの声を聞くことは、単なる興味を越えた大きな意味があります。

        《ストーリー》
        1972年10月12日、ウルグアイ空軍の軍用機が首都モンテビデオから45人を乗せてチリのサンチアゴに向けて
        飛び立った。
        飛行機はラグビーチーム「クリスチャン・ブラザーズ」によってチャーターされたもの。
        家族同伴の選手もいて、親善試合に遠征する青年たちはそろいのジャケットを着込み、
        楽しい週末への期待に胸を躍らせていた。
        しかし、アンデス山脈付近の悪天候のため、飛行機は山麓の町にいったん着陸。
        天候の回復を待ち、13日再び飛行を開始した。
        15:30、パイロットはサンチアゴの管制塔に連絡。飛行機の位置と高度を告げた。
        その1分後、管制塔が再び交信を試みた時、パイロットからはなんの応答もなかった。

        チリ、アルゼンチン、ウルグアイがすぐさま捜索を始める。
        だが、その年、記録的な大雪に襲われたアンデス山中で白い機体の飛行機を発見することは絶望的だった。
        事故から10日目、捜索は打ち切られた。

        生き残った遭難者はそのニュースを、事故の衝撃にも壊れることのなかったラジオで聞いていた。
        早春のウルグアイから極寒のアンデス。ちょっとした遠征試合のつもりだった彼らには着るものも十分にはない。
        そして、機内には食べ物もつきていた…

16人の生還者へのインタビューと再現フィルムで構成されたドキュメンタリー映画。
でも、映画を観ている間、ずっと当時の記録映像だとばっかり思っていました(冒頭の画像は当時のものですが)。
ちょっと考えれば、そんなことありえないのですけどね。
それほど真に迫った映像です。

監督も
「雪の中の彼らの閉じ込められた世界を、もっと感覚的に、――直接的な再現ドラマではなく、セリフもなく、
若い役者たちに特定のキャラクターを演じさせる狙いをもたず、
フィクションというよりむしろ記憶に基づく何かをとらえようとする心理的映画の試みでした」


と語っていますが、その試みは充分成功しています。

      どこか焦点が合わない夢の中のような画面は生還者のひとりが震える手で撮影したようでもあるし、
      30年のかなたから蘇る記憶の亡霊のようでもあります。

映画には実にいろいろな手法があるものです。

        《人を食べる》という人間にとって最大のタブー。
        カニバリズムという言葉を思い出します。
        しかし、カニバリズムは人肉嗜食であり、食べるために人を殺すこと。
        彼らが、せざるを得なかったのはネクラファジ(necrophagy)― 
        既に死んだ肉体を食することです。
        「ワインは私の血、パンは私の肉である」
        と言ったイエス・キリストの言葉を連想します。
        事故の犠牲者たちは死んで、生還者たちの肉体になったのでしょうか。
        きっと、そうなのでしょう。

映画には16人の生還者とともに、亡くなった人たちの遺族も登場します。
遺族たちが生還者の中に肉親が生きていると感じ、今再び訪れたアンデスの事故現場で肩を抱き合う姿が印象的でした。

アライブ――生還者――監督・脚本/ゴンサロ・アリホン
出演/16人の生還者
4月11日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
www.seikansha.jp

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by mtonosama | 2009-03-25 05:44 | 映画 | Comments(10)