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3.11後を生きる -2-

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3月11日以降、遺された人々は何を想っているのでしょうか。

Jホラーの中田監督がなぜ本作「3.11後を生きる」を撮ったのか。
その大本の理由は、多分私たちと同じ、だと思います。
あの日、息をのみ、胸をつぶした黒い水、すべてを呑みこんでいったあの黒い水――


しかし、その理由から更に一歩進んで岩手に赴いたのは、彼が映画監督だったから、
そして、ドキュメンタリー監督であったからです。
そう、「3.11後を生きる」は彼の4本目の最新ドキュメンタリーなのです。

ジョセフ・ロージー 四つの名を持つ男(‘98/83分)
英国在学中の中田秀夫が「エヴァの匂い」「唇からナイフ」などで知られる巨匠ジョセフ・ロージーを彼ゆかりの人物と本人の映像をちりばめながら、アメリカを逃れ、英国にわたったロージーの記憶の断片を紡ぐ。

サディスティック&マゾヒスティック(‘00/91分)
中田監督が師・小沼勝監督と自らの出自である日活ロマンポルノに迫る。師と仰ぎながらも中田監督が殺意を感じるともいう小沼監督の監督魂を追う。

ハリウッド監督学入門(‘08/73分)
「リング2」でハリウッドに進出した中田秀夫監督が巨大映画産業都市ハリウッドで華麗な産業の裏を追いかける。

監督は言っています。
「普段は劇映画の監督をしている私は幾多の街を壊滅させ、
人々の生活を丸ごと飲み込んだ津波の恐ろしさを、その衝撃的ニュース映像だけで捉えるのでなく
3月11日を生き残った人々が亡くなった家族を一刻も忘れられぬまま、
生を営む=ともに遺された家族を物心両面で支える=仕事に打ち込む姿を
ドキュメンタリー映画として私自身も含めた<非=被災者>に問いたいと強く思いました」


監督が東北に向った9月には国内のメディアも海外のメディアも、その視点は原発問題に向いていました。

しかし、監督の眼は津波を見ていました。

2011年9月
多くの倒れた墓石を建て直す石工さん。
3月11日から時間が止まったかのような釜石に再び店を出した不動産屋さん。
その不動産屋さんが部屋をあっせんした、一人娘と可愛い盛りの孫3人を亡くしたスナック経営者の三浦さん。
三浦さんの店で働いていた女性。
家族5人をすべて失った山田町のタラ漁師・五十嵐さん。
海辺に建っていた老人ホームで、老人たちと共に津波に攫われた若い職員の父。
新婚の妻を奪われた高校教師 ――

被災者は淡々とその日の様子を語ります。
メディアでは語られなかった部分もそこにはあります。
身につまされる話も、醜い部分も語られます。
家族5人を流された漁師の五十嵐さんが、
役所に重機を出して瓦礫と化した家を撤去してくれと頼んだ理由には胸がつぶれました。
「もう1ヶ月経った。親や女房はまだ大人だからいい。
だけど、小さい子どもたちは早くみつけてやらないと溶けてなくなってしまう・・・・・」

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子を失うということ、孫を失うということ。
自分より年若いものを失う悲しさ、つらさは未来を失うことと同じです。
いえ、こんな軽い言葉では表現できない想いでしょう。

誰もが、淡々と、どこか遠いところを見るような目でインタビューに応える姿が強く印象に残りました。

以前、BSで放送された海外ドキュメンタリーで津波被害にあった子どもたちをインタビューする番組を観ました。
海外でも、東日本大震災報道が津波から原発へとシフトしていくなか、
あえて津波に焦点をあてた作品でした。

「3.11後を生きる」は、大事な人や記憶を失った津波被害者の心にそっと寄り添った作品です。
これからも生き続ける私たちは、何もできないにしても、せめて、突然断ち切られた生に想いを寄せ、
祈り続けていかなくてならないのだ、とあらためて思います。

合掌。





2月23日(土)13時より上映終了後トークショーが決定しました。
南直哉(恐山菩提寺院代)、宮崎哲弥(評論家)

3/2(土)11:50~の上映後トークイベント
永瀬正敏(俳優)×五十嵐康裕(出演)×中田秀夫(監督)によるトークショーが決定


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☆2月18日に更新しました。いつも応援をありがとうございます☆


3.11後を生きる
製作・監督/中田秀夫、撮影/さのてつろう、編集/高橋伸之、山中貴夫、録音/三澤武徳、整音/柿澤潔、効果音/柴崎憲治、映像提供/富間根信、金崎千代美、機材協力/宝塚大学、ポストプロダクション/映広、音楽/川井憲次、助監督/宮崎紀彦、多久間知宏、制作協力/株式会社ツインズジャパン、プロデューサー/中田秀夫、下田敦行
インタビューに応えてくださった方
佐々木清、佐々木マリ子、大萱生知明、家子和男、三浦恵美子、加藤昭仁、五十嵐康裕、小野寺浩詩、長沼靖治、佐藤啓子、休石実、堀合徹、永沼靖浩、富間根信、金崎千代美、
岩手県の皆様
2月23日(土)~3月8日(金)オーディトリウム渋谷にてロードショー
2012年、85分、カラー、配給/エネサイ http://wake-of-311.net/

by Mtonosama | 2013-02-18 07:10 | 映画 | Comments(4)