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殿様の試写室

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FOUJITA
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(C)2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション


藤田嗣治といえば細い線描と乳白色の優しい色彩。
猫や裸婦の画題で印象深い画家です。

そして、華やかな成功者というイメージがあります。
ところが乳白色の世界とは別物の
ドラクロワも真っ青な戦争画を描いた時代がありました。

渾身の力をこめて描いた作品は素晴らしいものだと思います。
でも、戦後“戦争協力画”なるレッテルを貼られたが故のその後の確執に
日本国籍を抹消するほど、日本という国、あるいは日本画壇に
失望してしまったのでしょうね。

パッと見、藤田嗣治の乳白色の世界とは程遠い感のある小栗康平監督。
監督と藤田嗣治はどうも結びつきません。
「へえ!小栗監督がねぇ」という印象は拭いきれませんでした。
さあ、監督はいったいどんなFOUJITAを見せてくれるのでしょうか。

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ストーリー
1920年代、巴里
パリへ来て10年。乳白色の裸婦像で絶賛されたフジタは
売り出すまで苦労を共にしてきたフェルナンドとうまくいっていない。
新しい恋人ユキができたから。
フジタはだがエコール・ド・パリの寵児としてもてはやされていた。
お調子者という意味の“フーフー”という愛称も
自分のことをすぐに覚えてもらえると歓迎していた。
毎夜、カフェ・ロトンドへ繰り出し、モデルのキキやキスリング、スーチン等
画家仲間たちとバカ騒ぎに興じていた。

そんなフジタだが、日本から自分を頼ってきた画学生には
アトリエを探してあげるなどし、まじめに説教したりもする。

大作「五人の裸婦」が完成。
内覧会では評論家達が乳白色の肌の美しさを称賛する。
会場にはピカソの姿も。

ある夜、モンパルナスで“フジタ・ナイト”と称して仮装舞踏会が開かれた。
女装したフジタがユキと共に招待客を出迎える。
騒ぎの後、
「スキャンダラスになればなるほど自分に近づく、絵がきれいになる」
とベッドでユキに囁きかけるフジタ。

1940年代、日本
「国民総力決戦美術展」が青森を巡回している。
フジタはその会場中央に特別展示された自作「アッツ島玉砕」の横で
国民服を着て直立不動の姿勢をとっている。
人々は作品に手を合わせて拝み、絵の前に置かれた賽銭箱に金を入れていく。
その度に敬礼し、頭を下げるフジタ。

東京・麹町の家には5番目の妻・君代が彼を待っていた。
東京への空襲が迫ってくる。
近郊の村へ疎開するフジタと君代。
ゆるやかな山を望む穏やかな村。
2人は小学校教員・寛治郎とその母が暮らす農家の別棟を借り、
アトリエ兼住まいとして暮らす。
昔からの村の暮らし、習俗、豊かな自然。

フジタはサイパンの「バンザイクリフ」を描く。
その頃、寛治郎に二度目の召集令状が来る。
出征前夜、寛治郎はフジタ達に村に残るキツネの話をする。
母は思わず「帰ってこい!」と語りかける。
雨の上がったある日、フジタは川向うに足を延ばす。
敗戦も間もない頃だった。

フランスのランス市に設計からフレスコ画まで全てフジタが手掛けた小さな教会がある。
ノートル・ダム・ド・ラ・ぺ。
その中にフジタと君代が向かい合うようにして描かれている……

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薄暗い小栗ワールド。
谷崎潤一郎が本作を観たら、これぞ陰翳礼讃と喜ぶだろうなぁと思います。
時代の暗さを暗喩しているとかいうのではなく、
目を凝らして見ていると暗さの中に本質があるのだよ、
といった感じの暗さです。

恋や画業に遍歴を重ねた波乱万丈な生ではなく、
フーフーと呼ばれ、成功に酔いしれていたフランス時代と
戦争画というジャンルの中に従来の画風とは全く違った作品を
ぶつけていった日本時代に分けた構成が意外でした。

時代の寵児でもあったフジタ。
その恋の遍歴に焦点を当てるのではなく、
ハデハデしいアバンチュールや成功の美酒も
ほの暗い世界に落とし込んでいます。
民話を彷彿とさせるような疎開の日々には
これまで観たことのないフジタがいます。

個人的には疎開時代のフジタに共感を覚えます。
津久井郡藤野で穏やかに過ごしたであろう彼が
その後の戦犯扱いにいかに怒り、日本を捨てるに至ったか・・・
藤野の日々は怒りの前の静かさそのもの。

やはりフジタは芸術家でしかなかったのかもしれませんね。






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FOUJITA
監督・脚本/小栗康平、撮影/町田博、美術/小川富美夫、カルロス・コンティ、製作/井上和子、小栗康平、クローディ・オサール、「FOUJITA」製作委員会、K&K企画、小栗康平事務所、ユーロワイド・フィルム・プロダクション
出演
オダギリ・ジョー/藤田嗣治、中谷美紀/君代、アナ・ジラルド/ユキ、アンジェル・ユモー/キキ、マリー・クレメール/フェルナンド、加瀬亮/寛治郎、リリイ/おばあ、岸辺一徳/清六、青木崇高/日本人画学生、福士誠治/小柳
11月14日(土)角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペース他ロードショー
2015年、日本・フランス、日本語・フランス語、126分、配給/KADOKAWA
http://foujita.info/

by Mtonosama | 2015-11-09 05:30 | 映画 | Comments(6)

FOUJITA
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(C)2015「FOUJITA」製作委員会/ユーロワイド・フィルム・プロダクション


タイトルも有名人なら、監督も名匠。主役はオダギリジョー。
もう美味しい要素が揃い踏みの映画でございますよ。

タイトルにOが余分なんじゃないかって?
フジタをフランス語で表記するとこうなるのだそうです。
フゥジタですか・・・

フゥジタとは皆さまよくご存知の藤田嗣治、
洗礼名レオナール・ツグハル・フジタです。

おかっぱ頭に磯野波平さん風丸メガネ。
おなじみの画家です。

そのフジタを『泥の河』『眠る男』『死の棘』などで
海外でも評価の高い小栗康平監督が映画にしました。

日仏合作映画であります。

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フジタを演じたオダギリジョーはフランス語を猛特訓し、
フジタ風の線描も画家に習った上で本作に臨んだということです。
あ、教えてくれた絵描きさんから「なかなか筋がいい」と褒められたそうですよ。

藤田嗣治
1886年11月27日東京生まれ。父・嗣章はのちの陸軍軍医総監。
1891年、母・政死去。
1909年東京美術学校西洋画科本科卒業。
1912年鴇田登美子と最初の結婚。
1913年単身で渡仏。モディリアーニ、スーチン、パスキン、キスリングらと交流。
1916年登美子と離婚。
1917年画家フェルナンド・バレーと結婚。6月パリのシェロン画廊で初の個展を開催。
1919年画家の登竜門サロン・ドートンヌに6点初出品し、全て入選。
キキをモデルに裸婦像を描き始める。
1920年サロン・ドートンヌに「裸婦」出品。乳白色の肌を絶賛される。
1921年サロン・ドートンヌの審査員に推挙される。
1924年フェルナンドと離婚。ユキと同居。
1925年フランスからシュバリエ・ド・ラ・レジオン・ドヌール勲章、
ベルギーからシュバリエ・ドゥ・レオポルド1世勲章を受勲。
1929年ユキと結婚。17年ぶりに帰国。日本で個展開催。
1930年パリに戻る。
1931年ユキと離婚。マドレーヌ・ルクーと結婚。
1933年日本へ一時帰国。
1936年マドレーヌが急死。堀内君代と結婚。

1938年海軍省嘱託画家として中国に派遣される。
1939年パリに戻る。9月第2次世界大戦勃発。
1940年陥落直前のパリを脱出。陸軍省嘱託画家として満州国新京へ。
1941年父・嗣章死去。7月帝国芸術院会員になる。
1942年陸軍・海軍省から南方に派遣される。「シンガポール最後の日」制作。
1943年国民総力決戦美術展に「アッツ島玉砕」出品。朝日文化賞受賞。
1944年神奈川県津久井郡小渕村藤野に疎開。
1945年「サイパン島同胞臣節を全うす」制作。
第2次世界大戦終結。GHQの戦争画収集に協力。
1947年GHQが戦犯名簿公表、フジタを始め、画家の名前はなかった。
1949年羽田からアメリカへ。
1950年アメリカからフランスへ。
1955年フランス国籍を獲得し日本国籍を抹消。日本芸術院会員を辞任。
1959年カトリックの洗礼を受け、レオナール・フジタと改名。
1966年8月ランスのノートル=ダム・ド・ラ・ぺ礼拝堂のフレスコ画完成。
12月パリの病院に入院。
1968年1月29日スイス・チューリッヒ州立病院で死去。
4月日本から勲一等瑞宝章。ノートル=ダム・ド・ラ・ぺ礼拝堂に妻・君代と共に眠る。

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いやはやなんともすごい人生です。
結婚だって5回もしています。
最初の奥さんなんて結婚後すぐ日本に置き去りにされ4年で離婚ですもんね。
もう年譜を見ていたら、いったい彼の人生のどこに焦点を当てればいいのか・・・

お父さんが陸軍軍医総監だったからでしょうか。
軍の嘱託画家として戦地に赴き戦争画を描いたあたりから
大きな変化があるようです。
戦後は戦争責任を問われて、怒ってパリに帰ってしまい、
日本国籍を抹消してしまったなんていうところも興味深いですよね。

いろいろ知りたいフゥジタですが、本作はパリでブイブイ言わせていた頃と
津久井郡藤野での日々にしぼって描かれています。

さあ、いったいどんな人生が描かれているのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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監督・脚本/小栗康平、撮影/町田博、美術/小川富美夫、カルロス・コンティ、製作/井上和子、小栗康平、クローディ・オサール、「FOUJITA」製作委員会、K&K企画、小栗康平事務所、ユーロワイド・フィルム・プロダクション
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オダギリ・ジョー/藤田嗣治、中谷美紀/君代、アナ・ジラルド/ユキ、アンジェル・ユモー/キキ、マリー・クレメール/フェルナンド、加瀬亮/寛治郎、リリイ/おばあ、岸辺一徳/清六、青木崇高/日本人画学生、福士誠治/小柳
11月14日(土)角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロスペース他ロードショー
2015年、日本・フランス、日本語・フランス語、126分、配給/KADOKAWA
http://foujita.info/


by Mtonosama | 2015-11-06 05:38 | 映画 | Comments(10)