すべてうまくいきますように
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Tout s’est bien passe

(C)020 MANDARIN PRODUCTION – FOZ – France 2 CINEMA –PLAYTIME PRODUCTION – SCOPE PICTURES
フランソワ・オゾン監督の
最新作です。
何年か前
いや何十年か前です。
初めて彼の映画
『ホームドラマ』(‘99)を
観たときはぶっとびました。
それまで見慣れていた
お洒落でシックな
フランス映画とも違うし、
かといって
ゴダールの先進性とも違う。
若くて新しい監督だなぁ
と驚きました。
いまは55歳。
もう若くはありませんが、
発表するたびに
思わぬ貌を
見せてくれる監督です。

本作は
このオゾン監督が
『スイミング・プール』(‘03)
『まぼろし』(‘02)などで
共同脚本を手掛けてきた
エマニュエル・ベルンエイムが
書いた
安楽死を望む父親と
それに振り回される娘たちの
葛藤を描いた自伝小説を
映画化したもの。
死をテーマにした作品が
印象に残るオゾン監督ですが、
本作もまた安楽死が
テーマとなっています。
『ぼくを葬る』(‘06)
という映画も
余命3ヶ月と知った主人公が、
自らの死と向き合い
過ごす最期の時間を
描いた作品でした。
こちらは若い男性が
主人公でしたが、
本作は脳卒中で
身体が不自由になった父親と
その父親に振り回される娘が
主人公の作品です。

脚本家
エマニュエル・ベルンエイム
の自伝小説の映画化作品と
申し上げました。
実は
彼女は映画化が進んでいた
2017年に
ガンで亡くなっています。
父親をめぐる苦労が
たたったのでしょうか。
私事ですが
管理人も父を看病したとき
わがままを言う父に
腹を立てながら
ふんばって過ごしました。
娘って
よく頑張るものなのです。
だから
本作で
ソフィー・マルソル扮する
エマニュエルの奮闘に
いたく共感しましたし、
わがままな父への
彼女の優しい対応を見て
自分のとった態度を
反省しました。
こんな風に
自分の体験から
オゾン作品に共鳴したのは
初めてかもしれません。

芸術や美食を楽しみ、
ユーモアと好奇心にあふれ、
人生を愛していた父が
脳卒中で倒れたことを
きっかけに
安楽死を願うようになる――
治療とリハビリの甲斐あって
回復しているのに
意思を曲げようとしない父に
二人の娘たちは
戸惑い葛藤しながらも
真正面から
向き合おうとします…
ああ、
父親ってここまで娘に
要求できるのでしょうか。
昏睡状態にあるなら
いざ知らず
以前の通りとは言えなくても
動けるようになったのに
なぜ安楽死しなければ
ならないのでしょうか。
彼の美学と言われれば
「そうですか」
と言うしかありませんが、
父の死に協力するなんて
娘としては
つらいことです。

またまたオゾン監督は
解きがたい疑問を
ぶつけてきました。
さあ
あなたならどうしますか?
どう思いますか?
続きは次回まで
乞うご期待くださいませ。
続
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☆1月31日に更新しました。
すべてうまくいきますように
監督・脚本/フランソワ・オゾン
出演
ソフィー・マルソー/エマニュエル、アンドレ・デュソリエ/アンドレ、ジェラルディーヌ・ペラス/パスカル、シャーロット・ランプリング/クロード、エリック・カラヴァカ/セルジュ
2月3日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ他にて公開
2021年、フランス・ベルギー、フランス語・ドイツ語・英語、113分、カラー、配給/キノフィルムズ