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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

アニエス・ヴァルダを

もっと知るための

3本の映画


ラ・ポワント・クールト

--

La Pointe Courte


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©1994 AGNES VARDA ET ENFANTS


ラ・ポワント・クールトは

フランス南部エロー県セートの地中海に

面した漁村の名前で

「短い岬」という意味です。


このセートはアニエスが家族と共に

ベルギーから戦火を逃れて

やってきた土地で、

当時、彼女は12歳でした。


さあ、どんなお話なのでしょうか。



ストーリー

生まれ故郷である南仏の小さな漁村に

12年ぶりに帰ってきた男。

5日後、彼を追って

妻がパリからやってきた。


二人は結婚4年目を迎えた若い夫婦。

夫の生まれ故郷を初めて訪れた

貧しい漁村には似合わない都会的な妻。


彼女の目的は二人の結婚生活に

終止符を打つためだった。


村では漁民たちが

政府の衛生検査官たちとの

騙し合いを繰り返している。

また、村の若者が禁漁区で

漁をして収監された。

水上槍試合の日に釈放された

若者と村の娘との恋愛。

村の子供の突然の病死。

賑やかな水上槍試合。


パリからやってきた夫婦は

村のホテルで実りのない会話を交わし、

時には夕暮れの漁村を散策する。


水上槍試合の終わった夜。

貧しい村にはランタンが灯り

村人達は日々の苦しみを拭い去るように

笑い、踊るのだった。


そして、夫婦は踊りさざめく

村人の間を抜け、

再び、パリを目指し、

村を去っていく……


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ぬめりさえ感じるようなモノクロの画面。

あ、これ子どもの頃に観た

『自転車泥棒』や『苦い米』の感じです。


子どもの頃はわからなかったけれど、

貧しい漁村の風景や

いままで元気だった子供が

急に死んでしまうことや

漁村でありながら

自由に漁もできない背景。

150歳になった今は、

それらから

戦後の貧しさと混乱を

感じ取ることができます。


だって、1954年制作の映画ですものね。

『自転車泥棒』や『苦い米』のような

民衆が権力と対峙し、

貧しさの中で必死に生きる

ネオレアリズモの

匂いがするのは当然かもしれません。


そう、市民ではなく

民衆という言葉が似あう時代でした。


と同時に

パリから来た若い夫婦の

生活感のない観念的な会話や

時が止まったようなシーン。

二人が廃船の中で交わす言葉。

ほの暗い船内で竜骨に座る二人。

印象的な構図でした。



能を感じさせる静けさは

写真家アニエスの側面も感じ取れると同時に

ベルイマンの作品や

24時間の情事』

(59、アラン・レネ監督)

を思い起こさせる部分があります。


同じ舞台で繰り広げられる

この二つの違った局面。


若いアニエスが求めた

映画の新しさですよね。


海辺にはためく白いシーツも

貧し気な漁村の風景も

南仏の強い日差しを味方にした

鮮明なモノクロのスクリーンの中で

深く切り込んでくるような

印象を与えます。


戦後という新しい時代に船出した

アニエスの若さと鋭い感覚が

躍動する映画でした。


黙祷……


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☆12月6日に更新しました。

いつも応援してくださってありがとうございます。


ラ・ポワント・クールト

監督・脚本/アニエス・ヴァルダ、編集/アラン・レネ

出演

フィリップ・ノワレ、シルヴィア・モンフォールワント・クールト

1221日(土)[シアター]イメージフォーラムほか全国にて順次公開

1954年、フランス、80分、モノクロ、モノラル、スタンダード、日本語字幕/井村千瑞



# by Mtonosama | 2019-12-06 06:19 | 映画 | Comments(2)

アニエス・ヴァルダを

もっと知るための

3本の映画


ラ・ポワント・クールト

-1-

LaPointe Courte


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©1994AGNES VARDA ET ENFANTS



今年329日、

映画史にその名を残す

女性監督アニエス・ヴァルダが

亡くなりました。

90歳と10か月でした。


当試写室で

昨年6月に上映した

『顔たち、ところどころ』で

https://mtonosama.exblog.jp/30032567/

https://mtonosama.exblog.jp/30037925/

監督・脚本・ナレーションを担当し、

出演もした可愛いおばあちゃんです。


素敵なドキュメンタリー映画でした。



管理人にとっては

映画史に名を残した女性監督というより

『顔たち、ところどころ』で見せる

可愛い人、一生懸命生きる人

という印象が強いです。


だから、亡くなったと聞いた時は

ショックでしたわ。


亡くなる1ヶ月前に

ベルリン国際映画祭で最新作

『アニエスによるヴァルダ』が

プレミアム上映され、

彼女は舞台挨拶で元気な姿を

見せてくれたばかりだったのです。


ああ、

どんな人でも死んでしまうんですね。


『顔たち、ところどころ』の

ラストで彼女の見せた悲しい表情が

ふと浮かびます。


そんな彼女の最新作であり、遺作でもある

『アニエスによるヴァルダ』が

いよいよ日本公開となります。


「アニエス・ヴァルダを

もっと知るための3本の映画」

と題して、最新作の他

『ラ・ポワント・クールト』(54)

『ダゲール街の人々』(‘75

も同時公開となります。

劇場初公開です。


が、しかし、

当試写室で上映するのは

彼女が長編デビューを果たした

『ラ・ポワント・クールト』のみ。


「え、普通、最新作でしょ」って?


それが本筋ではありましょう。

でも、

ゴダール『勝手にしやがれ』よりも5

トリュフォー『大人は判ってくれない』

よりも4年前に製作され、

「ヌーヴェル・ヴァーグはここから始まった」

とすら言われる伝説的作品が

『ラ・ポワント・クールト』なのです。

これを見逃すわけにはいきますまい。


アニエスが27歳のときの作品です。


ここで

当試写室で『顔たち、ところどころ』

をご覧にならなかった方のために

アニエス・ヴァルダの人生を

もう一度ご紹介しますね。


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アニエス・ヴァルダ

1928530日、

ベルギー・ブリュッセル生まれ。

父はギリシャ人、母はフランス人。

1940年、

戦火を逃れ、南フランスのセートへ。

その後、パリに出る。

ソルボンヌ大学等で学び、

50年代より

職業写真家として活動開始。

ジェラール・フィリップの舞台の

専属カメラマンを務めたこともある。


1954

フィリップ・ノワレを主演に迎え

『ラ・ポワント・クールト』

で長編デビュー。

アラン・レネらと共に

ヌーヴェル・ヴァーグ「左岸派」の

代表的映画作家と称されるようになる。

1961年『5時から7時までのクレオ』

を発表し、世界中で絶賛される。


1962年、ジャック・ドゥミと結婚。

1964年、『幸福』で

ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。

以後、

独創的なドキュメンタリー作家として

多くの作品を手がける一方、

1977年には劇映画『歌う女・歌わない女』

を発表するなど、幅広い活動を展開。


1985年、『冬の旅』で

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞など受賞。

『冬の旅』に感動した

ジェーン・バーキンの依頼で

1987年、彼女と共に

『アニエス v. によるジェーン b.

『カンフー・マスター!』を続けて撮影。


1990年、夫ドゥミ死去。

91年、

『ジャック・ドゥミの少年時代』を発表。

さらに『ロシュフォールの恋人たち』の

25年後を描いたドキュメンタリーや

『ジャック・ドゥミの世界』(13)

さらに『天使の入江』のリマスターや

『ローラ』の2K修復を手がけるなど

ドゥミの業績を広める活動を

積極的に行った。


2000年『落穂拾い』で

ヨーロッパ映画賞と

全米批評家協会賞を受賞。


2008年には『アニエスの浜辺』発表。

2015年、長年の功績が評価され、

史上6人目となる

カンヌ国際映画祭名誉パルムドール受賞。


2017年アーティストJRと共同監督した

『顔たち、ところどころ』では

カンヌ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞

トロント国際映画祭観客賞などを受賞。


2019329

パリの自宅兼事務所で息をひきとる。


『顔たち、ところどころ』にも

出ていた自宅兼事務所・・・

一緒に暮らしていたあの猫が

彼女を見送ったのでしょうね。


さあ、そんな彼女が27歳の時に作った

『ラ・ポワント・クールト』

一体どんな映画でしょうか。

続きは次回まで乞うご期待でございます。



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☆12月3日に更新しました。

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ラ・ポワント・クールト

監督・脚本/アニエス・ヴァルダ、編集/アラン・レネ

出演

フィリップ・ノワレ、シルヴィア・モンフォールワント・クールト

1221日(土)[シアター]イメージフォーラムほか全国にて順次公開

1954年、フランス、80分、モノクロ、モノラル、スタンダード、日本語字幕/井村千瑞




# by Mtonosama | 2019-12-03 06:42 | 映画 | Comments(6)

パリの恋人たち

-2-

Amoureux de Paris


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(C)2018 WhyNot Productions



恋愛映画といったら

『男と女』や『ひまわり』から

卒業できない管理人ですが、

時代が変われば、恋愛も

女が耐え、

愛しながらも別れるといった

切ないだけの映画は

もう作られないのでありましょう。


150歳はいまどきの恋愛には

ついていけません。


といって

耐えることも嫌な150歳です。


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ストーリー

ジャーナリストのアベルは

恋人のマリアンヌと3年近く同棲している。

ある日、彼女から妊娠したと

告げられ、大喜び。

ところが相手はアベルの親友の

ポールだという。

ポールと結婚するから

部屋を出て行ってくれと言われ・・・


数年後、ポールの訃報が届く。

告別式で再会したマリアンヌの隣には

息子のジョゼフが。

悲嘆にくれるマリアンヌを見て

彼女への想いが失せていないことに

気づくアベル。


そんなアベルをじっと見つめる

女性がいた。

子どもの頃からアベルに夢中だった

ポールの妹・エヴだ。


2週間後、

マリアンヌと食事に出かけたアベルは

「もう一度一緒に暮らさない?」

と提案される。


帰途、彼女のアパルトマンに立ち寄ると

息子のジョゼフは

「ママがパパを殺したの」と

アベルに耳打ち。

毒殺したけれど、

ママが医師と浮気して

事実をもみ消したというのだ。


子どもの嘘とは思いながら

その医師を訪ねるアベル。

医師は睡眠中の心臓麻痺と答えるが、

なんとなく嘘っぽい。


ある夜

マリアンヌ母子と一緒に映画に出かけた後

彼女のアパルトマンに泊まり、

そのまま同居することになるアベル。


だが、母親を奪われたと思う

ジョセフはアベルに反抗的。

アベルはアベルで

マリアンヌに捨てられた

わだかまりを消すことはできない。


互いの本心を探り合う

アベルとマリアンヌだったが、

ある日、思いがけないできごとが。


エヴがマリアンヌに

アベルが欲しいと詰め寄り、

アベルにも

あなた以外に男はいないと

告白したのだ。


宣戦布告されたマリアンヌは

アベルに驚くべき提案をするのだった……



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強いですねぇ。彼女たち。


マリアンヌは仕事も恋も両方ゲット。

夫が死んだら、一度は捨てた元カレに

平気で秋波を送ります。

どちらかを選ばなきゃ、

なんて発想は一切なし。


エヴちゃんも

若さゆえの猛烈アタック。

想いを遂げるためには

元・兄嫁にも宣戦布告。


いやはやお元気ですこと。


でも、いいんです。

女はこれくらいやっても。


この位でないと

通学鞄を抜き打ち検査されても

文句もいえない

管理人のような高校生が

生まれてしまいます。


でも、このアベルったら

一体なに?


自分と親友の二股かけてた

マリアンヌに文句も言えず、

再び声をかけられれば

ホイホイついていく。


で、若いエヴに言い寄られれば

鼻の下を伸ばして

彼女の狭いアパルトマンで

一緒に住み始める・・・


信じられないんですけど。


アベルくん、

優しいだけが男じゃないからね。

言いたいことはビシッと言えよ。


って、あれ?


時代は変わりましたねぇ。


150歳は若い方達の恋の行方を

大人しく観察させて

いただくだけにしますかねぇ。


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パリの恋人たち

監督/ルイ・ガレル、脚本/ジャン=クロード・カリエール、ルイ・ガレル、共同脚本/フロランス・セイヴォス、撮影/イリーナ・リュプチャンスキー、製作/パスカル・コシュトゥ、グレゴワール・ソルラ

出演

ルイ・ガレル、レティシア・カスタ、リリー=ローズ・デップ、ジョセフ・エンゲル

1213日(金)よりBunkamuraル・シネマ他全国順次公開

2018年、フランス、フランス語、カラー、75分、字幕翻訳/松岡葉子、配給/サンリス



# by Mtonosama | 2019-11-30 05:48 | 映画 | Comments(6)

パリの恋人たち

-1-

Amoureux de Paris


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(C)2018 WhyNot Productions



フランスといえば恋愛です。

そして、恋人ですね。


管理人の通った学校は女子高で

教師による抜き打ち通学鞄検査が行われ、

その中に「恋人」というタイトルの

小説などが入っていようものなら

即、没収でした。


いつの時代の話やねん?

とお思いになりますよね。

戦前や戦時中のことではないんですよ。

ったく!


そんな訳で

恋愛には造詣の深い管理人であります。


それにしても、

本作はなんということでありましょう。



現代のフランスの恋愛事情は

こんなことになっているので?


シャバダバダ、シャバダバダの

『男と女』(66)に涙した

150歳にはちょっとついていけないかも。


とはいえ、

俳優たちには注目です。



3年近く同棲していた恋人に

妊娠を告げられ、

嬉しくて舞い上がったものの

その父親は自分ではなく

親友のポールだったという

なんともお気の毒な男を演じたのは

フランスの名匠フィリップ・ガレルの息子

ルイ・ガレル。


本作では監督もやっています。


野性的なお顔立ちのこの人。

俳優として4度セザール賞に

ノミネートされ、

受賞も1度しています。

ベルナルド・ベルトリッチ、

ジェーン・バーキン、

ジャック・ドワイヨンなどに愛されてきた

フランス映画界きっての二世俳優です。


当試写室でも、彼が主演した

『グッバイ・ゴダール!』(17)を

https://mtonosama.exblog.jp/29855420/

https://mtonosama.exblog.jp/29881353/

上映しています。


03年に

ベルナルド・ベルトルッチ監督の

『ドリーマーズ』、

05年には

彼の父親フィリップ・ガレル監督作

『恋人たちの失われた革命』

に主演し、

パリ五月革命で戦う学生を演じました。


彼の野性的な面立ちは

そんな役柄にはぴったり。


ところがどうでしょう。

今回の役どころは

恋人には自分の親友と二股かけられ、

自分はその親友の妹に言い寄られ、

その気になって捨てられ、


そして、

恋人を奪った親友は早々と死に、

恋人に言われるまま、

よりを戻そうとする…


なんやねんな!

って、

つい大阪弁になってしまいましたがな。


『ドリーマーズ』のテオや

『恋人たちの失われた革命』のフランソワは

どこへ行ってしまったのでしょう。


ま、昔観た映画に勝手に感情移入して

後でごちゃごちゃ言われても

ルイさんもお困りでしょうから

次の俳優さんへ移りましょう。



二股をかけるしたたかな恋人を

演ずるレティシア・カスタ。

国際的なモデルとしてスタートした彼女。

1999年から女優として活動し、

2010年にはセルジュ・ゲンズブールの

伝記映画『ゲンズブールと女たち』に

ブリジット・バルドー役で出演。

2012年には芸術文化勲章シュヴァリエ

を受賞、

2018年にはブシュロン160周年の

アンバサダーに就任。

フランスの美を象徴する存在です。


また、主人公に積極的に接近する

親友の妹を演じたリリー=ローズ・デップ。

その名前を見てもわかるように

ジョニー・デップの愛娘なんですねぇ。

目元がパパにそっくりです。


リリー=ローズなんて

親の望みをそのまんま

表現したような名前ですね。


とまあ、二世俳優が二人も出演する本作。

いったいどんなお話なのでしょうか。

続きは次回まで乞うご期待でございます。



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☆11月27日に更新しました。

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パリの恋人たち

監督/ルイ・ガレル、脚本/ジャン=クロード・カリエール、ルイ・ガレル、共同脚本/フロランス・セイヴォス、撮影/イリーナ・リュプチャンスキー、製作/パスカル・コシュトゥ、グレゴワール・ソルラ

出演

ルイ・ガレル、レティシア・カスタ、リリー=ローズ・デップ、ジョセフ・エンゲル

1213日(金)よりBunkamuraル・シネマ他全国順次公開

2018年、フランス、フランス語、カラー、75分、字幕翻訳/松岡葉子、配給/サンリス



# by Mtonosama | 2019-11-27 04:23 | 映画 | Comments(6)

再会の夏

-2-


Le Collier Rouge


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(C)ICE3 - KJB PRODUCTION - APOLLO FILMS- FRANCE 3 CINEMA – UMEDIA



Le Collier Rouge”「赤い首輪」。

これは犬の首輪を指しているのですが、

その他に、

レジオンドヌール勲章の

赤いリボンも指しています。


ここんとこ、重要です。


いずれにせよ、

事実に基づいているというこのお話。

いったいどんなお話なのでしょう。



ストーリー

炎天下、一匹の黒い犬が

留置場の石の壁の前でずっと吠えている。

時折、親切な近隣の人が

犬に餌や水を与える。


もうほとんど収監人がいなくなった

その留置所には

吠え続ける犬の飼い主が

入っているのだ。

飼い主の名はジャック・モルラック。


第一次世界大戦で武功をあげ、

レジオンドヌール勲章を受けた英雄だった。


そんな英雄がなぜ留置所に?


黙秘したままの彼に判決を下すため

軍判事ランティエ少佐がやってきた。

彼にとって、

この仕事は最後の仕事であり、

同時に、

彼自身に終戦をもたらすものでもあった。


犬の飼い主ジャック・モルラックは

黙秘し続けている。


留置場の近くに宿をとった少佐は

腰を据えてジャックと向き合う。

その腰の据え方は部下の兵士と宿の娘が

恋に落ちるほどの長さだった。



最初は頑なだったジャックも

次第に少佐に心を開いていく。


ある日、

中庭に出ることを希望したジャックは

自分は農民であること

1915年に召集され、

第一次世界大戦最大の戦場となった

ソンムやテッサロニキで戦ったこと

ロシア軍と共にブルガリア軍と戦ったが、

厭戦気分に囚われていたブルガリア軍兵士と

和解を企てたものの、

その直前に起きた出来事で

大けがを負ったこと

などを語り始める――


取り調べを終えた少佐は

留置場前で今日も吠え続ける

ジャックの犬に優しく語りかける。




ジャックが収監されたのは

革命記念日の式典で

自分の勲章をこの犬に与えたからだった。


なぜ、そんなことをしたのか。


少佐はジャックが一緒に暮らしていた

農婦ヴァランティーヌの家を訪ねる。


彼女は農作業をしながら、

小さな息子とたくさんの本に囲まれ

暮らしていた。


ヴァランティーヌは

二人は愛し合って暮らしていたが、

総動員令が発令され、

犬と共に戦地に向かったまま、

終戦を迎えても

家に戻ってこないのだと話す。


黒い犬は何もかも見ていた。

ジャックとヴァランティーヌの愛の芽生えも

ジャックの行軍も

ジャックが戦場で彼女の手紙を読むところも

人々が殺し合うところも・・・


ヴァランティーヌが留置所前から

いくら連れ帰ろうとしても

黒い犬は動こうとしなかったと言う。


少佐はなんとしてもこの事件を解決し、

自身が抱える戦争も終わらせたかった。

少佐は最後の審問を入口に近い

執務室で始める。

黒い犬の声が聞こえてくる。


ジャックは語り始めた……



戦争の無意味さを描かせたら

ジャン・ベッケル監督を越える人は

いないのではありますまいか。


それぞれが語れないものを抱え、

深くやるせない思いを言葉にできずにいます。


黒い犬は何もかも知っており

吠え続けることで語っているのに

それは誰の耳にも意味として

伝わっていかない――


ああ、良い映画でした。


感動とはこういうことをいうのでしょう。

猫好きも絶対観てくださいね。


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☆11月24日に更新しました。

いつも応援してくださってありがとうございます。


再会の夏

監督/ジャン・ベッケル、原作/Le Collier Rouge」(ジャン=クリストフ・リュファン著)、脚本/ジャン・べッケル、ジャン=クリストフ・リュファン、ジャン=ルー・ダバディ、撮影/イヴ・アンジェロ、編集/フランク・ナカシュ、音楽/ヨハン・ホイジンガ

出演

フランソワ・クリュゼ/ランティエ、ニコラ・デュヴォシェル/モルラック、ソフィー・ヴェルベーク/ヴァランティーヌ、ジャン=カンタン・シャトラン/デュジュー、パトリック・デカン/ガバーレ、トビアス・ニュイッテン

1213日(金)シネマスイッチ銀座ほか全国ロードショー

2018年、フランス・ベルギー合作、フランス語、83分、字幕/手束紀子、配給/コムストック・グループ、配給協力/ギグリーボックス




# by Mtonosama | 2019-11-24 05:44 | 映画 | Comments(2)