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人生に乾杯! KONYEC

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                    (c) M&M Films Ltd.

人生に乾杯!KONYEC

なんと素敵なおじいちゃんとおばあちゃん!

「俺たちに明日はない」のハンガリー版でありましょうか。
いえいえ、ご老人には幸せな人生を送っていただかねば。
《明日はない》なんて、そんなことがあっていいわけはございません。
だから、81歳のエミルは立ち上がりました。愛妻ヘディを守るために。

1989年の東欧革命から今年で20年。
この20年の間にハンガリーはEUにも加盟しました。
社会主義を脱して、自由で豊かな国に大変貌!と思いきや
この国もまた経済危機の真っただ中でした。

20年前、国営企業が民営化され、集団農場も解体。
土地は元の所有者に返還され、市場経済が導入されました。
ここまではめでたし、めでたし―――のはずだったのですが。

市場経済とともに、外国資本が流れ込み
東欧諸国は欧米資本によって支配されるという結果に。
いわゆるグローバリゼーションというやつでございます。
そうなると物価は上がる、年金はそれに追いつかない
で、高齢者の生活はたちゆかなくなってしまいました。

        20年前には良かれと思ったことが、今はとんでもないことに。
        そういえばベルリンの壁が崩壊し、あれだけ熱狂した旧東独住民の間では
        ノスタルジーNostalgieならぬ
        オスタルジーOstalgie(ドイツ語で『東』のことをオスト《Ost》といいます)
        という言葉がささやかれていると聞きます。
        「東独時代が懐かしい」という意味です。

しかし、この映画の主人公は「昔は良かった」なんて一言も言いません。
お金がないなら、お金のあるところからもらってくればいい――― 
えっ?
そうなんです。ここに生まれたのが礼儀正しいおじいちゃん銀行強盗。
《立て、ハンガリーの老齢者諸君!》なのであります。

        《ストーリー》 
       1950年代も終わりの頃
       秘密諜報機関が、とある城館を摘発するために車を乗り付けます。
       その一室を捜査するエミルの前に屋根裏から若い娘が落ちてきました。
       彼女は城館の令嬢ヘディ。
       ヘディは思わず、ダイヤのイヤリングをエミルに差し出し、助けてもらいます。
       そして、その時
       労働者階級出身のエミルと伯爵令嬢ヘディは恋に落ちました。

       それから50年。
       81歳になったエミルと70歳のへディは十分な年金も受けられず
       アパートの電気も止められ
       エミルはぎっくり腰、ヘディは糖尿病
       出会った頃のときめきもとうに消え去り
       ふたりは貧しい日々を送っていました。
       さらに
       思い出のあのダイヤのイヤリングさえも、借金のかたに取り上げられてしまいました。
       エミルの胸に湧き上がるわが身の不甲斐無さとヘディへの想い
       そして、高齢者に冷たい社会への怒り
       エミルは或ることを決意しました…

映画の原題は「コニェツ」。
ロシア語の「カニェッツ」(終わり)から来たハンガリー語だそうです。
そして、副題は「コップの中の最後の一滴」。
なるほど。なかなか意味深いサブタイトルであります。

 古い共産主義時代を知る最後の世代?
 最後の闘う世代?
 残り少ない人生の最後の力をふりしぼる?

う~ん、どれもあてはまりそうであり、あてはまらなくもあり、
このすべてをひっくるめているようでもあり、ディープであります。


長いものに巻かれたままじゃいない老人の心意気に大喝采。
痛快老人ピカレスク映画。でも、二人とも少しも悪者じゃないんです。
エミルとヘディを追跡する女刑事のアギや
本作が初監督作品となるガーボル・ロホニ監督と同じように、
この映画を観たら、ぜったいに二人を大好きになりますよ。

人生に乾杯!
監督/ガーボル・ロホニ
キャスト
エミル・ケレシュ/エミル、テリ・フェルディ/ヘディ、ユディト・シェル/アギ、
ゾルターン・シュミエド/アンドル、ロシック・ジョコ/ホアン(キューバからの移住者)
提供:博報堂DYメディアパートナーズ、J-dream
配給:アルシネテラン
上映時間:107分
6月20日(土)より、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
http://www.alcine-terran.com/kanpai/

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by mtonosama | 2009-06-06 05:28 | 映画 | Comments(8)
Commented by すっとこ at 2009-06-06 06:58 x
更新楽しみに待っておりますた!
今回はなんと老人ピカレスク、と来ましたか。
若者、って字面より 老人、って字面に
気持ちの寄り添う今日このごろ。
こりゃ誰と行こうか、っていうより
同窓会みんなで行こうじゃないか!ってな映画のようですわね。
きっとエンドマークで拍手の嵐が起こりそう。
Commented by mtonosama at 2009-06-06 14:47
すっとこさん
ありがとうございます。
そうですねぇ。同窓会で行くのがいいでしょう。
ギリシャ同窓会の皆さんといらしてくださいませ。
Commented by ライスケーキ at 2009-06-06 22:41 x
年金にはもう頼れない高齢化社会。 ハンガリーも日本も同じなのね。  今の高齢者より、今「アラ還」の人たちが高齢者になった時の方がもっと悲惨かも。 でも、こうやって「コニェツ」が近づいても「人生に乾杯!」って言いたいね。   これって やっぱりパートナーと行こうかな。
Commented by mtonosama at 2009-06-07 05:35
ライスケーキさん
アラ環の人々はきっとレミングというネズミの大行進のように
一斉に海に飛び込んでいくんじゃないでしょうか?
それを集団自殺と見るか
最後の闘いと見るか
アラ環コニェッツもなかなかだっと言われたいような
Commented by Tsugumi at 2009-06-07 07:10 x
最近とみに時間の速さを感じているわが夫婦。。。

人事ではない映画ですね。。

私も年金いくらもらえるかわからないし・・
うちのだんな様イギリスからいくらもらえることか(日本では年金もらうのは不可能。。だって国民年金に加入できないんだから・・)
実に詰まるストーリーで・・見に行くのはやめておきます。
Commented by mtonosama at 2009-06-07 11:29
あらら、Tsugumiさん
そこへ行きますか!?(笑い)

英国の年金って良いのでは?

おかねの問題はいずこも同じという気がしないでもありませんが、
この老夫婦は仲良しで羨ましいなって思いました。
Commented by カタ at 2010-10-11 04:20 x
こんにちは!
Konyecというハンガリーの映画は日本で人気を集めたので、私はすごく嬉しい!!面白い映画ですね。
Commented by mtonosama at 2010-10-11 06:44
♪カタさん

コメントありがとうございます♪

ホント!おもしろい映画でしたね。
ハンガリーではKonyec現象が起きたとか、起きないとか。

これからも、また遊びにいらしてくださいね♪


by Mtonosama