トロッコ -1-
© 2009 TOROCCO LLP
3月初めに、当試写室で川端康成原作「掌の小説」を上映しましたが
その時、芥川龍之介原作「トロッコ」が映画化されたことをお知らせしました。
5月、その「トロッコ」がいよいよ公開されます。
この小説は学校の教科書で読んだ方が多いと思います。
本作で監督デビューする川口浩史さんもそうなんですって。
殿は貸本漫画の世界を卒業した中学生になってから
自分で買って読んだのですが、感動しました。
そして、漫画ではなく、文章によって、こんな感動を呼び起こしてくれた芥川龍之介
という作家に心酔してしまいました。
子どもですから、思いつめると、ただただ一途(いちず)。
芥川龍之介に出会った日から数百年は経ちましたが
いまだに芥川・いのちです。
だから、この作品が映画化されると聞いて、不安を感じたのは事実。
まず、初恋の人が変わり果てた姿で姿を現したらどうしようという不安。
次に、自分のイメージを思いっきり崩されてしまったら…という不安。
怖いもの見たさと芥川への執着から「トロッコ」の試写へ足を運びました。
すると
なんということでしょう!
「トロッコ」はすっかり変わっていました。
でも、これ正解です。
原作は2段組でわずか4ページ強の短編。
それも芥川の圧倒的な筆力で読ませる作品。
これに映画で太刀打ちしようたって、はなっから無理な話です。
舞台は、小田原熱海間から台湾へ
時代は、大正時代から現代へ
トロッコを押すのは、8歳の良平から敦(8歳)と凱(6歳)の兄弟へ
と、原作とは大きく設定を変えていました。
その理由は、日本にトロッコの線路が最早なく
台湾にはあったという、極めて映画的な事情です。
しかし、「なんで台湾が舞台なんだ?」と言わせないだけの説得力を
この映画が持つに至ったのは撮影監督リー・ピンビンの存在でしょう。
ホウ・シャオシェン監督の「花様年華」(‘00 )
「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」(‘07)http://mtonosama.exblog.jp/8401953
トラン・アン・ユン監督の「夏至」 (’00 )、「ノルウェイの森」(‘10)
是枝裕和監督の「空気人形」 (’09)http://mtonosama.exblog.jp/11800043
などで撮影監督をつとめ、これらの名だたる監督たちから絶大な信頼を寄せられている
台湾出身のリー・ピンビン撮影監督。
したたる緑とあらゆるものをうるおす豊潤な湿度を描きだすことでは
彼にかなう人はいないのではないかと思っています。
川口浩史監督とリー・ピンビン撮影監督は
川口さんが助監督をつとめた行定勲監督の「春の雪」(‘05)で出会いました。
監督に、台湾に残るトロッコ線路の存在を教えたのも実はこのリーさん。
自分自身の「トロッコ」の心象風景はそれぞれ心の中にしっかり封印し
川口「トロッコ」を楽しむのも悪くないと思います。これもあり、です。
って、殿も大人になったものだ…
ということで、ストーリーのご紹介は後編で。
続く
トロッコ
監督/川口浩史、脚本/川口浩史、ホアン・シ―ミン(黄世鳴)、音楽/川井郁子、
撮影監督/リー・ピンビン(李屏賓)、美術監督/ホアン・ウェンイン(黄文英)、
出演
尾野真千子/矢野夕美子、原田賢一/矢野敦、大前喬一/矢野凱、
ホン・リウ(洪流)/おじいちゃん、チャン・ハン(張翰)/叔父、ワン・ファン(萬芳)/叔母、
ブライアン・チャン(張睿家)/鳥をつかまえた青年、メイ・ファン(梅芳)/おばあちゃん
5月、シネスイッチ銀座より全国順次ロードショー
116分、日本語・中国語(北京語・台湾語)、2009年、日本、配給/ビターズエンド、
www.torocco-movie.com
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♡3月25日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます♡
芥川龍之介といえば蜘蛛の糸しか思い出せません
でも殿様のレビュー次第でこの映画見に行くかどうか決めたいと思います(苦笑)
最近 太宰の短編をテレビで良くドラマ化しているけれど
「良いなぁ」と思う作品と途中でスイッチを切ってしまう作品がある。
有名作家の作品を映像にするのは難しいですね。
文章の魅力で読ませるような所があるから。
この作品は如何に? 期待しています。
「トロッコ」、本当に短い作品ですから、もう一度読んでみて下さい。
子どもの頃読んだ印象と大人になってから読んだ印象って
「トロッコ」に関してはあまり変わっていないかもしれません♪
犬のスープに抵抗を感じる身としては、イルカは食えないもんなあ。
とあるリゾートでイルカと一緒に泳いだことのある身としては
やはりイルカは食べれない。
でもさ、昔から食べてる地域はあるからなぁ。
それがいいか悪いかは、その人たちが決めればいいことであって
この映画はアメリカ人のガイアツのような気がします。
狗肉料理って看板、中国で確かにこの目で見たよ。
でも、それって食習慣だもんなぁ。
誠に悩ましいことであります。