しあわせの雨傘 -1- Potiche
Potiche
(C) Mandarin Cinema 2010
「シェルブールの雨傘」
(‘64年ジャック・ドゥミ監督。カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞)
という映画を覚えておいででしょうか?
“フランスの美少女が歌って踊るミュージカルという映画が来たそうな”と老いも若きも
皆浮かれて映画館に向かったそうです
(ほんとか?)
しかし―――
普通に喋るセリフはいっさいなく、すべて歌だけで構成されたこの映画に、
老いも若きもびっくりしました。
“シェルブールというところじゃ、郵便屋さんは歌いながら郵便配るのかい?”
“ひゃーー、通行人が道を尋ねるにも歌で訊く?”
“ミュージカルというのはたいそう不思議な映画ではないかい?”
と、驚きのあまり、筋をまったく覚えておりませんでしたが、
この度、ストーリーを読み返してみて、
「今ならわかる」とストーリーだけで泣きそうになったとのです。
伊達に歳をとっていません。
はい、この映画「しあわせの雨傘」、タイトルに雨傘とあるだけあって、
「シェルブールの雨傘」へのオマージュにあふれた作品かと思いましたが、
悲恋も、つらい別れも、ありません。
舞台が雨傘工場であることと、あの美少女だったカトリーヌ・ドヌーヴが主役であるということが、
かの名作との共通項でしょうか。
原題はPotiche。邦題の「しあわせの雨傘」はちょっと無理のあるタイトルかも…
ちなみにPotiche(ポティッシュ)とは、フランス語で「棚や暖炉の上に飾られる実用性のない花瓶や壺のこと。転じて、美しいが夫の陰に隠れ、自分のアイデンティティを持たない女性に対して軽蔑的に用いられる言葉」だとか。
「しあわせの雨傘」はフランソワーズ・オゾン監督が観た演劇「ポティッシュ」が
もとになっています。
このお芝居、ブールバール劇とよばれるジャンルで、
軽くてばかげた笑いを楽しむコメディです。
夫や娘にケチョンケチョンに言われても、しっかり言い返す妻を見て、
観客たちは大笑いして溜飲を下げるという筋書き。
ボケとツッコミでも、ボケはやられっぱなしというのではなく、
しっかり反逆するところがミソですね。
1970年代を背景にしたお話だったので、オゾン監督は映画化に際して、
どのように現代風にアレンジするかと大いに悩みました。
が、しかし、70年代の女性も、現代に生きる女性も、
彼女たちが直面する問題や世間の態度にはそんなに大きな変化はありませんでした。
ここも結構ミソ?
さて、オゾン監督といえば、「8人の女たち」(‘02)で咲き誇る大輪の薔薇とでもいうべき
カトリーヌ・ドヌーヴやエマニュエル・べアールなど名女優総出演の絢爛豪華な映画をつくった人。
最新作「しあわせの雨傘」でも、「8人の女たち」以来、再びドヌーヴの登場。
彼女もはりきって、脚本、キャスティングなど最初から最後まで関わったということです。
――― しかし、今年、当試写室はドヌーヴの映画をたくさん紹介しました。
「隠された日記~母たち、娘たち~」
http://mtonosama.exblog.jp/14555439/ http://mtonosama.exblog.jp/14574151/
「クリスマス・ストーリー」
http://mtonosama.exblog.jp/15000943/ http://mtonosama.exblog.jp/15018476/
深刻な作品もつくれば、ゴージャスな作品もつくる映画の高級ブティックともいうべき
フランソワーズ・オゾン監督。
今回は彼のお茶目ではじけた側面が満喫できますよ。
どんなお話かは次回のお・た・の・し・み♪
続
しあわせの雨傘
監督/フランソワ・オゾン、脚本・脚色/フランソワ・オゾン、原案/ピエール・バリエ&ジャン=ピエール・グレディ、製作/エリック・アルトメイヤー&ニコラス・アルトメイヤー、撮影監督/ヨリック・ル・ソー
出演カトリーヌ・ドヌーヴ/スザンヌ、ジェラール・ドパルデュー/ババン、ファブリス・ルキーニ/ロベール、カリン・ヴィアール/ナデージュ、ジュディット・ゴドレーシュ/ジョエル、ジェレミー・レニエ/ローラン
2011年1月8日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿ピカデリー他全国順次ロードショー
2010年、フランス、カラー、103分、配給/GAGA http://amagasa.gaga.ne.jp/
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♪12月25日に更新しました。いつも応援ありがとうございます♪
「シェルブールの雨傘」、きっと心躍らせてご覧になったのでしょうね。
とのは初めて観たとき「え、歌ばっかりじゃん^_^;」とびっくりしました。
タモリがミュージカルの悪口をよく言ってるけど、きっと「シェルブールの雨傘」を
観て、驚いたんだろうと勝手に思ってます♪
でも大人になってミュージカルの魅力にはまっています。特に映画の。。
あっ?
すみません。この映画のコメントとはちょっとはずしちゃいましたかしら(爆)
秩父朝晩寒いですけど日中は小春日和で暖かいでよ~~~。
あっ?そうでしたね。
私も「しあわせの雨傘」を紹介してたってこと、すっかり忘れてました(笑)。
紛らわしいタイトルですよねぇ。
秩父、寒いのは朝晩だけですか?
いやぁ、心配してたんですよ。
また、お二人とも半袖のTシャツ着てて風邪ひかないといいのにって。