サヴァイヴィング ライフ -2- Surviving Life
―――夢は第二の人生―――
Surviving Life
(C)ATHANOR
さて、ヤン・シュヴァンクマイエル氏でありますが、
彼の尊敬する日本の作家は江戸川乱歩であります(本家エドガー・アラン・ポーもお好きとのことです)。
乱歩からはずいぶん制作上の影響も受けているとか。
シュヴァンクマイエル氏、来日すると必ず、能や歌舞伎、人形浄瑠璃の舞台を楽しむそうです。
随分、日本通のシュルレアリストなのです。
本作をご覧になる前にラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6階)で、
8月20日(土)から9月19日(月)まで開催される「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展~映画とその周辺~」をご覧になると映画をさらに楽しめるかもしれません。http://www.svankmajerjp.com/
本展では様々な素材を使ったオブジェ、絵画、コラージュ、版画、ドローイングなどの作品群も展示されますが、その大半は日本初公開。サブタイトルに「映画とその周辺」とあるように、映画館と美術館の境界を取り払ってしまった作家の作品展です。
©Jan Švankmajer
新装版の表紙のために描いた「アリス」が2点、そして日本の木版画―――シュヴァンクマイエルが下絵を描き、茨城と京都の彫り師と摺り師が江戸時代以来の伝統的な技法で制作したもの。他にも、日本の百鬼夜行絵巻を意識した妖怪とシュヴァンクマイエルが独自に生み出した妖怪からなる絵柄や小泉八雲「怪談」の挿絵など、江戸と魔都プラハとの画期的なコラボレーションを楽しめる作品展です。
5年ぶりの新作となる「サヴァイヴィング ライフ ――夢は第二の人生――」。
「夢と現実をそのまま撮りたかった」と語るシュヴァンクマイエル氏ですが、
本作は夢と現実を平行に取り扱う形で撮影したということです。
夢そのものは何度も扱ってきたけれど、今回のように夢を具体的に描いたのは初めてと語っていますよ。
さあ、どんなお話なのでしょうか。
ストーリー
エフジェンはパッとしない中年サラリーマン。
家に帰っても口喧しい妻ミラダの愚痴を聞かされるだけなので、楽しみは寝ることです。
ある日、彼は夢の中でエフジェニエという名前の若く美しい女性と出会います。
彼女に誘われて部屋を訪ね、抱き合っているところを彼女の息子に見られてしまいました。
そんな夢の記憶が気になるエフジェンは精神分析の女医ホルボヴァー医師を訪れます。
カウンセリングの結果、エフジェンが幼い頃に両親を亡くし、
児童養護施設で育てられた経験が彼の見る夢と関係しているらしいことがわかってきます。
エフジェンは自分の意思で夢の世界に入っていく方法を発見。
誰にも邪魔されることなく、夢の世界に入るため、古いスタジオを借りることにしました。
妻には会社に行くと見せかけ、毎日夢の中へと出かけるエフジェン。
一方、エフジェンの行動を不審に思った妻ミラダは彼を尾行。
精神分析医のホルボヴァー医師に会い、彼女を夫の浮気相手を思いこんでしまいました。
ところが彼女から夫の二重生活を教えられ、ショックを受けます。
ミラダは夫の尾行を続行し、スタジオでエフジェンが夢の世界に入っていく儀式を目撃。
その真似をして彼の世界に入り込んでしまったから、大変。
やがて、現実と夢の境界がないまぜになっていき……
う~~ん!?
今から90年前シュルレアリズム宣言を読んだ人が感じたものを、
現代の私たちも感じると思います。ということは、シュルレアリズムはまだまだ新しい!
「解剖台の上でのミシンとこうもり傘の偶然の出会いのように美しい」わけです。
映画の冒頭、シュヴァンクマイエル氏がスクリーンに登場し、
「この映画は最初アニメーションで撮影しようと思ったけれど、
お金がないので実写と俳優の写真を切り貼りすることにしました」
と口上を述べます。
監督本人がこんなふうに顔を出すなんて、なんかヒッチコックみたい。
彼はお金がないからアニメーションは止めにしたなんて言ってますが、
実はこの切り貼り方式の方が高くついたそうですよ。
ご本人は「この表現で自分の映画に新しいものをとりこめた」と語っていますから、
本作は今後の作品制作にも大きな影響を与えることになるのかもしれません。
映画にも、小説にも、ストーリー性の高いものと、そうでないものがあります。
テーマ性にこだわる作品、表現様式をつきつめる作品。
わかりやすい作品、難解な作品―――
でも、どれがベストか、は誰にも決められません。
これも出会いなんでしょう。
映画館のスクリーンの上での観客とシュヴァンクマイエルとの偶然の出会いのように美しい…
と思いますが。
終
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サヴァイヴィング ライフ -夢は第二の人生-
監督・脚本/ヤン・シュヴァンクマイエル、撮影/ヤン・ルジチュカ、ユライ・ガルヴァーネック、アニメーション/マルティン・クブラーク、エヴァ・ヤコウプコヴァー、ヤロスラフ・ムラーゼック、音響/イヴォ・シュパリ、編集/マリエ・ゼマノヴァー、衣装/ヴェロニカ・フルバー、プロデューサー/ヤロミール・カリスタ
出演
ヴァーツラフ・ヘルシュス/エフジェン、ミラン、クラーラ・イソヴァー/エフジェニエ、ズザナ・クロネロヴァー/ミラダ、ダニエラ・バケロヴァー/ホルボヴァー医師、エミーリア・ドシェコヴァー/老女(超自我)
8月27日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、チェコ、108分、後援/駐日チェコ共和国大使館、CZECH CENTRE TOKYO、製作/Athanor、C-GA Film、提供/レン コーポレーション、ディーライツ、アウラ、ユーリアンドデザイン、配給/ディーライツ
www.survivinglife.jp
フロイトやユングが
「我々は無意識に操られている」
と言った、 それを
「我々は夢に操られている」と
あえて読んでしまってるようにみえるけど
どうだろうか。
無意識と潜在意識と夢と。
睡眠中に見るのは夢=睡眠だけど
誘導されて潜在意識に入って行くのは
催眠ですわん、睡眠じゃなくて。
って話が逸れてしまいました。
NY州ライセンス取る催眠術講習を
思い出してしまったものですから。
ヤンさん、そーんなに日本通!
じゃあアリスでちらっと見えたのは
やっぱり日本のお雛様だったんだね。
観たいなあ、この映画。
個人的にはデ・キリコとかデルボーが
好きなんです。
キリコの好きなすっとこさん。
フロイトの言う無意識に、自分から近づくことはできないから、
精神分析医が登場するんじゃないかしらん。
彼の言う「無意識」って3つのピストルとか、カバンとか、
口唇リビドーとか(キャッ)、性的なものですものね。
良い子のとのはちょっと恥ずかしいですわん。
ここに登場するエフジェンさんは上手に夢の世界に
入っていく方法をみつけ、眠ることができるんだけど、
これって催眠かしら?睡眠かしら?
ところで、すっとこさん、催眠術師のライセンスはゲット
なさったのですか?
良いなあ。NYはいろいろ楽しめて。
この作品、めっちゃ興味深いですね。
大阪では10月まで待たないといけないようで。
楽しみにしときます!
なぜか「アリス」は見たことがありましたね。
なんでだろ~なんでだろ~
あの全然かわいくない白ウサギが忘れられません。
はじめまして。当試写室へご来室いただき、まことにありがとうございます。
summersailさんのところで、お名前を拝見しているので
初めてとは思えませんが♪
「アリス」をご覧になったんですか?
いいですねぇ。
シュヴァンクマイエル展に行くつもりですが、
観られるといいけれど、どうでしょう。
あの白ウサギ、妙に薄気味が悪くて魅かれますね。
「サヴァイヴィングライフ」in 大阪は
10月上映までしばしのお待ちを<(_ _)>
どうぞまたお立ち寄りくださいませ。
ありがとうございました。
すっとこは催眠術師です。
NY州ライセンス保持者ですの。
普通に話していても
相手にかけることができます。
(ウソです。こうい事言う人が
いるから催眠術がヘンに思われる、
ちゅーーーーーに!
自分で言うて どーーーするーーー!)
おーーーーっ!
ライセンス取得なさっていらしたのですね!?
なんでもできるすっとこさんですねぇ。
今度会ったとき、それと気づかぬ内に催眠術をかけられてたりして。
でも、催眠じゃなくて、じっくり入眠させてくれたら嬉しいな。
不眠症だから。
マグリットの作品のような映画をご覧になったのですか?
へぇ、なんだろう?寡聞にして存じておりませんが、
眼医者さんやメガネ屋さんで視力検査をするときに
(壁にかけた紙じゃなく、顕微鏡みたいに覗きこむタイプのヤツ)
出てくる赤い気球を見るといつもマグリットを思い出してしまうとのです。
(こんな話わかんないですよね ^_^;)
美術館で観るアートが動画としてつながってる感じ?
とでも言ったらいいでしょうか(^_-)
ワンシーン、ワンシーンが絵になってるとでもいいましょうか。
そんな感じの映画です。浸っているとなんかミョーに良い感じでした。
何度も何度も楽しめる作品じゃないかな、って思います。