運命の子 -1- 趙氏孤児
趙氏孤児
(C)Shanghai Film Group Co., Ltd. Shanghai Film Studio/TIK FILMS/Stellar Mega Films Co., Ltd./21 Century Shengkai Film
今回、当試写室で上映するのは、古代中国は春秋時代の強国、晋が舞台の物語、
かの有名な司馬遷「史記」から題材をとった「運命の子」(趙氏孤児)です。
「趙氏孤児」は「ハムレット」や「忠臣蔵」同様、復讐をテーマにした名作で
中国では知らない人のいない有名なお話だとのこと。
日本人なら「忠臣蔵」、中国人なら「趙氏孤児」ということらしいです。
今回は中国第5世代の巨匠、
「さらば、わが愛 覇王別姫」(‘93)、
「北京ヴァイオリン」(‘02)、
「花の生涯~梅蘭芳」(‘08)http://mtonosama.exblog.jp/10447417/
の陳凱歌(チェン・カイコー)監督の解釈による「趙氏孤児」初の映画化作品です。
春秋時代なんていうと高校時代の世界史の授業を思い出しますが、
中国の人たちは2600年も前のお話に未だに愛好しているのですね。
さて、いったいどんなお話なのでしょうか。
でも、春秋時代ってどういう時代だったんでしたっけ?
夏、殷、周、秦、漢・・・・・
中国の歴代王朝を確かに暗記した筈なのに、5つしか出てきません。
ま、いいでしょう(なにがいいんだか)。
その3番目の周王朝が前770年都を洛邑へ移してから、世が乱れるのですが、
これが春秋時代の始まりであります。
そして、前403年に現在の山西省を治めていた国・晋が、
その家臣である韓氏、魏氏、趙氏によって三分割され、漢・魏・趙の三国として建つまでを
春秋時代といいまして、ここから戦国時代が始まります。
その春秋時代の間に起きた「趙氏族皆殺し事件」がこのお話の大きな背景なんですね。
これ、試験に出ますから、しっかり覚えておいてください。
って…
いや、しかし、趙氏族は皆殺しにされたはずなのに、
なにゆえその後、前403年に趙氏の国が建ったのでしょうか?
う~ん、この話のミソはどうやらその辺にありそうです。
晋は現在の山西省にあった強国ですが、その君主に文公という人がいました。
彼は亡命生活の末に晋の君主に返り咲いた人物。
この文公の家臣が趙衰(ちょうし)であり、文公と亡命の苦楽を共にしたため、
帰国後はひきたてられ大出世しました。
趙衰(ちょうし)の息子・趙盾、孫の趙朔も、晋の重臣として権勢を振るい、
その勢力は晋の君主にとっては脅威に感じられるようになってきたのであります。
権力を世襲するということは昔も今も災いの元でありますな。
そして、前598年、文公の孫・景公は家臣の屠岸賈(とがんこ)に
趙朔以下、趙氏の一族300人を粛清させるのであります。
な、なんと・・・・・
その後に展開される人間の情愛を鋭くえぐり出した「趙氏孤児」の物語が
「史記・趙世家」に記されているのであります。
2600年の時を経て未だ中国人の魂を揺さぶるこの物語は雑劇、京劇、新劇など、
時代を超え、繰り返し舞台化されてきました。
今回は陳凱歌(チェン・カイコー)監督による初の映画化。
さてさて、どんな作品に仕上がっているかは次回のお楽しみということで、
皆さま、乞うご期待であります。
続
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運命の子
監督・脚本/チェン・カイコー(陳凱歌)、原典/司馬遷「史記」、撮影/ヤン・シュウ(楊述)、武術監督/クウ・フエンチュウ(谷軒昭)
出演
グォ・ヨウ(葛優)/程嬰(ていえい)、ワン・シュエチー(王学圻)/屠(と)岸(がん)賈(こ)、ファン・ビンビン(苑冰冰)/(/)荘(そう)姫(き)、ホワン・シャオミン(黄暁明)/韓厥(かんけつ)、ハイ・チン(海清)/程嬰の妻、チャン・フォンイー(張豊毅)/公孫、ヴィンセント・チャオ(趙文卓)/趙朔(ちょうさく)、ウィリアム・ワン(王瀚)/程勃(ていぼつ)・8歳、チャオ・ウェンハオ(趙文浩)/程勃(ていぼつ)・15歳、ポン・ボー(彭波)/晋の君主(霊公)、ワン・ジンソン(王勁松)/策士、パオ・グオアン(鮑国安)/趙(ちょう)盾(じゅん)
12月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ[リニューアル・オープニング第一弾作品]ほか全国順次公開
2010年、中国映画、カラー、128分、配給/角川映画、http://www.unmeinoko.jp/
記憶の彼方でうっすら覚えているだけの時代なので、時代考証とか大丈夫なのか?と思ってしまいました。(日本だって卑弥呼の映画とかを撮るのはきっと大変ですよね)
上の写真で、傷ついた女性が砂の上に倒れている絵がありますよね。不謹慎だとは思いますが、色があまりにも綺麗で、ドキッとしました。続きが楽しみです。
砂の上に倒れている女性ですが、この人ホントに綺麗ですよね。
poirier AAAさんはご覧になれなかったかもしれませんが、
爽健美茶のCMに出てた女優さんです。
CMの頃から綺麗な人だなぁと思って注目していましたが、
「孫文の義士団」にも出ていたし、今回も趙家の妻と言う
重要な役で出てますし、個人的にかなり注目してます。
それにしても中国古代史は遠い記憶の果てで消えかかっています。
いくら勉強しても全然頭に入らなかった。
でも「中国人は皆知っている」と言うんだから面白いのでしょう。
「忠臣蔵」って 語ると長くなるので語りませんが
私 あの話 あまり好きでありません。
外国人に あの「復習劇」が理解できるのでしょうか。
あ、またまた話がそれてしまって すみません。
中国人なら「誰でも知ってる」物語なのですね。
ふうむ。
各お国でそういうの、あるのでしょうね。
一族皆殺しの筈が
ただひとり生き延びた・・・・
とは
砂浜に倒れてる女性のお腹に宿っていた
子供でしょうか。
次のストーリーが
楽しみですね!わくわく。
同じく中国史に弱いとのです。
中国って広いから、あっちこっちで歴史が展開してるって感じですもんね。
でも、西安上空から眼下の街を眺めた時は本当に見事な碁盤状で感激。
西安と呼ばれる前の都・長安が蘇ってきました。
そうそう、中国では誰でも知っているんですって。
2600年前の話にまさか泣くことはないだろうと思っていたら、
不覚にも落涙したとのであります。
2000年経っても3000年経っても人の情けには大きな変わりはないものだなぁと感じ入った次第。
って学生のころから世界史・日本史とんとでした。
きっとこの映画は見る機会がないと思えます。
でも2600年も前に展開された人情劇どんなものかはちょっと興味があります。
次回のとののレビューに期待します。
復習の物語!凄く面白そう。
物語の祖形としてはもう王道を行くものでしょうね。虐げられ迫害されたものが怒りを込めて反撃するそのエネルギーの爆発とか、カタルシス以外の何ものでもないもの。
日本でも忠臣蔵があるようにそういう根源的な物語はどこの国の人でも熱狂するんでしょうね。
歴史物語であるというのも物語に厚みが出てきていいですよね。
といっても中国の歴史はあまり詳しくないから、そういうのを予習してから観るほうが絶対に面白いかな。
ありがとうごさいます。
復讐って単純なだけに、結構迫るものがありますよね。
このお話は復讐+親子の情と、錯綜してて面白かったです。
中国の歴史はよく知らなくても、楽しめる映画だと思いました。